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35歳以後の国際機関就職

平均寿命が延び、公務員の退職年齢も引き上げられている昨今、キャリアも多様化し転職者も増えている。JPOやYPP等の若手対象競争試験の年齢制限を過ぎてからの国際機関就職も考慮したい。35歳以降の国際機関への採用に、最近外務省も力を入れつつある。

2017年の国連アポイントメント数4330のうち、一番多い年齢層は30から34歳で延べ923人だが、35から39歳採用とは900人という微差。3番目は40から44歳グループで任命数696と、ミドルへの門戸が広いことがわかる。

35歳からの国際機関就職の道として考えられるのは、

個別空席広告に応募(外務省から幹部ポスト空席情報あり)

PKO等の特別ミッションのロスターに応募

国際機関の来日採用ミッションに応募

UNVに専門家として登録、特に邦人対象ポストの提示に注意

短期ポスト、コンサルタント、技術協力専門家等に登録、応募

政府、公共機関等からの派遣

世銀グループの邦人向けミッドキャリアポストに応募

広島平和構築人材育成センターのプライマリーコースに参加し、一年間UNV派遣者として国際機関でボランタリー活動をする(39歳まで)

などで、可能性は多様。

国際機関専門職ポストで一番空席広告の多いグレードはP3かP4なので、5 年以上スペシャリストとして経験を積んだ中間管理職者は理想的プロフィール。学位と職務経験が同一分野であり、関連分野でかつ、国連に類似した活動や環境での経験であれば有利だ。

国際機関でのインターン、ボランタリー、コンサルや短期採用、民間のシンクタンク、官公庁関係、多国籍企業、在外公館調査員、派遣員、JICA、海外青年協力隊、開発コンサル、NGO、NPO、国際法律事務所、銀行などでの経験は有効。広島平和構築人材育成センターの研修以外は、海外での職務経験がないと選考されるのは困難だ。

また国際機関とのパートナー業務や、国際会議運営委員会のメンバーとなった経験等は貴重。海外研修や会議参加, ボランタリー活動等で国際機関と接触する機会があれば進んで活用したいものだ。

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応募書類中の数字

応募書類添削中、10未満の数字をアルファベット表記しているケースに遭遇することがある。文法的には正しく直す理由はないのだが、読みにくいのが難点。今回は履歴書やカバーレターによく使われる数字の表記に注目した。

英語の数字表記は色々なスタイルがあり、ウェブの発達やグローバル化に伴い簡略化される傾向にある。ここでは、国連の編集マニュアルを主に参照。

文章中1から9まではアルファベット表記、10 から 999999はアラビア数字というのは正統ルール。だが履歴書は数字統一で良い。職歴や業績を具体化し、読み手を印象つけるための量、時間、額等が、アルファベットに埋もれてしまい目立たなくては、効果が低いからだ。読みやすさとスペース節約に数字は有効。

同文で色々な数値が使われる時は、大きい数の表記法に合わせるのが基本。計量単位やパーセントがつく場合、選挙結果等も10未満で数字表記となる。ただし同じ種類に属さない数字が同時に入る文は、一方をスペルアウトし混乱を避ける。

例 Twenty 100-mm mortars; 15 five-year-old girls

序数は9までの数字をアルファベットにした場合、first, second, third…と統一する。国連では数値の大小にかかわらずcommittee, sessionはアルファベットmeetingはアラビア数字使用。

例 The fifty-seventh session of the General Assembly; 2nd meeting

例外は文章の始め。10以上でもアルファベット綴りにする。今日このルールは無視されることも多いが、数字を文頭に使うのは避けたほうが無難。

応募書類に具体的な数字を入れると、職歴や業績が生きてくるし、カバーレターのアピール度も上がるもの。十分に使いこなし、成果をあげたい。キャリア国際機関での添削サービスも利用してほしい。

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ビデオ面接

最近よく聞くビデオ面接。スカイプ等でのライブ面接ではなく、録画にして採用側に送る形式を指す。本番の面接用候補者を絞り込むために、筆記試験の代わり、またはそれと合わせて行われる。

国際機関で使っているのはOECD, Green Climate Fund, IAEA, EMS, CTBTOなど。OECDではヤングプロフェッショナルのスクリーニングに使っているようだ。ビデオ面接用アプリは多数出回っているが、国際機関ではSonru使用が目立つ。

私企業と違い、上記機関では専門分野の質問を出すところが多く、時間は最大20分ほど、質問は5問程度。応募者は予め録画された設問に2分程度で応えていくが、やり直しが効かないので注意。面接用アプリの説明を理解し、テスト質問をこなしてから始める。

ビデオ面接には、時間や距離に関係なく面接ができ低コストというオンライン面接の長所に加え、関係者のスケジュール調整不要、同じ質問が全応募者に出され公平、いつ何度でも面接をリビューできる、といった魅力がある。特に応募者数の多いポストのスクリーニングには便利だろう。

応募者にとっての利点は自分の好きな時に始められる所。3日程の期間内にアプリにアクセスする。専門知識を試される質問が主だから、簡潔明快な話し方は大切。テスト質問でもある程度調整できるが、説明の仕方や速度、ジェスチャー、照明、音質等は前もってチェックしておきたい。最後に質問やコメントを自由に述べさせる機関もあるので、その対策も考えておこう。

採用側にとっては利点の多いビデオ面接。今後も取り入れる国際機関は増えると思われる。相手のいない一人舞台で戸惑いがちだが、成功し最終面接に繋げたいものだ。

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大文字小文字

英文応募書類を添削する際、大文字がよく気になる。大文字の多い文は読みにくいと言われるが同感だ。大文字乱用を避けるルールには例外も多く、母国語の人でも要注意。応募書類内の主な大文字小文字使いわけをあげてみた。

例えば学歴。履歴書の学位、大学名、地名は大文字。

University of Wales, UK, BA in Economics

だがカバーレター等の中では学位は小文字を使う。

I have a bachelor’s degree in economics

肩書きも、履歴書やレジュメは大文字であっても文章中は小文字。

  • Director of Marketing(履歴書)
  • Worked as a director of marketing (文中)

役職名使用は割と複雑で大きな機関だとマニュアルがある程。仕事のタイトルが名前の前であれば大文字、名前の後、役職名がコンマ等で区切られていると小文字、というのが原則だ。

  • Director of Marketing John Smith
  • Tony Tanaka, professor of physics

公的な要職タイトルは大文字使用が多い。

  • Mr. Pierre Fitzgibbon, Minister of Economy
  • António Guterres, the ninth Secretary-General of the United Nations
  • President of India

以下、一般的使用は小文字、特殊なタイトルや個人名との組み合わせだと大文字。

representative, consul, judge, mayor, ambassador

政府、大使館等の名詞は、組織を直接指している場合に大文字使用。

  • The Government of Japan
  • The Ministry of Education
  • Japan Embassy, Tunis
  • Police Department
  • The Permanent Mission of Japan

一般的な意味で使う場合は小文字となる。

  • The Japanese government
  • It is based on government policy
  • Japanese embassies throughout North Africa
  • This department has 10 employees
  • The research financed by three ministries
  • Members of permanent missions

このように区別は結構複雑であり、国や機関によってもスタイルが少しずつ違う。疑問のある場合は United Nations Editorial Manual Onlineなどマニュアルを参照するのも手だろう。

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自己SWOT分析

「SWOTで自己分析してみましたが、この後どうしたら良いですか」

とキャリアカウンセリングの時よく聞かれる。SWOT分析とは何か、どのようにキャリアプランに役立てるかを説明したい。

SWOT分析とは、組織の「内部環境」と組織を取り巻く「外部環境」という2つの側面から現状を把握し、今後の戦略や行動指針などを立案するための手法。業種や業態を問わず幅広い分野に対応でき、個人の診断手法としても広く活用されている。

SWOT分析の「SWOT(スウォット)」とは、4つの軸 の頭文字からきている。内部環境を「強み(STRENGTHS)」「弱み(WEAKNESSES)」、外部環境を「機会(OPPORTUNITIES) と「「脅威(THREATS)」」という枠組みに分け、これらに焦点を当てて分析していく。

例えば国際機関就職という目的で自己内外の環境をSWOT分析してみる。

上記4つの観点を掛け合わせると、自分が「具体的にやるべきこと」が見えてくるので、これらをアクションプランの形に整理していく。

この例の場合だと、最後のJPOに備え書類を吟味する、英作文の研修をする、経験を充実させるなど。いつまでに何をどう準備するかを具体的に計画できれば理想的。

こうやってSWOTを将来のチャンスに備え新しく身につけるべきスキルや経験、人脈などを開発していく計画に利用。目標とアクションは定期的にチェックし、実現度を上げていく。

当サイト、リソースセンターのツールにあるSWOT分析とアクションプランのテンプレートを活用し、効果的なキャリア戦略を作り出してほしい。

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面接での笑顔

模擬面接でよく指摘するポイントに「もっとスマイルを」がある。笑顔は自信や積極性、相手への関心をイメージさせ、他者との協調性、親しみやすさも伝えるという。本人をリラックスさせる効果もあり、場の空気も和ませる。

ただし、自然で時と場面に応じた笑顔が条件。終始ニヤついたり、面接官が笑顔で楽しい話しをしているのにむっつり、真面目な話し中、満面の笑みといった反応も逆効果。国連時代、受け答えは素晴らしいのに、笑顔がなく終始無表情の候補者がいて、将来一緒に働きたくない、という感想が出たことがある。

ではいつスマイルを使うか。まず、面接官と会った時に笑顔で元気よく自分をアピールし、第一印象を強める。自分が熱意を持っているテーマについて話す際、無意識に出てくるような笑顔も効果的。また面接官が笑顔で話せば、ミラー効果でこちらにもスマイルが伝わってくるもの。そして面接の最後もニコッとして挨拶し好印象のまま終わらせたい。

スマイルは電話やスカイプ面接にも有効。特に電話では双方の顔が見えなくても、笑顔が口調や声に反映され面接官に効果的に伝わる。

不自然な笑顔は面接には逆効果。人間の脳には、顔の筋肉の動かし方の違う擬似スマイルを見分ける能力があるそうだから、返って警戒されてしまう。しかし緊張している面接中にどうやって自然な笑顔が作れるのか。

面接前、自分で鏡を見て笑顔のトレーニングをしてみよう。口角をあげ、目尻を下げる、という2点を意識すると、表情筋が和らぎ自然な笑顔が出しやすい。スマイルが面接テクニックの全てではないが、その効果は大きいので練習する価値はあるだろう。

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2019 年度 JPO 試験

 

JPO 試験募集要項が外務省から発表された。昨年と幾分違う点があるので気をつけたい。

まず試験の日程が前倒しになり応募も2月から開始。年齢制限は今年2月1日現在で35歳まで、経験年数と学歴は9月までを考慮。着任時期も最終12月31日と早くなる。応募締め切りは3月4日で、応募期間は例年より約一週間短い。

応募書類を送る前に、専用サイトでの事前登録が必要なのも今年の特徴。2月いっぱいが登録期間だが、希望の機関も入力するので、まず機関を決定する必要がある。例年と違い希望機関選択は一つだけなので、迷う応募者もいるだろう。各機関の空席が2月中にはっきりしないと判断が難しく、動機も書きにくい。

外務省枠応募では、希望外の機関の方が適当と判断された場合も含め、行き先は最終的に外務省が決定する。OECD, UNDP, WFP枠での応募者以外は、希望はあくまでも希望と割り切りギリギリまで悩み応募を遅らせないようにしたいもの。重要なのは総合上位120名以内に入り第一次選考を通過することだ。

この他の変化として、第二次試験が東京とジュネーブだけという点、すでに国際機関での勤務経験があってもP1相当以下の契約であれば応募資格があること、メールでの応募を二度に分けさせ書類を機密扱いする点、など。

応募の際、履歴書のサインを忘れないこと、重複して応募しないこと(メール、または郵送、宅急便いずれか)、語学証明書以外の添付は不要なこと、受付通知がこない場合は問い合わせることなどにも留意。応募期間が短いので、早めに書類を用意し余裕を持って応募したいもの。

キャリア国際機関でも応募書類添削、筆記テスト、面接準備の支援をしているので利用してほしい。JPO添削について

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年頭のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。

2019年は平成が終わり新しい年号となる年。 「もの」の時代、昭和、「こころ」の時代と言われた平成の次に来るのは、どんな年号のどのような年だろうか。

昨年は国際機関でのキャリア開発を目指す人にとっては、心強い年だったと思う。国際機関の邦人就職に政府が力をいれ、関連する情報発信やイベント、企画に充実したプラグラムが展開された。若手レベルだけでなく、中間職、管理職を目指す候補者の支援も目につくようになった。

この傾向はさらに強まり、今年は国際機関就職希望者にとってはますますチャンスが増える、という期待が持てる。

2019年からJPO派遣候補者選考試験の応募受付期間も変化し、募集要項公表 も間近と思われる。キャリア国際機関も今まで以上にキャリア支援に積極的に働きかけていきたい。さしあたりJPO試験応募者を、書類作成やキャリアプラン、職種の選び方などを通じ応援するつもりである。 

特に応募書類添削に関しては、締め切り日近くはリクエストで混み合うので余裕を持って送ってほしい。

2019年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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親睦イベント

クリスマスから新年にかけて、忘年会や新年会など親睦イベントが相次ぐシーズンだ。国際機関も例に洩れず、自分の属しているサービス以外にも、他の部署や団体の企画するクリスマスパーテイなどに招待される機会は多い。

国際機関では職場以外に同僚を知る機会は限られている。全職員対象の研修会、集会の他は、同好会、そして親睦イベントくらいだろう。これらの魅力は、専門分野やグレードに縛られずに、普段の仕事仲間以外の職員と知り合えるところ。

レセプションで隣にいた陽気な同僚が最高幹部の一人、というのはよくあるエピソード。新入職員や退職準備用のセミナーでは、仕事上でほぼ会う機会のない同僚の存在を発見することが多く、新鮮な驚きがある。

しかしそんな機会のないまま何年かたち、職場の同僚以外とは疎遠になる例も多。コーヒーや昼食も大方同僚と一緒か、一人。仕事に専念し、課外活動や集会もパスしているうち機関内の知人は限られてくる。

普段時間のない職員でも年末年始のイベント参加は可能だろう。このシーズンは休暇を取るものが多く、パーテイもあちこちで開かれる上、契約更新時期とも合いまり、仕事効率は鈍る。メール、電話では無く、直接話し合うチャンスでもある。

官僚、縦割り社会の国際機関で、部署を縦断したネットワーク作りは貴重。年末、年始のイベントに積極的に参加し、他職員の新鮮な考え方、活動の仕方に触れられる好機を利用したいものだ。

 

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メールの挨拶

空席応募、インターン申し込み、推薦状などで国際機関と英語メールのやり取りをした経験はあるだろうか。問い合わせメールや人事部への返事など、内容は色々でも書き出しと結びの挨拶は共通。今回はこの挨拶に注目した。

書き出しは、国際機関側から来たメールへ返事する場合、Dearの後にMr./Ms.をつけ差出人の名前をコピー。Dear Mr.King, Dear Ms. Smith, ファーストネームならDear Samantha といった具合。

名前から性別がわからない場合はDearの後Mr./ Ms.を付けず、名前、苗字の順でかけば失礼にならない。苗字しかわからずしかも性別不明というケースはMr./ Ms.両方を前につける。スペルに間違いのないようチェックしたいもの。

担当者の名前が不明の場合は、Dear Human Resources Manager、Dear Hiring Manager などを使うといいだろう。名前も担当部署もわからない時はTo whom it may concern, Hello, Greetingsなどで開始。

正式なメールではグリーテイングの後はセミコロンDear Ms.Fisher:を使うが、一般的なメールであればコンマが普通。イギリス式のピリオドなし、セミコロンMr/Mrs: は国際機関では稀だ。

某Eメールソフト会社の調査によると、メールの結びで人気のあるのは、Thanks in advance, Thanks, Thank you など。Kind regards, Best, Cheersは国際機関でもよく使用。Sincerely, Respectfully, Cordiallyは古っぽいせいかあまり見ない。返事メールの場合、もらったメールの最後の挨拶と同じものを使うのも手。

職場の同僚同士ではファーストネームで開始し、自分の名前で終わるメールも多い。ただしこれを部外者がすると、ぶっきらぼうな印象になるので気をつけよう。

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