国連には187カ国からの職員が勤務しており、多様性と包括性は重要な課題だ。文化の違いからくる コミュニケーションの障害を取り除き、お互いをよくわかり合う努力は必須。そのための職員用セミナーも多く、個人的に何度か経験した。
セミナーで は、出身国の文化 がどのように部下の扱い方に影響するか、という例が出た。部下の仕事場に気軽にやってくる上司と、予定の機会以外はアポを取らないと会ってもらえない上司。 職階級を重んじ、目下とは気軽に接しないのが後者のケースだ。オランダの学者ホフステード流にいえば権力の格差の大きい文化圏出身者である。
ただこの例は、一概に文化の違いで片付けられないのが複雑なところ。私の経験では外交的な上司はヒエラルキー重視の文化に関係なく、部下 のところにも積極的に出かける 。一方どの文化圏 育ちでも、学者肌で内向的な上司だと、部下の方から事務室のドアを叩くことになる。
国籍より、上司の性格によるのではというのが 素直な感想だ。これも個人的観察だが、開発系はおしなべて 外交的な人が多く、技術系や財務等の専門家には職人気質 がよく見られるように思う。
時間や期限を守るという例も出たが、 個人 の性格や、職場環境の要素が入ってくるので出身国の文化だけでは説明しきれない 。 また、グローバルな環境をすでに経験してから国連に就職した者は、故国の文化を反映していないかもしれない。 文化的特徴は傾向として捉えておく程度がいいかも、と思ったセミナー だった。