無給インターンシップ

ジュネーブで9月27日に行われた住民投票で最低時給23フラン(約2650円)を導入する案が可決された。日本の水準から考えても驚く世界最高レベルの高賃金だが、物価の高いジュネーブでは月4000フラン(約46万円)ないと暮らしていけないと言われる。

域外管轄権を有し、スイスの雇用法による規制を受けない国連職員の給料はどちみち最低賃金以上。しかし無給の国連インターンは、ジュネーブ貧困層と違いこの可決案の恩恵にはあやかれない。

国連インターンシップの大部分は無給で今までも問題になってきた。世界物価高ランク10位のジュネーブで手当が出るのはILO, WIPO, IOMのみ。途上国からのインターン生活は難しい。実際ジュネーブのインターンの多くはフランス、スイス、イタリア、ドイツ、米国等の出身者だ。

インターン達も定期的に報酬獲得運動はしているが、もともと短期契約で異動が激しいグループだけに団結して長期的に戦うのは難しい。国連事務局の広報担当者によると事務総長にはインターンに給料を支払うかどうかを決める権限がなく、その責任は加盟国にあるとの旨。

国連で働き世界へ貢献したいと希望する大学生は多く、無給であってもインターンへの応募者は引きをきらない。なぜ賃金を払う必要があるか、という意見も国連では多数派。

新型コロナウイルスの影響でインターンの中止や自宅勤務が目立つ昨今、無給問題の解決がまた先送りにされる懸念がある。富める国出身者以外インターンができないという事実は、国連の平等や人権保護の理想とはかけ離れているし、平等な雇用制度にも繋がらない。早く解決策を見出してほしいものだ。

ハイフンの使い方

普通の英文では頻繁に見かけないハイフンだが、履歴書ではよく目につく。狭い紙面活用に便利なだけに間違った使い方に気をつけたい。

ここで言及しているのは、複数の語を結びつけて一語相当とし、理解しやすくするためのハイフン。応募書類中の間違いを防ぐルールを2つ知っておくと便利だろう。

まず修飾するフレーズが名詞の前にくる時のみ、ハイフンを使うこと。形容するフレーズが名詞の後にくる時は不要。

例 She had a fixed-term contract. / The contract was for a fixed term.

またlyで終わる副詞が修飾語の中にあるとハイフンは不要。

例 environmentally sustainable growth

主な使用ケースは1接頭辞がself-, ex-, and all-等、 2形容詞の最後のスペルと次の名詞の最初のスペルが同じ、3大文字から始まる単語に接頭辞を付ける場合

例1 self-explanatory/ex-wife/all-knowing

例 2 re-election/meta-analysis

例 3 mid-August/anti-American

接尾辞(-elect, -style, -based, and -free)によりハイフンのつくケース

例 competency-based interviews/ President-elect

21から99までのアルファベットで記した数字、分数や単位の単語

例 twenty-one/ one-third share

この他複合語や、一アルファベットと単語の組み合わせ、誤解を生じそうな単語もハイフン使用

例 state-of-the-art/ editor-in-chief/ out-of-date/

例 E-mail/ X-ray

例 The artist re-signed his contract. / The artist resigned his contract.

ハイフンを入れるルールは厳密ではなく、使い手やスタイルでも変わる。慣例的に用いられ、時代とともに変わることも頻繁。上例のE-mailなどは将来全てEmailとなるだろう。正しい用法を判断するには辞書を参照することだ。

キャリアコーチングが有効な場合

キャリアコーチングやアドバイスはキャリア国際機関提供のサービスの一つ。国際機関への就職希望者や国際機関邦人職員への個別キャリア支援が有効なのはどういう場合か。キャリアプラン作成から実現の流れに沿って考えてみよう。

まず、キャリアプランの第一歩である自己分析、環境分析のサポート。本人の強みや市場価値を分析し、国際機関という特殊な職場にそれをどのように使っていくかを見極める手伝いをする。同時にキャリアや仕事に対する自分の価値観を分析するのも有効だろう。それらを基盤にして、納得できるキャリアパスやキャリアプランを構築していく際、国際機関という労働市場をよく知っているコーチの支援は貴重と思う。

プラン作成後、目標に沿って自分の希望する職を捜し応募。本人の経歴や資質、目標にマッチした職種、機関そしてグレードの空席を効果的に見つけ出すにも、国際機関という特殊な労働市場に精通したコーチの助けは有効だろう。応募や採用プロセスの途中でも、各機関の構造や特殊な人事事情、規則などの情報を説明し、アドバイスしてくれるプロがいると心強い。

空席公募に応募し選抜課程を得て採用にこぎつけるまでには履歴書やカバーレターの添削や指導、面接対策用ガイドブックや模擬面接、筆記試験の指導等が役立つ。採用が本決まりになる前にステップや給料の委細、契約の種類等をコーチに確認できるという利点もある。

すでに就職しているものにもキャリアコーチは有効。とりわけ入って間もない職員やJPOには必要度が高いだろう。同僚には話しにくい職場の悩みや、キャリアの可能性もキャリアコーチには相談できる。国際機関の人事部や上司だけではカバーできない、個別に対応した自己ブランドやネットワーク作り、自己投資等への助言は貴重。

JPOにとっては正式職員になる道筋を作る意味で、個々のケースに応じた支援が必要だろう。キャリアアップは意識しているが、日々の仕事に追われて思うように就職活動のできない職員にとってもプロフィールに応じての情報やアドバイス提供は有益と思う。

キャリア国際機関が提供している様々なキャリアサポートサービスは、このサイトのリソースセンターに記述してある。

カバーレターの署名

前回Eメール応募のカバーレターの書き方について解説した。補足としてカバーレターのサインについて触れたい。

メールで応募の場合、カバーレターをメール本体に使い履歴書のみ添付するか、履歴書とカバーレター両方を添付する方法がある。カバーレターをメール本体に使う方が簡単だが、どちらにしてもカバーレター署名についての疑問は残る。

インターネット応募でサインを使うと、サイバースペースに跡を残し、個人情報の安全が脅かされる懸念がある。このためサインを使わない応募書類が一般的であり、それで不利になることはない。

カバーレターをメールボデイにする場合、最後に自分の名前と電話番号、メルアドをタイプ入力し、サインの代わりとする。名前の下に連絡先を一緒に書いておけば採用側に便利だろう。

カバーレターを履歴書と共にメールに添付する場合、直筆サインは必要ないが、入れれば個人的なタッチが加えられる。ただしそれだけで採用に有利になるわけではなく、あくまで履歴書の内容が勝負どころ。

その場合ワード形式のカバーレターを印刷し、直筆サインをしてPDFに変換し、添付。気をつけたいのは、デジタルサインを入れるのではなく、直筆サイン入りカバーレター全体をスキャンしてPDFにすること。好印象を与えたければ手間を惜しまないことだ。

言うまでもなく、紙媒体の応募書類を郵送、手渡し、ファックスする場合は直筆サインがいる。また外務省のJPO試験ではカバーレターではなく履歴書にサイン画像を注入するか、プリントアウトしたものに直筆サインを入れスキャンするよう指示されている。

国連のカフェテリア

国連のカフェテリアやレストランは職員が休憩したり、食事をとったりする場所。外部から来ている外交団や代表と非正式に議論したり、交渉したりする場でもある。

大抵の国際機関では、職員用の他、改まった場として国際会議参加者用の少し静かなカフェを用意している。会議で決まらなかった課題が解決したり、契約が内定したりと飲食以外にも用途は広い。

カフェで働いている人達は国際機関職員ではなく外注の現地組織社員。とはいえ、毎日接しているわけだから職員にとっては顔なじみの同僚のようなもの。中にはかなり変化に富んだ生活で職員の注目を集めるものもいる。

これは国連欧州本部から国際電気通信連合に移って間も無くの頃のエピソード。大きな国連の職員食堂と違い、こじんまりした専門機関のレストランではコックがステーキやオムレツを個人の好みに合わせて焼いてくれる。さすがカルチャーが違うと最初は驚いたものだった。

週末、週刊誌を読んでいたら真ん中の身びらきページに見慣れた顔がある。よく見たら昨日ステーキの焼き具合を聞いてきたコック。びっくりして記事を読んでみるとフランスのロト(宝クジ)で莫大な額が当たったとの旨。

月曜日、宝クジ買いの秘訣でも聞こうと思い、早速カフェテリアに行ったが料理人の姿は見当たらない。通知も出さず即仕事を辞めていった模様。やっぱりなーと妙に納得できる体験ではあった。

国際電気通信連合時代には、その他にも食堂の従業員がテレビに出るケースが何度かあった。国際機関のカフェだから注目されるのか、本人たちの動向がよっぽど珍しいのか理解に苦しむが、職員の休憩時間がこの話題で盛り上がったのは想像できよう。

応募書類の数字

履歴書やカバーレターの数字表記に迷うことはないだろうか。応募書類作成に役立ちそうな表し方をいくつか挙げてみた。

英語の数字表記には色々なスタイルがあり、ウェブの発達やグローバル化に伴い簡略化される傾向にある。以下は、国連の編集マニュアルを主に参照。

正統ルールでは1から9までがアルファベット表記、10 から 999999はアラビア数字。だが履歴書は全部数字で良い。履歴や成果を具体化し、インパクトを強めるための量、時間、額等が、アルファベットで読みにくいと、効果薄だ。

例外は文章の始め。数字の大小に関わらずアルファベット綴りにするのが一般的だ。今日このルールは無視されることも多いが、数字を文頭に使うのは避けたい。

計量単位やパーセントがつくもの、選挙結果等は普通の文書でも全て数字表記。ただし同じ種類に属さない数字が同時に入る文は、一方をスペルアウトし混乱を避ける。

例 Twenty 100-mm mortars; 15 five-year-old girls

応募書類中の日付は以下がお勧め。

  • Geneva, 21 April 20
  • Nairobi,12–23 April 2015, 23 May–1 June 2016
  • New York, 12 and 13 June 2019

5桁以上の数値は3桁ずつ右側からコンマをつけていく。

例The city’s population rose to 1,538,000 

読み手に明確である場合は、2番目の数字は短縮可。

例107-09, 245-47, 372-78, 1002-09, 1408-578, 1710-12.

応募書類に具体的な数字を入れると、職歴や業績が生きてくるし、カバーレターのアピール度も上がるもの。十分に使いこなし、成果をあげたい。キャリア国際機関での添削サービスも利用してほしい。

メールで送るカバーレター

すでに何度か触れたカバーレターの重要性。今回はEメール応募のカバーレター書き方について。普通のカバーレターとどう違うのか。

国際機関や空席により、Eメールでの応募が求められる場合がある。特に指示がなければ、履歴書とカバーレターを添付するのではなく、カバーレターをメールの本体に使い履歴書のみ添付がお薦め。応募者採用者とも時間、資源の節約ができる。

応募の場合まず自分のメルアドをチェックし、プロ的なアカウト名に調整。時々御目にかかる楽しいハンドル名はレジャー用に限定したい。

メールの件名は自分の名前と空席タイトル、番号。宛先を知らない場合、書き出しはDear Hiring Managerが無難。わざわざ担当者の名前を調べても性別がわからないとDearの後Mr./ Ms.抜きで、名前、苗字の順で書くことになる。苗字しかわからず性別も不明ならMr./ Ms.両方を前につける。

本文は普通のカバーレターと同じ内容で短めにし、パラ3つで十分。まずなぜこのポストに興味を持っているのか説明。2番目に自分が空席の要求事項をどう満たしているかを簡潔に強調し、最後、読んでもらったお礼と面接の依頼で結ぶ。サインオフはSincerely/Faithfully, Best regardsなどを使用。

メール本文のテキストの色変えや、太字、アンダーライン使用は感心しない。相手のメールソフトにうまく表示されない可能性もある。パラやフォントが機能しているか、添付ファイルはスムースに開くかなど、まず自分宛に送ってみてチェックするのも手だろう。

簡単に送れるが、いつまでも記録に残るのがメールの特徴。タイポや文法、表現のチェックは念入りにしたい。特に名前のスペルは要注意。

カバーレターには応募者の英語表現能力と書き方のスタイル、個性が顕著に現れる。短い英文でインパクトのある独自のセールスポイントを書きアピールしよう。このサイトでもカバーレターの添削サービスを提供しているので、ご利用いただきたい。

私はどうやって国際機関に入ったか

今回はILOを昨年末に退職された野口好恵さんの原稿です。野口さんのプロフィールはアドバイザーをご覧ください。

2019年末で30年以上働いたILOを退職した。デュアルキャリア・カップルで転勤転職もない中、定年まで勤め上げた一例である。

大学法学部卒業後、国家公務員試験(法律職)に通り霞が関勤務中に、Associate Expert(AE、今のJPO)として1981年から2年間ジュネーILO本部に派遣された。公務員の在外研修制度で留学したいと公言しているうち、外国に行きたいならとAE受験を勧められた結果である。その後若手国家公務員をそういう形で国際機関に送り込むことは無くなった。

国際機関に入るために国家公務員を目指すのは本末転倒であろう。しかし公務員経験が全く無駄だったわけではない。日本で学び日本の仕事で扱った法律も、基本は西欧からの輸入品、法律というものの枠組み・考え方を体得させてくれた。加盟国政府の法律改正を支援する折、縦割り行政に驚かなかったのも、国内経験のおかげか。

新卒一括採用の日本と違い職歴は大切だ。ただし、日本で新人がするコピー取りや使い走り等こちらでは秘書の仕事なので、履歴書の書き方には注意が必要。『キャリア国際機関』が当時あったら助かったのに…。

さてAEから帰国後3年ほど霞が関でいわばお礼奉公。この間結婚した相棒はジュネーブに定職があり、思案の末私が国家公務員を辞めて同行した。数年は扶養家族として過ごし、複数のポストに応募しては落ち続けた。無職を理由に日本に帰されることはないが、家族と暮らすためにはジュネーブのポストに絞って探すことになり、痛しかゆしであった。勤務地に選択の余地があれば、採用の可能性が高まることは言うまでもない。

ILOで安定した契約をもらう前、1年間に5か月3週間(注―6か月以上の契約で年金権発生)繁忙期だけの短期契約で次の契約無保証、を数回繰り返した。でも声がかかったのは、以前のAE経験や採用試験でショートリストまで残ったから。若い人の非正規雇用の増大は、日本に限らず世界中で最近大きな問題となっているが、30年以上前既にあった。 3度の出産が全て定期契約以前で、産休を一日も取れなかったのは、個人として残念な上、非正規労働者に法的保護が及ばない構造上の問題でもある。この件はILO労働法部門で担当したので、いずれまた。

国際機関を目指すならあきらめず楽天的に、でも手立てをつくして挑戦し続けてください。

コロナウイルスと国連

新型コロナウイルスのため、自宅勤務となっていたジュネーブの国連職員は6月6日から徐々にオフィスに復帰。ゴーストタウン化していた国連欧州本部パレ・デ・ナシオンにも、2ヶ月半ぶりで生気が戻る。

3月13日に第43回人権理事会が中止・延期になって以来、パレ・デ・ナシオンは閉鎖され職員は自宅勤務。自宅からのテレワーク、バーチャル会議にもすっかり慣れた6月初旬から、職場での活動を再開する。

6月初旬の自主復帰では、どうしてもオフィスでないと仕事ができない約3分の1の職員だけがまず戻り、その後だんだんに人数を増やしていく。ほかの機関も同じような状況で6月中旬から小規模の会議も開かれる予定。ただ空路入国の問題が残っているので、参加者がどのくらい集まるかは不明だ。

国際機関関係で働いている職員は約3万人、ジュネーブの職の約10%と言われている。国際機関のスイス国内出費は2018年がおよそ35億だった。ロックダウン後は費用も抑えられ、失業者も出てくると予想される。

コロナ対策で各国とも自国の経済基盤を守るのが最優先。国際機関の将来の資金源も脅かされている。長期的には国際機関職員だけでなくジュネーブ近郊の関係者全てが打撃を受けるだろう。ホテルやレストラン、交通機関、一般商店、住宅業なども減収は免れない。

毎年3200余りの国際会議が開かれ、世界中から20万人の代表者が集うジュネーブ。従来の活気を取り戻すのはしばらく先になりそうだ

コロナとバーチャル会議

新型コロナウイルスの影響で、ジュネーブ国際機関の会議が多数オンラインになった。これを契機にWeb会議やテレワークはさらに定着していくと考えられる。バーチャル会議には様々な利点がある。

  • 場所を選ばず、それぞれが都合のよい地点から参加できる
  • 参加者の移動が制限され、環境や気候変動に優しい
  • スケジュール調整が楽で会議準備がスムース
  • 効率的で経費は安くなる
  • 出張が減り参加者の負担が軽減
  • 今まで参加困難だった障害者、遠隔地居住者、女性など参加者の多様性が増し、少数派の意見反映が可能
  • 交通機関が止まっている非常事態でも会合可能

だがメリットだけではない。ネット上に集まり成果を出すには、技術面だけでなく新しい会議のやり方に順応することが必須だが、ハードルは色々ある。

  • 時差の関係上、地域によっては実用的でない時間に開始
  • 設備、技術の関係で参加できないグループあり
  • 準備漫然でも、突然接続に問題が生じたりする
  • 使用言語は英語のみで6カ国語の通訳は不在、AIの翻訳機能はまだ不完全
  • 参加者は必要最小限しか発言しない傾向があり、疲れやすく、注意力散漫になりがち
  • チェアは参加者の集中力を促したり、発言中に届くチャット等も読みながら会議を進行させたりと重労働
  • 対面以上にモデレーターやチェアの手腕が会議の成果を左右

重要な決断を要する会議や政府高官によるハイレベル会合などは、今後も対面となるだろう。だが最終セッションだけを対面にして、準備委員会等はオンラインで済ませれば時間も費用も節約できる。Web会議と対面会議を組み合わせたブレンデッドミーティングが将来の主流になるかもしれない。

長年華やかな外交の場であり巨大化していた国際会議が、COVID-19のおかげで大幅に変化。コーヒーブレイクやレセプション中の交渉とか根回し、代表団間のプレゼント交換や表敬訪問もバーチャルには不必要だ。開始や終了が遅れ、ナイトセッションが常だった国際会議は過去の風物詩となりつつある。これに伴い国際機関の仕事の仕方も大幅に変化していくことだろう。