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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

国連インターンのデモ

2月20日、国連指定の「世界社会正義の日」にジュネーブ国連広場前で無給インターン制度の改善を求めるデモがあった。デモはジュネーブだけでなくニューヨーク、ワシントン、ブラッセル、ウィーンでも行われた。

無給インターンシップ問題は、ここ数年注目の的だ。2015年8月、ニュージーランド 出身のインターン、デイヴィッド・ハイドさんが、節約のためジュネーブでテント暮らしをして いると広く報道された。

それをきっかけに、 インターンや学生、専門職の若者らが 「Fair Internship Initiative—公正なインターンシップを求めるイニシアチブ」という運動を起こした。この「インターンシップを有給に」というスローガンはジュネーブからニューヨーク、パリ、ウィーンへと広がっていった。

ニューヨークとジュネーブの国連機関に採用されたインターン は、2014年でおよそ4000人。そのほとんどが無給だ。ジュネーブでは完全無給の割合は2013年、68%に及んだ。

物価高では世界トップクラスのジュネーブで 無給は 大変だ。無給のインターンシップを続けられるのは実家が豊かな外国人か、近くに居住している学生のみとなる。富める者だけが利用できるこの制度は確かに不公平だろう。

私も個人的に無給インターンを無料で宿泊させた経験がある。コロンビア出身の彼女は, 「国連人権委員会で働くのが夢」という。コロンビアの実家からどのくらい援助があるか聞きそびれたが、ジュネーブの1ヶ月の部屋代だけでも、国の家族の負担は重いだろうと想像 した。

国連総会の決定により、国連にはインターンに給与を支払う権利がない。一方、専門職初級レベル は全体の3%と極めて少なく、インターンをその代わりに使っている内情がある。また経済的犠牲を払ってでも、国連インターンを希望するものは後を絶たないという現実もあり、今後国連がどう対応していくかが注目される。

国連以外の組織は有給化に向かう動きがあり、ILOは月額1850フランを、IOMは500 から 1500 フランをインターンに支払っている。また 27のNGO(非政府組織)は最近、月額500フランの最低賃金をインターンに支払うことで合意した。 関係者はこの傾向が広まることを期待している。

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アセスメントツール

国際機関の採用によく使われるアセスメントツールは何か。面接、サイコメトリックテスト以外にも複数ある。評価方法をいくつか組み合わせ、 候補者を効果的に選び出すためだ。

主なものをあげてみよう。

  • ロールプレイ:空席に類似した架空の役割を演じてもらい、その言動から部下、上司、顧客等との交互作用を見る。
  • ケーススタディー:ケースに応じ、組織のマネジメントや戦略を提案させ、専門のアセッサーが評価。状況分析や対策を書かせ、雇用上司が判断する場合もある。
  • 能力 テスト:仕事に要する 計算能力、分析判断力などのテスト。統計、内部監査、財務などの職種 に実地される。言語関係ポスト、YPP、 一般職用の大規模な競争試験もこの部類。
  • 筆記試験:専門知識に関するテーマを2問程出し1-2時間でエッセイ形式の答えを書かせる。架空の状況に対処する手紙や、スピーチ、プロジェクト企画書などの課題もあり。
  • プレゼンテーション:特定のテーマについてプレゼンさせ、コミュニケーション能力、専門知識等をみる。
  • グループディスカッション:候補者の議論参加状態から主張能力を判断。
  • インバスケットエクササイズ:限られた時間内に課題を与え、仕事処理能力を測る。

国際機関で最も頻繁な選抜用メソッドは、筆記試験とコンペタンシー面接だろう。ポストによってはプレゼンテーションや能力 テストも利用される。これらはアセッサーを必要としないので手軽にできる。

ロールプレイ、ケーススタディ、グループディスカッション、インバスケットには専門家を要しコストが高くなる。利用する機関は一部だが主に管理職ポストが対象だ。

管理職アセスメントには、 面接の他に2つか3つのメソッドを組み合わせる。 ロールプレイとサイコメトリックテストがよく使われているようだ。

専門家の評価後、採用側は、面接等の結果と合わせて候補者の判断をする。テストや面接の評価の比重は採用側の意思次第だ。

「面接や筆記試験後にもテストか。準備が大変だ。」と感じるかもしれないが、 プレゼン以外は 事前に特別な用意はいらない。アセスメントの方法や目的を理解していれば対応しやすいだろう。

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サイコメトリックテスト

キャリア支援の際、候補者からアセスメントテストに関する質問をされることがある。一部の国際機関では採用選考の中にCompetency-Based面接 と共にサイコメトリック手法を導入しているからだ。採用プロセスの面接まで進んだところで、テストへの招待を受けるケースが多い。スクリーニング、筆記試験、面接という難関を越えて、さらに課されるテストに驚く候補者もいると思う。

コンペタンシー面接では、過去の成果を具体的に挙げさせ、将来の行動のパターンを推測する。テストでは、面接では測りきれない人間心理の構成概念(性格・知能・態度・認知・ 学力)を、候補者の答えと他の答えの統計とを比較分析して評価するわけである。この統計と心理学を合わせた ツールは人材資源ビジネス市場に星の数ほどある。ただしテスト自体有料である上 結果分析にはそれなりの専門性を要するので、 大規模に実地するのは難しい。よって適用している機関にしても、特に幹部候補者の心理的側面、将来における潜在的可能性をより精査する方法として使っているようだ。

よく知られているテストとして、Hogan, Wave, ビッグファイブなどがある。競争の激しいこの市場で特に大手なのが、日本にも支社のあるSHL (Saville & Holdsworth Ltd.)でその代表的ツール OPQ32は国際機関にもかなり食いこんでいる。OPQ32は、人間関係、社交性、影響力、共感性、思考スタイル分野の32の性格特性を測定するものだ。オンラインで候補者が質問に対し多数の答えの中から自分に最も近い、または遠い、と思うものを選んで進んでいき、30分ほどで終わる手軽さもうけている。結果として、候補者の強みと弱みが明らかとなり、統計と比較されて、仕事への適性が判断されるというわけだ。

本来ならば、文化のバイアスを防ぐために候補者の母国語の質問を使い、同じ文化圏のマネージャーの統計との関数を測るべきだが、そのような念入りなプロセスを実地しているところは皆無だろう。候補者のアセスメントをより正確にするため、一つのトピックに関して違う形で質問が何度もされるので、模範解答をしようと思っても無駄とされていた。また構造上、嘘の答えは分析官から見抜かれるとも言われている。しかし最近は、練習を重ねた方が良い結果が出るとアドバイスしているサイトもあり、驚かされる。

これらのテストには実地側としても、受ける側としても 何度か参加したことがある。個人的な感想だが、あまり結果がスムースで適性がぴったりという結果が出ると、信用できない気になる。またアジア人は一般に謙虚で自己の売り込みが苦手なので、素晴らしく影響力のある、 社交的マネージャーというプロフィールは出にくいと言える。前もって準備する意味はあまりないと思うが、心配な人はオンラインの無料サイコメトリックテストで練習し、やり方に慣れておくといいだろう。

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面接後の注意事項

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国際機関での面接の最後には、候補者の方から面接官に質問することができる。この部分はコンペタンシーベース面接のパートには含まれていないが、候補者を評価する対象にはなりうるので注意したい。

大抵の候補者はこれからの採用プロセスについて聞くが、評価する側から見ると平凡で付加価値のない質問と言える。差を付けたかったら、事前に組織や仕事を調べておいて雇用マネージャーでないと答えられないような質問をすることだ。例えば仕事チーム今年の目標の最優先事項、民間セクターとのパートナーシップ事情など、対象ポストの空席広告からではわからない部分に言及してみる。仕事に対する興味の高さと下調べをしたという熱心さをアピールできるというものだ。

ただしサイトを見ればすぐわかるような初歩的な質問や、空席と全く関係のない質問をしては返って逆効果である点に気をつけよう。また、長い面接タイムの後で担当者が疲れている時に、複雑な答えにくい質問をいくつもするのは考えものだ。空気を読み、準備してきた質問を効果的に使って熱心さを見せれば目的は達したと言っていい。

面接のスケジュールが長引いたり、候補者が多すぎたりして、質問する機会が与えられない場合もある。そのような時は面接側が意図しての展開なので、質問をする機会がなくても心配することはない。

くわしい雇用条件や給料についての疑問は、面接官に聞くのではなく、人事担当者に面接の前か後に直接問う方がよいだろう。また担当者への面接後の礼状やメールは、国際機関では必要ない。

面接後、自分の履歴書に書いてある身元照会先に機関からリファレンスチェックがいくかもしれないので、改めて連絡しておくべきだろう。特に、彼等に強調して欲しい事項や面接で話題になった件等、前もってブリーフしておけば効果的といえる。個人的な経験だが、応募した空席の採用プロセスが長引きすぎて、知人に照会が行った頃は何の保証なのかほぼ忘れられていたという笑い話もある。このような場合に備えても、面接後のリマインドをお勧めする。

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JPO追加募集

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新年おめでとうございます。今年もキャリア国際機関をどうぞよろしく。

国連の採用テストサイトを見ていたら、専門職応募者の数は空席ごと平均800人で、140カ国からの応募があると記してあり改めて驚いた。自分の経験では多くても600人位と記憶していたが、DPKO(平和維持活動局)のポストなどは応募者1000人は普通だそうだから、平均すればそのくらいになるのかもしれない。

この人数を考えれば、やはり国際機関就職一番の近道はJPOと再確信せざるを得ない。JPO (ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)とは、外務省が、国連をはじめとする国際機関で働きたい若手の日本人(35歳以下)を原則2年間国際機関に派遣し、正規職員となるために必要な知識・経験を積増させる制度だ。広報の充実により、今日では国際機関志望者ならほぼ誰でも知っていることと思う。

このJPO 選考試験だが、2013年は285人応募で40人合格 、2014年は301人に対し44人を派遣と競争率は7倍ほど。国連専門職ポストの800人に1人採用の確率とは比べようのない広い門である。国際機関にあるYPPやNETIなどの若手対象の採用プログラムでも千、万単位の応募書類が色々な加盟国から届く。よって競争率、合格レベルとも非常に高く、日本国籍が少しでも有利となる最終選考プロセスまでたどり着くのはとても 難しい。

またJPOは近年追加募集もされている。2016年度追加募集も最近発表され、11ポストが対象になっている。今回は国際法、人権、開発(フランス語圏)、財務等の専門家が要求されている。 現役時代採用ミッションに行くと、他国の候補者から日本の JPO制度を羨ましがる声を聞くことがあった。採用条件に合致している者は国際機関最短のゲートウエイであるこの制度をぜひ活用したいものだ。 追加募集受付期間は1月10日から、1月25日まで。詳しくは外務省人事センターの募集要項を参照してほしい。

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冬休み

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管理人

今年も残りわずかとなった。
去年も述べたが、冬休みは自分の キャリアプラン構築や就職活動準備の良い機会でもある。

まず今年の成果を 分析してみよう。結果によって、キャリアプランやゴールの調整、戦略立て直し、トレーニングや資格獲得等の必要が出てくるかもしれない。面接やテストを経験した場合は次の機会に備えて質問や答えの分析、改善点などをまとめておこう。

国際機関空席のプロフィールに合致しているのにスクリーニングを通過しない場合は、基本的な履歴書の見直しが必要だろう。空席広告にある程度適応しながら応募書類を毎回調整するにしても、土台となる履歴書 は重要である。とくに過去の仕事の書き方は第三者に目を通してもらってたりして吟味すべきだろう。キャリア国際機関でも履歴書添削サービスを提供している。

まだキャリアの目標や計画の立ってない場合は自己分析をしてみる機会でもある。自分の強み、弱点、好きなこと、現在までの主な経歴、業績を書き出してくるうちに、希望のキャリアを絞り込めるかもしれない。このサイトのリソースセンターにある、シャインのキャリアアンカー分析で自分の価値観、欲求等を認識するのもお勧めである。

同センターの自己分析キャリア開発アクションプランテンプレートを使い、自己SWOT分析の後キャリアプランを構築するのも効果的だろう。自分の市場価値を認識するツールとして、同センターの応募対策エクササイズも有効だ。決まった機関、職種等にまだ照準を合わせていない時点で、自己の強み、競争上有利な点を具体的に書きだすことでSWOTと並行して自己分析に使える。

時間のある冬休み中に、興味のある国際機関や職の情報収集するのもいいアイデアだ。未来のキャリアプラン実行の糧となる筈である。

また今から来年の就職活動カレンダーに留意して、応募期限が過ぎてしまったり、イベントを逃がしたりしないよう気をつけよう。各機関の個別空席締切日、インターンシップやYPP等への応募期間、外務省JPO試験や内閣府の国際平和協力研究員制度時期、または在外公館調査員、派遣員等の試験期間などおおよその時期はチェックしておきたい。

最後になるがこの休み中に家族のみでなく、友人、先輩、同僚などとの交流を楽しみつつネットワークの輪を広げていくのもいいだろう。

グローバル人材育成を支援していくサイト、キャリア国際機関を2017年もどうぞよろしくお願いしたい。

 

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国際機関採用の例

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先般、キャリア国際機関の成果を発表した時、下に紹介する投稿を頂いた。

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まずは、小島先生にご指導していただいたおかげで、このたび国際機関で働くことになりました。心よりお礼申し上げます。

思えば、以前は自分で作成したレジメを国際機関に送付していたものの、面接まで呼ばれることもなく途方に暮れていました。ふとしたきっかけでこのサイトを知り、さっそく先生に添削や模擬面接のアドバイスをいただきました。

その後は、月に多いときは3回ほど国際機関からの面接に呼ばれるようになり、面接の合否にかかわらず議事録を先生に送ってその都度アドバイスをいただくことで少しずつ面接準備を改善するということを繰り返した結果、このたび国際機関で働くことになりました。

まさに先生なくして私の合格はなかったものと確信しています。これからは国際機関でいただくお役目に感謝してしっかりと職務を果たしてまいります。今後ともご指導のほどどうぞよろしくお願いします。

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この方は履歴書添削後約一年半でFAO 財務官P3の空席に採用された。JPOや政府派遣枠外の採用は珍しく、外務省からも注目された。キャリアコーチングや応募書類添削、模擬面接等の支援はしたが、ここに至ったのは本人の経歴と努力のたまものといえる。成功の要素を分析してみた。

・専門が、民間での経験が生かされる財務という職種である点。またこの職種の邦人職員は少なく希少。

・日本とアメリカで獲得したCPAという資格が、BAでありながら、MA同レベルと国際機関側に評価された。また会計だけでなく監査経験も豊富で、財務分野では評価の高い技能。

・世界的に名の知られた大手コンサルティングファームで5年以上勤務した後、JICAで働き民官両セクターを経験している。

・発展途上国でのプロジェクト管理、政府要人、パートナー等とのやり取りは国際機関で評価される活動。

・ プロフィールの合う空席にはすべて応募し、面接の度に準備と、事後の反省に時間をかけた。

プロフィールが合致しているときは、あきらめず何度もトライすれば報われるというよい例だと思う。国際機関就職希望者の参考になれば幸いである

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日本人留学生との交流

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ジュネーブ国際機関日本人職員会(JSAG)の企画した、国際機関を目指す留学生との懇親会に参加する機会に恵まれた。ジュネーブとその近郊には、30~40人を超える日本人留学生や研究生がいるそうで、ロンドンからの留学生も含め、11月25日の懇談会に参加した学生は40名ほどであった。現職員に、仕事内容や生活のことなどを直接質問できる良い機会でもあり、会場のあちこちで活発な交流がなされた。

国際機関への就職説明会に参加した後なので就職への一般情報は皆、把握済みである。今後の留学生の課題は、国際機関就職の最低基準である、専門分野での学歴と職歴をどう合致させ構築していくかだと思われる。国際機関キャリアに関する様々な相談は、学位習得前の経験がどう評価されるかと、習得後どんな経験を積むべきかに関するものが多かった。

国際機関採用の際高く評価されるのは、公募中のポストの環境と近い職場で得た経験である。例えば同じような活動をしている他の国際機関、政府間機関、NGO,JICA,開発コンサル等での経験が重視される。また開発関係のポストであれば途上国での職歴も評価される。留学生にはすでに日本での職歴がある者も多いのだが、習得中の学位と同分野でかつ上記のような環境での経験を有するものは少ないと思う。

国際機関就職の最短距離といわれる外務省のJPO試験においても、専門分野での学歴と職歴の合致は求められる。ただし職歴は国際機関に近い環境で経験したものでなくても、ある期間インターンや短期採用等で、国際機関との接点があれば書類選考で考慮されているようだ。専門分野での経験がない場合は国連のヤングプロフェッショナルの試験に応募するという手がある。経験は問われないが、競争率はJPOの60倍以上の狭き門だ。

キャリアは100人いれば100通りあると言われるように、個人的な要素が強い。共通の情報と供に、個別のケースに応じたアドバイスも留学生たちに必要であろう。またいつキャリア戦略やプランをたてればいいかという問いもあったが、これは、早くスタートできればできるほど有利と答えている。プロジェクト管理と同じで初期の調整、修正、実行は、キャリアの途中でやるより、ずっと簡単だからである。

留学生達のやる気とエネルギーが感じられ、交流会は良い刺激となった。今後もグローバル人材育成サイト、キャリア国際機関のサービスを充実させ、彼らを支援していきたいと思う。

 

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応募直前10分でできる確認事項

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国際機関への応募の際、必要書類を整えウエブ上のAPPLYというボタンを押す前に、これだけを最終確認してみよう。10分足らずのチェックで致命的なミスが防げるかもしれない。このチェックは空席公告の「Qualifications」等にある応募要件に自分のバックグラウンド等が合致しているかどうか十分確認しカバーレター、履歴書とも吟味した上での最後の注意点である。

まず応募対象ポストのタイトルと番号を再確認しよう。ウェブ上の記入フォームで応募データを入力していくパター ンだと各空席に直接応募するので、参照番号が間違っていても影響はない。しかしカバーレターや履歴書に間違った空席情報が引用されていると印象が悪いし混乱を招く可能性もある。過去に応募したポスト番号がそのまま残っている書類も結構あるので気をつけたい。送られた応募書類が全て同じアカウントに集中するシステムの機関だとこの間違いは決定的となる。

カバーレターの扱い方は各機関それぞれだが、上記したポスト番号と共に最低気をつけたいのは、書き出しの Dear Mr. XXX や  Dear Sir or Madam が結びのYours sincerely、Yours faithfullyと合致していること(順番どうり合致)。このミスはネイティブにチェックしてもらったというレターにも見られるので要注意といえる。理想的には担当者の名前を書くべきだが、個人名のスペルの間違いや、名前と苗字の勘違い等、エラーの可能性が高く、雇用側の受け取る応募書類の量も考えれば得策とは言えないだろう。

雇用側からの最初の連絡は普通メールなので、最低履歴書のメールアドレスは再確認要だ。最終学歴のタイトルは、雇用側がさっと見てすぐ空席広告に求められている学位かどうか判断するものだ。わかりやすく表示してあるかチェックしたい。

職歴では、業務していた期間とその肩書に注意する。空席に関連した職務経験が何年あるかの判断は、記入された日付によって計算されるわけだから、ミスは避けたい。また期間をだぶっていくつも仕事をしている場合は説明を加えるべきだろう。職務の肩書に日本語を適度に訳して記入している場合は、なるだけ国際機関でも使われているタイトルや、見ただけで仕事内容が簡単に想像できるものを使う。案外重要な項は管理した部下の種類と数だ。職務内容が同じような仕事でも、部下の専門性が高く、人数が多いほど責任の高い仕事と見なされる。ここはしっかり表記すべきだろう。

最後に身元照会先の連絡先、最低メールを再確認しよう。時間も労力もかけ作成した応募書類だ。短時間でできる最終チェックをやる価値はあることと思う。

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キャリア国際機関の軌跡

管理人
管理人

キャリア国際機関のサイトを立ち上げ、国際機関キャリア支援サービスを始めてからはや一年半あまりが過ぎた。この間の主な活動と成果を振り返って見たい。

昨年2月15日に最初の記事を載せてから、ほぼ2週間おきに国際機関のキャリア開発に役立ちそうな記事をアップロードしてきた。掲載された記事は44件、今回が45番目の投稿となる。キャリアアドバイス、コーチング、応募書類添削、模擬面接等のサービスを利用した方は約36人。応募、面接テクニック資料の販売は14件となっている。報告のあった範囲では、国際機関に採用されたものが2名、JPO試験に受かったものが2名とうれしい結果に結びついている。

また、国際機関邦人職員用にキャリア構築セミナーをジュネーブで一度、外務省主催の応募書類書き方セミナーを東京で一度行い、インターネット上だけでなく、直接の指導ができてとても有意義であった。その他にもジュネーブ国際機関訪問の大学生たちにレクをする機会に恵まれ、若さの可能性を実感させてもらっている。来年は国際機関訪問ツアーが実行され、参加者にキャリアカウンセリングを提供する予定となっている。

アドバイザーを引き受けてくれた元同僚、外務省国際人事センター、ジュネーブ邦人職員会、そしてジュネーブ日本政府代表部にもずいぶんと協力していただき、感謝している。いろいろと成果があったこの20ケ月間に感じたことを以下に述べてみた。

外務省人事センター等の努力のおかげでどうやったら国際機関に入れるか、という情報はとても充実している。しかし、個別のプロフィールやキャリアのニーズに合った国際機関や空席を捜し、応募書類を作るための情報やアドバイスを得る機会は稀である。とくに地方の社会人や海外在住者は孤立がちで、そのような支援には恵まれない。アドバイスや適切な情報のないまま、プロフィールの合致していないポストに何度も応募を繰り返し、あきらめてやめてしまうケースも多いと想像できる。

国際機関就職希望者のみならず現職員からもアドバイスやコーチングの依頼はあり、この分野でもキャリアサポートの強化は必要だろう。とくにJPOはコーチやメンターが早い時点からついていれば、国際機関の正式職員になれる可能性が高くなると思う。

なるべくたくさんの人に役立ちたいという思いから、キャリア国際機関のサービス料金は比較的低く設定してある。アドバイスは無料だが的確な情報を提供するためには、リサーチやデータ分析が必要となり、それなりに時間も手間もかかっている。応募の成功、不成功にかかわらずアドバイスや面接、書類添削後の結果を知らせてもらえると、とてもやりがいがある。

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