国連とテロ対策

アメリカで起こった2001年9月11日の同時多発テロから20年。今年9月には色々な記念行事や記事、番組が相次いだ。20年の間に国連はテロとの戦いを国際化する上で重要な役割を果たした。

当時ニューヨークの現場に近かった国連の安全保障理事会は、事件後反テロリズム委員会(CTC)を設置。執行事務局(CTED)が理事会決議1373(01年)および1624(05年)の実施状況を監視する。決議は加盟国に、実行への支援も含め、テロリズムに関した活動を犯罪とすること、テロリストに対する資金供与や安全な隠れ家の提供を拒否すること、テロリスト・グループに関する情報の交換、などを義務つけている。

総会による全会一致の採択に続いて2006年に成立した国連グローバル・テロ対策戦略は、国家、地域、国際レベルでとるべきさまざまなテロ対策を概説。テロ対策実施タスクフォース(CTITFのちUNOCT)が実施を管理。

また国連薬物犯罪事務所UNODCも2003年、テロ防止の法体制を強化するため技術協力活動を拡大。UNODCのテロ防止部は、普遍的な反テロリズム条約実施国に技術援助を提供し、テロ防止の法体制強化に関するグローバル・プロジェクトを管理する。UNODCのテロ関係法支援や能力構築支援はUNOCTトレーニングセンターと共同で実行

一方で国連のテロ対策は、人権を巡りニューヨークとジュネーブ間に緊張をもたらした。ジュネーブに本部を置く国連人権理事会は2005年、いわゆる「テロとの戦い」の中で起こり得る人権侵害に対応するため、独立した「テロ対策における人権及び基本的自由の促進と擁護に関する国連特別報告者」のマンデート(任務)を設定。

国連特別報告者は、国連のテロ対策への取り組みを正当化する言説が世界に輸出された結果、国連のテロ対策を乱用し、言論や集会の自由などの国際法で保護された行為を犯罪、テロ行為とみなしている加盟国があると指摘する。

例えば国連のテロ対策担当者は、中国やエジプト、フィリピンなどがテロ対策の名目で人権を侵害しても批判はしないが、OHCHRや特別報告者は批判する。このように同じ国連でも活動の指針、決議などにより、テロに関する解釈が違っている。報告者によると10年前は人道・人権に関する国連機関がテロ対策会議場で同席することさえ困難だったそうだ。

国連のテロ対策調整グローバル・コンパクト(UNOCT、元テロ対策実施タスクフォースCTITF)は2018年システム全体でのテロ対策の調整と一貫性を強化するためにスタートし、約40の国連機関を調整している。今後の調整能力に期待したいところだ。

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