ウクライナ地雷除去国際会議

スイス、ローザンヌで10月17日と18日、ウクライナの地雷除去に関する国際会議 (UMAC)が開かれ、国連PKO局地雷対策サービス部(UNMAS)他、60以上の国・国際機関が参加した。

この会議では人道的な地雷除去をどのように組織化できるかが議題。ウクライナのシュミハリ首相は、「地雷除去の分野で支援を強めてほしい」と訴えた。

地雷は生産が安価で、敷設も容易だが、除去作業は複雑で時間がかかる。ウクライナでは国土の約23%に及ぶ土地が地雷、不発弾などの爆発性危険物によって汚染されている可能性があるという。民間人の死傷者は900人に上っている。

ウクライナ戦争が終結しても、地雷は長期間にわたり国の復興を妨げることとなる。スイスはウクライナでの人道的地雷除去を優先課題に据え、多額の支援とともにこの国際会議をホストしている。

日本は地雷対策における世界最大ドナー国の1つだ。地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)報告書によると、2018年から2022年の資金拠出額では常にトップ5。日本から参加した柘植芳文外務副大臣は、来年はウクライナ地雷除去国際会議を日本で議開催すると発表している。

日本政府は2022年のロシアによるウクライナ侵攻以来、JICAを通じ、ウクライナ非常事態庁(SESU)に対し地雷除去機材の供与と技術能力開発支援を提供。今年7月には、ウクライナ復旧支援総額910億円の無償資金協力の一環として、日建が開発した地雷除去機4台をSESUに引き渡した。世界でも珍しいショベルカータイプで、アームの先端部を交換すれば、がれき除去や樹木の伐採などにも使える。年内に計約20台を届ける予定。

また2023年末には、東北大学の佐藤源之名誉教授が開発した最先端の小型地雷探知機ALIS(エーリス)を計50台、ウクライナに無償供与。対人地雷の画像をタブレットに映し出し、地面を掘らなくても地雷の位置を探知できる画期的なシステムだ。

日本の地雷除去支援の始まりはカンボジア。1998年以来、日本はカンボジアに総額160億円以上の無償資金協力を行い、地雷の処理を支援してきた。現地に赴いて直接探査・除去を行うのではなく現地関係者の能力強化を主眼にしているのが特徴。

最先端の地雷除去機を開発する日建、コマツに加え、現在はIT大手のNECがAIを活用した地雷埋設エリアの予測技術を開発中。来年のUMACは日本の存在を世界にアピールする良い機会となりそうだ。

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