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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

国際機関職場の多様性と包括性

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国際機関の職場環境の特徴の一つに、職員の多様性がある

何しろ100ケ国以上の異なった国籍や文化の背景を持った人々が同じ職場で協力しあいながら仕事の成果を上げていくわけだから、共通語を使ってはいても誤解やすれ違いは免れない。反面意見や考えの違う同僚と議論しているうちに、相互理解が深まったり、斬新なアイデアが生まれたりもする。異文化間グループは効率が悪いが、いったん共通項が生まれれば、逆境に強い臨機応変なチームに変化する可能性もある。

多様性は国籍や文化、民族、ジェンダーに限らず、セクシャルオリエンテーション、身体障害等広い範囲に及ぶ。現在大抵の機関ではpeople from all backgroundsとか diverse workforceと広く定義して空席公募の際に明記している。

またILOのようにage, race, gender, religion, colour, national extraction, social origin, marital status, pregnancy, family responsibilities, sexual preference, disability, union membership or political convictionといった要素で採用に差別されることはないと細かくリストアップしている機関もある。

その機関の多様性、そしてそれを受け入れ生かしていく包括性のレベルを測るために、関連政策や戦略、職員統計の分析等がよく利用される。情報収集分析も大事だが、多様性、包括性を感じるには職場を訪問してみるのが手っ取り早いだろう。VIPの写真に女性の多いところ、オフィスにいる職員が多様で車椅子にのった職員が行き来していたりするところ、ホモセクシャルの職員が普通に扱われているところ等、多様性の推進されている職場は雰囲気がフレンドリーで開放的なことが多い。またそういう機関は大抵人事制度も洗練されていて近代化されている。

多様性、包括性を推進するには時間も予算もかかり、かつ短期には結果が出にくい。また上記したように、多様性に富んだチームは始めは効率性が低い。しかし懐の深い受け入れをする職場には優秀な人が惹かれ集まってくる可能性が高いし、複雑化多様化グローバル化した職務に対し職員が創造性や耐久力を発揮する場合が多い。国際機関は、加盟国の職員を採用し、その国の期待に応えるだけでなく、各国の公務員制度の手本としても職場の多様性、包括性に力を注いでいるわけである。

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カバーレター

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カバーレターは空席に応募する際,履歴書とともに送る文字どうり応募書類の表紙である。国際機関によって、ほぼ無視する、一応読む、カバーレターのみでスクリーニングをすませる等、その重要度はさきざまだ。しかしほぼ全部の機関で義務付けられている。

カバーレターだけではねられてしまうというリスクもある程重要なわけだが、それには理由がある。履歴書は短い散文のような書き方で事実をリストアップしていくので、表現やスタイル等はある程度定まっている。カバーレターではどのように要点をまとめアピール性をだす書き方を一ページに納めるかという能力、書き方のスタイルが顕著に現れるので、履歴書よりある意味で差別化ができる。ドライな履歴書と違い個性を出せるところがカバーレターの特徴といえる。

ではどういう自己PRを少ない語彙で効果的にするべきか。基本的な構成は以下のようなものだろう。まず応募しているポストを明記し、なぜその機関や仕事に興味をもっているかの理由を述べる。それから自分の強みを次に並べ、それらが空席にもとめられているプロフィールにどうマッチしているかを強調する。採用側からみれば空席広告の資格や経験条件をどう満たしているのかを書いているものが一番望ましいのだが、強みの主張だけに終わり、空席広告の条件に対応しているものは案外少ない。最後に面接や就業に関する情報を述べ、担当者に、カバーレターと履歴書を読むために時間を費やしてくれたことにお礼を書くといいだろう。

送る前に内容に漏れがないか、スペルミスがないかなど念入りに確認し、採用側の立場に立って読んだ時、空席条件に合致していると思わせるものになっているかチェックしたい。このサイトでもカバーレターの添削サービスを提供しているので、リソースセンターから問い合わせができる。

最後に作家でありエッセイの名手でもあったジョージオーエルの、効果的で解りやすい英文の書き方法則を引用してみよう。

1.Never use a metaphor, simile, or other figure of speech which you are used to seeing in print.

印刷物で見慣れた暗喩や直喩、その他の比喩を使ってはならない。

  1. Never use a long word where a short one will do.

短い言葉で用が足りるなら、長い言葉を使ってはならない。

  1. If it is possible to cut a word out, always cut it out.

言葉を削れるのであれば、常に削るべきである。

  1. Never use the passive where you can use the active.

能動態を使える時に、受動態を使ってはならない。

  1. Never use a foreign phrase, a scientific word, or a jargon word if you can think of an everyday English equivalent.

核当する日常的な英語が思い付く時に、外国語や学術用語、専門用語を使ってはならない。

  1. Break any of these rules sooner than say anything outright barbarous.

あからさまに野蛮な文章を書くぐらいなら、これらの規則のどれでも破った方がましである。

 

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国連のロスター制度

Presidential elections. Photos from almost all the polling station in Bangui.

ロスターとは、採用プロセスを通じてすでに適格と判断され、直ちに採用可能な候補者のリストを指す。国連だと個別ポストの採用プロセス後、採用されなかった最終候補者がロスターにのる。このほかにも特定のポストを指定しないでロスター作成のために公募し、候補者リストの中から採用していく場合もある。その際は広告にロスター作成という目的が明記されている。この制度は短期間で何人も同時に採用したい場合やYPP、翻訳官の採用等によく使われ、国連だけでなく利用している機関は多い。来日採用ミッションの際、ロスターに登録された邦人候補者も何人かいることだろう。

国連の個別空席公募のロスター制度を見てみよう。特定のポストに応募し面接まで残った場合、選考委員会が承認すればロスターに登録され人事からその知らせがくる。登録後は内部応募者、外部応募者供、将来同じ職種の同じレベルで求人があれば、採用プロセスをやり直さなくても雇用される可能性があるわけだ。例えば政務官のP3にロスターされれば、次の政務官職P3の空席には選考プロセスを経なくても雇用可能となる。雇用側にとっては時間と労力の節約となるし、応募者の負担も軽減されよう。

ロスター登録後は同種同レベルのポストの空席広告が出る毎に知らせがくるので、その都度応募することが必要となる。ここで雇用側が採用したいと思えばその応募者を直ちに選ぶこともできる。ただその可能性は、内部職員でその空席の仕事を実際担当しているものでない限り以外と低い。また選考委員会の審査承認免除とはいえ、ロスター登録済みの部下を選ぶ場合でも動機や経歴についての資料を提出することが義務ずけられており、面接も推奨されている。

ロスターは無期限有効なので2009年以来登録者は増える一方であり、空席によっては30人近くのロスター登録者が応募してくる場合もある。これでは新たに採用のフィルターを設けないと選抜がむつかしく、ロスター登録済みの候補者であっても結局筆記試験や面接を受けることになる。また登録済みの内部応募者がショートリストまでいかない場合、その理由を説明することも関係者にとっては結構大変な仕事である。

採用プロセスを簡素化、効率化するためのタレントプールであったロスター制度が果たして現在その目的にどのくらい貢献しているか疑問になる。ロスターに載りさえすればいつかは採用される、という伝説はもはや化石化していると言えよう。ロスターに登録された場合でも、「ジョブ・アラート」を作成したり、ウェブサイトで定期的に空席広告をチェックしたりしてプロ―フィールに合う空席には自分からどんどん応募するべきだろう。

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キャリアサクセス

国際機関職員のキャリアは,国際政治経済情勢の変化や情報化、科学技術化、グローバル化等に伴う機関自体の構造の変化、役割の複雑化や多様化、地理的条件、予算やポストの変動など様々な要素に影響される。最近の傾向として目立って感じられるのは専門分野の多様化、キャリアの可動性、契約パターンの暫定化であろう。

国連に関していえば、上級管理職レベルのポストはとくに減っていないが競争は厳しくなっている。階層構造が平坦化し、専門職には中間レベルが多いので管理職レベルの空席への応募は内外から多数となる。そして応募者の学歴、職歴が一般的に高くなっているのでよっぽど特殊な仕事内容でない限り、選考基準を満たす候補者は十二分にいる。またロスター制度により、リクルートプロセスを経ないですぐにポストにつける候補者がすでに何人も存在している。雇用側にとっても候補者の差別化はデリケートな作業となってきているといえよう。

また構造改革をへてスリム化した国際機関も多いから、狙っていたポストが消えてしまう可能性もある。新規プログラムに伴う職務も通常予算で賄われるものは減っている。このようにキャリアパスの複雑性、不確実性が高まる中で、昇進を伴ったキャリア開発は以前よりむつかしくなっている。

こういう環境で給料や地位以外に何をもとめてキャリアを積んでいくか、何をもって成功とするかを、自分の価値観に照らして考えてみることが必要だろう。近代化経済成長モデルが生き詰まり経済的尺度で測れない自由や豊かさの見直しが問われる昨今、キャリアパスの概念も上昇を目指す道だけではなく、一人ひとりが従来の外的要因に束縛されないで自由に自分の道を作っていくという方向に変換している。

地位や収入という外的要因だけが判断の基準ではなくなり、キャリアサクセスにはもっと自由で多様な解釈があてはめられる。面白い、楽しい、成長感のある仕事、知的刺激に満ちた職場、自律性、国際社会発展への貢献度、私生活とのバランス等も成功の要素であり、結局は自分のキャリアに対する満足感という内部要因がより重要になってくるだろう。

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今日のキャリアパス

Members of the UNPOL Gender Child and Vulnerable Persons Protection (GCVPP) Unit visit the Temporary Learning Space in Protection of Civilians site 2 to play games with the children who attend school there.

キャリアパスというのは個人的なものだから、十人十色である。とくに計画を立てず成り行きにまかせ、自分のキャリアを運に委ねるもの、反対に一歩ずつ順序立てて計画し、計画外の行動はとらないタイプというように、道筋をどう作り上げていくかはそれぞれの選択にかかっている。大抵の人は上記両極端のモデルの中間をいき、おおざっぱにプランは立てていても、予定外の昇進や移動のチャンスに応じてパスを調整していくのではないだろうか。

キャリアパスや専門分野、職場環境が複雑化してきている今日、国際機関でも専門家として成果をあげ幹部まで昇進というケースは少なくなっている。国連の場合プログラム遂行に必要な仕事が多様化し、専門家であっても追加のスキルが求められる。例えば自然災害の専門家に、プロジェクトマネジメントや基金収集能力、広報のスキル等が重宝されるといった具合である。専門性のみならず可動性も多様化を求められており、単一の国際機関、同じ勤務地でのキャリア開発はむつかしくなってきている。

また、各機関ともグレード配分に中間レベルが多い平坦な階層構造になっている上、ポストごとの競争が激しさを増し昇進を伴うキャリアパスは厳しくなっているといえよう。一方、新規創立機関、正規予算外ポスト創設やそれに伴う離職率等からくる予定外の機会も存在しているわけで、キャリアパス調整はより頻繁になるだろう。

このようにキャリアの多様性、不確実性が高まる中で、変化に柔軟に対応し、自分でキャリアを開拓していくという資質がより求められているといえよう。それに必要な条件は、まずキャリアは自分で作るという責任意識を持つこと、自分の価値観、得意分野や仕事の好みを知ること、そしてそれを踏まえた目標をもつことであろう。

国際機関でのキャリア開発は、機関、上司、本人という3部構成になっている。組織のキャリア開発サポートと上司は重要な助けだ。機関のキャリアサポート以外にも自己投資や、外部とのネットワーク作りのための活動は積極的に実行すべきだろう。自分の市場価値を常に高めつつ周囲のサポートを利用して、目標実現にむけて柔軟にキャリアパスを形成していきたいものだ。

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国連の邦人職員

United Nations Day Reception in Ramallah

前回国連の地理的配分対象ポストについて書いたが、このポストで働く邦人職員の数を分析してみた。2015年版の国連職員統計は発行されておらず、次回資料は2016年になるので、対象になった統計は2014年のものである。

2014年の地理的配分対象ポスト就任職員は2901名で邦人は83人、全体の2.9パーセントを占めている。日本より職員数の多い国は、米 (355人)、英 (141人)、仏 (141人)、伊(129人)、独(129人)、カナダ(89人)となっている。このうち望ましい職員数割り当てが日本より多いのはアメリカだけで、他の国は日本以下の数が定められている。しかしスパン範囲に収まっているドイツを除く英、仏、伊、カナダは望ましい範囲を上回る多勢の職員を送り込んでいる。

上記の国の中で、職員数が人数枠に達していないのは割り当て数トップの米と次点の日本だけだが程度の差は激しい。米は373から504人の理想スパンに対し355人が勤務、日本は186から252人までが望ましい数だが83人と下限の半分も満たしていない。

2000年代は100人以上もいた邦人職員だが、2010年の123人をピークに翌年は65人と大減少している。これは地理的配分対象職員の数え方を変えたためで、実際に邦人が大量にやめたわけではない。それからは2012年に60人まで減少したが、2013年88人に盛り返し、現在の83人に至っている。2011年からの4年間、2013年を除いては平均邦人採用数は年3名程度に対し退職者は平均5人となっており、今後大幅な増加が期待されるとは考えにくい。

現職員83名に関しては、USGからD1 までの幹部レベルが13人と比較的多く、邦人職員の15.7パーセントを占めている。この比率はほぼ米、英と同じで仏、伊、カナダ、独を上回っている。数からいくと世界6番目である。米、英、独、仏に次ぐ5番目は地理的配分対象職員51人中、幹部レベルが15人もいるロシアとなっている。

邦人職員が地理的配分対象ポスト2492人中111人(4.5%)を占めていた2002年には幹部レベルは6人のみ(5.4%)だったから、職員数は減っても影響力は下がってはいないものと思われる。

もう一つの特徴は女性職員の割合であろう。83人のうち53人で63.9パーセント。この圧倒的比率に対抗できる国はトップ7にはない。地理的配分対象ポスト職員が10人以上で日本より女性職員比率の高い国は少なく、フィンランド(75%)ノルウェー(69.2%)、スイス(70%)そしてフィリピン(68%)のみである。

さてこの邦人職員だが2019年までに退職者が10名と予測されている。その前に新たな職員を送り、減少のないようにしたいものだ。

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地理的配分対象ポスト

Secretary-General Ban Ki-moon visits refugee Reception Centre Tenda di Abramo

国連の邦人職員の数は事務局が示している望ましい職員数の範囲にはほど足りない、とはよく言われる事実である。

この望ましい職員数とは地理的配分対象ポストをもとに、各国の分担金、人口、大きさ、経済発展指数等を計算して最低から最大の望ましい職員数のスパンを出すもので、毎年発表されている。事務局職員の多様化を促進するのが目的で、性、国籍、身体障害、性的オリエンテーション、文化、宗教、種族の違いにかかわらず公平な採用制度を実施するためである。ただし対象ポストは専門職で通常予算で人件費が賄われるものに限り、通訳、翻訳、編集等の言語職は除外されている。また通常予算ポストが対象なので、コンサルタントや、短期、ローカル採用には適用されない。地理的配分対象ポストは空席広告の仕事タイトルまたは空席番号のところにGがついており、見分けられるようになっているがついてない場合もあるので確実にたよりにはならない。

この地理的配分対象ポストに応募する際、アンダーリプレゼンテーションである日本という国籍は確かに有利なわけだが、空席広告の募集条件をまず完全に満たしている必要がある。Education, work experience, competencies 等に書かれている条件を100パーセント満たしていない履歴書は国籍に関わらず、すぐ除外されてしまう。

国籍がものをいうのはショートリスト作成時、筆記試験の結果をみて面接者を選ぶ時と最終的な任命を決断する際である。ショートリストに入った後は、筆記試験でよいスコアをあげて面接までいきつくことと、面接を頑張ることが採用につながる。面接後何人かはベストの候補者とみなされるがそのうちの一人となることが重要だ。今日競争がきびしく候補者のレベルが均一化の傾向にあるので、面接のあと単独トップを走る候補者は稀となってきている。それだけ粒がそろってきているわけだがどの人をとっても基準を満たしている場合はその中で国籍が重要な決断材料になるというものだ。

アンダーリプレゼンテーションにはいろいろな伝説があるが、基本的に採用条件を満たしていて、採用可能な最終候補者の一人であるという場合に初めて国籍が有利に働くという点を覚えておこう。

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来年のキャリアプラン実現への準備

管理人

管理人

今年も残りわずかとなった。
ホリデーシーズンではあるが、自分の未来に向けて時間を割くいい機会でもある。
来年の就職活動をより効率よく実行するために、この冬休みの時間を活用して様々なことができそうだ。

まず今年の成果を自分のキャリアゴールやプランにそって分析してみよう。結果によって、キャリアプランの調整、戦略立て直し、トレーニングや資格獲得等の必要が出てくるかもしれない。面接やテストを経験した場合は次の機会に備えて質問や答えの分析、改善点などを書き留めておくと役に立つ。

国際機関空席のプロフィールに合っているのに毎回スクリーニングを通らない応募者は基本的な履歴書の見直しも考えてみよう。空席広告にある程度適応しながら応募書類を毎回調整するにしても、土台となる履歴書がよくできている点は重要である。とくに過去の仕事の書き方は第三者に目を通してもらってたりして吟味すべきだろう。キャリア国際機関でも履歴書添削サービスを提供している。

まだキャリアの目標や計画の立ってない場合は自己分析をしてみる機会でもある。自分の強み、弱点、好きなこと、現在までの主な経歴、業績を書き出してくるうちに、希望のキャリアを絞り込めるかもしれない。このサイトのリソースセンターにある、シャインのキャリアアンカー分析で自分の価値観、欲求等を認識するのもお勧めである。

同センターの自己分析キャリア開発アクションプランのテンプレートを使い自己SWOT分析の後キャリアプランを構築するのも効果的だろう。自分の市場価値を認識するツールとしては、同センターの応募対策エクササイズも有効だ。決まった機関、職種等にまだ照準を合わせていない時点で、自己の強み、競争上有利な点を具体的に書きだすことでSWOTと並行して自己分析に使える。

自己を知るだけでなく相手をより理解することも必要だろう。時間のある冬休み中に、興味のある国際機関や職の情報をネットを使ったりして念入りに収集しておこう。未来のキャリアプラン実行の糧となる筈である。

また今から来年の就職活動のスケジュールに目安をつけておいて、応募期限が過ぎてしまったり、イベントを逃がしたりしないよう留意したいものだ。目的によるが各機関の個別空席締切日、インターンシップやYPP等への応募期間、外務省JPO試験や内閣府の国際平和協力研究員制度時期、または在外公館調査員、派遣員等の試験期間などおおよその時期はチェックしておきたい。

最後になるがこの休み中に家族のみでなく、友人、先輩、同僚などとの交流を楽しみつつネットワークの輪を広げていくのもいいだろう。

グローバル人材育成を支援していくサイト、キャリア国際機関を2016年もどうぞよろしくお願いしたい。

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候補者不足のポスト

UNIFIL Head of Mission and Force Commander Major-General Luciano Portolano, Brigadier-General Franois Chahine and Deputy Head of Mission Mr. Imran Riza participating in releasing doves at the end of the ceremony held at UNIFIL Headquarters in Naqoura, south Lebanon. September 21, 2015. Photo by Pasqual Gorriz (UN)
UNIFIL

UNJOB FINDERの記事に候補者探しが困難とされている国連空席のプロフィールが挙げられていた。空席がなかなか埋まらない職種とはどんなものか、邦人に応募可能なものをピックアップしてみた。これらに求められているプロフィールに合っていれば、採用されるチャンスは比較的高いということになる。

緊急事態発生中の国で勤務可能の女性警備担当官候補は不足している。専門職だと政治学、MBA, 犯罪学、法学等の修士の他に自衛隊や警察等での経験が必要とされ、P3レベルであれば5年中最低1年の国際経験が求められる。女性には稀な経歴だが、そもそも紛争や緊急事態発生中の国へ転勤希望の女性は他の職でも簡単には見つからないようだ。

DPKO平和維持活動担当官も女性の候補者が少ないポストでとくに管理職レベルは不足している。平和維持活動の人材ニーズは軍縮、裁判、政治学専門家等多様であり、軍人だけが求められているわけではない。物資調達やアドミニストレーション担当は、その分野の専門家であれば警察や軍での経験は必要ない。しかし国際レベル、公共事業での経験および緊急事態での経験が要求される。

身近な職種でありながら女性の少ないものにIT (コンピューター関係)がある。どこの機関にもあり需要の多いポストだが男性職員が大多数を占めている。日進月歩のこの分野では修士より学士で仕事を始める職員が多いので、女性でIT関係の修士をもち、十分な経験があれば採用されるチャンスは高くなるだろう。

以上の職は女性でなくとも日本人は少数派だから応募はお勧めである。OECD時代には新しいIT空席の度に日本人候補者の有無を聞かれたくらいであった。

妊産婦健康管理専門家は医学の学位だけでなく、公衆衛生の学位も歓迎される。これらの仕事はエボラ発生等の緊急事態に大量に必要とされるプロフィールで、たださえあまり登録者のいない領域だから、短期採用で構わないという専門家にとってはチャンスだろう。また医師は万年供給不足で、とくにUNVにボランタリーで医者として働くことを志願するものは稀と聞く。登録してみる価値はあるだろう。

アドミニストレーションの管理職レベルというのも以外に候補者層は薄い。人事、財政、資源調達、ロジなど全ての領域にわたって知識、経験のあるものは少ないし、このレベルだと年数だけではなく管理職としての経験の量と質が問われるから、内部の職員でも各当するものは多くない。日本人それも女性であれば有利といえよう。

職種全般にわたり女性の高級管理職、いわゆるダイレクターレベルは予備軍不足であるが、男性が優位に立てる例外として人事がある。これは伝統的に大多数が女性だから、邦人男性にはよいニュースだろう。同じような職に図書館司書や、文書担当官があるが、ポスト数自体が少ないので機会は限られてしまう。

応募やキャリアについてのアドバイス希望者はこのサイトのリソースセンターにあるコンタクトフォームを利用していただきたい。

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空席広告の探し方

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空席広告の探し方はいろいろあるが、大抵の人はまず就職希望の国際機関のサイトにアクセスするのではないだろうか。しかし希望の職種がその機関だけに存在するとは限らず、意外な国際機関で同じような空席があったりする。現在はどの機関でも任務が複雑かつグローバル化している傾向にあるので、同じような職が多数の機関に散らばっているケースは多い。

例えば公衆衛生の専門家はWHOだけで求められているわけではなく、UNICEFであったり、IOM, UNDPで募集していたりしている。防災関係分野にしても、UNISDR, UNDP、UNEP, ADB等あちこちにみられる。

これらをもれなく調べるには決まった機関のサイトを利用するだけでなく、職種別に空席広告をチェックするのが近道だろう。例えば外務省の国際機関空席のエクセルシートをダウンロードし仕事タイトル別に検索する方法がある。またICSC 国際人事委員会のジョブネットhttps://jobs.unicsc.org/ はグレードや勤務地だけでなく職種別に空席を選別できる。UNJOBS http://unjobs.org/のサーチエンジンでは職名を入力すれば国際機関、NGO等の空席が広い範囲で検索できる。ただし過去の空席等も入ってしまうので注意が必要だ。

この他、人道関係の職捜しであればUNOCHA http://reliefweb.int/jobs,  UNISDR http://www.preventionweb.net/english/professional/jobs/ の空席サーチエンジンも包括的に空席広告データを提供しており、ある程度まで選別が可能である。これらのサイトは国際機関以外の空席広告が充実している。

他にも利用できるサイトは多々あると思われるので、ご存じの方はこのページでシェアして頂きたいと思う。またある程度機関を限定できたら、アラートシステムを積極的に利用して自分のプローフィールにあった空席の情報を早く確実に入手できるようにしたいものだ。

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