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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

JPO派遣候補者選考試験

2015年度JPO派遣候補者選考試験募集要項が発表された。外務省では、国連をはじめとする国際機関で働きたい若手の日本人(35歳以下)を原則2年間国際機関に派遣し、正規職員となるために必要な知識・経験を積む JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)派遣制度を実施している。派遣期間終了後、正規職員として派遣先機関や他の国際機関に引き続き採用されることが最終目的であるが、自動的に正規職員となることが保証されるわけではなく、派遣期間終了前に通常の手続きに従って空席ポストに応募して採用される必要性がある。
外務省国際機関人事センター発行資料によると国連関係機関の現邦人職員のうち、4割強がJPO派遣制度を経て国際機関の正規職員になっているそうである。1974年から実施したこの制度で約1,400人が派遣されており派遣終了直後、概ね5~7割の方が国際機関に 正規採用されているとのこと。
JPO派遣制度で、派遣された邦人は2014年度では44人となっている。301人の応募で44人だから、選考される確率は14.6パーセント、2013年には285人の応募者に対し40人が派遣されており、確率はほぼ同じ14パーセントである。
この選考試験は国連やOECDのヤングプロフェッショナル試験(YPP)と比べると成功率が格段に高い。国連のYPP試験をとってみると結果のでている2012年度版では応募者41,023人のうち、筆記試験に呼ばれたものは4,587人、筆記試験を通過し面接に呼ばれたもの180人となっており、空席数は98で、激しい競争の後ポストにつける確率は0.24パーセントである。2013年度の最終結果はまだ発表されてないが、応募者数は22,662、筆記試験に呼ばれたものは3039人、筆記試験通過者100人となっている。
2005から2010間に行われたOECDヤングプロフェッショナル試験では、7つのポストを用意した各試験に対し約2000から3000人の応募があった。よって確率は国連YPP試験とほぼ同レベルといえる。現在はポスト数が増えているようだが狭き門であるのは変わっていない。
国連の一般空席公募だとポストによるが応募者数は50から 300人が普通だから採用される確率は0.33 から1パーセントとなる。
ここでどんなにJPO派遣候補者選考試験の門戸が開かれているか実感できるであろう。14パーセントの確率で派遣された後、半数以上が正式職員になっているそうなのでJPO派遣後正式職員になる率はヤングプロフェッショナル試験や空席広告に応募するよりずっと高い。おまけに一般空席広告のように内部職員と競う必要もなければ、YPPのように他の職員数の少ない国の応募者と比べられることもない。
まさに国際公務員への近道といえるべきこの試験に、条件の合う方はどんどんチャレンジしてほしい。

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空席広告に表示されている経歴資格等の条件

国際機関の個々の空席広告への応募者は多い。機関やポストによるが、国連だとだいたいひとつの空席に30人から300,400人の応募者がある。
これらの書類をふるいにかけて、面接までいくショートリストを作り上げるには大変な労力がいる。インターネットの発達で誰でも気軽に応募できる上、最近はグローバル化が進んでいるし、高学歴の人が増えているので、募集広告に書いてある条件を満たす履歴書は多い。そのため3人から7,8人の最終面接者を選ぶ課程が長く複雑になってきている傾向にある。この負担は大部分雇用側の上司にかかってくるので、仕事が忙しい時などついスクリーニングが後回しとなり、採用が遅れてしまう。
ところで広告の最後に書いてある仕事に必要な学歴、経験、資格等だが、私は就職セミナーの際,この条件を80パーセントも満たしていなければ応募する必要なし、と指導している。セミナー受講者の中から何をもって80パーセントとするのか、という質問があったのでもう一度ここで反復してみたい。ここでは一番空席公募の多い国連のシステムを例にとってみた。
この必要条件は、学歴、経験、言語の3種類に分かれており(Qualifications required)そのうちのひとつでも満たしていないと候補者はその時点で除かれる。そこからロングリストに残れればさらに筆記試験へのスクリーニングがある。
学歴、経験、資格は多くても15人ほどまでが対象なので、基礎条件の他にDesirable, advantage, asset などの形容詞のついた条件、例えば、特殊な資格だったり、途上国での労働経験だったり、国際機関での経験だったりのどうしても必要ではないが、あると有利とみなされる条件のチェックがされる。さらに候補者を絞り込むため、条件を満たしていていてもその質の高さ(たとえば経験の年数と環境、空席のポストに近い経験かなど)を問われることもある。このように筆記試験に招待されるということは最終選考にかなり近くなっているということである。筆記試験の結果を見て最終候補者を選び面接となる。
資格条件と自分の経歴がマッチしているかどうかの確認は客観的にやってほしい。空席広告に表示されている基礎の資格プラスあると有利と記された条件を合わせた全体の8割も満たしていない場合は応募を見合わせ、もっと自分の経歴に近い空席を捜すべきであろう。

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