国際機関での昇進

ジュネーブ国際機関職員会の要請で、「管理職へのキャリア構築」というワークショップを開いたことがある。昇進は契約の安定性と共にキャリアの重要ポイント。

経済面以外の昇進のメリットは何か。まず、自分の実力が認められたという充実感と職務への意欲の向上。仕事の量と難易度は上がり、決断権が増す。資源やプログラム管理を通じて機関への貢献度もアップ。

また幹部職員として情報アクセスが早くなり、業務執行や自己サバイバルに有利。新しい人脈も開発でき、部下の管理育成や、機関内のマネジメントへの影響力も高まる。

空席公募という競争形式で昇進や契約が決まる国際機関では、経営陣や人事部一存で職員を昇進させることは不可能。自分でキャリアを開発していく必要がある。国際公務員は昇進を意識しすぎと言われるのはこのためだろう。

国際機関での昇進には以下のケースがある。

自分のポストよりグレードの高いポスト(機関内,外)に応募し、採用される場合。機関内であれば、すぐ下のグレードを最低何年経験すべき等の条件があるが、他の機関に行けばその制限はない。

自分のポストのグレードをjob classificationにより上げてもらい、ポストと供に昇進する例。ポストのアップグレードに伴いほぼ自動的に昇進となる機関と、自身のポストでも公募対象になり昇進は採用後という機関がある。

この他にも、機関によっては競争なしでノミネートできる特別ポストを設けたり、一時的に特殊な責任を課され特別手当の対象となる機会があったりする。国連だとスペシャルミッション等も考えられよう。

国際機関では、有能な職員の仕事処理能力や努力を買い自動的に昇進を与えることはない。昇進には戦略が不可欠なので、仕事だけではなく自己のキャリア構築にも気を配っていきたいものだ。

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