WMOと気候変動

世界気象機関(WMO)は、1950年3月23日に設立された国連の専門機関。気象、気候、水に関する科学情報を提供し、関連データ観測、監視のための国際協力を調整する。

職員は250人程で、同じジュネーブに本部を置くWHO(世界保健機関)やWTO(世界貿易機関)と勘違いされるほど知名度は低かった。だが近年、気候変動の現状を伝え、UNFCC やUNEPと共に解決策を提案する存在として、メディアによく取り上げられる。

WMOは 早期警報システムを全ての国に整備し、サイクロンや洪水、その他の異常気象の発生前段階で住民を確実に保護するための政治的、技術的、財政的取り組みの促進に力を注いでいる。

多くの地上、空中、海上観測所からなるWMOの世界的観測ネットワークは、地域予報用のデータを提供。またWMOは、気象観測やモニタリングの基準設定のほか、気象観測の統一とデータ・統計のアクセシビリティー向上、気象学的研究・訓練の調整も行っている。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)本部もWMOに置かれている。IPPCは、政策立案者に気候変動に関する科学的な情報を提供するため、1988年に国連環境計画(UNEP)と共に設立された。気候変動が自然環境や人の生活に与える影響について、定期的に科学的評価報告書を発表し政府の気候関連政策や、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における交渉の基盤となっている。

世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるのに各国が同意したのが2016年だが、WMOは今年5月の最新報告で、66%の確率で2027年までに気温上昇が1.5℃を超え、98%の確率でそのうちの少なくとも1年は記録的な暑さになる可能性があると発表。IPCCによると、現在の気候政策では、今世紀末までに世界の平均気温は2.7℃上昇し、地球がこれまでに経験したことのないレベルに達するという。

2024年1月よりWMO事務局長に就任するアルゼンチンのサウロ氏は「異常気象が先進国を襲う今、そこに住む意思決定者たちが考えを改め、行動を加速させることを願う」「だが、これはグローバル企業の問題でもある。その中には影響力も温室効果ガスの排出量も一国家を上回る企業がある。今こそ、彼らが反応すべき時なのだ」と話している。

国連の中でも科学的な組織として、重要性が再認識されているWMO。世界の気象基準、気候変動とその影響に対処する努力にWMOがどう影響するかが注目される。

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