仕事柄応募書類によく目を通すが、UNICEF就職希望書が日本人の若い層で圧倒的なのに驚く。ユニセフ邦人職員数も88名と国連機関中第二位で、全体職員への割合からすれば一位の国連より高い。人気の原因は何だろう。
国際連合児童基金(UNICEF)は1946年、戦争の被害を受けた児童救済の緊急措置として設置され,その後国連の常設機構となった。1965年にはノーベル平和賞受賞。日本の子供達も第2次大戦後脱脂粉乳や医薬品などを援助されたほか、2011年の東日本大震災時にも緊急、復興支援を受けている。
ユニセフは「すべての子どもたちの権利が守られる世界を実現する」ため,190 以上の国で保健,栄養,水・衛生,HIV/AIDS,教育,子どもの保護,社会的包摂等の分野で活動。自然災害や武力紛争,感染症流行時の緊急人道支援から中長期的な開発支援までプログラムは幅広い。途上国政府への政策の提言,立案, 実施や国際社会に対するアドボカシー(啓発活動)も実施。官民連携等,多様なパートナーと協力し,国連機関中最も多いSDGs分野をカバーしている。
人道、開発支援両軸に発揮されるユニセフの実行力は国際的にも高く評価されている。日本政府が主導する「人道と開発,平和の連携」の実践にも大きく貢献しており、その知名度と発信力の高さで日本の国際社会への貢献を効果的にアピールしている。
ユニセフへの2017年拠出金は日本政府が1億7100万ドルで世界7位、日本ユニセフ協会(国内委員会)を通じた民間では1億3500万ドルとアメリカに次ぎ世界2位だ。赤い羽根等募金運動やユニセフ親善大使、寄贈プログラムやユニセフグッズ、クリスマスカードまで、バラエティに富んだ日本ユニセフ協会の集金能力は在日国際機関中断然トップ。
このようにユニセフは日本人にとって身近に感じられる機関であり、政治的にも、資金面でも結びつきは強い。またポスト数も多くJPO向け情報発信セミナーなど、邦人採用に積極的なところも人気の理由だろう。