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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

コロナウイルス

誰もいないジュネーブ中心街

スイスは現在、COVID-19の影響を最も受けている世界10カ国の1つ。

モーターショーや映画祭、見本市、会議など様々なイベントが中止された。国際機関が集中し、会議数が世界最多のジュネーブへの影響は大。会合は中止・延期、またはEミーテングになっている。

スイスの新型コロナウイルス感染者数は3月25日17時点で9765人、死者103人。食料品店やスーパー、薬局、銀行、郵便局以外、バー、レストラン、スポーツ施設、文化施設は4月19日まで営業停止。学校は4月19日まで休校で、仕事もできるだけ自宅勤務とする。

世界貿易機関(WTO)は職員が感染したことから、3月11日から開催予定だった全ての会合を延期。続いて2月24日から開かれていた第43回人権理事会が中止・延期。また3月後半に予定されていたジュネーブヘルスフォーラム(WHO)情報社会世界サミットやAIフォーラム(ITU)ILO役員会議、ジュネーブ軍縮会議等も延期になった。

小規模の会合はビデオ会議などに切り替えられている。職員は避けられない場合を除きスイス連邦内務省保健庁の指示どうり自宅勤務。

赤十字国際委員会(ICRC)を始め国際機関職員の不要不急渡航は4月15日まで延期され、会議参加者不在と相まってジュネーブ空港はひっそりしている。旅客便は97パーセント減。貨物便は平常より減っているが機能中だ。

このように前代未聞の状況に直面している国際都市ジュネーブだが、ユニークではない。似たような現象が世界中で起きており、各国政府のパンデミック対策に国家主義が目立つ。今こそ国際協力、多国間調整がもっと必要だろう。国際機関や国からのリーダーシップが期待される。

パワーワーズ

国際機関採用担当者は、膨大な数の応募書類を読む。読み手にアピールできるのは、簡潔で短時間に読め、採用条件への合致が明確かつ具体的に書かれている書類。

具体的に書こうとして、全てを詰め込んでしまい簡潔さに欠けたり、日本語を直訳したような表現で、能力やスキルが伝わらない例がよくある。採用側の目に留まる応募書類作成にパワーワーズを利用しよう。

パワーワーズは職歴や業績を簡潔かつ力強く印象に残すための単語や言い回し。 機関独自の価値観や、空席広告のキーワード、職業に独特な業界用語、重宝されそうな 資質などを盛り込み他の候補者との差別化をはかる。

よく耳にするアクション動詞はパワーワーズの一つ 。正確に経験や業績を記述し能力を際立たせる。外務省国際人事センターのサイトでもUNDPのアクション動詞リストを紹介している。

気をつけたいのは、使い古されたアクション動詞では効果が薄い点。led, organised, managed, supported, improved, motivated などは 採用担当官時代、繰り返し目にした。日本人が よく使う, involved, engaged in, assisted, participated, arrangedもインパクトは低 い。

ではどういう言い回しなら効果的か。例として、上にあげた動詞をorchestrated, chaired, programmed, operated, guided, initiated, collaborated, facilitated, capitalized, integrated, clarified, remodeled, partnered 等で代用してみる。これらは一捻りあり、国際機関のボキャブラリーともかけ離れていない。

各機関で頻繁に使われている動詞をある程度利用するのはやむを得ない。しかしこれらがほかの人と同じなら、単なるリピートとなり際立つことは難しい。成功能力を示せる動詞を見つけ、ボキャブラリーに変化をつけよう。

印象に残すためとはいえ、経歴や空席に合っていない動詞を使っては逆効果。バズワード連発や、自分でも意味のよくわかってないものもマイナス。パワーワーズをうまく使い応募書類にパワーを持たせたいものだ。

キャリア国際機関サイト

最近「サイトにアクセスできません」というメールを何通かもらった。そういえばお問い合わせフォームも来なくなったと思っていたら、事情があった。サイトがハックされていたのだ。

キャリア国際機関に行こうとすると、トルコ、イズミールのエスコートサービスに繋がる。内容や写真は想像にお任せするが、キャリア国際機関とはほど遠いイメージ。

この時点で修復にこれほど時間がかかるとは思ってもみなかった。アメリカのウエブホストと契約しているが、一年180ドルのセキュリテイーサービスには自動クリーニングしか含まれていないとの旨。自動クリーニングではらちがあかないとわかった時はすでに一週間が経過。一年340ドル払えばすぐ手動クリーニングできると勧められるが、すでにドメインネーム、ウエブホステイング等で出費が多いのでパス。

やっと下請けセキュリテイーサービス会社に直接交渉し、タダで手動クリーニングしてもらいトルコのエスコート嬢たちとお別れした。この間すでに10日間、電子ビジネス会社であれば潰れていたかもしれないほどの遅さだ。

アメリカのプロバイダはサービスが充実しており、7日24時間対応だが、サポートの質にバラツキがある。何度も同じ説明を繰り返し、やっとわかってもらえるケースが多い。ただし愛想は最高。

ネットビジネスの知識のないまま、ウェブを立ち上げてやってきたがさすがに安全性の重要さが身にしみた。今後はもっと対策を強化するつもりである。

利用者にはご迷惑をおかけしたが、修復したのでまたキャリア国際機関のサービスを利用していただきたい。

お知らせ

現在 JPO応募書類添削を受け付け中ですが、希望者が多数なので、これから到着する書類については、お返しは2月18日頃となります。
17日またはそれ以降に原稿を頂いた場合、お返しは日本時間の20日になりますので、ご了承下さい。
書類の準備が遅くなりそうな場合は前もってご相談下さい。

カバーレター

JPO 試験応募書類の一つにカバーレターがある。英文履歴書にも動機を書く欄があるので、動機や自分の経歴をアピールする機会は英語で2度。A4片面1ページと言え重要度は高い。

カバーレターを重視するのには理由がある。履歴書は散文的に事実をリストアップし、表現やスタイルがある程度定まっているので、同じ様な経歴だと差がつきにくい。カバーレターには、自分と空席との合致を少ない字数で効果的にアピールできる能力や書き方のスタイル、英語力や語彙が顕著に現れる。

応募者の個性が発揮され、差別化できるのがカバーレター。モチベーションレターやアプリケーションレターとも呼ばれる。理想の書類は、簡潔で一貫性があり、空席の要求条件に合致しているという情報がすぐ目につくもの。正しい英語であることはもちろんだ。

多いエラーは、自身の経歴を歴史的に辿ったもの。採用者が最も知りたいのは空席の必要条件との合致で、経歴年表ではない。最も空席に近い成果、経験を具体的に箇条書きし、空席と無関係の能力や業績、 記述は省く。

またJPO 試験応募書類の特徴として、日本語応募書類の動機を英語に直訳し英語履歴書に用いているケースが多い。日本語で2000字かけて書いた動機を英語に直すと、長く意味が伝わりにくいものになりがち。特に忠実な英訳は国際機関側にはピンとこないモチベーションになってしまう。

ポストと自分のプロフィールのマッチを強調するには、空席広告を熟読する必要がある。書く前に構造を作っておき、履歴の要約ではなく、実際の経験やエピソードを入れ、インパクトのある独自のセールスポイントをアピールしよう。

カバーレターはマーケテイングツールでもある。一ページ足らずの書類だが履歴書作成と同じくらいの労力を要す。このサイトでもカバーレターの添削サービスを提供しているので、ご利用いただきたい。

2020年JPO 試験

JPO 試験募集要項が外務省から発表された。昨年と違う点があるので気をつけたい。

まず事前登録はすでに1月8日から可能。応募期間は2月1日から22日まで。年齢制限は今年2月1日現在で35歳まで、経験年数と学歴は7月末までを考慮。最終着任時期は2021年1月31日だ。応募期間の短縮が今回の主な特徴だろう。

外務省枠応募では、希望外の機関の方が適当と判断された場合も含め、行き先は最終的に外務省が決定する。OECD, UNDP, WFP, OPCWの応募者以外は、希望はあくまでも希望と割り切り書類作成を遅らせないようにしたいもの。第一次書類選考を通過するのは、希望機関に関係なく総合得点上位120名となる。

この他の変化として、応募はメールのみとなっている。履歴書のサインを忘れないこと、語学証明書以外の添付は不要なこと、受付通知がこない場合は問い合わせることなどにも留意。

キャリア国際機関でも応募書類添削、筆記テスト、面接準備の支援をしている。例年締め切り間際に添削サービス希望が集中し、対応できない場合がある。今年は応募期間が短いので、早めに書類を用意し余裕を持って応募に備えてほしい。

年末年始のご挨拶

Image par nickgesell de Pixabay

本年はいろいろとお世話になり、大変ありがとうございました。来年も引き続きご指導くださいますよう、なにとぞよろしくお願いいたします。 世界情勢が目まぐるしく変化する中、皆様のご健康と御活躍をお祈り申し上げます。どうぞ良いお年をお迎え下さい。

今年も残りわずか。前記事に書いたように、冬休みをキャリアプラン構築や就職活動準備に充てた者も多いと思う。

2019年の成果分析後、キャリアプランやゴールの調整、戦略立て直し、トレーニングや資格獲得等の再確認はできたろうか。面接やテストを経験した場合は次機に備え質問や答えの分析、改善点などをまとめてみる。

来年の就職活動カレンダーにも注目。各機関の個別空席締切日やイベント、インターンシップやYPP等への応募期間、外務省JPO試験や内閣府の国際平和協力研究員制度時期、在外公館調査員、派遣員等の試験期間など重要な日付けは前もって確認しておこう。

グローバル人材育成を支援していくサイト、キャリア国際機関を利用し、2020年新しいキャリアのスタートを切ってほしい。

年末年始休暇

忘年会・新年会などパーティ浸り、長期旅行や里帰り、または寝正月など、年末年始休暇の過ごし方は人それぞれ。国際機関就職を目指す人にとっては、キャリア開発のいい機会だ。

まず長期休暇のリラックスした状態で自己分析。将来どうしたいのか自分の希望を見つめ直し、キャリアプランの土台にする。経歴、得意分野、弱点、最終目標、価値観、こだわり、ライフスタイルや動機、興味、性格を解明しよう。リソースセンターにあるキャリアアンカー等の自己分析ツールも利用できる。

『自分の内面』に目を向けた後は、『周囲の環境』を考える。希望する機関の活動や、職種についてリサーチ。例えば対象機関のサイズ、長期展望や戦略、希望職種空席の数と頻度、勤務地、採用方法等。自己を取り巻くキャリア開発の機会やハードルも考慮してみる。

得意分野の職種を提供する機関は他にあるかも調査し、改めて応募可能な機関と職種、グレード、勤務地のリストを作り、キャリアプランに活用。条件に合う空席を見逃さないようにjob-alerts をかけておく。

目標とタイミングを定めたら、新年に向けてプロフィールを充実させ競争力をあげよう。自己分析と過去の応募結果から、新たな経験、資格やトレーニングの必要を感じたらキャリアプランに組み込む。

基本応募書類も休み中にアップデート。経験したポジション、役割、仕事内容、業績などを見直し、履歴書をまとめる。基本書類ができたら応募対象ポスト毎に少しずつ調整。空席広告の職務内容や雇用条件にリピートされるキーワードに注目し、どの部分を強調したらアピール力が増すか研究する。

休暇はキャリア開発を支援してくれそうな同僚、先輩、恩師や上司訪問の機会でもある。挨拶中キャリア展望を聞かれたら手短に説明できるよう準備しておこう。年末年始の挨拶はメールであっても重要なもの。文章を吟味し、その年の締めくくりと新年のお付き合いを円滑にする。

年末年始のまとまった休暇中上手に時間を使い、キャリアアップに繋げよう。キャリア国際機関の支援も活用し2020年に向け一歩先にスタートを切りたい。

国際機関での昇進

ジュネーブ国際機関職員会の要請で、「管理職へのキャリア構築」というワークショップを開いたことがある。昇進は契約の安定性と共にキャリアの重要ポイント。

経済面以外の昇進のメリットは何か。まず、自分の実力が認められたという充実感と職務への意欲の向上。仕事の量と難易度は上がり、決断権が増す。資源やプログラム管理を通じて機関への貢献度もアップ。

また幹部職員として情報アクセスが早くなり、業務執行や自己サバイバルに有利。新しい人脈も開発でき、部下の管理育成や、機関内のマネジメントへの影響力も高まる。

空席公募という競争形式で昇進や契約が決まる国際機関では、経営陣や人事部一存で職員を昇進させることは不可能。自分でキャリアを開発していく必要がある。国際公務員は昇進を意識しすぎと言われるのはこのためだろう。

国際機関での昇進には以下のケースがある。

自分のポストよりグレードの高いポスト(機関内,外)に応募し、採用される場合。機関内であれば、すぐ下のグレードを最低何年経験すべき等の条件があるが、他の機関に行けばその制限はない。

自分のポストのグレードをjob classificationにより上げてもらい、ポストと供に昇進する例。ポストのアップグレードに伴いほぼ自動的に昇進となる機関と、自身のポストでも公募対象になり昇進は採用後という機関がある。

この他にも、機関によっては競争なしでノミネートできる特別ポストを設けたり、一時的に特殊な責任を課され特別手当の対象となる機会があったりする。国連だとスペシャルミッション等も考えられよう。

国際機関では、有能な職員の仕事処理能力や努力を買い自動的に昇進を与えることはない。昇進には戦略が不可欠なので、仕事だけではなく自己のキャリア構築にも気を配っていきたいものだ。

キャリアアンカー

キャリア構築によく使われる自己分析ツール、キャリアアンカー。キャリアという長い航海中、自分の船を支えるのはどんなアンカー(錨)だろう。

キャリアについて考える時、「何がしたいか、したくないか」「何が得意か」というWhatを分析する仕方と、「どんな風に働きたいか」「どんな生活を送りたいか」というHowを問う方法がある。

キャリアアンカーは、この2つの方法のうちの「どんな(How)」についての価値観を定義したもの。キャリアの考え方が多様化・活発化してからは、WhatだけでなくHow分析も注目されるようになった。

キャリア・アンカーは、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院名誉教授 エドガーシャインによって提唱された。キャリアの選択をする際、最も大切でどうしても犠牲にしたくない、価値観や要求、周囲が変化しても自己の内面で不動なものを指す。

シャインは主なキャリア・アンカーを以下の8タイプに分類した。

1.技術的・機能的能力
特定の仕事に対する高い才能と意欲を持ち、専門家として能力を発揮することに満足と喜びを覚えるタイプ。

2.管理能力
組織の中で責任ある役割を担うことを望み、経営者を目指すタイプでいわゆる「出世志向」がある人。

3.自律・独立
どんな仕事であれ、自分のやり方、自分のペースを守って仕事を進めることを大切と考え独立の道を選ぶ傾向のタイプ。

4.安全性
安全・確実で将来の変化をおおむね予測できる環境を優先するタイプ。

5.創造性
新しい製品、サービスを開発したり、資金を調達して組織を立ち上げたりと、新しいことを生み出す創造性の発揮を重視する人。

6.奉仕・社会貢献
何らかの形で社会を良くしたり、他人に奉仕したりすることを望むタイプ。

7.純粋な挑戦
不可能と思えるような障害を乗り越えることや、解決困難と思われてきた問題に挑戦することを求めるタイプ。

8.ワーク・ライフバランス
仕事と家庭生活、公的な仕事の時間と私的な個人の時間のどちらも大切にしたいと願い、両者の適切なバランスを考える者。

何年か前OECDの女性管理職職員を対象にこの分析を行った。一番多かったのが管理能力重視のタイプ。次点は、研究関係の職種が多いOECDを反映し技術的・機能的アンカー。国連機関に多い奉仕・社会貢献とワーク・ライフバランスもほぼ同じ割合を占めた。

ワーク・ライフと管理能力は男女間で志向の差が大きいと言われていたが、近年差が縮小され女性の出世志向と男性の私生活重視が増えているのが興味深い。

キャリアアンカーは人生の節々で変化するものだし、同等に2つのアンカーが大切という例もある。自己のキャリアアンカーが何であるかは自分の強み、弱み、動機や人生の目標、そして価値観等を分析してみればおおよそ見当がつく。

このサイトのリソースセンターにある質問票を使い、どの錨をキャリアの軸とするのか自己分析してみてもいいだろう。