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対面面接でのマナー

国際機関の対面面接で守るべきマナーは、基本的に私企業とあまり変わらないが独自のものもある。以下の行為は面接官の心情に悪影響を与えるので気をつけたい。

面接前

面接時間に遅れるのは言外。余裕を持って到着し待機している応募者を、担当官が面接室まで案内することがある。その際面接官の先を歩くと横柄な態度と思われるので注意。この印象が面接中の話す姿勢などとも相まり尾を引くリスクは高い。

握手は適度にダイナミックに。力のない握手も困るが力をこめて強く握りしめ、相手に苦痛を与えてはマイナス。

席に着いたら携帯をテーブルの上に置いたりしてチラチラ見るのもご法度。電源を切ってバックに入れておくのがマナーだろう。

面接中

印象付けようと、大使や大臣などの名を知人として挙げる人がいるが、好感度を自ら下げる行為。また給与に関する質問をするのは面接外で良い。

前職の批判や愚痴といったネガティブ発言は「採用後も同じように不満を抱えるのでは」という懸念に繋がる。

話が長いのもご法度。特に最初に自分の適性や強みをアピールする際2分以上一人で喋り続けるのはやめよう。自己PRが面接官にとって長すぎ退屈と思われる候補者が採用された例はない。

化粧が濃すぎたり、オーデーコロンや香水が強すぎたりすると、不快なだけでなくその印象のみが残る。ネールが奇抜なネオン色の応募者がいたがその色の記憶が後を引いていた経験がある。

面接最後の逆質問

積極的に質問しモチベーションを強調する機会だが、内容も吟味。ホームページを見ればわかる基礎情報を聞くのは勉強不足を暴露しているようなもの。

また「私が採用される見込みはどのくらいですか?」と聞いたり、質問の代わりに「この機関で働くのが夢です!」とか「絶対役に立ちます」とアピールする候補者がいるが、採用側はむしろ引いてしまう。

以上面接で避けたいマナーをいくつか挙げてみた。全部網羅しているわけではないが、これらに気をつけるだけでかなり面接の質は上がるだろう。

あなたの弱点

国際機関の採用面接は概ねコンペテンシーベーストだが、それ以外の質問も出ることがある。その中でよく出されるものの一つが、”What are your strengths and weaknesses?”というもの。もっと単刀直入に”What is your greatest weakness?”と聞く機関すらある。ポイントは弱点であって強みではないからだ。

強みは誰でもアピールできる上、すでに面接初期の質問や履歴書で分かっているので優先度は低い。興味の焦点は短所にある。

”仕事熱心すぎで寝食忘れて没頭”、というような長所とも取れる答えをする応募者は多いがあまり感心しない。面接官もその種の回答には慣れているので情報価値がないばかりか、正直さを疑われることもある。

ではどういう弱みを述べるか。空席に書いてある職務直結のコンペタンシーは避ける。例えば広報のポストなのに人前で話すのが苦手といった場合。さすがに国際機関でそういう面接者に遭遇した経験はない。一般的な、しかし本当の弱点をあげ、それを意識し、克服する努力をしていると肯定的に終えるのがコツ。

多い回答例は、仕事の遅い人や進行のないプロジェクトへの忍耐力欠如、同僚に主張できず合わせる、仕事をたくさん抱えてしまう、繊細すぎ、締め切りギリギリでスパートなど。

面接官が注目しているのは弱点の種類や内容ではない。短所を素直に認め、それを克服する努力をしているという自己分析能力や適応、学習能力、円熟度を問いているのだ。将来この人と働きたいと雇用側に思わせるように、誠意のある答えでアピールしたい。

ビデオ面接

最近よく聞くビデオ面接。スカイプ等でのライブ面接ではなく、録画にして採用側に送る形式を指す。本番の面接用候補者を絞り込むために、筆記試験の代わり、またはそれと合わせて行われる。

国際機関で使っているのはOECD, Green Climate Fund, IAEA, EMS, CTBTOなど。OECDではヤングプロフェッショナルのスクリーニングに使っているようだ。ビデオ面接用アプリは多数出回っているが、国際機関ではSonru使用が目立つ。

私企業と違い、上記機関では専門分野の質問を出すところが多く、時間は最大20分ほど、質問は5問程度。応募者は予め録画された設問に2分程度で応えていくが、やり直しが効かないので注意。面接用アプリの説明を理解し、テスト質問をこなしてから始める。

ビデオ面接には、時間や距離に関係なく面接ができ低コストというオンライン面接の長所に加え、関係者のスケジュール調整不要、同じ質問が全応募者に出され公平、いつ何度でも面接をリビューできる、といった魅力がある。特に応募者数の多いポストのスクリーニングには便利だろう。

応募者にとっての利点は自分の好きな時に始められる所。3日程の期間内にアプリにアクセスする。専門知識を試される質問が主だから、簡潔明快な話し方は大切。テスト質問でもある程度調整できるが、説明の仕方や速度、ジェスチャー、照明、音質等は前もってチェックしておきたい。最後に質問やコメントを自由に述べさせる機関もあるので、その対策も考えておこう。

採用側にとっては利点の多いビデオ面接。今後も取り入れる国際機関は増えると思われる。相手のいない一人舞台で戸惑いがちだが、成功し最終面接に繋げたいものだ。

面接での笑顔

模擬面接でよく指摘するポイントに「もっとスマイルを」がある。笑顔は自信や積極性、相手への関心をイメージさせ、他者との協調性、親しみやすさも伝えるという。本人をリラックスさせる効果もあり、場の空気も和ませる。

ただし、自然で時と場面に応じた笑顔が条件。終始ニヤついたり、面接官が笑顔で楽しい話しをしているのにむっつり、真面目な話し中、満面の笑みといった反応も逆効果。国連時代、受け答えは素晴らしいのに、笑顔がなく終始無表情の候補者がいて、将来一緒に働きたくない、という感想が出たことがある。

ではいつスマイルを使うか。まず、面接官と会った時に笑顔で元気よく自分をアピールし、第一印象を強める。自分が熱意を持っているテーマについて話す際、無意識に出てくるような笑顔も効果的。また面接官が笑顔で話せば、ミラー効果でこちらにもスマイルが伝わってくるもの。そして面接の最後もニコッとして挨拶し好印象のまま終わらせたい。

スマイルは電話やスカイプ面接にも有効。特に電話では双方の顔が見えなくても、笑顔が口調や声に反映され面接官に効果的に伝わる。

不自然な笑顔は面接には逆効果。人間の脳には、顔の筋肉の動かし方の違う擬似スマイルを見分ける能力があるそうだから、返って警戒されてしまう。しかし緊張している面接中にどうやって自然な笑顔が作れるのか。

面接前、自分で鏡を見て笑顔のトレーニングをしてみよう。口角をあげ、目尻を下げる、という2点を意識すると、表情筋が和らぎ自然な笑顔が出しやすい。スマイルが面接テクニックの全てではないが、その効果は大きいので練習する価値はあるだろう。

面接に役立ちそうなテクニック

テレビで面白い特集をしていた。どうやってWINNERになるかというハウツー物。この手の話題はアメリカ系が多い。職場や私生活での成功につながるテクニックを広範囲に紹介していたが、国際機関の面接に使えそうなものもあった。

まずガッツポーズ。スポーツ選手などが、両手の握りこぶしを胸の前、あるいは頭上高く挙げて勝利を表す姿勢をとる。鏡に写った姿を脳裏に焼つけ、そのポーズの感覚を覚えれば、勝利の喜びを感じられ、自信が湧いてくるというもの。何も失うものはないのでダメ元でやってみていいだろう。面接前の緊張がほぐれれば価値ありだ。

Because はyou, free, instantly, newなどと並んで、コピーライティングのパワーワード。幼児の頃から理由を明確するために使ってきているので、誰の脳にもしっかりと刻み込まれ、印象に残りやすいらしい。社会心理学者チャルデイーニのテスト結果でも何かを頼む時にBecauseという理由を入れると、依頼が受け入れやすくなるという。面接の始めに聞かれるWhy are you interested in this position ?といった質問にBecauseを使って理由を述べるといいだろう。もちろん理由に説得力があることがポイント。

相手の名前を頻繁に呼ぶと、近親感が増すとよく言われる。最初から面接官の名前を聞いておき、挨拶や質問に答えるときに使えば、ラポール作りができ、面接もやり易くなるかもしれない。だがこれを実行するのは案外難しい。まず前もって面接官の名前を教えてくれるかどうか不明。緊張している面接開始時に、色々な国の複雑な面接官の名前を直ちに覚え活用するのは至難のわざだろう。面接官の呼び方を誤り逆効果というリスクもある。

韻を踏んだボキャブラリー、例えばdog/log, fat/batを使いコミュニケーションを効果的にするテクニックも有った。面接の答えに応用すると、なるほどリズムや響きの良さから印象が強くなるかもしれない。しかし、面接でごろ合わせをした勇者にはまだお目にかかっていない。

以上面接ガイドには普通ない面白いテクニックが様々で、興味深かった。これらを実行し、効果のあった方はキャリア国際機関までお知らせ願いたい。

ネット面接ハプニング

模擬面接の依頼が立て込んでいたある週、普段ならありえないハプニング が2度あった。まず、候補者側のマイクが作動せず音声なしとなった場面。もう一回はこちらの居住地全区でスカイプが故障した時。どちらも修復の見通しが立たず、結局日を改めて模擬面接を行なった。

本番の面接でも、予期しなかった問題が急に発生することがある。例えばマイクやカメラ、パソコンがうまく機能しない事態。また アプリに障害が出たり、インターネットとの接続が悪かったりと状況は様々だ。

採用側としても、インターネット面接中予期しない 出来事を色々体験した。突然の停電、予告なしに誰かが部屋に入ってきた時、ネットや電源の急な乱れなど。準備万端で臨んでも不慮のハプニングが避けられない場面はどうしてもある。

このような時、一番必要なことは落ち着くこと。採用側と連絡がとれれば、状況を説明して指示を仰ぐ。相手からは時間や日にちを改めて再開するか、電話回線に切り変えて続行するか等の決断が出るはずだ。急に接続が切れてしまい自分の方から何もできない時はそのまましばらく待つ。

何れにしても、パニックに陥ることなく冷静に対処したいもの。国際機関側では、 よくあること、特に途上国との接続にはありがち 、と認識しているのでそれ程気にしなくていい。ただし、自分の事前の準備が万全 でなく面接続行に障害が出た場合は、印象が悪くなるので気をつけたい。

模擬面接サービス

応募者からの「面接指導 をしてほしい」というリクエストで始めた模擬面接サービスだが、効果は驚くほど高い。国際機関で採用側にいた時、面接で失敗した候補者を何度も見てきただけに準備の重要性を再認識している。

模擬面接 は比較的時間や手間、集中力を要するサービスだ。まず空席に合わせて、出題が予想される質問を多めにリストアップする。その際ある程度の専門分野や機関の活動に関するものも入れる。答えを評価するには、面接側も予備知識が必要となり準備に時間がかかる。

模擬面接では, 決まった時間内に本番と同じやり方で候補者に質問していく。候補者の答えの内容と、答え方両方に焦点を合わせて記録を取り、面接後フィードバックをする。コンペタンシー以外の質問への答え方や最初の3分間の態度の観察は要注意点でもある。うまくできた点や改善箇所は面接直後に指摘するが、翌日新たな注意点を知らせることもある。

このように労力のかかるものだが、単に面接テクニックを教えるよりずっと効果は大きい。過去1年半で模擬面接を直接指導した9人中7人が、国際機関に採用されている。 特に模擬面接を2度以上やったものは全員成功して いる。残りの2人からは報告がなく結果は不明。面接テクニックのみを学んだグループの成功率は、報告を受けた範囲では4人に1人だ。

日本ではあまり経験しないコンペタンシー面接だが、ぶっつけ本番より模擬で経験しておくと効果的だ。まず面接で説明する実例が適当なものか、うまく構成され、求められている行動を含んでいるかを第3者に聞いてもらえるのは貴重。また内容と同じほど大事な、説明の仕方や態度、スピード、ボキャブラリーなどを指導してもらえる機会は稀と思う。

模擬面接を受けたほぼ全員が、「最初はドキドキした」と言っているから、本番での緊張度合いは推して知るべしだろう。模擬面接を経験してきた自信が本番での余裕につながるようだ。また改善点を意識して面接に望めば、一段上のレベルの受け答えができるというもの。

面接の練習はこのようにやるだけの結果は出るので、内容を準備するだけでなく、それを説明するリハーサルもするといい。ただし直前にやってもストレスになるだけなので、少し余裕をみて計画を立てよう。

コンピテンシー面接

国際機関応募の際, コンピテンシーベースト面接 への対策がよく 取り上げられる。そもそもコンピテンシーとは何か。

人事用語のコンピテンシー は、果を生む望ましい行動を指す。職務遂行に要する知識や技能を含めた能力を、行動特性としてモデル化したものだ。1990年代よりアメリカで広く一般化し、採用、能力開発、人事評価、キャリア開発等に広く使われている。

面接では候補者に過去の行動や成果を具体的に挙げさせ、将来の行動のパターンを推測する。答えが 好業績者の行動モデルに近ければ、 採用側は候補者がコンピテンシーを有すると判断する。

ポスト毎に求められるコンピテンシーは職種、グレードにより異なるが、チームワーク、職務遂行能力、コミュニケーション、 顧客対応などは、大抵の空席広告に共通している。

例えば顧客対応のコンピテンシー には、顧客の視点に立つ 、〆切厳守、ニーズへの適切な対応などの行動が求められる。

コンピテンシー導入には、機関独自のモデルを作り、望ましい行動基準を決め、人材開発や、評価、採用プロセス に取り入れる、という大掛かりな人事改革が求められる。

時間も手間もかかるこのモデルを どの国際機関が先に実現するか、1990から2000年代にかけて、人事スペシャリストの間でよく話題となったものだ。

先駆けは世銀だったように記憶しているが、初めはうまく適用できなかったという経験を聞かされたもの。国連が人材システムにコンピテンシーを導入し始めたのは 2002 年以降で歴史は比較的浅い。

コンピテンシー面接は、従来の面接 よりずっと客観化、標準化され有効と言われるが、万能ではない。重要なポストには、そのほかにテストや実習等を組み合わせアセスメント形式をとる機関も多い。

コンピテンシー面接対策はリソースセンターに乗せてあるが、面接テクニックも将来記事にする予定である。

国際機関面接最初の3分間

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面接での第一印象はとても大切である。最初の何分間かによい印象を与えれば後に余裕がでてくるし、さえないとリカバリーが大変となる。面接会場に一歩足を踏み入れたら、質問に答える前にすでに評価は始まっていると考えた方がいいだろう。例えば自分から握手を求める積極性、笑顔、アイコンタクト、最初の挨拶等、好印象をあたえる機会はどんどん利用しよう。たとえ緊張していても、しっかりした握手をしながら相手と一瞬目をあわせ、笑顔を見せるのはそれ程難しくないだろうし、自分自身がリラックスできるという効果もある。

普通の面接の場合、まず候補者とポストの確認、面接官の紹介と面接にかかる時間、使われる質問またはコンペタンシーや言語等の紹介があってから面接が始まるので、候補者は席に着いてから2.3分の余裕がある。その間背筋を伸ばし皆と目線を合わせ、もう一度笑顔を見せられれば上出来である。特に面接官が複数で握手やアイコンタクトの機会がなかった場合、ここでにこやかに皆を見渡せば好印象につながる可能性が高いだろう。また面接官が書類をみていたり、急用で一人が席を離れたりして司会者が面接を開始するまでにしばらくの間が空くことがある。余裕があれば、その沈黙中に面接官達に面接の機会を与えてくれたことに対しお礼を言っておけば喜ばれるだろう。

面接前はたいてい緊張するものだし、震え声で始まる応対もよく見受けられる。緊張すること自体さほどマイナスなことではないので、悲観的になって思わず腕組みをしたり髪に触ったり貧乏ゆすりしたりしないよう気をつけよう。面接が進むうちに、最初の緊張は徐々に解けていくだろうから心配はない。最初の3分間をスムースに乗り切り自分のペースにもっていく要素は、事前の念入りな準備、会場に余裕をもって到着すること、面接官との握手やアイコンタクト、そして自分の笑顔に無意識に返された面接官の笑顔等であろう。電話やスカイプでの面接についてはまた次回に書きたいと思う。