
パレスチナ非占領地域での人権保護を話し合うため準備が進められていたジュネーブ第4条約締約国会議が、十分な参加者を確保できなかったため3月7日の開催直前で中止された。
昨年9月、国連総会はジュネーブ諸条約の寄託国であるスイスに、ジュネーブ第4条約締約国会議を召集するよう要請。ジュネーブ4条約は国際人道法の礎であるジュネーブ諸条約・追加議定書の1つで武力紛争や占領地域に住む民間人への人道的保護を定義している。
今回の会議の目的の1つは、パレスチナ占領地域におけるジュネーブ第4条約の遵守をイスラエルに求める共同宣言を採択することだった。スイスは全締約国196カ国に参加を呼びかけたが、パレスチナ代表団は配布された草案に不満を表明し、出席しないことを選択。米国やイスラエル、アラブ諸国の不参加表明も相次いだ。
議開催を主導したスイスのフランツ・ペレツ大使は記者会見で、参加国の「十分な数」が実現できなかったと説明。草案が合意に至らなかったのは「現実を反映している」とも語ったが、国際人道法の礎であるジュネーブ諸条約を疑問視する国はないと強調した。
現在の複雑な国際情勢を反映しているとはいえ、この会議のキャンセルは国際法への打撃でもある。一方、イスラエルは今月19日からのガザ停戦合意を正式に承認。合意には米国やカタールなどが仲介している。国連が主張してきたマルチラテラリズムの形も、今後は変わってくるかもしれない。






