年末年始に向けて

今年もあと10日足らず。師走と言われるようにせわしない、かつ活気に満ちたシーズンである。

今年の最大注目事項は何といってもイスラエル・ガザ情勢だろう。もうすぐ2年になるウクライナ紛争終止のめども立たないまま、新たな戦争が始まり、人権問題が深刻になっている。

ウクライナの場合もそうだが、一度紛争が始まると和平へのプロセスが長引き、周りへの影響がどんどん広まっていくのが気になる。どちらも第3次世界大戦へと展開していく可能性も秘めている。この暗いニュースで年を越す可能性はかなり大きそうだ。

AIの著しい台頭も今年の特徴の一つ。キャリア国際機関提供サービスでも、今年は国際機関応募者のAI利用が一般化したためか、今まで多数だった応募書類添削依頼が激減。その代わりキャリアアドバイス、模擬面接、テスト準備サポート依頼が顕著となった。

このように2023年は多くの面で大きく、かつ深い変化があり、それらの影響の波も長く続きそうなのが特徴。

辰年である来年が、干支どうり知識の獲得やスピリチュアルな成長を促進する年となり、平和が促進されることを期待したいものだ。

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COP28

COP28がドバイで11月30日から12月12日まで開催中。190カ国以上が参加し、地球温暖化対策として二酸化炭素排出量抑制や途上国支援を議論する。

COPとは気候変動枠組条約(UNFCCC)の下で1995年から年次開催されている気候変動に特化した国連会議。毎年開催され今年で28回目。

最も注視すべきは、COP21のパリ協定で、気温上昇を1.5℃内に抑えることに、各国が同意したこと。同協定は、温室効果ガスの排出削減と気候変動適応への対策を明確にすることを各締約国に求める「国内決定貢献(NDC)」を定めた。

今会議の注目は第1回「グローバル・ストックテイク(GST)」というNDCを検証する枠組み。各国目標と温暖化対策の進捗(しんちょく)への、初チェックがされる。

検証のたたき台となる国連の報告書は9月に発表され、各国が二酸化炭素(CO₂)排出削減に十分な進捗を遂げていないと指摘した。UNFCCC事務局のサイモン・スティル事務局長は「COP28が明確な転換点とならなければならない。各国政府は気候変動に向けた取り組みを強化すると約束するだけでなく、それをどのように実現するかを詳細に示す必要がある」と強調。

国連環境計画(UNEP)は今月20日に発表した報告書で、各国の課題は膨大なものになると予想。2030年までに気温が2.5~2.9度上昇するという現行シナリオを避けるためには、同年までに排出量を42%削減する必要がある。UNEPによると各国の削減目標と国内政策にはズレがあり、化石燃料の上位生産国は、2030年に現在よりも多くの石油・ガス・石炭を生産する計画だと指摘。

また世界気象機関(WMO)は今月15日、地球温暖化の原因となるCO₂やメタン、亜酸化窒素を含む温室効果ガスの2022年の排出量は過去最高と指摘。今年の気温上昇はすでに危険なほど1.5度目標に迫っており、5年以内にこれを超える可能性が「高い」と予測した。

一方で希望的な要素もある。エネルギー転換技術に対する世界の投資は、2022年に1兆3,000億米ドルと過去最高を記録。国際エネルギー機関(IEA)は今年世界の再エネの増加量が過去最多になると予測。また石油・ガスの主要生産国であるドバイがCOP28議長国を務めることで、OPECの協力も期待できるかもしれない。

気候変動のよる災害や異常気象が相次ぐ中、どう脱炭素化を加速するか、どう国際社会が企業や公共団体と協調して変革を実行するのか注目される。

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国際機関応募とAI

前回も触れた国際機関採用プロセスとAI。今回は応募者の観点からの話題である。

AIを利用して履歴書やカバーレターを作成する応募者は激増している。空席に合わせ、英語の間違いのない書類を即座に作成できるところが魅力だ。AIが作成した書類のおかげでスクリーンされる可能性は、以前の応募書類より高くなるかも。ただし、応募者全員がAI利用者であればもとの黙阿弥といえる。

スクリーン後によく行われる筆記テスト。ここで応募者がAIを利用してエッセイ等を作成するのは、採用側にとって頭の痛いところ。いくら禁止しても、より質の高いエッセイを目指して応募者がAIに走るのは想像できる上、コントロールは難しいからだ。

現在のところ、国際機関独自の専門分野に関する質問に正確に答えるにはAIもデータ不足かもしれない。だが大抵の質問に答えは見つかる筈であり、情報も将来充実してくるだろう。

機関によっては答えを書く時のデスク状況を録画させ、インターネット検索していないかチェックしている。またAIで書かれた文章かどうかを分析するアプリや盗作チェッカー使用、人間が念入りに読み込む、など色々対策はある。

だが時間も手間もかけ判断を下しても100パーセントのコントロールはできない。AIの作った文章の長々しさや、不自然さを調整すれば、あたかも応募者が自分で書いたような自然な文章にも加工可能である。

応募者のAI使用に、国際機関が今後どういう対策をたてていくかが注目される。例えば筆記テストにしないで、自動録画で専門分野の課題にすぐ答えさせるようなツールを使用するとか、応募者に短い動画を作成させるとか、AIを利用することのできない環境での選考が必要となるだろう。

色々な分野で静かな革命を起こしているAI。国際機関のスクリーニングや面接にも、まだまだ利用される可能性はありそうだ。

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採用過程とAI

AI は採用プロセスに重大な変化をもたらした。国際機関でも例外ではない。応募書類のスクリーニング、候補者データの分析、面接特にスクリーニング面接や、適正検査等、AIの出番は多い。

面接やアセスメントエクササイズの日程調整、スタンダードなメールなど、採用プロセスはルーティーン化しやすく、AI採用で効率性、公平性をあげ、エラーを防げる。将来はもっと使用範囲が広がると予想される。

現在一番使用されているのは最初の書類選考とポスト適格者サーチであろう。担当者のバイアスが入ることなく、的確に速やかなスクリーニングができるのが魅力。コスト削減の可能性もある。

ただし採用過程全部をAIに任せることはできず、あくまで補助。とくに最終面接では応募者の熱意や組織との文化的フィットなど、人間でないと判断できない要素が多い。

また過去のデータ蓄積量が少ないと、精度の高い判定は難しい点やAI判断基準がどう組み込まれているか不明な場合等、まだ手探りの課題もある。

今までの国際機関の採用過程は、応募者にとって印象の良くないものだった。まずリクルートメントに時間がかかりすぎる。また結果の連絡がすぐ来ないことや、質問があっても誰も答えてくれないこと等サービス度は低い。これらがAI使用で大幅に改善されれば、応募者側にも特典があるというもの。

応募者としてもAIを活用して競争力をあげたいもの。例えば応募書類の出来具合をチェックしたり、キーワードを入れたりしてスクリーニングに備えると良いだろう。カバーレターも同様に、書類考査を通過するように吟味する。キャリア国際機関の支援サービスも利用してほしい。

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履歴書の空白期間

キャリアはひとそれぞれ。育児や介護、大学での学び直し、長期の旅行、解雇などさまざまな理由で仕事をしない時期もあるだろう。応募書類や面接ではどう表現すべきか。

履歴書に説明なしの空白期間があると、採用側では疑問をもち、履歴書のアピール度は下がる。また面接で聞かれてから答えるようだと、好印象は与えない。ハンデになるのを恐れて空白に触れないでいると、発覚した場合のダメージは大きいと言える。

理由が何であれ、6か月以上の空白は履歴書やカバーレターで正直に説明をするのがお勧め。この長さは絶対ではなく、国連では26週間まで有給で産前産後休暇が取れるので、それを越したあたりを目安としている。

応募書類に空白がある場合、まず空白期間の理由、活動を簡潔に説明。産休や子育て、介護などはよくある事情であり、ワークライフバランスを重視する国際機関の理解度は高い。

大学や長期旅行、ボランティア活動も前向きに学んだ経験や、言語、文化への適応性、グローバルな視点の開発などを強調すると、単なる空白期の説明だけでなく、自分の成長点としてアピールできる。

大量解雇の対象となった場合は、個人の能力とは関係ない組織的な問題であることを強調。

業績や人間関係が原因の解雇や退職は、もっと念入りな説明が必要だろう。応募書類上での言及は難しいが、面接の場合、自分の思っていた役割と違う仕事だった、スキルや能力をフル活用できなかった、活動範囲が限られていた等の説明をポジティブに展開。過去の雇用主や同僚に対する批判は避け、貴重な体験からの学びに重点を置く。

履歴書のブランクは、まず事状を記すこと。そしてカバーレターや面接でその経験から何を学び、次の仕事にどう生かすかを積極的に伝えることだ。履歴書の空白期間を前向きに語ることで、次の採用に繋げたいものだ。

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WMOと気候変動

世界気象機関(WMO)は、1950年3月23日に設立された国連の専門機関。気象、気候、水に関する科学情報を提供し、関連データ観測、監視のための国際協力を調整する。

職員は250人程で、同じジュネーブに本部を置くWHO(世界保健機関)やWTO(世界貿易機関)と勘違いされるほど知名度は低かった。だが近年、気候変動の現状を伝え、UNFCC やUNEPと共に解決策を提案する存在として、メディアによく取り上げられる。

WMOは 早期警報システムを全ての国に整備し、サイクロンや洪水、その他の異常気象の発生前段階で住民を確実に保護するための政治的、技術的、財政的取り組みの促進に力を注いでいる。

多くの地上、空中、海上観測所からなるWMOの世界的観測ネットワークは、地域予報用のデータを提供。またWMOは、気象観測やモニタリングの基準設定のほか、気象観測の統一とデータ・統計のアクセシビリティー向上、気象学的研究・訓練の調整も行っている。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)本部もWMOに置かれている。IPPCは、政策立案者に気候変動に関する科学的な情報を提供するため、1988年に国連環境計画(UNEP)と共に設立された。気候変動が自然環境や人の生活に与える影響について、定期的に科学的評価報告書を発表し政府の気候関連政策や、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における交渉の基盤となっている。

世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるのに各国が同意したのが2016年だが、WMOは今年5月の最新報告で、66%の確率で2027年までに気温上昇が1.5℃を超え、98%の確率でそのうちの少なくとも1年は記録的な暑さになる可能性があると発表。IPCCによると、現在の気候政策では、今世紀末までに世界の平均気温は2.7℃上昇し、地球がこれまでに経験したことのないレベルに達するという。

2024年1月よりWMO事務局長に就任するアルゼンチンのサウロ氏は「異常気象が先進国を襲う今、そこに住む意思決定者たちが考えを改め、行動を加速させることを願う」「だが、これはグローバル企業の問題でもある。その中には影響力も温室効果ガスの排出量も一国家を上回る企業がある。今こそ、彼らが反応すべき時なのだ」と話している。

国連の中でも科学的な組織として、重要性が再認識されているWMO。世界の気象基準、気候変動とその影響に対処する努力にWMOがどう影響するかが注目される。

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キャリアに関する疑問

キャリアカウンセリングには様々な質問が寄せられる。その中で比較的よく聞かれるものに答えてみた。

Q1. 国連の正規専門職のジュニアレベルには、どんな種類がありますか。

A1. ジュニアレベルだと、国際採用のP-1 、P-2と国に特化したNO-A (ジュニアレベル)NO-B(A よりやや高いレベル)の2種類があります。NO- AやB は National Officer と呼ばれ、その機関がある国の国籍保持者だけが応募可能です。

Q2. 学士だけでP-2に応募できますか。

A2. 普通は修士プラス最低2年の専門分野での経験が要求されますが、機関により学士プラス4年でも受け入れられます。最近は学士を受け入れる機関が多くなっているようです。日本政府が募集するJPOには修士が必要です。

Q3. P-1 からP-3のポストは競争が激しいと言われるのは何故ですか。

A3. P-1はポスト数が極端に少なく、公募はほぼ見られません。P-2はJPO や内部の競争試験に使われるので、やはりポスト数は限られています。大多数の候補者は経験が2年ありP-2の公募に集中するため競争率が高いです。

また大抵の機関ではすでにロスター登録されて即採用できる応募者がおり、優先されます。特にP-3ですと内部職員や上部に挙げたNO-staff (National Officer)との競争も激しくなります。

Q4. 応募条件の中に “a doctoral qualification in biology, ecology …” とありますが、持っていない場合、”博士号”に見合う実務キャリア、ということで担保することはできますか。

A4. 国際機関で博士号を要求するポストは少なくほぼ見かけませんが、わざわざ空席公告に書いてある場合はその学歴が必須ということです。応募要項に博士号またはそれに見合う経験( doctoral qualification or equivalent experience) と書いてない限り、外部からの応募者が博士号なしで選考通過することは難しいでしょう。

Q5. 同時に異なる機関、役職に応募は可能ですか。またそれによって不利になることはないですか。

A5. 国際機関の 複数の空席に応募する人は多く、それで不利になることはありません。

Q6. 応募中の案件の結果が出るまで、次の応募を保留すべきでしょうか。

A6. 結果が出るのは時間がかかる上、知らされない場合もあるので、新規に応募 する前に結果を待つ必要はありません。

Q7. 国際機関の空席は年中募集していると言われていますが、やはりメインは9月から10月が募集時期なのでしょうか?

A7. 締め切り明けがクリスマス、年末年始または夏休みにかかると、選考関係者が揃わなくなるため、採用プロセスが遅れます。これらの時期には空席公募数が減る傾向にあるようです。一方特に公募が急にふえる時期は決まっていません。空席や新しいポストが出た時、緊急補助が必要な事態、新企画や内部改革があった場合など状況によります。機関によっては空席リストをある時期に集中して発行するところもあります。

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夏季休業のお知らせ

いつもキャリア国際機関をご利用いただき、ありがとうございます。

8月22日より9月9日まで休業します。この間いただいたご連絡へのお返事は遅れますので、ご了承ください。

8月22日前の要件は、なるべく早くお申込みお願いします。

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筆記試験

採用プロセスの一部に筆記試験をとり入れている国際機関は多い。通常書類考査を通過した人対象に行われ、結果が良ければ最終選考者リスト(ショートリスト)まで残り面接に招待される。機関やポストにより実施しない場合もあるが、最近では稀のようだ。

大きな規模での採用キャンペーン(例えば国連の翻訳官採用試験、ヤングプロフェッショナル試験など)以外の特定のポストに応募した場合、筆記試験に呼ばれたということは、書類選考を突破した15から20人程度の候補者の中にいることを意味する。

面接前に専門知識をテストし、候補者を絞り込むのが筆記試験の基本主旨。インターネットを使って手軽に企画でき、募集ポストの上司が自分で採点、判断ができることから、専門知識に関するテーマを出題しエッセイ形式の答えを書かせることが多く、3から5問で2時間程度が主流。ケーススタディやプレゼン、その他のテストの可能性も高い。

筆記の代わりに自己録画アプリを使って、ビデオで答えさせる機関もある。この場合も専門知識評価が主な目的だが、書かなくてよい代わり短い時間で専門性をアピールするもの。また筆記テストやプレゼンを面接と同時に実施するケースも見られる。

筆記試験解答では、専門知識の高さは当然だが内容と表現両方のバランスがとれていることも採点基準のひとつ。表現面では言いたいことが文法ミスやタイプミスなしの理解しやすいスタイルで、簡潔かつ明確に表されており、論点の構造と発展に筋が通っていること。内容の面では、まず質問に答えているか、そして専門知識の充実度や独自の考えを持っているかなど、がチェックされる。

筆記試験の通知が来てから急に準備ができるものではないが、課題になりそうなトピックは空席広告からヒントを得られるので少なくても参考書類、サイト等の整理をやっておき、短い試験時間中に情報サーチ等に時間を取られないようにしておくべき。 また起承転結の節目で使う常套句をいくつか用意し、前もって論理の構造を作っておくという手もある。ただしこれはやり慣れてないとかえって焦りのもととなるので注意。普段から英語ライティングの練習をして実力を養っておくと良いだろう。

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国際機関でのキャリア

キャリアというのは個人的なものだから、十人十色。キャリアプランを細かく立て一歩ずつ確実に実行していくもの、とくに計画せず成り行きまかせなど、キャリアに対する姿勢は様々だ。

大抵の人は上記両極端のモデルの中間をいき、おおざっぱにプランや目標は立てていても、予定外の昇進や移動のチャンスに応じて道筋を調整していくのではないだろうか。

専門分野、職場環境が多様化している今日、キャリアプランもより柔軟性を要する。専門家として成果をあげ同機関でトップまで昇進、というパターンは減少しているようだ。単一の国際機関、同じ勤務地でのキャリア開発から、より可動性のあるキャリアが主流になっていくだろう。

また、国際機関一般的にプログラム遂行に必要な仕事が複雑化。専門家であっても追加の知識やスキルを要する。例えば農業経済学者に、農業や食料確保の他、気候変動の知識、プロジェクトマネジメントや基金収集能力、広報のスキルまでが求められる、といった具合。キャリア途上でトレーニングや経験を追加する場合も出てきそうだ。

今日、各機関ともグレード配分に中間レベルが多い平坦な階層構造になっている上、ポストごとの競争が激しさを増している。一方、新規創立機関、正規予算外ポスト創設や、離職、退職率増加からくる予定外の機会も存在しており、キャリアプラン調整はより頻繁になるだろう。

このようにキャリアの多様性、不確実性が高まる中で、変化に柔軟に対応し、自分でキャリアを開拓していくという姿勢が重要。キャリアは自己責任という意識を持ち、まめに機会や人脈を開発していく。早い時点で自分の価値観、得意分野や好みを知り、それに応じた目標を持てば計画も立てやすい。マイペースを見失わないことも自己のキャリアに満足する秘訣といえよう。

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