9月のセミナーでは応募の基本である、空席広告を完全に理解する、求められたプロフィールに当てはまる場合のみ応募する、空席毎に合わせた応募書類を作成するという三原則を主張した。この中から、空席広告の完全理解と必要条件に当てはまる場合にのみ応募という、関連した2点をクローズアップし、一番空席公募の多い国連のシステムを例にとって説明してみたい。
空席広告の最後に書いてある仕事遂行に必要な学歴、経験、資格等の基本条件(Qualifications required)は、最低満たしていなければならない基準でありそのうちのひとつでも欠けている応募書類は最初のスクリーニングで除かれる。現職員以外の候補者はこの時点で容赦なくはねられるので採用必要条件はクリアしておく必要がある。
ここで残った応募者を対象に、基礎条件に加えDesirable, advantage, asset などの形容詞のついた条件、例えば、特殊な資格、途上国での労働経験、国際機関での経験等のあると有利とみなされる条件のチェックがされる。また最低条件を満たしていていてもその質の高さ(たとえば経験の年数と環境、空席のポストに近い経験かなど)を問われることもある。この他、求められるコンペタンシーのプロフェッショナリスムの項に資格やソフトウェアが具体的に挙げられていると、これも選抜フイルターとなりえる。このようにして絞り込められた15人程の候補者が筆記試験に招待され、その結果を見て3から8人程度の最終候補者を選び面接となる。
空席広告で求められたプロフィールと自分の経歴がマッチしているかどうかの確認は冷静かつ客観的にやってほしい。自分のプロフィールが空席広告に表示されている基礎の資格プラス、有利と記された条件にあっていない場合は応募を見送るとともに、ミスマッチの分野や程度を見極め、今後の対策をたてることが大切になってくる。
同じ機関の複数の空席広告を分析すれば、採用基準の条件や傾向、または組織構成等がわかり将来応募する際の戦略が立てられるだろう。また異なる機関の同類職種の空席広告を比べることによって、機関ごとに採用基準が少しずつ違うことが発見できるかもしれない。自分と空席の経験との相違を分析しキャリアプランに使うためには、求められた基礎条件の他に、どんな環境でどういう種類の任務を遂行するかを空席広告から読み取り、自分の経験の量、質と比べるという作業も大切であろう。
このように戦略をたてて空席広告を充分分析し、自分の経歴が求められた条件に近いことを確認してから応募すると成功率が上がることと考える。