
日本人職員が国連になかなか就職できない主な理由として、言語の壁、曖昧な表現の仕方、国際的な職場経験の乏しさ、専門性に欠ける履歴、組織文化の違い、控えめな自己アピールなどが考えられる。
一方で国際機関就職に成功している日本人には、共通点が見られる。海外教育や留学経験が豊富であり、異文化環境での職務経験があること。それにより、積極的に発言・意見を明確に述べる訓練ができており、自分の立場を論理的に説明し、相手と交渉できる力が備わっている点だ。
外国語を使う機会に乏しい日本人にとっては、英語とその関連文化へのハードルは高い。特に中堅の専門家である場合、専門知識は世界レベルでもそれをフルにアピールし、採用までこぎつけるのは至難の業。
英語が公式な言語の国は58ヵ国程度あり、世界で30パーセント程度。このような国で生活していれば、言語のハンデはなく、うらやましいくらいである。
また国連の公用語である、英、仏、スペイン、アラブ、ロシア、中国語のうち2つが公用語となっている、カナダ、カメルーン、バヌアツ、(英語とフランス語)ベリーズ(英語とスペイン語)シンガポール(英語と中国語)国籍の者はもっと有利ということになるが、カナダとカメルーン以外はそれほど採用率に反映されていないようだ。
だが日本人には言葉や文化のハンデを補う強みもある。日本人ならではの誠実さ、調整力、そして仕事を確実にやり遂げる姿勢は、周囲から高く評価され、信頼を得ている。まじめでたよりになる同僚、というのが邦人職員の一般的な印象であろう。
すでに多くの日本人職員が、語学力や交渉力、多文化適応力を磨きながら、JPOやUNVなどの制度を活用して、着実に国際社会で活躍している。今後はこうした強みを土台に、自らの立場を発信し交渉できる力を育てていくことが、国際機関での存在感をさらに高める鍵となるだろう。






