国連職員間の 文化の違いからくる コミュニケーションギャップ。前回に引き続き 、 個人的 な経験を述べてみたい。30年ほど前のアラブ語翻訳官リクルートの際のエピソードだ。アンチークな話ではあるが、国連に勤務し始めだったから鮮明に覚えている。
国連翻訳官採用はJPOや YPPの場合と同じように、一斉公募し選択をする 競争試験リクルート型 。書類選考と筆記試験を通過した応募者を翻訳部部長、アラブ語翻訳課課長、そして人事部と3者構成で面接していく。候補者の数は多く、面接はジュネーブ、ニューヨーク、カイロでそれぞれ1週間ほど続く。
ジュネーブ面接最終日に、国連本部ニューヨークの翻訳部部長が倒れ入院した。急遽、国連 ジュネーブ翻訳部部長のカイロ行きが決定。しかし国連のレセーパセー、という独特のパスポートにエジプトのビザがなく、ジュネーブ翻訳部部長の2日後の出発が危ぶまれた。
人事の私は本部ニューヨークの人事部課長に 至急電話 。面接はジュネーブ翻訳部部長が代行できるも、ビザを持っていない、という報告をした。異文化ゆえのミスコミュニケーションか、 慌てて説明不足だったせいか、ニューヨークからの指示は驚くものだった。ビザがなければ、アメリカンエクスプレスを使えと、言ったからだ。
さすが、アメリカ、ビザといえば最初に思いつくのはクレジットカードと感心したが、これも 認識、文化の違いと言えるだろう。多文化間の意思疎通のギャップは身近なところにあった。笑える話ではあるが、これがもっとシリアスな状況だったら大変なところ。
結局エジブトのビザを大至急手配し、 面接官代行も一緒に予定どうりカイロに出発できた時はホッとした。