国連のロスター制度

Presidential elections. Photos from almost all the polling station in Bangui.

ロスターとは、採用プロセスを通じてすでに適格と判断され、直ちに採用可能な候補者のリストを指す。国連だと個別ポストの採用プロセス後、採用されなかった最終候補者がロスターにのる。このほかにも特定のポストを指定しないでロスター作成のために公募し、候補者リストの中から採用していく場合もある。その際は広告にロスター作成という目的が明記されている。この制度は短期間で何人も同時に採用したい場合やYPP、翻訳官の採用等によく使われ、国連だけでなく利用している機関は多い。来日採用ミッションの際、ロスターに登録された邦人候補者も何人かいることだろう。

国連の個別空席公募のロスター制度を見てみよう。特定のポストに応募し面接まで残った場合、選考委員会が承認すればロスターに登録され人事からその知らせがくる。登録後は内部応募者、外部応募者供、将来同じ職種の同じレベルで求人があれば、採用プロセスをやり直さなくても雇用される可能性があるわけだ。例えば政務官のP3にロスターされれば、次の政務官職P3の空席には選考プロセスを経なくても雇用可能となる。雇用側にとっては時間と労力の節約となるし、応募者の負担も軽減されよう。

ロスター登録後は同種同レベルのポストの空席広告が出る毎に知らせがくるので、その都度応募することが必要となる。ここで雇用側が採用したいと思えばその応募者を直ちに選ぶこともできる。ただその可能性は、内部職員でその空席の仕事を実際担当しているものでない限り以外と低い。また選考委員会の審査承認免除とはいえ、ロスター登録済みの部下を選ぶ場合でも動機や経歴についての資料を提出することが義務ずけられており、面接も推奨されている。

ロスターは無期限有効なので2009年以来登録者は増える一方であり、空席によっては30人近くのロスター登録者が応募してくる場合もある。これでは新たに採用のフィルターを設けないと選抜がむつかしく、ロスター登録済みの候補者であっても結局筆記試験や面接を受けることになる。また登録済みの内部応募者がショートリストまでいかない場合、その理由を説明することも関係者にとっては結構大変な仕事である。

採用プロセスを簡素化、効率化するためのタレントプールであったロスター制度が果たして現在その目的にどのくらい貢献しているか疑問になる。ロスターに載りさえすればいつかは採用される、という伝説はもはや化石化していると言えよう。ロスターに登録された場合でも、「ジョブ・アラート」を作成したり、ウェブサイトで定期的に空席広告をチェックしたりしてプロ―フィールに合う空席には自分からどんどん応募するべきだろう。

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