オフィススペース

長い国際機関キャリアの間、色々な機関の様々なオフィス環境で働いた。国際機関では普通管理職は個室だが、全スタッフ個室、全スタッフ大部屋という機関もありバラエティ豊か。

古きよき時代のジュネーブには、タイピストやロジ担当以外、一般職であっても全員個室という国際機関がいくつかあった。

その一つITUでの勤務時代、某事務総局長が日本の大部屋システムを取り入れ管理職以外の個室廃止を提案。部下の仕事ぶりをもっと監視し、コミュニケーションを促進することが目的だった。この提案に職員が猛反対し結局実行はされなかったが、職員数が増えてからはある程度大部屋式が導入されている。

国連時代、ニューヨーク本部では廊下にまでオフィスがはみ出しているのに、ジュネーブではP2でも個室、とよく羨ましがられたもの。国連欧州本部にはVIP専用のトイレもあり、他のトイレより清潔とのこと。ニューヨークでは機関により雑居ビルの一部を使用しているため、トイレにも鍵を持っていくシステムである。

余裕のある個室スペースを利用して、個人で高級調度品を整えたり、毎日花を生けさせたりする職員もいるから驚く。ウオッカとおつまみをロッカーに欠かさない豪傑もいた。

極端だったのは、OECDパリ、デファンスのオフィス。部長や課長でも大部屋の一コーナー。ドアがあるのはミーテイングルームだけという徹底ぶりだ。パーテイションで区切られているものの音は筒抜けで、集中して仕事できない上、人事の機密情報もマル漏れ。暫定的とはいえ、不適切な環境であった。

オープンオフィス、個室、それぞれに長所、短所はあるが、スペースの関係から大部屋が増えるのは必須。新しく設立された国連プログラムなどはジュネーブであっても雑居ビル、雑居スペースである。しかし時代の流れから自宅勤務が増加し、オフィスがガラガラになる日が来るかもしれない。

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