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キャリアアンカー

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キャリアアンカーとは、アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院名誉教授組織心理学者エドガー・シャインによって提唱された概念である。人が自らのキャリアを選択する際最も大切でどうしても犠牲にしたくない価値観や欲求、また、周囲が変化しても自己の内面で不動なもののことを指す。キャリアプランを立てる際につかわれる自己分析ツールは市場に多数出回っているが、このツールは比較的使いやすく知名度も高いほうだと思う。

自己のキャリアアンカーが何であるかは自分の強み、弱み、動機や人生の目標、そして価値観を分析してみればおおよそ見当がつく。

シャインは主なキャリア・アンカーを以下の8タイプに分類した。

技術的・機能的能力
特定の仕事に対する高い才能と意欲を持ち、専門家として能力を発揮することに満足と喜びを覚えるタイプ。

管理能力
組織の中で責任ある役割を担うことを望み、経営者を目指すタイプでいわゆる「出世志向」がある人。

自律・独立
どんな仕事であれ、自分のやり方、自分のペースを守って仕事を進めることを大切と考え独立の道を選ぶ傾向のタイプ。

安全性
安全・確実で将来の変化をおおむね予測できる環境を優先するタイプ。

創造性
新しい製品、サービスを開発したり、資金を調達して組織を立ち上げたりと、新しいことを生み出す創造性の発揮を重視するタイプ。

奉仕・社会貢献
何らかの形で社会を良くしたり、他人に奉仕したりすることを望むタイプ。

純粋な挑戦
不可能と思えるような障害を乗り越えること、解決困難と思われてきた問題に挑戦することを追求するタイプ。

ワーク・ライフバランス
仕事と家庭生活、公的な仕事の時間と私的な個人の時間のどちらも大切にしたいと願い、両者の適切なバランスを考えるタイプ。

何年か前OECDの女性管理職職員を対象にこの分析を行ったことがあった。一番多かったのが管理能力重視のタイプだったので記憶に残っている。OECDという研究者タイプの職種が大部分の機関では、むしろ技術的・機能的能力重視の女性が多いのではと想像していたからだ。次点は、お家柄を反映して技術的・機能的アンカーだったが、国連関係に多い奉仕・社会貢献とワーク・ライフバランスもほぼ同じ割合を占めた。ワーク・ライフと管理能力は男女間で志向の差が大きいアンカーだったが、近年差が縮小され女性の出世志向と男性の私生活重視が増えているのが興味深い。

キャリアアンカーは人生の節々で変化するものだし、2つのアンカーが同等に大切という例もある。貴方はどれをキャリアの糧とするのか、このサイトのリソースセンターでキャリアアンカー自己分析を試すのもおもしろいだろう。

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35歳以後の国際機関就職

前回JPO派遣制度の話をしたが、JPOやYPP等の若手対象競争試験の年齢制限を越えた場合、国際機関職員になる道が閉ざされているわけでは決してない。外務省人事センター資料によると現国際機関邦人職員の4割がJPO出身ということだから6割の邦人はそれ以外の道で就職したことになる。この6割の中には35歳すぎてからから入った人が大分いると思われる。

35歳からの国際機関就職の道として考えられるのは、

PKO等の特別ミッションのロスターに応募

国際機関の来日採用ミッションに応募

UNVに専門家として登録、応募

個別空席広告に応募

短期ポスト、コンサルタント、技術協力専門家等に登録、応募

政府、公共機関等からの派遣

などで色々な可能性がある。国際機関の現実として、一番空席広告の多いグレードは専門職ではP3またはP4なので、5年から8年の経験を積んだ中間管理職層が最も求められているプロフィールだと言える。

若手対象競争試験と違って、ここでは学位と職務経験が同一分野であることと、経験が対象ポストの関連分野でかつ、国連に類似した環境で得られたものである点が重視される。主に考えられる職場環境としては、国際機関でのインターン、ボランタリー、民間のシンクタンク、官公庁関係、多国籍企業、在外公館調査員、派遣員、JICA、海外青年協力隊、開発コンサル、NGO,NPO、国際法律事務所、銀行などであろう。

これらの職場で、国際機関との接点があれば有利である。例えば開発コンサルの会社が世銀の実施パートナーとなっているとか、国際機関の会議に会社から出席し、運営委員会のメンバーとなったとかである。社会人となってからも会社の研修とか,ボランタリー活動等で国際的な経験を得る機会があると思うので、努めて活用したいものだ。

最後になるが、内閣府の国際平和協力研究員制度にも年齢制限は課されていない。毎年若干名採用し、雇用期間は最大2年間、ミドルやシニア・レベルで活躍できる人材育成を主眼とし国際機関への就職率は4割以上という。応募は4月1日から30日まで。国際平和協力関連分野の修士相当以上の研究経験と国際機関又は国際平和協力関連各種団体等での実務経験は必須。またその関連分野での知見を有することが望ましいとの旨。面接時には英語の試験がある。この研究員職は給与付であり、社会人の方の国際機関へのエントリーポイントとしてはかなり有効であろう。くわしくはhttp://www.pko.go.jp/ を参照のこと。

 

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JPO派遣候補者選考試験

2015年度JPO派遣候補者選考試験募集要項が発表された。外務省では、国連をはじめとする国際機関で働きたい若手の日本人(35歳以下)を原則2年間国際機関に派遣し、正規職員となるために必要な知識・経験を積む JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)派遣制度を実施している。派遣期間終了後、正規職員として派遣先機関や他の国際機関に引き続き採用されることが最終目的であるが、自動的に正規職員となることが保証されるわけではなく、派遣期間終了前に通常の手続きに従って空席ポストに応募して採用される必要性がある。
外務省国際機関人事センター発行資料によると国連関係機関の現邦人職員のうち、4割強がJPO派遣制度を経て国際機関の正規職員になっているそうである。1974年から実施したこの制度で約1,400人が派遣されており派遣終了直後、概ね5~7割の方が国際機関に 正規採用されているとのこと。
JPO派遣制度で、派遣された邦人は2014年度では44人となっている。301人の応募で44人だから、選考される確率は14.6パーセント、2013年には285人の応募者に対し40人が派遣されており、確率はほぼ同じ14パーセントである。
この選考試験は国連やOECDのヤングプロフェッショナル試験(YPP)と比べると成功率が格段に高い。国連のYPP試験をとってみると結果のでている2012年度版では応募者41,023人のうち、筆記試験に呼ばれたものは4,587人、筆記試験を通過し面接に呼ばれたもの180人となっており、空席数は98で、激しい競争の後ポストにつける確率は0.24パーセントである。2013年度の最終結果はまだ発表されてないが、応募者数は22,662、筆記試験に呼ばれたものは3039人、筆記試験通過者100人となっている。
2005から2010間に行われたOECDヤングプロフェッショナル試験では、7つのポストを用意した各試験に対し約2000から3000人の応募があった。よって確率は国連YPP試験とほぼ同レベルといえる。現在はポスト数が増えているようだが狭き門であるのは変わっていない。
国連の一般空席公募だとポストによるが応募者数は50から 300人が普通だから採用される確率は0.33 から1パーセントとなる。
ここでどんなにJPO派遣候補者選考試験の門戸が開かれているか実感できるであろう。14パーセントの確率で派遣された後、半数以上が正式職員になっているそうなのでJPO派遣後正式職員になる率はヤングプロフェッショナル試験や空席広告に応募するよりずっと高い。おまけに一般空席広告のように内部職員と競う必要もなければ、YPPのように他の職員数の少ない国の応募者と比べられることもない。
まさに国際公務員への近道といえるべきこの試験に、条件の合う方はどんどんチャレンジしてほしい。

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空席広告に表示されている経歴資格等の条件

国際機関の個々の空席広告への応募者は多い。機関やポストによるが、国連だとだいたいひとつの空席に30人から300,400人の応募者がある。
これらの書類をふるいにかけて、面接までいくショートリストを作り上げるには大変な労力がいる。インターネットの発達で誰でも気軽に応募できる上、最近はグローバル化が進んでいるし、高学歴の人が増えているので、募集広告に書いてある条件を満たす履歴書は多い。そのため3人から7,8人の最終面接者を選ぶ課程が長く複雑になってきている傾向にある。この負担は大部分雇用側の上司にかかってくるので、仕事が忙しい時などついスクリーニングが後回しとなり、採用が遅れてしまう。
ところで広告の最後に書いてある仕事に必要な学歴、経験、資格等だが、私は就職セミナーの際,この条件を80パーセントも満たしていなければ応募する必要なし、と指導している。セミナー受講者の中から何をもって80パーセントとするのか、という質問があったのでもう一度ここで反復してみたい。ここでは一番空席公募の多い国連のシステムを例にとってみた。
この必要条件は、学歴、経験、言語の3種類に分かれており(Qualifications required)そのうちのひとつでも満たしていないと候補者はその時点で除かれる。そこからロングリストに残れればさらに筆記試験へのスクリーニングがある。
学歴、経験、資格は多くても15人ほどまでが対象なので、基礎条件の他にDesirable, advantage, asset などの形容詞のついた条件、例えば、特殊な資格だったり、途上国での労働経験だったり、国際機関での経験だったりのどうしても必要ではないが、あると有利とみなされる条件のチェックがされる。さらに候補者を絞り込むため、条件を満たしていていてもその質の高さ(たとえば経験の年数と環境、空席のポストに近い経験かなど)を問われることもある。このように筆記試験に招待されるということは最終選考にかなり近くなっているということである。筆記試験の結果を見て最終候補者を選び面接となる。
資格条件と自分の経歴がマッチしているかどうかの確認は客観的にやってほしい。空席広告に表示されている基礎の資格プラスあると有利と記された条件を合わせた全体の8割も満たしていない場合は応募を見合わせ、もっと自分の経歴に近い空席を捜すべきであろう。

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ようこそ

国際機関就職希望者と邦人職員を結ぶ全く新しいタイプのサイトにようこそ。

国際機関勤務者たちが現場での経験に基いた具体的なアドバイスで、就職希望者の活動を支援します。邦人職員の方々へのメンタリングも提供しています。

国際機関人事畑経験30年の管理者 小島晶子 は、キャリアカウンセリング、応募書類添削、面接指導等のサービスを通じ、就職希望者、現国際機関職員のキャリアを、しっかりとサポートします。

インタラクティブなフォーラムでは、従来のお知らせサイトに望めなかった雇用側の目線に沿った情報や助言がメンバー間で交換できます。

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