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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

応募書類書き方セミナー

外務省国際機関人事センター主催、応募書類の書き方についてのセミナーが6月2日、東京で開催された。当サイト管理人小島晶子が、国際機関応募用の履歴書及びカバーレターの書き方について指導し100人近くが参加した。

もともとは2日程かかるようなトレーニングを一時間あまりに濃縮して講義したので、情報量はかなり多い。参加者の消化不良が危ぶまれたが、皆熱心で活発に質問しインタアクテイブなセミナーとなった。また講義後に長い質問の列ができ、参加者の関心の高さを示した。

この個別質問で意外と多かったのが、リフェランスについて。 大学教授や会社の上司等を 推薦者として挙げるのが一般的だが、 推奨者の職種・職場にどうバラエティを持たせるかに関心が集まった。

リフェランスの欄を国際機関側が見て、応募者を選抜する材料に使うことはない。あくまでも採用プロセスが終わり、選出された候補者の最終チェックの段階に、健康診断 などとともに使用するもの。それだけで、 雇用決断が左右されるものではない。

幅広い交友関係を示そうと、色々な職業、環境の推奨者を無理に捜し出す必要はないだろう。また推薦者の社会的地位、肩書きとも無関係で、 会社や公共機関のトップを挙げても影響はない。日本人とそれ以外の国籍のバランスという点も、可能であればそれに越したことはない、という程度。

推薦者である組織のトップが候補者の実際の仕事ぶりを知らない、というのはよくある困ったケースだ。応募者と仕事をした経験があり、肯定的に評価してくれる人を選ぶことが 大切となる。

長い人事キャリアの中で否定的なフィードバックをしてくる推奨者は見たことがない。同意しての推奨だから、候補者を褒めて当然と言えよう。むしろ職歴の欄に書いた上司に 意見を聞いた時、予想しない答えが返ってくることがある。この点も履歴書を書く時点で考慮しておくべきだろう。

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360度評価

「多面評価」とも呼ばれる360度評価は 、上司や部下、仕事上で関連する他部署の同僚など各方面の人が被評価者を評価する手法。アメリカ企業では1950年代から能力開発のツールとして導入された。

より多くの目で観察された人物像をベースに客観的な評価と分析を行ない、育成すべき能力を浮き彫りにする。複数の人が判断するため、 被評価者の能力が客観的に評価されやすくなる。また上司や本人には見えなかった新たな発見もメリットだろう。

だが、問題もある。管理職ではない職員は評価付けの知識や経験が浅い場合が多く、被評価者に対しての「好き嫌い」 が評価に 影響しがち。管理者が部下に過度な気遣いをしたり、互いの評価を良くし合ったりという可能性もあり、 昇給や賞与などを伴う評価には普通使われていない。

コンペタンシーの導入と相まって、国際機関でも 360度評価を積極的に適用した。 現在でも管理職の能力開発プログラムではよく使われる。このツールを被評価者として、 関連研修トレーナーとして、また評価結果分析者として何度か利用した。

評価結果の入った封筒を開ける瞬間、被評価者はすごく緊張する。評価者は嫌いな上司や、一般的に問題を抱えていると認識されている同僚にはきつい評価をする傾向があるからだ。被評価者によっては、自信を喪失したり、反発心を抱いたりするケースもある。

また 匿名で行うといえ、小さな部署や機関であれば、誰がどういう評価をしたかが推測でき、のちの人間関係に響いたりもする 。

分析結果を伝える際は、被評価者のモチベーションを引き上げるよう建設的なフィードバックが大切だ。まさにジョハリの 窓の一つ、盲点の窓を広げる機会として捉え、結果を活用できれば、360度評価のやりがいもあるだろう。

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ジョハリの窓

ジョハリの窓とは、アメリカ人心理学者のJoseph LuftとHarry Inghamが考案した「対人関係における気づきのグラフモデル」のこと。

考案者の名前、ジョーとハリーからジョハリの窓というネーミングになった。音の響きから、「インド人の発明かな」などと想像してしまう人も多いのではないか。

このモデルでは、自己には4つの窓が存在すると考える。

  • 開放:自分も他人も知っている自分
  • 盲点:他人は知っているが、自分は知らない自分
  • 秘密:自分は知っているが、他人は知らない自分
  • 未知:自分も他人も知らない自分

基本的には開放の窓を大きくし、人間関係やコミュニケーションを豊かにするのが目的だ。「開放の窓」を大きくするには、他人に隠している自分を開放し秘密の窓を小さく する 。また自分の盲点を他人から指摘してもらうことでも「開放の窓」を大きくできる。

4つの窓は影響し合っているので開放が広がり、盲点や秘密が小さくなれば、未知の窓も狭まり新たな気づきが生まれる可能性もある。

この理論は、国際機関の人材開発にも応用されている。私も 360度評価(多面評価)ツール 使用の際はまずジョハリの窓の説明をして、同僚による客観的な 評価の有効性を、職員に説明したものだ。

ただし自己の秘密を開放し、 人間関係をスムースにするという行為は国際機関内では結構デリケート。 文化も考え方も違う同僚の中から、信頼でき理解してもらえる相手を見つけることが条件だ。

むしろ 仕事チーム内で自分の見えない部分を同僚や上司に建設的にフィードバックしてもらい、能力を伸ばしたり、チームの成績向上につなげたりするのが通例だろう。

また、 キャリアプランを立てる前の自己分析に加え、周りの人に自分の盲点を教えてもらうと役に立つ 。その際に、自己理解を深めて、気づきを得るような効果的なサポートができる相手であれば理想的だ。

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模擬面接サービス

応募者からの「面接指導 をしてほしい」というリクエストで始めた模擬面接サービスだが、効果は驚くほど高い。国際機関で採用側にいた時、面接で失敗した候補者を何度も見てきただけに準備の重要性を再認識している。

模擬面接 は比較的時間や手間、集中力を要するサービスだ。まず空席に合わせて、出題が予想される質問を多めにリストアップする。その際ある程度の専門分野や機関の活動に関するものも入れる。答えを評価するには、面接側も予備知識が必要となり準備に時間がかかる。

模擬面接では, 決まった時間内に本番と同じやり方で候補者に質問していく。候補者の答えの内容と、答え方両方に焦点を合わせて記録を取り、面接後フィードバックをする。コンペタンシー以外の質問への答え方や最初の3分間の態度の観察は要注意点でもある。うまくできた点や改善箇所は面接直後に指摘するが、翌日新たな注意点を知らせることもある。

このように労力のかかるものだが、単に面接テクニックを教えるよりずっと効果は大きい。過去1年半で模擬面接を直接指導した9人中7人が、国際機関に採用されている。 特に模擬面接を2度以上やったものは全員成功して いる。残りの2人からは報告がなく結果は不明。面接テクニックのみを学んだグループの成功率は、報告を受けた範囲では4人に1人だ。

日本ではあまり経験しないコンペタンシー面接だが、ぶっつけ本番より模擬で経験しておくと効果的だ。まず面接で説明する実例が適当なものか、うまく構成され、求められている行動を含んでいるかを第3者に聞いてもらえるのは貴重。また内容と同じほど大事な、説明の仕方や態度、スピード、ボキャブラリーなどを指導してもらえる機会は稀と思う。

模擬面接を受けたほぼ全員が、「最初はドキドキした」と言っているから、本番での緊張度合いは推して知るべしだろう。模擬面接を経験してきた自信が本番での余裕につながるようだ。また改善点を意識して面接に望めば、一段上のレベルの受け答えができるというもの。

面接の練習はこのようにやるだけの結果は出るので、内容を準備するだけでなく、それを説明するリハーサルもするといい。ただし直前にやってもストレスになるだけなので、少し余裕をみて計画を立てよう。

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コンピテンシー面接

国際機関応募の際, コンピテンシーベースト面接 への対策がよく 取り上げられる。そもそもコンピテンシーとは何か。

人事用語のコンピテンシー は、果を生む望ましい行動を指す。職務遂行に要する知識や技能を含めた能力を、行動特性としてモデル化したものだ。1990年代よりアメリカで広く一般化し、採用、能力開発、人事評価、キャリア開発等に広く使われている。

面接では候補者に過去の行動や成果を具体的に挙げさせ、将来の行動のパターンを推測する。答えが 好業績者の行動モデルに近ければ、 採用側は候補者がコンピテンシーを有すると判断する。

ポスト毎に求められるコンピテンシーは職種、グレードにより異なるが、チームワーク、職務遂行能力、コミュニケーション、 顧客対応などは、大抵の空席広告に共通している。

例えば顧客対応のコンピテンシー には、顧客の視点に立つ 、〆切厳守、ニーズへの適切な対応などの行動が求められる。

コンピテンシー導入には、機関独自のモデルを作り、望ましい行動基準を決め、人材開発や、評価、採用プロセス に取り入れる、という大掛かりな人事改革が求められる。

時間も手間もかかるこのモデルを どの国際機関が先に実現するか、1990から2000年代にかけて、人事スペシャリストの間でよく話題となったものだ。

先駆けは世銀だったように記憶しているが、初めはうまく適用できなかったという経験を聞かされたもの。国連が人材システムにコンピテンシーを導入し始めたのは 2002 年以降で歴史は比較的浅い。

コンピテンシー面接は、従来の面接 よりずっと客観化、標準化され有効と言われるが、万能ではない。重要なポストには、そのほかにテストや実習等を組み合わせアセスメント形式をとる機関も多い。

コンピテンシー面接対策はリソースセンターに乗せてあるが、面接テクニックも将来記事にする予定である。

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国連機関視察ツアー

HISの国連機関視察スタディツアーが終了した。 5日間ジュネーブの主な国際機関を訪問し、邦人職員や現地学生と交流、そしてキャリアの講義とアドバイスを受ける 内容の濃いもの。高校生と大学生11人の参加者は元気いっぱいにこの機会を満喫していた。

このようなイベントは初めてではない。国際機関就職希望者セミナーは2012年にもとUNHCR職員、松本氏が音頭をとって始まった。3度ほど開催した後、当事者が亡くなったことや資金不足からセミナーは消滅。代わって登場したのが、このサイト、キャリア国際機関である。

今回は当時の教え子が旅行会社に就職し、新しくツアーとして復活させたもので、創設者の意思が 引き継がれている。

旅行会社のテーマツアーとしては初めてだから、提案してから右往左往あり、一時は実行が危ぶまれたほど。 ジュネーブ邦人職員会からの強い協力や、外務省国際機関人事センターの支援が 成功につながった。

ツアー中、レクチャー2回と個人キャリアカウンセリングを11回やらせていただいたが、伝えたいメッセージは2つある。

まず、キャリアプランは早く始めるほど有利だということ。 もう一つは、人にはそれぞれのキャリアがあり、よい、または悪いキャリアという定義はない点。成功、不成功は本人の満足次第ということだ。若さと希望溢れる参加者たちの参考になればうれしい。

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ベルビンチームロール

多国籍多文化チームを有効に機能させることは国際機関の重要な課題だ。グローバルな 環境で勝ち抜けるのはどのようなチームなのか。

理想的なチームについては色々な理論があるが、最も知られているのはベルビンチームロールだろう。メレディス・ベルビン(Meredith Belbin)は、チームが成功するには下記9つの役割を担う人が必要だと主張した。

1.プラント(PLANT (PL)
創造力があり困難な問題を解決できる人

2.資源探索者(RESOURCE INVESTIGATOR (RI)
外交的で熱中しやすく、好機を探る人

3.コーディネーター(CO-ORDINATOR (CD)
優れた議事進行者で、明確な目標を示し意思決定を促す

4.形づくる人(SHAPER (SH)
挑戦的で、精力的に障害に立ち向かっていける人

5.チームワーカー(TEAMWORKER (TW)
協調性があり、もめごとを避けるタイプだが、人の話をよく聞き築き上げる人

6.実行者(IMPLEMENTER (IM)
有能で頼りがいがあり、アイデアを実行に移せる人

7.完璧完遂者COMPLETER FINISHER (CF)
勤勉で誠実な仕事を納期通りに行う人。また自分や他者の誤りや手抜きに厳密な人

8.スペシャリスト(SPECIALIST (SP)
特定分野の知識やノウハウをもつエキスパート

9.モニター(MONITOR Evaluator)
優れた戦略的判断力を持つ人

各メンバーがお互い の役割や、仕事の任せ方とタイミング、不足点を補い合うすべを理解することで、チームが機能する。このモデルは国際機関でもチームワーク作りやプロジェクトマネジメントの研修によく使用される。

私もベルビン氏から直々にトレーナーの資格をもらっているので、このモデルを使っていた。 自己の認識するチーム内の役割と、チーム仲間から見たイメージとが違う事も多く、 研修では人気がある。

自分でもやってみたが、結果が時間とともに変化していくのも特徴。最初はプラントだったが、後に資源探索者の役になっていた。他人からはコーディネーターに見られていたのも興味深い。

現在は自己分析だと客観性に欠けるという批判に答え、観察者の評価、それに仕事に必要な要件の評価を加えたインタープレイス(Interplace)と呼ばれるPC用 モデルも出ている。

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国連インターンのデモ

2月20日、国連指定の「世界社会正義の日」にジュネーブ国連広場前で無給インターン制度の改善を求めるデモがあった。デモはジュネーブだけでなくニューヨーク、ワシントン、ブラッセル、ウィーンでも行われた。

無給インターンシップ問題は、ここ数年注目の的だ。2015年8月、ニュージーランド 出身のインターン、デイヴィッド・ハイドさんが、節約のためジュネーブでテント暮らしをして いると広く報道された。

それをきっかけに、 インターンや学生、専門職の若者らが 「Fair Internship Initiative—公正なインターンシップを求めるイニシアチブ」という運動を起こした。この「インターンシップを有給に」というスローガンはジュネーブからニューヨーク、パリ、ウィーンへと広がっていった。

ニューヨークとジュネーブの国連機関に採用されたインターン は、2014年でおよそ4000人。そのほとんどが無給だ。ジュネーブでは完全無給の割合は2013年、68%に及んだ。

物価高では世界トップクラスのジュネーブで 無給は 大変だ。無給のインターンシップを続けられるのは実家が豊かな外国人か、近くに居住している学生のみとなる。富める者だけが利用できるこの制度は確かに不公平だろう。

私も個人的に無給インターンを無料で宿泊させた経験がある。コロンビア出身の彼女は, 「国連人権委員会で働くのが夢」という。コロンビアの実家からどのくらい援助があるか聞きそびれたが、ジュネーブの1ヶ月の部屋代だけでも、国の家族の負担は重いだろうと想像 した。

国連総会の決定により、国連にはインターンに給与を支払う権利がない。一方、専門職初級レベル は全体の3%と極めて少なく、インターンをその代わりに使っている内情がある。また経済的犠牲を払ってでも、国連インターンを希望するものは後を絶たないという現実もあり、今後国連がどう対応していくかが注目される。

国連以外の組織は有給化に向かう動きがあり、ILOは月額1850フランを、IOMは500 から 1500 フランをインターンに支払っている。また 27のNGO(非政府組織)は最近、月額500フランの最低賃金をインターンに支払うことで合意した。 関係者はこの傾向が広まることを期待している。

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アセスメントツール

国際機関の採用によく使われるアセスメントツールは何か。面接、サイコメトリックテスト以外にも複数ある。評価方法をいくつか組み合わせ、 候補者を効果的に選び出すためだ。

主なものをあげてみよう。

  • ロールプレイ:空席に類似した架空の役割を演じてもらい、その言動から部下、上司、顧客等との交互作用を見る。
  • ケーススタディー:ケースに応じ、組織のマネジメントや戦略を提案させ、専門のアセッサーが評価。状況分析や対策を書かせ、雇用上司が判断する場合もある。
  • 能力 テスト:仕事に要する 計算能力、分析判断力などのテスト。統計、内部監査、財務などの職種 に実地される。言語関係ポスト、YPP、 一般職用の大規模な競争試験もこの部類。
  • 筆記試験:専門知識に関するテーマを2問程出し1-2時間でエッセイ形式の答えを書かせる。架空の状況に対処する手紙や、スピーチ、プロジェクト企画書などの課題もあり。
  • プレゼンテーション:特定のテーマについてプレゼンさせ、コミュニケーション能力、専門知識等をみる。
  • グループディスカッション:候補者の議論参加状態から主張能力を判断。
  • インバスケットエクササイズ:限られた時間内に課題を与え、仕事処理能力を測る。

国際機関で最も頻繁な選抜用メソッドは、筆記試験とコンペタンシー面接だろう。ポストによってはプレゼンテーションや能力 テストも利用される。これらはアセッサーを必要としないので手軽にできる。

ロールプレイ、ケーススタディ、グループディスカッション、インバスケットには専門家を要しコストが高くなる。利用する機関は一部だが主に管理職ポストが対象だ。

管理職アセスメントには、 面接の他に2つか3つのメソッドを組み合わせる。 ロールプレイとサイコメトリックテストがよく使われているようだ。

専門家の評価後、採用側は、面接等の結果と合わせて候補者の判断をする。テストや面接の評価の比重は採用側の意思次第だ。

「面接や筆記試験後にもテストか。準備が大変だ。」と感じるかもしれないが、 プレゼン以外は 事前に特別な用意はいらない。アセスメントの方法や目的を理解していれば対応しやすいだろう。

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サイコメトリックテスト

キャリア支援の際、候補者からアセスメントテストに関する質問をされることがある。一部の国際機関では採用選考の中にCompetency-Based面接 と共にサイコメトリック手法を導入しているからだ。採用プロセスの面接まで進んだところで、テストへの招待を受けるケースが多い。スクリーニング、筆記試験、面接という難関を越えて、さらに課されるテストに驚く候補者もいると思う。

コンペタンシー面接では、過去の成果を具体的に挙げさせ、将来の行動のパターンを推測する。テストでは、面接では測りきれない人間心理の構成概念(性格・知能・態度・認知・ 学力)を、候補者の答えと他の答えの統計とを比較分析して評価するわけである。この統計と心理学を合わせた ツールは人材資源ビジネス市場に星の数ほどある。ただしテスト自体有料である上 結果分析にはそれなりの専門性を要するので、 大規模に実地するのは難しい。よって適用している機関にしても、特に幹部候補者の心理的側面、将来における潜在的可能性をより精査する方法として使っているようだ。

よく知られているテストとして、Hogan, Wave, ビッグファイブなどがある。競争の激しいこの市場で特に大手なのが、日本にも支社のあるSHL (Saville & Holdsworth Ltd.)でその代表的ツール OPQ32は国際機関にもかなり食いこんでいる。OPQ32は、人間関係、社交性、影響力、共感性、思考スタイル分野の32の性格特性を測定するものだ。オンラインで候補者が質問に対し多数の答えの中から自分に最も近い、または遠い、と思うものを選んで進んでいき、30分ほどで終わる手軽さもうけている。結果として、候補者の強みと弱みが明らかとなり、統計と比較されて、仕事への適性が判断されるというわけだ。

本来ならば、文化のバイアスを防ぐために候補者の母国語の質問を使い、同じ文化圏のマネージャーの統計との関数を測るべきだが、そのような念入りなプロセスを実地しているところは皆無だろう。候補者のアセスメントをより正確にするため、一つのトピックに関して違う形で質問が何度もされるので、模範解答をしようと思っても無駄とされていた。また構造上、嘘の答えは分析官から見抜かれるとも言われている。しかし最近は、練習を重ねた方が良い結果が出るとアドバイスしているサイトもあり、驚かされる。

これらのテストには実地側としても、受ける側としても 何度か参加したことがある。個人的な感想だが、あまり結果がスムースで適性がぴったりという結果が出ると、信用できない気になる。またアジア人は一般に謙虚で自己の売り込みが苦手なので、素晴らしく影響力のある、 社交的マネージャーというプロフィールは出にくいと言える。前もって準備する意味はあまりないと思うが、心配な人はオンラインの無料サイコメトリックテストで練習し、やり方に慣れておくといいだろう。

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