
海洋環境の保護などを議論する第3回国連海洋会議が9日、フランスのニースで13日までの日程で開幕。
会議では、地球温暖化による海水温の上昇や、プラスチック汚染の対策、海洋資源の持続可能な活用などについての議論が予定されている。
地球の表面積の4分の3を占める海洋は、富栄養化、酸性化、魚類資源減少、水温上昇、汚染といった重大な課題に直面。日本のように四方を海に囲まれた国にとっての影響は深刻だ。
一方で、海底の鉱物などに含まれるレアメタルの需要が高まり、アメリカのトランプ政権は今年4月、自国の排他的経済水域以外でも海底の鉱物資源の採掘を進める方針を表明した。
これに対し、会議を主催するフランスやコスタリカなどは、深海の生態系などに対して悪影響を与えるおそれがあるとして海底の鉱物資源の採掘を制限すべきと主張。
グテレス国連事務総長は開会式で、「深海を無法地帯にしてはならない」と訴えた。マクロン仏大統領も「トランプ政権が領有に意欲を示すグリーンランドが売り物でないように、深海は売り物ではない」と強調。他の参加国の首脳らからも、性急な開発は避けるべきだという訴えが相次いだ。
アメリカは今回の会議に閣僚を派遣せず、オブザーバーとしての参加にとどまるということで、海底資源の開発をめぐる国際社会の立場の違いが目立つ。
持続可能な開発目標(SDGs)の目標14「海の豊かさを守ろう」は、17の目標の中で最も資金が不足している。国連海洋会議は、海洋の保全と持続可能な資源利用の為、一致団結した行動を再活性化させる重要な機会であろう。






