プレゼンターのパラドックス

General Assembly Seventieth session: High-level Thematic Debate on Achieving the Sustainable Development Goals Opening ceremony and Plenary segment: Action at all levels: National implementation Mr. Forest Whitaker, SDGAdvocate,Actor andActivist

長くて委細にわたる履歴書が効果的とは言えない。一貫性と簡潔性に欠け、空席に関係ないスキルや資格、興味等にも及ぶものはインパクトが薄い。関係が少しでもありそうな情報は全て入れ採用の可能性を高めたいという願望はほぼ直感的なものだろう。だがそれこそ逆効果だ。応募者は「プレゼンターのパラドックスPresenter’s Paradox」という落とし穴にはまることになる。

心理学者のキンバリー・ウィーバー、スティーブン・ガルシア、ノーバート・シュワルツらは2011年に、「プレゼンターのパラドックス」を例証してみせた。被験者にiPodとカバー、そして音楽を1曲無料でダウンロードできる特典つきパッケージとiPodとカバーだけのパッケージの2種類を提示しそれぞれへの支払い意思額を調べた。被験者らが示した意思額の平均は、ダウンロード付きのパッケージで177ドル、ダウンロードなしのパッケージで242ドルだった。価値の低い無料ダウンロードをおまけしたために、パッケージの知覚価値がかえって65ドルも下がったのである。

一方で別の実験グループにはマーケティング担当者(サービス提供者)になってもらい、上記2つのパッケージのうちどちらが消費者にとって魅力的だと思うかと尋ねた。結果、被験者の92%が無料ダウンロード付きのパッケージに魅力を感じたということだ。

このように、提供側の立場に立つと「多いに越したことはない」と思うのに、消費者の立場ではそうではない。これは国際機関へ自分自身を売り込む時の応募書類にも当てはまる。

空席に応募する時、自分の数ある実績を全て並べておけば、雇用側がそのひとつひとつを足し算してくれるだろうと、応募者は普通考えるだろう。例えば学歴、職歴、ボランタリー活動、言語、出張の経験、海外在住経験、大学での研究のテーマ等等、全体に加算されるなら多いほどいいはずだという心理である。だが実際には、単に多いだけでは雇用側によい印象を与えない。採用側は、候補者の学歴や資格職歴等を足し算しているのではなく全体をひとつのパッケージとして評価しているからだ。非常に好ましい学歴や有益な資格もそれほどでもない言語能力や、ポストに関係のない学歴や出張などと同列にされると、受け手にとっての魅力が低下したりインパクトが薄れたりしてしまう。

何でもいれたい衝動にかられるときは履歴書の全体像をチェックすべきだろう。パッケージの全体的な価値やインパクトを減らしている要素を捜し、よけいな情報、ポストとの関連性の薄い情報は削ることだ。ただし、これは自分を売り込むという主観性がプレゼンターのパラドックスとも相まってなかなか難しい。実際シンプルで簡潔、かつ関連情報は網羅している履歴書を書くのは大変なことだ。あれもこれも入れたいいう誘惑にかてず、長く委細にわたる履歴書になりがちとなる。こういう場合は第三者にみてもらえばいいだろう。キャリア国際機関でも履歴書添削サービスをしているので利用してほしい。

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