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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

年頭のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。

2019年は平成が終わり新しい年号となる年。 「もの」の時代、昭和、「こころ」の時代と言われた平成の次に来るのは、どんな年号のどのような年だろうか。

昨年は国際機関でのキャリア開発を目指す人にとっては、心強い年だったと思う。国際機関の邦人就職に政府が力をいれ、関連する情報発信やイベント、企画に充実したプラグラムが展開された。若手レベルだけでなく、中間職、管理職を目指す候補者の支援も目につくようになった。

この傾向はさらに強まり、今年は国際機関就職希望者にとってはますますチャンスが増える、という期待が持てる。

2019年からJPO派遣候補者選考試験の応募受付期間も変化し、募集要項公表 も間近と思われる。キャリア国際機関も今まで以上にキャリア支援に積極的に働きかけていきたい。さしあたりJPO試験応募者を、書類作成やキャリアプラン、職種の選び方などを通じ応援するつもりである。 

特に応募書類添削に関しては、締め切り日近くはリクエストで混み合うので余裕を持って送ってほしい。

2019年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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親睦イベント

クリスマスから新年にかけて、忘年会や新年会など親睦イベントが相次ぐシーズンだ。国際機関も例に洩れず、自分の属しているサービス以外にも、他の部署や団体の企画するクリスマスパーテイなどに招待される機会は多い。

国際機関では職場以外に同僚を知る機会は限られている。全職員対象の研修会、集会の他は、同好会、そして親睦イベントくらいだろう。これらの魅力は、専門分野やグレードに縛られずに、普段の仕事仲間以外の職員と知り合えるところ。

レセプションで隣にいた陽気な同僚が最高幹部の一人、というのはよくあるエピソード。新入職員や退職準備用のセミナーでは、仕事上でほぼ会う機会のない同僚の存在を発見することが多く、新鮮な驚きがある。

しかしそんな機会のないまま何年かたち、職場の同僚以外とは疎遠になる例も多。コーヒーや昼食も大方同僚と一緒か、一人。仕事に専念し、課外活動や集会もパスしているうち機関内の知人は限られてくる。

普段時間のない職員でも年末年始のイベント参加は可能だろう。このシーズンは休暇を取るものが多く、パーテイもあちこちで開かれる上、契約更新時期とも合いまり、仕事効率は鈍る。メール、電話では無く、直接話し合うチャンスでもある。

官僚、縦割り社会の国際機関で、部署を縦断したネットワーク作りは貴重。年末、年始のイベントに積極的に参加し、他職員の新鮮な考え方、活動の仕方に触れられる好機を利用したいものだ。

 

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メールの挨拶

空席応募、インターン申し込み、推薦状などで国際機関と英語メールのやり取りをした経験はあるだろうか。問い合わせメールや人事部への返事など、内容は色々でも書き出しと結びの挨拶は共通。今回はこの挨拶に注目した。

書き出しは、国際機関側から来たメールへ返事する場合、Dearの後にMr./Ms.をつけ差出人の名前をコピー。Dear Mr.King, Dear Ms. Smith, ファーストネームならDear Samantha といった具合。

名前から性別がわからない場合はDearの後Mr./ Ms.を付けず、名前、苗字の順でかけば失礼にならない。苗字しかわからずしかも性別不明というケースはMr./ Ms.両方を前につける。スペルに間違いのないようチェックしたいもの。

担当者の名前が不明の場合は、Dear Human Resources Manager、Dear Hiring Manager などを使うといいだろう。名前も担当部署もわからない時はTo whom it may concern, Hello, Greetingsなどで開始。

正式なメールではグリーテイングの後はセミコロンDear Ms.Fisher:を使うが、一般的なメールであればコンマが普通。イギリス式のピリオドなし、セミコロンMr/Mrs: は国際機関では稀だ。

某Eメールソフト会社の調査によると、メールの結びで人気のあるのは、Thanks in advance, Thanks, Thank you など。Kind regards, Best, Cheersは国際機関でもよく使用。Sincerely, Respectfully, Cordiallyは古っぽいせいかあまり見ない。返事メールの場合、もらったメールの最後の挨拶と同じものを使うのも手。

職場の同僚同士ではファーストネームで開始し、自分の名前で終わるメールも多い。ただしこれを部外者がすると、ぶっきらぼうな印象になるので気をつけよう。

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空席広告応募

国際機関に何度応募してもナシのつぶて。応募書類は吟味してあるのになぜか。そんな時次のケースが考えられる。

一番多いのはプロフィールと空席がマッチしていない場合。応募書類選考では教育、経験年数、言語(Education, Work Experience, Languages)の3基本要素のほか、必要な資格や特殊な経験も問われる。またdesirable,  advantage,  asset, などに記述されている条件も対象となる。特に外部からの応募者は、これらの条件も全てクリアしていないと次の採用プロセスまで進むのは困難だ。

空席広告の対象者が限定されている状態も考えられる。ポストによっては内部職員のみ、ロスター登録者(すでに同類の空席のショートリストに入っている応募者で選考過程を得ず、すぐ採用できる)用などの応募者限定がある。これら限定事項は空席広告に記述してあるが、見落として応募する者も多い。

すでに内部で採用する職員が決定しているが、規定により空席広告を公示する場合がある。応募条件や資格が、普通の広告より多く具体的なのが特徴だが外部からの判断は難しい。

これと似たものは、内部で多数の有力候補者がいるか、ロスター登録者のリストが充実している状況。アドミニストレーションや財政のような、内部ノウハウがある程度ないとすぐ仕事できないような分野で、P3以上のポストに良く見られる。

このような場合、外部候補者はよっぽど有力なセールスポイントがないと、次の採用段階までいけない。プラスアルファの例としては、他の候補が持っていない財務監査の資格であったり、財務の新しいERPのプログラムに精通していたりする等。

応募書類は強力なのだが、次の段階に進めないのにはいろいろな理由がある。自己のプロフィールとポスト要求事項が全部合致しているか、何が自分の強みなのかを充分に把握してから応募したいものだ。

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JPO試験応募書類

外務省のサイトによると来年のJPO試験要項は1月に通知され、応募機関は2月1日より1ヶ月と、例年より早くなる予定。ただし修士獲得、経験年数は例年と同じく9月で足切りとなる。

今年から英語の提出書類が増えたので、早めに準備したいもの。英語履歴書P11には新たにmotivation Letterが含まれた。応募にはA4一枚のカバーレターも求められているので、motivation Letterとどの程度内容をダブらせるか迷うところだ。

外務省は書き分けの形式は指示しておらず、motivation Letterは字数制限が無いのでカバーレターより詳しくても可、というコメントのみ。英語の提出書類を増やし英作力を問うという意図だから、完全に同じものを出すのは不利だろう。動機を強調し二通をある程度差別化することになる。

動機を効果的にアピールするのは案外難しい。最初に希望機関の活動やゴールを詳しく研究して、どのようなところに共鳴したり興味を持ったかを考えてみよう。自分の経歴だけを強調する応募書類が多いがmotivation Letterなのだから、なぜその機関に行きたいのかをまず明確にすべき。

気をつけたいのは思い入れが強すぎ、国連で働くのが子供時代からの夢とか、一生を難民の保護に捧げたい、というような常套句に走ること。これらをそのまま英訳すると、使い古された表現clichéとなり逆効果。採用側が読むのだから、個人的な人生のストーリーではなく対象機関を中心にした動機が必要だ。

キャリア国際機関では添削サービスをやっているので利用して欲しい。2月は混み合うので今年の終わり頃から書類準備を始めると良いだろう。11月6日から16日までは応募書類添削、模擬面接には対応できないのでご注意。

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履歴書で避けたい言い回し

フォーマットの定められていない履歴書やレジュメの書き方に困ったことはないだろうか。大抵の国際機関ではテンプレートに必要な情報を記入するようになっているが、フリーの履歴書をアップロードさせる場合もある。JPO試験でも基本英文略歴(レジュメ)が導入された。

応募書類添削中目につくのは、履歴書には必要ないアイテム、語彙を入れているケース。一応の基本構成はできているのだが、不要または不適当な言い回しで損をしている。以下よく見られるものを挙げてみた。

Career objective

採用側では個人のキャリアゴールに興味を持っているわけではないので、個人の目標にあえてページをさく必要はない。

Home address

わざわざ聞かれない限り、メールだけで良い。メールは最新の、プロらしい住所を使う。email と記すだけでaddressと付け加えなくても充分。

References available upon request

必要があれば雇用側で調べるので不要。

Microsoft Office Suite

これを使いこなせない応募者はほぼいないだろうから、もっと専門的なアプリを挙げて差別化を測るべきだろう。

I, She, He, Him, Her

自分で履歴書を書いているという前提なので、これらの第一人称や第三人称はいらない筈。

Hobbies

仕事に関係ない限り避けよう。

この他にも避けたいのは具体的な例をあげないで、Soft skillsを書き並べること。特にHard worker, Team player,  Dynamic,  Self motivated など、自己申告の能力を使い古されたバズワードで形容しても逆効果だろう。

以上は基本的なものばかりで、全部をカバーしているわけではないがこれらを避けるだけでも履歴書は改善する筈。キャリア国際機関では応募書類の添削サービスもやっているので利用してほしい。

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応募書類書き方講座

上記の講座を9月21日に外務省が東京で開催し、そのレクを担当した。四度目の今講義では参加者が多数で意識が高く、質問も活発。外務省国際機関人事センターの活動が実を結びつつあるという印象だ。

今回も履歴書内のREFERENCES に関する質問が目立ち興味深い。機関によってはREFERENCESを履歴書に書く必要はないが、まだ大多数のフォーマットでは要求されている。

誰を身元照会先として書くかに頭を悩ませる人は比較的多い。大学時代の教授と会社の上司両方を必ず入れるべきか、社会的地位の高い人ほど効果的かなどが主な質問の内容。

現在の自分の働き振りを知っていて、肯定的なフィードバックをしてくれる人であれば良い、が答え。身元照会先には採用がほぼ決まった段階で連絡が行くので、よっぽど否定的なコメントをしない限り、結果にそれほど影響はない。

気をつけて欲しいのは参照人が、自分の仕事を知っており、高く評価してくれる人であること。会社のトップやゼミの教授などがこの条件に当てはまるか確認しよう。ある程度英語ができないと質問に対応できないという点もある。

最初に了解を得てから名前をあげるのはもちろんだが、メールや電話の更新も忘れないようにしたいもの。現役時代国連でREFERENCEをチェックした際、シニアの候補者のためか、照会人が他界していたり、会社が倒産したりしてコンタクトできないケースがあった。

履歴書に照会者のタイトルを入れる場合Former Secretary-General とPrevious Secretary-General を区別すべきか。Former でもprevious でもほぼ違わないというのが一般説。文法上はinterchangeable  ということになっている。強いて区別したければformer は元 (昔)、previous は前 (最近)のSecretary-Generalとなる。

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キャリア支援サービスの説明

キャリア国際機関では、様々なキャリア開発支援サービスを提供している。最近問い合わせの多いサービスについてQ and Aの形で説明した。

Q1.キャリアアドバイス一回(2000円)と6ヶ月間(6000円)とはどう違うのですか。

A1. 本人の履歴書、これまでの応募歴、個別の事情やキャリアゴールを分析し、今後のキャリア対策、適した分野、国際機関への助言をするのが一回限定サービス。対策に従ってキャリア戦略やプランを具体的に作成し、実行していくお手伝いをするのが6ヶ月プランです。プロフィール分析をして、プランを立て実行して行くのは時間がかかるので、6ヶ月や一年のスパンで考えるのが実践的でしょう。また6ヶ月プランだとメールやスカイプで本人が納得いくまで何度でも相談できるのが特徴。あくまでキャリア開発は本人主体なので、自分で開発しキャリア国際機関がその支援をする、という展開です。

Q2. 履歴書とカバーレターを添削していただきたいのですが、締め切りが迫っています。

A2. 普通3日営業日でお返しできますが、それでは間に合わない場合24時間仕上げサービスもご利用できます。ただし料金は50パーセント増しで、例えば履歴書は10000円が15000円。カバーレターは8000円が12000円となります。履歴書、カバーレター、空席広告を、メールに添付してお送り下さい。添削サービスは混み合う時期があり、その場合かかる時間のめどは予めお知らせします。

Q3. 履歴書のどこをなぜ修正したのかチェックしたいのですが。

A3. お申し込みの際に訂正マーク付きとご指定ください。添削箇所がはっきりわかります。一般的にどういう箇所を修正したかはお返しの際に説明しますが、個別の箇所修正の説明はご質問ください。

Q4. 筆記テスト対策にはどういうサービスがありますか。

A4. 筆記試験で気をつけるポイントを書いたガイド、及びどういうトピックを知っておいたほうがいいかの助言をするもので、2000円です。6ヶ月や一年のキャリアアドバイスサービスご利用の方には無料で提供しています。またJPO準備で、筆記の添削指導をする場合2テーマで10000円(ガイド付き)です。1テーマを二度添削指導する場合も10000円となります。

Q5. 模擬面接はどういう流れで行われますか。

A5. こちらジュネーブ在住のため時差を考慮しながら、まずスカイプ実施の日時を決定。空席広告  履歴書は前もってお送りください。こちらから面接ガイドをお送りするほか、模擬面接用質問を本番より少し多めに準備します。実施当日は模擬面接を本番と同じ順番で行った後、気がついた点をフィードバックし質問にもお答えします。だいたい二時間を予定してください。普通は英語のみですが、ご希望によってフランス語も可能です。

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日本での講演

いつもはスイスジュネーブより情報発信しているが、今般日本滞在中に東京で講演をする機会に恵まれた。

NPO国際人材創出支援センターICBは、国際的なルールメイキングの意思決定過程に参加し、活躍する人や活躍していきたい人を育成・支援する機関。グローバルな志を持つ人に勇気と力と豊かな教養を届けるという主旨のもと様々な活動をしている。

“国際公務員というキャリア”と題するこの講演では、国際機関の仕事が挑戦する価値のある魅力的なものであることを伝える。国際社会の公益のために、グローバルな視野を持って中立的な立場で働く国際機関職員。環境や職種は様々だが多様性、可動性、変化に富んだ職場であり、刺激的でやり甲斐のある仕事と言える。

いろいろな国際機関の人材開発、管理を30年近く担当した経験をもとに国際公務員のキャリアについて話す。人事担当者ならではの、ユニークな観点から見たキャリア構築について述べたい。委細は以下のとうり。問い合わせは上記サイトより。

9月18日(火)19:00~20:45
【場所】東京都千代田区神田錦町3-21
千代田プラットフォームスクウェア(http://yamori.jp/access)
【参加費】ICB会員1000円、非会員2000円。学生無料

もう一つのイベントは今回で4度目になる外務省国際機関人事センター主催の“国際機関への応募書類書き方講座”。国際機関へ提出する履歴書とカバーレターの書き方について説明する。制限人数に達したので申し込みは締め切られたが、当日キャンセルも多いので問い合わせる価値はあるだろう。毎回講義後は各個人のキャリアに関する質問が多く、全部に応じきれないのが残念なところ。

キャリア相談はサイトの方に直接問い合わせていただきたい。サービスに関しての情報は無料。キャリア相談一回2000円、六ヶ月6000円で提供している。

9月21日(金)18:30~20:00
■場所:東京都中央区丸の内1-7-12 サピアタワー10F
関西学院大学・東京丸の内キャンパス

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空席広告の読み込み

国際機関に何度応募しても筆記試験や面接まで行き着けない、という経験はないだろうか。その場合もう一度空席広告を念入りに読み、自分のプロフィールと空席のマッチを確かめたい。空席広告を読み込むことは応募成功に向けての重要な第一歩だ。

採用担当時代、空席広告を読んだとは思えない応募の多さに驚いたもの。教育、経験年数、言語 Education, Work Experience, Languagesという3基本要素さえ満たしていない書類が大半だった。

国連の書類選考ではWork Experienceに記してある資格や特殊な経験が問われる。またdesirable,  advantage,  asset, などと書かれた部分も対象となる。特に外部からの応募者は、これらの条件もクリアしていないと次の採用プロセスまで進むのは難しい。

職務の記述は丁寧に読み、内容、責任の範囲やレベルをしっかり把握。自分の経験と職務内容が重なっている部分は、応募書類で強調する。

空席広告の職種、部署、グレード、勤務地、契約、応募対象者等にも注目。ポストによっては内部職員のみ、ロスター登録者用などの応募者限定がある。また短期契約の場合、更新の可能性が示されているもの以外は、その期間限りと理解していい。

勤務地も大切な要素だ。例えば地域事務所がフランス語圏にあると、言語の知識なしで応募しても競争力は弱いだろう。安全性が低く扶養家族が現地で生活することを認められていないnon family duty stationも空席には明示してある。

このように空席広告には様々な情報が含まれている。自己のプロフィールとキャリアプランに合致したポストか、充分読み込み理解してから応募したいものだ。

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