国際機関でよく耳にする表現

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国際機関のコミュニケーションは主に英語でなされる。英語が堪能とはいえ、母国語ではない職員も多いし、勤務地のローカルな言語からの影響もありキングスイングリッシュばかりが使われているわけではない。長く勤務しているとその機関独特の語彙に気がついたりして興味深い。以下の表現は記憶に残っているものの一部である。

High-maintenance

維持の手間がかかるという意味の言葉だが、人事部で使用する場合は常に注意の必要な職員をさす。例えば自分の待遇条件等に、頻繁に質問や不満を発する者や、感情の起伏が激しく上司や同僚と衝突の多い者、勤務成績や態度に問題があり定期的なモニターが必要な職員など。どこの会社や機関にも大抵何人かいる、世話のやける困ったさんのことである。機関や部署により、その手の職員の割合は微妙に異なると言えよう。まあ、ハイメインテナンスと言われないよう気をつけたいものだ。

Catch-22

第二次世界大戦中のアメリカ人飛行士の小説の題から有名になったこの言葉は矛盾していて出口のない状態を指す。小説中の奇妙な軍規22項(狂気に陥ったものは自ら請願すれば除隊できる。ただし、自分の狂気を意識できる程度ではまだ狂っているとは認められない)に翻弄され除隊できない主人公の例のごとく、2つの相反する要求のジレンマから解決不可能となるケースは国際機関でもよく見られる。例えばフィールドのポストに応募したが、フィールド勤務経験がないという理由で不採用になった場合とか、予算がもらえずプロジェクトが始められないがプロジェクト不在のため予算獲得ができない例等。国連でのキャッチ22という表現は悲しいながら何となく現実離れしたコミカル感も漂い、官僚主義にお手上げという語り手の気持ちが感じられる。

Take it from there (here)

そこ(ここ)から始めよう、またはそこ(ここ)から続けようという意味。建設的かつ肯定的な響きをもったこの表現はどんな状況でも都合よくピタッとはまり、特別提案することがない場合など、とくに重宝される。そのためか会議や、打ち合わせ、メール等で結構よく使われている。ただしそこ、ここというのが何をさすのかはっきりしない場合も多く皆が同じことを理解しているかどうか心もとない。そことはどこか、という質問がでることがほぼないのも不思議である。文化、習慣の違いを乗り越えての以心伝心が可能なのか、それぞれが違うことを理解し他人もそうだと信じ切っているのか、知るのがちょっと怖いような気もする。

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