360度評価

「多面評価」とも呼ばれる360度評価は 、上司や部下、仕事上で関連する他部署の同僚など各方面の人が被評価者を評価する手法。アメリカ企業では1950年代から能力開発のツールとして導入された。

より多くの目で観察された人物像をベースに客観的な評価と分析を行ない、育成すべき能力を浮き彫りにする。複数の人が判断するため、 被評価者の能力が客観的に評価されやすくなる。また上司や本人には見えなかった新たな発見もメリットだろう。

だが、問題もある。管理職ではない職員は評価付けの知識や経験が浅い場合が多く、被評価者に対しての「好き嫌い」 が評価に 影響しがち。管理者が部下に過度な気遣いをしたり、互いの評価を良くし合ったりという可能性もあり、 昇給や賞与などを伴う評価には普通使われていない。

コンペタンシーの導入と相まって、国際機関でも 360度評価を積極的に適用した。 現在でも管理職の能力開発プログラムではよく使われる。このツールを被評価者として、 関連研修トレーナーとして、また評価結果分析者として何度か利用した。

評価結果の入った封筒を開ける瞬間、被評価者はすごく緊張する。評価者は嫌いな上司や、一般的に問題を抱えていると認識されている同僚にはきつい評価をする傾向があるからだ。被評価者によっては、自信を喪失したり、反発心を抱いたりするケースもある。

また 匿名で行うといえ、小さな部署や機関であれば、誰がどういう評価をしたかが推測でき、のちの人間関係に響いたりもする 。

分析結果を伝える際は、被評価者のモチベーションを引き上げるよう建設的なフィードバックが大切だ。まさにジョハリの 窓の一つ、盲点の窓を広げる機会として捉え、結果を活用できれば、360度評価のやりがいもあるだろう。

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