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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

国際的経験

国際機関ポスト応募前に注意したいのは、要求される学歴、 経験、言語その他の条件を完全に満たしているかという点。Asset、 Advantage 、Desirableと書かれたものも含め、これらの条件に合致していない場合、採用の見込みはほぼないといえよう。

例えば国際レベルの経験を要求されている場合、国内での経験しかないと応募は無駄。取り立てて 記していなくても、国際的経験は国際機関就職に必須でありJPO受験にも有利だ。

学生時代には留学、国際機関 やNGOインターン ,  JICAの海外青年協力隊等 の機会がある。しかしその後 海外で職務経験を作るのは容易ではない。一部の私企業、在外公館の職員や調査員 、JICAなどに限られてしまう。

国内でも多文化環境の職場や、海外 出張の多い仕事を選ぶといいだろう。例えば途上国出張の多い開発コンサルや人道支援系の組織、外資系会社 、 開発銀行、在日国際機関、 NGO など 。研究機関やNGOで国際機関とのパートナー活動を行うケースや、官庁の国際部から政府代表としての出張も考えられる。

また休暇中に途上国でボランタリー活動をしたり、国連オンラインボランタリーwww.onlinevolunteering.org利用 も可能だろう。

国際機関を目指すのなら、学生時代から心がけて、国際機関との接点を増やしていく必要がある。早い時期からキャリアプランを立て国際的な経験を 積んでいけば効果的。キャリア国際機関のアドバイスもどんどん利用してほしい。

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キャリアプラン

外務省国際機関人事センター主催、応募書類の書き方セミナーが10月11日東京で開催された。当サイトの管理人小島晶子が、 国際機関応募に必要な履歴書及びカバーレターの書き方について指導。70人あまりが参加した。

当センターの努力のおかげで、 国際機関就職セミナーは頻繁にあり 一般的な情報はよく浸透している。しかし、応募には 個別のプロフィールやキャリアのニーズに合った国際機関や空席を捜し出すのが先決。参加者の熱心な質問から、応募書類作成以前 にキャリアプランへのサポートがもっと必要と感じられた。

本人の経歴や資質、目標にマッチした職種、機関そしてグレードの空席を効果的に目指してこそ、雇用側にアピールする応募書類が書けるというもの。空席と自己プロフィールの合致を判断する情報が不足していると応募は空振りとなる。

キャリアパスや専門分野、職場環境が複雑化してきている今日、国際機関就職にも一般的なキャリアモデルが定義できにくくなっている。より可動性、柔軟性に富む戦略が必要だ。今までとは違った個性的な経歴を作っていける時代であるとも言えよう。

キャリア国際機関では応募書類の添削サービスをしているが、その以前のステップであるキャリアカウンセリングも提供している。応募の前に、空席と自己の経歴そしてキャリアプランとの合致をもっと検討してみるといいだろう。

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応募前のチェック

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何度応募しても雇用側から 反応がない、という状況はよくある。書類選考を通りテストや面接に進めないのはなぜなのか。 ポストに必要とされる条件を本当に満たしているか再確認してみよう。

以外に思われるが、 候補者の大多数は 空席広告の記述もろくに読まず応募ボタンを押しているようだ。採用担当をしていた時代、 学歴、経験、言語という最低必要条件すらも満たしていない履歴書の多さに唖然としたもの。 プロフィールにあった時だけ応募するというのは、常識のようでいて案外 無視されている。

応募前、以下の事項を チェックしよう。まず職種、部署、グレード、勤務地、契約タイプ等 の雇用条件 。空席によっては内部職員限りのもの、ある国籍優先などと特殊な条件が付いているので気をつける。職務の記述も念入りに読み、内容、責任の範囲やレベルを把握すると履歴書も書きやすい。

次にポストに必要とされる学位、経験の分野と長さ、必要言語の条件を満たしているか確かめる。 最低条件の他にasset、 advantage などと記された資格や特殊な経験(例えば途上国での経験や経理士の資格など)を満たしていない場合、内部職員ならともかく、外部からの応募者に採用チャンスはほぼないと言える。

資格条件と自分の経歴がマッチしているかどうかの確認は客観的にやってほしい。 表示されている最低限の資格と、あると有利と記された条件に 全て合っている場合のみ最終選考対象となる。 定期的に空席公募をチェックし 足りない資格や技能、経験を常に補うように努めて、 採用に繋がる応募書類を送りたいものだ。

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国際機関に適したプロフィール

国際機関の空席広告に応募する場合、要求された学歴、経験、資格などを全部クリアしているのは最低条件。競争相手に差をつけられるのは 以下の付加価値だ。開発、人道支援関係はもちろん、大抵のポストに通用する。これらの要素が多いほど、 国際機関では歓迎される。

フィールド事務所の経験、特に緊急事態地域での経験は本部のポストに応募する際も貴重。アフガニスタンやスーダンのような、困難な環境での仕事はとりわけ評価される。国連採用者の約半数は緊急事態状況での勤務経験があると言われる。

フィールド活動中心の機関は、可動性のある 経歴を重視。空席の活動区域、地方、国などで働いた経験があり、それが最近であるほど 採用後すぐに実務可能とみなされ有利となる。

同じセクターで働いていればプラス。例えばUNHCRに応募するとき難民関連のNGOや公共機関の難民担当だったりした場合だ。内部職員や、類似活動 機関の職員は面接まで行ける可能性も高い。UNHCR からIOM, UNCTAD とWTOなどが良い例。この時同じグレードまたは一つ下のグレードだったり、ロスターに入っていたりしていれば、さらに有望だ。

国際機関の業務語は英語とフランス語だが、その他の公用語( アラブ、スペイン、ロシア、中国語)の一つでもできれば有利。特に開発系ではアラブ語や、公用語ではないが、ポルトガル語ができると重宝される。 ジュニアレベルでは 、採用者の約80パーセント が2種類以上の公用語に通じているという統計が出ている。日本人には難しい条件だが、言語の重要性にももっと目を向けたいもの。

管理職に応募するのであれば、他の国際機関ですでにリーダーとして活躍した経験は評価される。その機関が大手で、地域事務所も多ければ申し分ない。

ほぼ応募者数全員が修士とういう昨今、博士号を持っていれば差がつけられる。もちろん仕事に関連する分野。博士号の応募者は国連では全体の約9パーセントだそうだが、OECDのようなリサーチ、政策分析中心の職務だと、YPP(若者向けの採用プログラム )選抜者の半数がPhD保持者と報告されている。

これらが、国際機関で重宝されるプロフィール。このうちのいくつかあれば、応募書類を作る段階から 充分にアピールしたいものだ。

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日本語を生かせる国際機関の仕事

「国連で働いています」というと、よく返ってくるのが 「 通訳ですか 」、という質問。日本国内で想像する国際機関の仕事とは、その程度のイメージなのかと唖然とする。

国連の公用語は、英、仏、スペイン、アラブ、ロシア、中国語の6カ国語。通訳、翻訳官はこの内の一つを母国語とし、他の2種類の公用語からその言語に通訳、または翻訳する。ただし、アラブ語、中国語の場合 、母国語ほか2カ国語が達者なものは稀なので、それぞれの母国語を英語かフランス語に、そして そこから母国語に直せば良いことになっている。

通訳、翻訳官等は言語スタッフと呼ばれる専門職。一斉採用キャンペーンで 採用者を多数リストアップし、空席が空き次第徐々に配置していく。日本語は公用語ではないので、正式国連職員としての日本語通訳、翻訳官は存在しないことになる。

国際機関で日本語が生かせる仕事は多少存在する。例えばWIPO(世界知的所有権機関)のパテント関係ポストやそれに関する翻訳など。ILOでは、職員ではないが、大会議の際は 日本代表団に通訳がつく伝統がある 。国連の日本語ガイドも少ないながら需要はある。

邦人がトップに立っている機関やプログラム の特別補佐 や日本事務所とのリエゾンの仕事にも日本語は有利。大きな機関だと雇用担当官に日本人をあて、邦人採用に活用する場合もある。

このほかUNV(国連ボランテイア計画)では定期的に日本人向け、日本語使用ポストを公募している。ボランテイアであるが、手当もつき、国際機関の経験として認められる。また在日国際機関ポストの多くには、 日本語が望ましい条件に含まれている。

いずれの場合もあくまで、学位、経験などの基本条件を満たしてのみ日本語が生かせるわけだ。国際機関では、おしなべて英語母国語の者が有利と言われるが、少ないとはいえこのような機会もあるので、逃さず利用したいものだ。

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ネット面接ハプニング

模擬面接の依頼が立て込んでいたある週、普段ならありえないハプニング が2度あった。まず、候補者側のマイクが作動せず音声なしとなった場面。もう一回はこちらの居住地全区でスカイプが故障した時。どちらも修復の見通しが立たず、結局日を改めて模擬面接を行なった。

本番の面接でも、予期しなかった問題が急に発生することがある。例えばマイクやカメラ、パソコンがうまく機能しない事態。また アプリに障害が出たり、インターネットとの接続が悪かったりと状況は様々だ。

採用側としても、インターネット面接中予期しない 出来事を色々体験した。突然の停電、予告なしに誰かが部屋に入ってきた時、ネットや電源の急な乱れなど。準備万端で臨んでも不慮のハプニングが避けられない場面はどうしてもある。

このような時、一番必要なことは落ち着くこと。採用側と連絡がとれれば、状況を説明して指示を仰ぐ。相手からは時間や日にちを改めて再開するか、電話回線に切り変えて続行するか等の決断が出るはずだ。急に接続が切れてしまい自分の方から何もできない時はそのまましばらく待つ。

何れにしても、パニックに陥ることなく冷静に対処したいもの。国際機関側では、 よくあること、特に途上国との接続にはありがち 、と認識しているのでそれ程気にしなくていい。ただし、自分の事前の準備が万全 でなく面接続行に障害が出た場合は、印象が悪くなるので気をつけたい。

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多文化間コミュニケーション その2

国連職員間の 文化の違いからくる コミュニケーションギャップ。前回に引き続き 、 個人的 な経験を述べてみたい。30年ほど前のアラブ語翻訳官リクルートの際のエピソードだ。アンチークな話ではあるが、国連に勤務し始めだったから鮮明に覚えている。

国連翻訳官採用はJPOや YPPの場合と同じように、一斉公募し選択をする 競争試験リクルート型 。書類選考と筆記試験を通過した応募者を翻訳部部長、アラブ語翻訳課課長、そして人事部と3者構成で面接していく。候補者の数は多く、面接はジュネーブ、ニューヨーク、カイロでそれぞれ1週間ほど続く。

ジュネーブ面接最終日に、国連本部ニューヨークの翻訳部部長が倒れ入院した。急遽、国連 ジュネーブ翻訳部部長のカイロ行きが決定。しかし国連のレセーパセー、という独特のパスポートにエジプトのビザがなく、ジュネーブ翻訳部部長の2日後の出発が危ぶまれた。

人事の私は本部ニューヨークの人事部課長に 至急電話 。面接はジュネーブ翻訳部部長が代行できるも、ビザを持っていない、という報告をした。異文化ゆえのミスコミュニケーションか、 慌てて説明不足だったせいか、ニューヨークからの指示は驚くものだった。ビザがなければ、アメリカンエクスプレスを使えと、言ったからだ。

さすが、アメリカ、ビザといえば最初に思いつくのはクレジットカードと感心したが、これも 認識、文化の違いと言えるだろう。多文化間の意思疎通のギャップは身近なところにあった。笑える話ではあるが、これがもっとシリアスな状況だったら大変なところ。

結局エジブトのビザを大至急手配し、 面接官代行も一緒に予定どうりカイロに出発できた時はホッとした。

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多文化間コミュニケーション

国連には187カ国からの職員が勤務しており、多様性と包括性は重要な課題だ。文化の違いからくる コミュニケーションの障害を取り除き、お互いをよくわかり合う努力は必須。そのための職員用セミナーも多く、個人的に何度か経験した。

セミナーで は、出身国の文化 がどのように部下の扱い方に影響するか、という例が出た。部下の仕事場に気軽にやってくる上司と、予定の機会以外はアポを取らないと会ってもらえない上司。 職階級を重んじ、目下とは気軽に接しないのが後者のケースだ。オランダの学者ホフステード流にいえば権力の格差の大きい文化圏出身者である。

ただこの例は、一概に文化の違いで片付けられないのが複雑なところ。私の経験では外交的な上司はヒエラルキー重視の文化に関係なく、部下 のところにも積極的に出かける 。一方どの文化圏 育ちでも、学者肌で内向的な上司だと、部下の方から事務室のドアを叩くことになる。

国籍より、上司の性格によるのではというのが 素直な感想だ。これも個人的観察だが、開発系はおしなべて 外交的な人が多く、技術系や財務等の専門家には職人気質 がよく見られるように思う。

時間や期限を守るという例も出たが、 個人 の性格や、職場環境の要素が入ってくるので出身国の文化だけでは説明しきれない 。 また、グローバルな環境をすでに経験してから国連に就職した者は、故国の文化を反映していないかもしれない。 文化的特徴は傾向として捉えておく程度がいいかも、と思ったセミナー だった。

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応募書類の書き方

仕事柄、応募書類を添削する機会は多い。念入りにチェックするのは職歴の部分。外務省主催のセミナーでも触れたが、訂正箇所の多い書類には共通の特徴がある。

まず細かい。委細丁寧すぎると、読み手はすぐにプロフィールが把握できない。似たケースで、周知のこと や空席と関連性の薄い事実まで記述している書類もある。

英語が達者で必要以上に長い書類は、要約能力がないと思われ返って不利だ。逆に作文力が低く短かすぎる記述も困る。

このほか冠詞や前置詞の間違いや、Duties とAchievementsの混同はよくある。 会社やチームの業績はあるが個人のものが不在というのも残念だ。仕事 の内容がよく わからない描写も頻繁と言える。

日本人に独特なのは、細かさ、職務内容が理解できない描写と成果の不明さ。業績がチーム単位なこと、細かく丁寧に説明することは日本の文化であり、美徳と思う。だが、アングロサクソンベースの人材システムである国際機関への応募書類には不向きだ。

一番 典型的なのは 仕事の書き方。書き手の意図は想像できるのだが、日本人には推し量れても英語の文としては理解しがたい。

この理由の一つには 、日本語と英語の文章構造の著しい違いがあるだろう。英語を日本語に直訳したものがそのまま使えないように、その逆も然りかと思う。日本語をそのまま英訳しただけだと、意味をなさないことが多い。ネイティヴがチェックし、英語は正しいのだが、仕事内容のイメージが掴めない応募書類もある。

職歴は日本語で考えをまとめ英訳するのではなく、英語で考えて英語で書くのが効果的だろう。辞書も和英より英英がおすすめ。地道に英作文能力を上げていき、応募書類に限らずなんでも英語で表現できるようになれば理想的といえよう。

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夏休み

恒例の大きな会議や総会が初夏に終わると、国際機関にも夏休みシーズンが到来する。7、8月に 活動をスローダウンする機関は特にヨーロッパで目立つ。会議や研修、空席広告の数も減少し、休暇をとる職員も多数。駐車場に空きが目立ち、カフェテリアが混まなくなりインターンが増えれば、 シーズン突入だ。

色々な国際機関を経験したが、夏休みを一番感じさせるのは、なんといってもフランスに位置する国際機関だろう。 Vacances(バカンス)という言葉の発祥地でもあるこの国では、長期間の夏休みは 当然の慣習であり、国際機関も中実に従っている。

夏のパリは住民がいなくなるとよく言われるが、UNESCOや OECDでも長期の夏休みをとる職員は多い。交代で休むので、ガラガラになることはないが、夏の間に重要な企画や緊急のビジネスは始めない方が賢明だろう。

OECD時代にびっくりしたのは、8月になると周りのレストランまでが長期の店じまいすること。お昼を食べにくる職員がグッと減るし、気候がいいので遠出したり、野外で食事したりする人が多いからだ。

国際機関の有給休暇は年30日。土、日、祭日と合わせれば 6週間休める。国外在住者が多数の国際機関では、年末年始か夏に長期休暇をとり、故国に里帰りするパターンが多い。 管理職レベルでも3週間以上の長期にわたる休暇は よくあり、日本であれば考えられないことだ。

遠慮なく休みを取って英気を養う、という ゆとりのあるライフスタイルを支援しているところが、国際機関の 待遇体系の魅力の一つであろう。

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