JPO派遣候補者選考試験

2015年度JPO派遣候補者選考試験募集要項が発表された。外務省では、国連をはじめとする国際機関で働きたい若手の日本人(35歳以下)を原則2年間国際機関に派遣し、正規職員となるために必要な知識・経験を積む JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)派遣制度を実施している。派遣期間終了後、正規職員として派遣先機関や他の国際機関に引き続き採用されることが最終目的であるが、自動的に正規職員となることが保証されるわけではなく、派遣期間終了前に通常の手続きに従って空席ポストに応募して採用される必要性がある。
外務省国際機関人事センター発行資料によると国連関係機関の現邦人職員のうち、4割強がJPO派遣制度を経て国際機関の正規職員になっているそうである。1974年から実施したこの制度で約1,400人が派遣されており派遣終了直後、概ね5~7割の方が国際機関に 正規採用されているとのこと。
JPO派遣制度で、派遣された邦人は2014年度では44人となっている。301人の応募で44人だから、選考される確率は14.6パーセント、2013年には285人の応募者に対し40人が派遣されており、確率はほぼ同じ14パーセントである。
この選考試験は国連やOECDのヤングプロフェッショナル試験(YPP)と比べると成功率が格段に高い。国連のYPP試験をとってみると結果のでている2012年度版では応募者41,023人のうち、筆記試験に呼ばれたものは4,587人、筆記試験を通過し面接に呼ばれたもの180人となっており、空席数は98で、激しい競争の後ポストにつける確率は0.24パーセントである。2013年度の最終結果はまだ発表されてないが、応募者数は22,662、筆記試験に呼ばれたものは3039人、筆記試験通過者100人となっている。
2005から2010間に行われたOECDヤングプロフェッショナル試験では、7つのポストを用意した各試験に対し約2000から3000人の応募があった。よって確率は国連YPP試験とほぼ同レベルといえる。現在はポスト数が増えているようだが狭き門であるのは変わっていない。
国連の一般空席公募だとポストによるが応募者数は50から 300人が普通だから採用される確率は0.33 から1パーセントとなる。
ここでどんなにJPO派遣候補者選考試験の門戸が開かれているか実感できるであろう。14パーセントの確率で派遣された後、半数以上が正式職員になっているそうなのでJPO派遣後正式職員になる率はヤングプロフェッショナル試験や空席広告に応募するよりずっと高い。おまけに一般空席広告のように内部職員と競う必要もなければ、YPPのように他の職員数の少ない国の応募者と比べられることもない。
まさに国際公務員への近道といえるべきこの試験に、条件の合う方はどんどんチャレンジしてほしい。

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1 thought on “JPO派遣候補者選考試験

  1. JPO派遣の対象機関である国際移住機関(IOM)はI移住(migration)の問題を専門に扱う唯一の国際機関として、災害や紛争による避難民、難民を含む移民への直接支援や、関係国への移住の観点からの技術支援、移住問題に関する地域協力の促進等の活動をしていますが、IOM駐日事務所によるとIOMでのJPO後の定着率は高く現在25人の日本人職員中10人がJPOの経験者だそうです。私のゼミの大先輩( IOMに勤務されており現在退職)から、やりがいのある仕事なので国際協力に関心のある方はどんどん応募してほしいとの伝言を頂きました。

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