ノンバイナリー

欧州国別対抗の音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」決勝が5月11日スウェーデンで行われ、「ノンバイナリー」を自認するスイス代表のネモ(Nemo)が優勝。会場周辺ではイスラエル参加に対する大規模な抗議活動も行わるなど、色々な物議をかもしだしたコンテストでもあった。

ジェンダーバイナリーが、性別を男性か女性の二択のみの出生時に割り当てられた性で分類する考え方であるのに対し、ノンバイナリーとは男女二元論にとらわれない考え方。自分のジェンダーアイデンティティ(=体の性ではなく、自分で認識している自分の性)や表現したい性が男性・女性という性別のどちらにも明確に当てはまらないという考えを指す。

性的少数者(セクシュアルマイノリティ)の総称であるLGBTQ+、すなわち、Lesbian(レズビアン=女性同性愛者)、Gay(ゲイ=男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシャル=両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー=心と体の性が異なる人)、Queer/Questioning(クィアまたはクエスチョニング=性的指向・性自認が定まらない人)+プラス(あらゆる性のあり方を包括した表現)中、ノンバイナリーはQueerに属するらしい。

SDGs(持続可能な開発目標)が求めるジェンダー平等やダイバーシティ(多様化)&インクルージョン(受容)の推進において、LGBTQ+への理解は不可欠とされ、企業でもさまざまな取り組みが進んでいるようだが、まだまだ当事者へのハードルは高い。

UN Womenでも、女性とLGBTIQ+の人々の人権を促進するグループは、安全で公正な社会を実現するという同じ目標を共有していると主張。そうすることによって、根本的に、父権制度、白人至上主義、人種差別、植民地主義、能力差別、階級主義、および他の抑圧のシステムに対抗しているという。

優勝したNemoは、ドラムンベース、オペラ、ラップ、ロックを織り交ぜた楽曲「The Code」で、性自認を男女の枠に当てはめない「ノンバイナリー」としての自分を受け入れるまでのけわしい道のりを歌い上げた。

Nemoは大会後の記者会見で、「スイスのような国にとって、ノンバイナリーを取り入れた曲を披露することは、並大抵のことではない」と語った。またスイスには依然として、性別を区別しない三人称代名詞が公式には存在しないと指摘し、政治におけるノンバイナリーコミュニティの代表性を高めるよう呼びかけた。

日本においても2021年6月、宇多田ヒカルさんがInstagram Liveの中で自身が「ノンバイナリー」であることを告白し、大きな話題となった。男女二元論と硬直的なジェンダー観を前提としたシステムを改正するにはまだまだ、時間がかかりそうだ。

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