キャリアサクセス

国際機関職員のキャリアは,国際政治経済情勢の変化や情報化、科学技術化、グローバル化等に伴う機関自体の構造の変化、役割の複雑化や多様化、地理的条件、予算やポストの変動など様々な要素に影響される。最近の傾向として目立って感じられるのは専門分野の多様化、キャリアの可動性、契約パターンの暫定化であろう。

国連に関していえば、上級管理職レベルのポストはとくに減っていないが競争は厳しくなっている。階層構造が平坦化し、専門職には中間レベルが多いので管理職レベルの空席への応募は内外から多数となる。そして応募者の学歴、職歴が一般的に高くなっているのでよっぽど特殊な仕事内容でない限り、選考基準を満たす候補者は十二分にいる。またロスター制度により、リクルートプロセスを経ないですぐにポストにつける候補者がすでに何人も存在している。雇用側にとっても候補者の差別化はデリケートな作業となってきているといえよう。

また構造改革をへてスリム化した国際機関も多いから、狙っていたポストが消えてしまう可能性もある。新規プログラムに伴う職務も通常予算で賄われるものは減っている。このようにキャリアパスの複雑性、不確実性が高まる中で、昇進を伴ったキャリア開発は以前よりむつかしくなっている。

こういう環境で給料や地位以外に何をもとめてキャリアを積んでいくか、何をもって成功とするかを、自分の価値観に照らして考えてみることが必要だろう。近代化経済成長モデルが生き詰まり経済的尺度で測れない自由や豊かさの見直しが問われる昨今、キャリアパスの概念も上昇を目指す道だけではなく、一人ひとりが従来の外的要因に束縛されないで自由に自分の道を作っていくという方向に変換している。

地位や収入という外的要因だけが判断の基準ではなくなり、キャリアサクセスにはもっと自由で多様な解釈があてはめられる。面白い、楽しい、成長感のある仕事、知的刺激に満ちた職場、自律性、国際社会発展への貢献度、私生活とのバランス等も成功の要素であり、結局は自分のキャリアに対する満足感という内部要因がより重要になってくるだろう。

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