スイスと安全保障理事会

国連憲章のもとに、国際平和と安全に主要な責任を持つ安全保障理事会。国連の他機関は加盟国に対して勧告を行うのみだが、安全保障理事会は加盟国に実施を義務づけられる決定をする権限がある。

ただしウクライナ紛争への国連軍介入の例にみられるように、決定には理事国15カ国中9カ国の賛成が必要だが、常任理事国である中国、フランス、ロシア連邦、イギリス、アメリカのいずれかが反対すれば、否決される。

理事会は常任理事国5カ国と、2年任期の非常任理事国アルバニア、ブラジル、エクアドル、ガボン、ガーナ、日本、マルタ、モザンビーク、スイス、アラブ首長国連邦の10カ国。スイスとエクアドル、日本、マルタ、モザンビークは国連総会の2023-24年入れ替え選挙で選出された。

国連に20年前に加盟したスイスが安保理の非常任理事国に選ばれたのは初めて。理事国となっても同国の中立的な立場は影響を受けず、国連に対する法的・政治的・財政的な義務も変わらない。

紛争当事者間の橋渡し役および仲介役としての長い歴史を誇るスイスは、初参加の安保理で、平和、安全保障、安保理改革の推進を目標に掲げる。非常任理事国になりたての今年一月には、シリアとトルコ国境のバブアルハワ検問所の開放期間を延長し、緊急支援物資の輸送に一役買った。

華々しいデビュー後、ウクライナへの武器再輸出禁止や、ロシア資産の凍結に及び腰なのに加え、クレディ・スイスの破滅がありスイスのイメージ悪化が懸念された。 だが、中立国スイスが橋渡し役や交渉のプラットフォーム的役割を果たすことや、人道的伝統と赤十字国際委員会(ICRC)を背景に特別な任務を担うことへの期待は以前大きい。安保理でのスイスの行動に注目したいところだ。

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