国際機関応募とAI

前回も触れた国際機関採用プロセスとAI。今回は応募者の観点からの話題である。

AIを利用して履歴書やカバーレターを作成する応募者は激増している。空席に合わせ、英語の間違いのない書類を即座に作成できるところが魅力だ。AIが作成した書類のおかげでスクリーンされる可能性は、以前の応募書類より高くなるかも。ただし、応募者全員がAI利用者であればもとの黙阿弥といえる。

スクリーン後によく行われる筆記テスト。ここで応募者がAIを利用してエッセイ等を作成するのは、採用側にとって頭の痛いところ。いくら禁止しても、より質の高いエッセイを目指して応募者がAIに走るのは想像できる上、コントロールは難しいからだ。

現在のところ、国際機関独自の専門分野に関する質問に正確に答えるにはAIもデータ不足かもしれない。だが大抵の質問に答えは見つかる筈であり、情報も将来充実してくるだろう。

機関によっては答えを書く時のデスク状況を録画させ、インターネット検索していないかチェックしている。またAIで書かれた文章かどうかを分析するアプリや盗作チェッカー使用、人間が念入りに読み込む、など色々対策はある。

だが時間も手間もかけ判断を下しても100パーセントのコントロールはできない。AIの作った文章の長々しさや、不自然さを調整すれば、あたかも応募者が自分で書いたような自然な文章にも加工可能である。

応募者のAI使用に、国際機関が今後どういう対策をたてていくかが注目される。例えば筆記テストにしないで、自動録画で専門分野の課題にすぐ答えさせるようなツールを使用するとか、応募者に短い動画を作成させるとか、AIを利用することのできない環境での選考が必要となるだろう。

色々な分野で静かな革命を起こしているAI。国際機関のスクリーニングや面接にも、まだまだ利用される可能性はありそうだ。

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