国際機関職場の多様性と包括性

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国際機関の職場環境の特徴の一つに、職員の多様性がある

何しろ100ケ国以上の異なった国籍や文化の背景を持った人々が同じ職場で協力しあいながら仕事の成果を上げていくわけだから、共通語を使ってはいても誤解やすれ違いは免れない。反面意見や考えの違う同僚と議論しているうちに、相互理解が深まったり、斬新なアイデアが生まれたりもする。異文化間グループは効率が悪いが、いったん共通項が生まれれば、逆境に強い臨機応変なチームに変化する可能性もある。

多様性は国籍や文化、民族、ジェンダーに限らず、セクシャルオリエンテーション、身体障害等広い範囲に及ぶ。現在大抵の機関ではpeople from all backgroundsとか diverse workforceと広く定義して空席公募の際に明記している。

またILOのようにage, race, gender, religion, colour, national extraction, social origin, marital status, pregnancy, family responsibilities, sexual preference, disability, union membership or political convictionといった要素で採用に差別されることはないと細かくリストアップしている機関もある。

その機関の多様性、そしてそれを受け入れ生かしていく包括性のレベルを測るために、関連政策や戦略、職員統計の分析等がよく利用される。情報収集分析も大事だが、多様性、包括性を感じるには職場を訪問してみるのが手っ取り早いだろう。VIPの写真に女性の多いところ、オフィスにいる職員が多様で車椅子にのった職員が行き来していたりするところ、ホモセクシャルの職員が普通に扱われているところ等、多様性の推進されている職場は雰囲気がフレンドリーで開放的なことが多い。またそういう機関は大抵人事制度も洗練されていて近代化されている。

多様性、包括性を推進するには時間も予算もかかり、かつ短期には結果が出にくい。また上記したように、多様性に富んだチームは始めは効率性が低い。しかし懐の深い受け入れをする職場には優秀な人が惹かれ集まってくる可能性が高いし、複雑化多様化グローバル化した職務に対し職員が創造性や耐久力を発揮する場合が多い。国際機関は、加盟国の職員を採用し、その国の期待に応えるだけでなく、各国の公務員制度の手本としても職場の多様性、包括性に力を注いでいるわけである。

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