
スイスの国連拠出金削減
スイスは今年から国連合同エイズ計画(UNAIDS)への拠出金を300万フラン(約5億1200万円)削減する。米国に続くスイスの削減は、特にHIV予防活動に大打撃となる。
UNAIDSへの拠出金の停止について、スイス側は、ジュネーブに本部を置く世界保健機関(WHO)と世界エイズ・結核・マラリア対策基金(Global Fund)にHIV対策を集中させたいためだと説明している。
スイス開発協力局(SDC)は、ユネスコと教育のためのグローバルパートナーシップ(GPE)への拠出も打ち切る。その他、ユニセフで拠出額の25%減、国連開発計画(UNDP)で20%減、国連女性機関(UN Women)で20%減など、大幅な削減を計画している。
スイス議会は昨年末、開発協力予算を2025年度に1億1000万フラン(約190億円)、26~28年度に3億2100万フラン削減する案を可決した。連邦政府が発表した広範囲にわたる財政計画の一環で、軍隊の財政強化等が焦点。追加予算枠はウクライナの復興資金(15億フラン)と国際的な気候変動対策資金(16億フラン)に当てられる。
スイスの拠出金打ち切りの発表の数日後、トランプ大統領も「ユネスコへの米国の関与を見直す」大統領令に署名。米国は国連人権理事会からも脱退した。同大統領は第1期任期中にも、ユネスコから脱退している。
トランプ大統領の対外支援ストップに加え、スイスの発表はジュネーブの国際機関の不安を増長している。またこれらの政策により、ジュネーブが国際舞台での影響力を失うことが懸念されている。これを受けジュネーブ州議会は2月12日、各種非政府組織(NGO)に対する1000万フランの緊急支援を発表。
国際平和の牽引役として、重要な役割を担ってきたスイスの行動は、関係者に大きな波紋を投げかけた。国際都市で知られるジュネーブの国際機関やNGOすらも、将来の活動への不安は拭いきれないようだ。






