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キャリア国際機関2017年の軌跡

キャリア国際機関のサイトを立ち上げ、国際機関キャリア支援サービスを始めて早二年半あまり。今年の主な活動と成果を振り返って見たい。

今年もほぼ2週間おきに、国際機関のキャリア開発に役立ちそうな記事をアップロードしてきた。掲載された記事は25件あまり。2017年にキャリアアドバイス、コーチング、応募書類添削、模擬面接等のサービスを利用した者は約70人。報告のあった範囲では、JPO試験を経ての者も含め、国際機関に採用されたものが7名とうれしい結果に結びついている。

筆記試験や面接までたどり着くも、無念の結果に終わる人がいる一方、JPOやYPP等の狭き門をくぐり試験に受かりながらも、赴任を迷う者もおり、キャリアとは人それぞれだなと強く感じた一年でもあった。

今年はレクチャーの機会にも恵まれた。外務省主催の応募書類書き方セミナーを東京で2度行ったほか、日本の大学向け講義が二度、某アメリカ大学のスイスキャンパス でもキャリア 開発セミナーを実行した。また日本の 大学院生及びジュネーブ国際機関訪問ツアーの学生たちに個別キャリアカウンセリングをする機会に恵まれ、若さの可能性を感じさせてもらった。

外務省人事センター等の努力のおかげで、国際機関就職関係の情報は充実している。しかし、個別のプロフィールやキャリアのニーズに合った 機関や空席を捜し、応募書類を作るための支援 は稀である。とくに地方の社会人や海外在住者は孤立しがち。アドバイスや適切な情報のないまま、プロフィールの合致していないポストに 応募を繰り返し、あきらめてしまうケースも多いと想像できる。

国際機関就職希望者のみならず現職員からもアドバイスやコーチングの依頼はあり、この分野でもキャリアサポートの強化は必要だろう。とくにJPOはコーチやメンターが早い時点からついていれば、 正式職員になれる可能性が高くなると思う。

なるべくたくさんの人に役立ちたいという思いから、キャリア国際機関のサービス料金は比較的低く設定してある。応募の成功、不成功にかかわらずアドバイスや面接、書類添削後の結果を知らせてもらえると、とてもやりがいがある。

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第二外国語

国際機関就職やキャリア開発を目指す場合、英語の他にどの外国語を学んだらよいか、という質問をよく受ける。国連事務局の作業言語は英語とフランス語であることから、 フランス語を勧めるが、実情は意外と複雑。特に開発系の仕事では要注意だろう。

空席広告ではほぼどこでも英語が要求されるが、二番目の言語としてフランス語、またはその他の公用語 (国連であればスペイン語、中国語、ロシア語、アラビア語)ができると有利になる 機関がほとんど。UNICEF では第二言語が公用語でない現地語でも認められる。

ただしUPU (万国郵便連合)UNOG, OECD, UNESCOやWHO 本部では、第一、第二言語として英仏どちらも要求される。 一方IMFや ADB 等の空席広告では第二外国語は とりわけ記されていない。

ウィキペディアによると 使用国の数が多い 言語は、英語の他フランス語、アラビア語、スペイン語、ポルトガル語。 フランス語はアフリカ54国の半数近くが使用しているし、スペイン語は南米で圧倒的に強い。アラビア語 は途上国を含め広い地域で使われている。

ポルトガル語はブラジルをはじめ、アフリカでも6カ国が使用している。国際電気通信連合時代にはよくアフリカのフランス語圏でセミナーをしたが、ポルトガル語の参加者にわかってもらうのに四苦八苦したものだ。公用語ではないものの、空席広告で第二外国語として要求されることもある。

開発関係で アラビア語、ポルトガル語が穴 と言われるのは、需要の割に英語プラスそれらを話す候補者が少ないという背景にもよる。 公用語とは言え、ロシア語、中国語は使用国が限られており他の言語に比べ適応範囲が狭いといえる。

ジュニアレベル採用者の81.5%が2つ以上の公用語 ができる、という統計が出ているくらい、語学力は重要なスキル。言語が一つできると キャリア開発の可能性も広がる。キャリアアップの条件に可動性が求められる今日、 第二外国語をどう選択し、どの国で適用していく かの戦略も重要となるだろう。

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国際機関の冬休み

以前国際機関の夏休みの話をしたが、今回は冬休みについて。クリスマスと年末年始の休暇シーズンはもう間近だ。

日本でも師走という言葉があるが、年末は国際機関にとっても忙しい時期。プロジェクトの年度末報告書作成や契約終結、更新などに追われる。大抵の機関では経理決済の時期でもあり、予算や出費の調整、プログラム資金などの処理を要求される。人事部でも職員の契約更新 、休暇届け、待遇変更など休暇前の処理事項リストは長い。

個人レベルでも来年にくり越しできない休日チェックや、数ある宴会への出席、職員同士のクリスマスカードやメールの交換から、部下へのプレゼントなどで多忙となる。祖国の名物料理を持ち寄ったり、民族衣裳を着て出席したりするパーティーは国際機関年末の風物詩でもあろう。

ここで要チェックは休暇プラン。国外在住者の多い国際機関では長期の休暇を取れるクリスマス、年末年始は故国に里帰りするチャンスだ。同じ部で全員欠席にならないよう調整し、チーフ 代行の指名も必要となる。

喧騒に満ちた年末もクリスマス過ぎにはぐっと静まる。その前に 決済を取れなかった事項は来年まで保留。決断に時間を要する新しい企画や、人材決定などもこの間据え置きとなる。

このように年末年始は国際機関では慌ただしいシーズン。12月に赴任したり、インターンを始めたりするのは避け、できれば新年から新たな気持ちで仕事を始めたいものだ。

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異文化間コミュニケーションとユーモア

異文化衝突の多い多民族社会では、ユーモアは頻繁に見られるコミュニケーションツール。衝突を回避したり、敵対心や緊張を緩和したりするのに使われる。歴代のアメリカの大統領の中には、演説にユーモアを交えるため専門家を雇った者すらいた。

ユーモアは職場でもストレスを減少させ、心地よく過ごせる環境を作り、生産性や効率を上げられる。ユーモアのある人材は企業や組織においても有益というわけだ。

国際機関でもユーモアの効用は大。人気のある職員や、研修インストラクターにはユーモアのあるものが多い。笑いながら人を攻撃することはできないそうだが、上司や顧客とニコニコし合って、難しい場を切りぬけた同僚も何度か目にした。

しかし、ユーモアには危険も伴う。おかしい、という概念はかなり個人的で、文脈や文化に規定されるもの。多文化間コミュニケーションでは、気づかれずに誤解されたり侮 辱的になったりもする。大事なプレゼンや面接の時などにジョークを出すのはリスクが多いと言えよう。

日本人は笑わない、ユーモアがない、とよく言われる。文化的背景の多くを共有している日本人同士では必要度が低いためらしい。文化的背景の違う者との会話では、使い慣れないユーモアが理解されないこともある。

だが、ユーモアは先天的な能力ではなく後から身につけるビジネススキルであるとも言われる。ジョークの一つや二つ飛ばし、周りをクスッとさせられれば、国際機関での人間関係もスムースになってくるだろう。

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国際的経験

国際機関ポスト応募前に注意したいのは、要求される学歴、 経験、言語その他の条件を完全に満たしているかという点。Asset、 Advantage 、Desirableと書かれたものも含め、これらの条件に合致していない場合、採用の見込みはほぼないといえよう。

例えば国際レベルの経験を要求されている場合、国内での経験しかないと応募は無駄。取り立てて 記していなくても、国際的経験は国際機関就職に必須でありJPO受験にも有利だ。

学生時代には留学、国際機関 やNGOインターン ,  JICAの海外青年協力隊等 の機会がある。しかしその後 海外で職務経験を作るのは容易ではない。一部の私企業、在外公館の職員や調査員 、JICAなどに限られてしまう。

国内でも多文化環境の職場や、海外 出張の多い仕事を選ぶといいだろう。例えば途上国出張の多い開発コンサルや人道支援系の組織、外資系会社 、 開発銀行、在日国際機関、 NGO など 。研究機関やNGOで国際機関とのパートナー活動を行うケースや、官庁の国際部から政府代表としての出張も考えられる。

また休暇中に途上国でボランタリー活動をしたり、国連オンラインボランタリーwww.onlinevolunteering.org利用 も可能だろう。

国際機関を目指すのなら、学生時代から心がけて、国際機関との接点を増やしていく必要がある。早い時期からキャリアプランを立て国際的な経験を 積んでいけば効果的。キャリア国際機関のアドバイスもどんどん利用してほしい。

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キャリアプラン

外務省国際機関人事センター主催、応募書類の書き方セミナーが10月11日東京で開催された。当サイトの管理人小島晶子が、 国際機関応募に必要な履歴書及びカバーレターの書き方について指導。70人あまりが参加した。

当センターの努力のおかげで、 国際機関就職セミナーは頻繁にあり 一般的な情報はよく浸透している。しかし、応募には 個別のプロフィールやキャリアのニーズに合った国際機関や空席を捜し出すのが先決。参加者の熱心な質問から、応募書類作成以前 にキャリアプランへのサポートがもっと必要と感じられた。

本人の経歴や資質、目標にマッチした職種、機関そしてグレードの空席を効果的に目指してこそ、雇用側にアピールする応募書類が書けるというもの。空席と自己プロフィールの合致を判断する情報が不足していると応募は空振りとなる。

キャリアパスや専門分野、職場環境が複雑化してきている今日、国際機関就職にも一般的なキャリアモデルが定義できにくくなっている。より可動性、柔軟性に富む戦略が必要だ。今までとは違った個性的な経歴を作っていける時代であるとも言えよう。

キャリア国際機関では応募書類の添削サービスをしているが、その以前のステップであるキャリアカウンセリングも提供している。応募の前に、空席と自己の経歴そしてキャリアプランとの合致をもっと検討してみるといいだろう。

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応募前のチェック

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何度応募しても雇用側から 反応がない、という状況はよくある。書類選考を通りテストや面接に進めないのはなぜなのか。 ポストに必要とされる条件を本当に満たしているか再確認してみよう。

以外に思われるが、 候補者の大多数は 空席広告の記述もろくに読まず応募ボタンを押しているようだ。採用担当をしていた時代、 学歴、経験、言語という最低必要条件すらも満たしていない履歴書の多さに唖然としたもの。 プロフィールにあった時だけ応募するというのは、常識のようでいて案外 無視されている。

応募前、以下の事項を チェックしよう。まず職種、部署、グレード、勤務地、契約タイプ等 の雇用条件 。空席によっては内部職員限りのもの、ある国籍優先などと特殊な条件が付いているので気をつける。職務の記述も念入りに読み、内容、責任の範囲やレベルを把握すると履歴書も書きやすい。

次にポストに必要とされる学位、経験の分野と長さ、必要言語の条件を満たしているか確かめる。 最低条件の他にasset、 advantage などと記された資格や特殊な経験(例えば途上国での経験や経理士の資格など)を満たしていない場合、内部職員ならともかく、外部からの応募者に採用チャンスはほぼないと言える。

資格条件と自分の経歴がマッチしているかどうかの確認は客観的にやってほしい。 表示されている最低限の資格と、あると有利と記された条件に 全て合っている場合のみ最終選考対象となる。 定期的に空席公募をチェックし 足りない資格や技能、経験を常に補うように努めて、 採用に繋がる応募書類を送りたいものだ。

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国際機関に適したプロフィール

国際機関の空席広告に応募する場合、要求された学歴、経験、資格などを全部クリアしているのは最低条件。競争相手に差をつけられるのは 以下の付加価値だ。開発、人道支援関係はもちろん、大抵のポストに通用する。これらの要素が多いほど、 国際機関では歓迎される。

フィールド事務所の経験、特に緊急事態地域での経験は本部のポストに応募する際も貴重。アフガニスタンやスーダンのような、困難な環境での仕事はとりわけ評価される。国連採用者の約半数は緊急事態状況での勤務経験があると言われる。

フィールド活動中心の機関は、可動性のある 経歴を重視。空席の活動区域、地方、国などで働いた経験があり、それが最近であるほど 採用後すぐに実務可能とみなされ有利となる。

同じセクターで働いていればプラス。例えばUNHCRに応募するとき難民関連のNGOや公共機関の難民担当だったりした場合だ。内部職員や、類似活動 機関の職員は面接まで行ける可能性も高い。UNHCR からIOM, UNCTAD とWTOなどが良い例。この時同じグレードまたは一つ下のグレードだったり、ロスターに入っていたりしていれば、さらに有望だ。

国際機関の業務語は英語とフランス語だが、その他の公用語( アラブ、スペイン、ロシア、中国語)の一つでもできれば有利。特に開発系ではアラブ語や、公用語ではないが、ポルトガル語ができると重宝される。 ジュニアレベルでは 、採用者の約80パーセント が2種類以上の公用語に通じているという統計が出ている。日本人には難しい条件だが、言語の重要性にももっと目を向けたいもの。

管理職に応募するのであれば、他の国際機関ですでにリーダーとして活躍した経験は評価される。その機関が大手で、地域事務所も多ければ申し分ない。

ほぼ応募者数全員が修士とういう昨今、博士号を持っていれば差がつけられる。もちろん仕事に関連する分野。博士号の応募者は国連では全体の約9パーセントだそうだが、OECDのようなリサーチ、政策分析中心の職務だと、YPP(若者向けの採用プログラム )選抜者の半数がPhD保持者と報告されている。

これらが、国際機関で重宝されるプロフィール。このうちのいくつかあれば、応募書類を作る段階から 充分にアピールしたいものだ。

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日本語を生かせる国際機関の仕事

「国連で働いています」というと、よく返ってくるのが 「 通訳ですか 」、という質問。日本国内で想像する国際機関の仕事とは、その程度のイメージなのかと唖然とする。

国連の公用語は、英、仏、スペイン、アラブ、ロシア、中国語の6カ国語。通訳、翻訳官はこの内の一つを母国語とし、他の2種類の公用語からその言語に通訳、または翻訳する。ただし、アラブ語、中国語の場合 、母国語ほか2カ国語が達者なものは稀なので、それぞれの母国語を英語かフランス語に、そして そこから母国語に直せば良いことになっている。

通訳、翻訳官等は言語スタッフと呼ばれる専門職。一斉採用キャンペーンで 採用者を多数リストアップし、空席が空き次第徐々に配置していく。日本語は公用語ではないので、正式国連職員としての日本語通訳、翻訳官は存在しないことになる。

国際機関で日本語が生かせる仕事は多少存在する。例えばWIPO(世界知的所有権機関)のパテント関係ポストやそれに関する翻訳など。ILOでは、職員ではないが、大会議の際は 日本代表団に通訳がつく伝統がある 。国連の日本語ガイドも少ないながら需要はある。

邦人がトップに立っている機関やプログラム の特別補佐 や日本事務所とのリエゾンの仕事にも日本語は有利。大きな機関だと雇用担当官に日本人をあて、邦人採用に活用する場合もある。

このほかUNV(国連ボランテイア計画)では定期的に日本人向け、日本語使用ポストを公募している。ボランテイアであるが、手当もつき、国際機関の経験として認められる。また在日国際機関ポストの多くには、 日本語が望ましい条件に含まれている。

いずれの場合もあくまで、学位、経験などの基本条件を満たしてのみ日本語が生かせるわけだ。国際機関では、おしなべて英語母国語の者が有利と言われるが、少ないとはいえこのような機会もあるので、逃さず利用したいものだ。

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ネット面接ハプニング

模擬面接の依頼が立て込んでいたある週、普段ならありえないハプニング が2度あった。まず、候補者側のマイクが作動せず音声なしとなった場面。もう一回はこちらの居住地全区でスカイプが故障した時。どちらも修復の見通しが立たず、結局日を改めて模擬面接を行なった。

本番の面接でも、予期しなかった問題が急に発生することがある。例えばマイクやカメラ、パソコンがうまく機能しない事態。また アプリに障害が出たり、インターネットとの接続が悪かったりと状況は様々だ。

採用側としても、インターネット面接中予期しない 出来事を色々体験した。突然の停電、予告なしに誰かが部屋に入ってきた時、ネットや電源の急な乱れなど。準備万端で臨んでも不慮のハプニングが避けられない場面はどうしてもある。

このような時、一番必要なことは落ち着くこと。採用側と連絡がとれれば、状況を説明して指示を仰ぐ。相手からは時間や日にちを改めて再開するか、電話回線に切り変えて続行するか等の決断が出るはずだ。急に接続が切れてしまい自分の方から何もできない時はそのまましばらく待つ。

何れにしても、パニックに陥ることなく冷静に対処したいもの。国際機関側では、 よくあること、特に途上国との接続にはありがち 、と認識しているのでそれ程気にしなくていい。ただし、自分の事前の準備が万全 でなく面接続行に障害が出た場合は、印象が悪くなるので気をつけたい。

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