国際機関とNGO

Photo de RODNAE Productions provenant de Pexels

スイス政府の依頼で、国際機関についてのセミナーをフランス語圏スイス人対象に行っている。NGOと国際機関の違いをよく説明してくれと頼まれたので、理由を聞いてみた。国連機関で働くよりNGO活動を好むスイス人は多いからとのこと。さすがはNGO伝統の強いスイスである。

スイス人のアンリー・デュナンがジュネーブで赤十字』(Red Cross)運動を開始したのは1860年代。後、世界最古にして最大のNGOの一つであるICRC赤十字国際委員会は、精力的な人道支援を展開している。

この活動に象徴されるように、NGO(非政府機関)は多くが国際機関でありながら、民間の立場から民間にサービスを提供するユニークなスタンスを保っている。国連を代表する政府間組織、いわゆる国際機関にないNGOの魅力とは何か。

政府間機関は各国政府が相手なので、規模は大きく政治的な影響力は強いが、官僚的なアプローチになりがちで小回りが利かない。国際機関より決断が早く、活動に柔軟性のあるNGOのほうが、即効果をあげられるという利点があるだろう。

世界中にある国際機関の数はおよそ300といわれているが、国際NGOはずっと多く40000程。地域ベースのNGOを含めば、その数は百万千万単位であろう。

NGOは国連にとっても重要なパートナーで、国連と市民社会とを結びつける貴重な存在。ECOSOC(国連経済社会理事会)は加盟国ばかりではなく、その権限内にある事項について関係するNGOとも協議する。このようにNGOは独自の経験や専門知識を提供しつつ、市民の関心事を国連機関の政策や国際的合意に反映させ、世界規模の問題解決に貢献している。

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