応募書類添削中によくお目にかかる受動態。履歴書に書いてあるから本人の行動かと想像はするが、確信はもてない。日本人の応募書類の傾向ではあるが、行動の主がわからない文章で経歴をアピールするのは難しい。
日本語と違い、英語では動作をする(した)人を主語にするのが主流。受動態では誰の行動かはっきりせず、冗長で不自然になりがち。文も長くなり文法の間違いの可能性も増えて、応募書類の簡潔化には悪影響。下の文章を比べてみれば、どちらが自分の経歴を強調しているか明らかだろう。
受動態 20 percent revenue growth was realized over two years.
能動態 I realized 20 percent revenue growth over two years.
もし、自分だけの手柄ではないことを強調したかったら、2番目の文の I の代わりにMy team やMy Department を使うといいだろう。
また応募書類にありがちなのが、 am engaged や was involved といった受動態。これらは無理やり仕事に巻き込まれたという印象さえ与え、本人の主体性が伝わってこない。Led、Coordinated、Implemented といったアクション動詞に置き換えて、積極性を強調しよう。
やはり受け身な感じが強く、避けたいのが responsible for や in charge of という表現。2番目の文の方が応募書類のアピール力は強いだろう。
Responsible for answering phones and directing calls.
Answered calls and directed lines to the appropriate individual.
業績を強調したい場合は、仕事そのものでなく、自分を中心にした書き方にすると効果的。どちらの例も2番目の表現のほうが印象は強いはずである。
例1 Work was recognized for efficiency…
例1 Recognized for work efficiency…
例2 A promotion to Section Chief was awarded to me after only one year of service.
例2 After only one year, earned a promotion to Section Chief.
動作をした人(主語)がわからない時や主語が重要ではない場合、文のトーンに権威感を持たせたい時等、受動態の需要は数々ある。しかし、応募書類作成においては、なるべく能動態を使った方が効果的な履歴書やカバーレターが作成できるだろう。