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今日のキャリアパス

Members of the UNPOL Gender Child and Vulnerable Persons Protection (GCVPP) Unit visit the Temporary Learning Space in Protection of Civilians site 2 to play games with the children who attend school there.

キャリアパスというのは個人的なものだから、十人十色である。とくに計画を立てず成り行きにまかせ、自分のキャリアを運に委ねるもの、反対に一歩ずつ順序立てて計画し、計画外の行動はとらないタイプというように、道筋をどう作り上げていくかはそれぞれの選択にかかっている。大抵の人は上記両極端のモデルの中間をいき、おおざっぱにプランは立てていても、予定外の昇進や移動のチャンスに応じてパスを調整していくのではないだろうか。

キャリアパスや専門分野、職場環境が複雑化してきている今日、国際機関でも専門家として成果をあげ幹部まで昇進というケースは少なくなっている。国連の場合プログラム遂行に必要な仕事が多様化し、専門家であっても追加のスキルが求められる。例えば自然災害の専門家に、プロジェクトマネジメントや基金収集能力、広報のスキル等が重宝されるといった具合である。専門性のみならず可動性も多様化を求められており、単一の国際機関、同じ勤務地でのキャリア開発はむつかしくなってきている。

また、各機関ともグレード配分に中間レベルが多い平坦な階層構造になっている上、ポストごとの競争が激しさを増し昇進を伴うキャリアパスは厳しくなっているといえよう。一方、新規創立機関、正規予算外ポスト創設やそれに伴う離職率等からくる予定外の機会も存在しているわけで、キャリアパス調整はより頻繁になるだろう。

このようにキャリアの多様性、不確実性が高まる中で、変化に柔軟に対応し、自分でキャリアを開拓していくという資質がより求められているといえよう。それに必要な条件は、まずキャリアは自分で作るという責任意識を持つこと、自分の価値観、得意分野や仕事の好みを知ること、そしてそれを踏まえた目標をもつことであろう。

国際機関でのキャリア開発は、機関、上司、本人という3部構成になっている。組織のキャリア開発サポートと上司は重要な助けだ。機関のキャリアサポート以外にも自己投資や、外部とのネットワーク作りのための活動は積極的に実行すべきだろう。自分の市場価値を常に高めつつ周囲のサポートを利用して、目標実現にむけて柔軟にキャリアパスを形成していきたいものだ。

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国連の邦人職員

United Nations Day Reception in Ramallah

前回国連の地理的配分対象ポストについて書いたが、このポストで働く邦人職員の数を分析してみた。2015年版の国連職員統計は発行されておらず、次回資料は2016年になるので、対象になった統計は2014年のものである。

2014年の地理的配分対象ポスト就任職員は2901名で邦人は83人、全体の2.9パーセントを占めている。日本より職員数の多い国は、米 (355人)、英 (141人)、仏 (141人)、伊(129人)、独(129人)、カナダ(89人)となっている。このうち望ましい職員数割り当てが日本より多いのはアメリカだけで、他の国は日本以下の数が定められている。しかしスパン範囲に収まっているドイツを除く英、仏、伊、カナダは望ましい範囲を上回る多勢の職員を送り込んでいる。

上記の国の中で、職員数が人数枠に達していないのは割り当て数トップの米と次点の日本だけだが程度の差は激しい。米は373から504人の理想スパンに対し355人が勤務、日本は186から252人までが望ましい数だが83人と下限の半分も満たしていない。

2000年代は100人以上もいた邦人職員だが、2010年の123人をピークに翌年は65人と大減少している。これは地理的配分対象職員の数え方を変えたためで、実際に邦人が大量にやめたわけではない。それからは2012年に60人まで減少したが、2013年88人に盛り返し、現在の83人に至っている。2011年からの4年間、2013年を除いては平均邦人採用数は年3名程度に対し退職者は平均5人となっており、今後大幅な増加が期待されるとは考えにくい。

現職員83名に関しては、USGからD1 までの幹部レベルが13人と比較的多く、邦人職員の15.7パーセントを占めている。この比率はほぼ米、英と同じで仏、伊、カナダ、独を上回っている。数からいくと世界6番目である。米、英、独、仏に次ぐ5番目は地理的配分対象職員51人中、幹部レベルが15人もいるロシアとなっている。

邦人職員が地理的配分対象ポスト2492人中111人(4.5%)を占めていた2002年には幹部レベルは6人のみ(5.4%)だったから、職員数は減っても影響力は下がってはいないものと思われる。

もう一つの特徴は女性職員の割合であろう。83人のうち53人で63.9パーセント。この圧倒的比率に対抗できる国はトップ7にはない。地理的配分対象ポスト職員が10人以上で日本より女性職員比率の高い国は少なく、フィンランド(75%)ノルウェー(69.2%)、スイス(70%)そしてフィリピン(68%)のみである。

さてこの邦人職員だが2019年までに退職者が10名と予測されている。その前に新たな職員を送り、減少のないようにしたいものだ。

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地理的配分対象ポスト

Secretary-General Ban Ki-moon visits refugee Reception Centre Tenda di Abramo

国連の邦人職員の数は事務局が示している望ましい職員数の範囲にはほど足りない、とはよく言われる事実である。

この望ましい職員数とは地理的配分対象ポストをもとに、各国の分担金、人口、大きさ、経済発展指数等を計算して最低から最大の望ましい職員数のスパンを出すもので、毎年発表されている。事務局職員の多様化を促進するのが目的で、性、国籍、身体障害、性的オリエンテーション、文化、宗教、種族の違いにかかわらず公平な採用制度を実施するためである。ただし対象ポストは専門職で通常予算で人件費が賄われるものに限り、通訳、翻訳、編集等の言語職は除外されている。また通常予算ポストが対象なので、コンサルタントや、短期、ローカル採用には適用されない。地理的配分対象ポストは空席広告の仕事タイトルまたは空席番号のところにGがついており、見分けられるようになっているがついてない場合もあるので確実にたよりにはならない。

この地理的配分対象ポストに応募する際、アンダーリプレゼンテーションである日本という国籍は確かに有利なわけだが、空席広告の募集条件をまず完全に満たしている必要がある。Education, work experience, competencies 等に書かれている条件を100パーセント満たしていない履歴書は国籍に関わらず、すぐ除外されてしまう。

国籍がものをいうのはショートリスト作成時、筆記試験の結果をみて面接者を選ぶ時と最終的な任命を決断する際である。ショートリストに入った後は、筆記試験でよいスコアをあげて面接までいきつくことと、面接を頑張ることが採用につながる。面接後何人かはベストの候補者とみなされるがそのうちの一人となることが重要だ。今日競争がきびしく候補者のレベルが均一化の傾向にあるので、面接のあと単独トップを走る候補者は稀となってきている。それだけ粒がそろってきているわけだがどの人をとっても基準を満たしている場合はその中で国籍が重要な決断材料になるというものだ。

アンダーリプレゼンテーションにはいろいろな伝説があるが、基本的に採用条件を満たしていて、採用可能な最終候補者の一人であるという場合に初めて国籍が有利に働くという点を覚えておこう。

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来年のキャリアプラン実現への準備

管理人

管理人

今年も残りわずかとなった。
ホリデーシーズンではあるが、自分の未来に向けて時間を割くいい機会でもある。
来年の就職活動をより効率よく実行するために、この冬休みの時間を活用して様々なことができそうだ。

まず今年の成果を自分のキャリアゴールやプランにそって分析してみよう。結果によって、キャリアプランの調整、戦略立て直し、トレーニングや資格獲得等の必要が出てくるかもしれない。面接やテストを経験した場合は次の機会に備えて質問や答えの分析、改善点などを書き留めておくと役に立つ。

国際機関空席のプロフィールに合っているのに毎回スクリーニングを通らない応募者は基本的な履歴書の見直しも考えてみよう。空席広告にある程度適応しながら応募書類を毎回調整するにしても、土台となる履歴書がよくできている点は重要である。とくに過去の仕事の書き方は第三者に目を通してもらってたりして吟味すべきだろう。キャリア国際機関でも履歴書添削サービスを提供している。

まだキャリアの目標や計画の立ってない場合は自己分析をしてみる機会でもある。自分の強み、弱点、好きなこと、現在までの主な経歴、業績を書き出してくるうちに、希望のキャリアを絞り込めるかもしれない。このサイトのリソースセンターにある、シャインのキャリアアンカー分析で自分の価値観、欲求等を認識するのもお勧めである。

同センターの自己分析キャリア開発アクションプランのテンプレートを使い自己SWOT分析の後キャリアプランを構築するのも効果的だろう。自分の市場価値を認識するツールとしては、同センターの応募対策エクササイズも有効だ。決まった機関、職種等にまだ照準を合わせていない時点で、自己の強み、競争上有利な点を具体的に書きだすことでSWOTと並行して自己分析に使える。

自己を知るだけでなく相手をより理解することも必要だろう。時間のある冬休み中に、興味のある国際機関や職の情報をネットを使ったりして念入りに収集しておこう。未来のキャリアプラン実行の糧となる筈である。

また今から来年の就職活動のスケジュールに目安をつけておいて、応募期限が過ぎてしまったり、イベントを逃がしたりしないよう留意したいものだ。目的によるが各機関の個別空席締切日、インターンシップやYPP等への応募期間、外務省JPO試験や内閣府の国際平和協力研究員制度時期、または在外公館調査員、派遣員等の試験期間などおおよその時期はチェックしておきたい。

最後になるがこの休み中に家族のみでなく、友人、先輩、同僚などとの交流を楽しみつつネットワークの輪を広げていくのもいいだろう。

グローバル人材育成を支援していくサイト、キャリア国際機関を2016年もどうぞよろしくお願いしたい。

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候補者不足のポスト

UNIFIL Head of Mission and Force Commander Major-General Luciano Portolano, Brigadier-General Franois Chahine and Deputy Head of Mission Mr. Imran Riza participating in releasing doves at the end of the ceremony held at UNIFIL Headquarters in Naqoura, south Lebanon. September 21, 2015. Photo by Pasqual Gorriz (UN)
UNIFIL

UNJOB FINDERの記事に候補者探しが困難とされている国連空席のプロフィールが挙げられていた。空席がなかなか埋まらない職種とはどんなものか、邦人に応募可能なものをピックアップしてみた。これらに求められているプロフィールに合っていれば、採用されるチャンスは比較的高いということになる。

緊急事態発生中の国で勤務可能の女性警備担当官候補は不足している。専門職だと政治学、MBA, 犯罪学、法学等の修士の他に自衛隊や警察等での経験が必要とされ、P3レベルであれば5年中最低1年の国際経験が求められる。女性には稀な経歴だが、そもそも紛争や緊急事態発生中の国へ転勤希望の女性は他の職でも簡単には見つからないようだ。

DPKO平和維持活動担当官も女性の候補者が少ないポストでとくに管理職レベルは不足している。平和維持活動の人材ニーズは軍縮、裁判、政治学専門家等多様であり、軍人だけが求められているわけではない。物資調達やアドミニストレーション担当は、その分野の専門家であれば警察や軍での経験は必要ない。しかし国際レベル、公共事業での経験および緊急事態での経験が要求される。

身近な職種でありながら女性の少ないものにIT (コンピューター関係)がある。どこの機関にもあり需要の多いポストだが男性職員が大多数を占めている。日進月歩のこの分野では修士より学士で仕事を始める職員が多いので、女性でIT関係の修士をもち、十分な経験があれば採用されるチャンスは高くなるだろう。

以上の職は女性でなくとも日本人は少数派だから応募はお勧めである。OECD時代には新しいIT空席の度に日本人候補者の有無を聞かれたくらいであった。

妊産婦健康管理専門家は医学の学位だけでなく、公衆衛生の学位も歓迎される。これらの仕事はエボラ発生等の緊急事態に大量に必要とされるプロフィールで、たださえあまり登録者のいない領域だから、短期採用で構わないという専門家にとってはチャンスだろう。また医師は万年供給不足で、とくにUNVにボランタリーで医者として働くことを志願するものは稀と聞く。登録してみる価値はあるだろう。

アドミニストレーションの管理職レベルというのも以外に候補者層は薄い。人事、財政、資源調達、ロジなど全ての領域にわたって知識、経験のあるものは少ないし、このレベルだと年数だけではなく管理職としての経験の量と質が問われるから、内部の職員でも各当するものは多くない。日本人それも女性であれば有利といえよう。

職種全般にわたり女性の高級管理職、いわゆるダイレクターレベルは予備軍不足であるが、男性が優位に立てる例外として人事がある。これは伝統的に大多数が女性だから、邦人男性にはよいニュースだろう。同じような職に図書館司書や、文書担当官があるが、ポスト数自体が少ないので機会は限られてしまう。

応募やキャリアについてのアドバイス希望者はこのサイトのリソースセンターにあるコンタクトフォームを利用していただきたい。

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空席広告の探し方

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空席広告の探し方はいろいろあるが、大抵の人はまず就職希望の国際機関のサイトにアクセスするのではないだろうか。しかし希望の職種がその機関だけに存在するとは限らず、意外な国際機関で同じような空席があったりする。現在はどの機関でも任務が複雑かつグローバル化している傾向にあるので、同じような職が多数の機関に散らばっているケースは多い。

例えば公衆衛生の専門家はWHOだけで求められているわけではなく、UNICEFであったり、IOM, UNDPで募集していたりしている。防災関係分野にしても、UNISDR, UNDP、UNEP, ADB等あちこちにみられる。

これらをもれなく調べるには決まった機関のサイトを利用するだけでなく、職種別に空席広告をチェックするのが近道だろう。例えば外務省の国際機関空席のエクセルシートをダウンロードし仕事タイトル別に検索する方法がある。またICSC 国際人事委員会のジョブネットhttps://jobs.unicsc.org/ はグレードや勤務地だけでなく職種別に空席を選別できる。UNJOBS http://unjobs.org/のサーチエンジンでは職名を入力すれば国際機関、NGO等の空席が広い範囲で検索できる。ただし過去の空席等も入ってしまうので注意が必要だ。

この他、人道関係の職捜しであればUNOCHA http://reliefweb.int/jobs,  UNISDR http://www.preventionweb.net/english/professional/jobs/ の空席サーチエンジンも包括的に空席広告データを提供しており、ある程度まで選別が可能である。これらのサイトは国際機関以外の空席広告が充実している。

他にも利用できるサイトは多々あると思われるので、ご存じの方はこのページでシェアして頂きたいと思う。またある程度機関を限定できたら、アラートシステムを積極的に利用して自分のプローフィールにあった空席の情報を早く確実に入手できるようにしたいものだ。

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米ヘルムズ議員の国連叩き

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アドバイザー春氏の投稿です。

結構前の話になるが、90年代国連はアメリカ共和党ヘルムズ氏の先頭するバッシングに会い、国際機関全体が影響を受けた。当時の国連事務総長ブトロス・ガリ氏の、国連が中心となって冷戦終了後の国際秩序を模索していくべきだという野心的なビジョンは、ヘルムズ氏の保守思想をいたく刺激し、アメリカ議会は国連と衝突の道をとるようになった。1996年『Foreign Affairs』誌掲載のヘルムズ議員のガリ氏に対する以下の反論後、議会は国連の分担金を大っぴらに滞納するという挙に出た。

「最近の国連は加盟国諸国家のための機関というよりそれ自体がひとつの国家になってしまったような観がある。独自の軍隊を持ちたいといってみたり、税金を徴収したいなどといったり、いったい何様のつもりなのだろう。ガリ事務総長は冷戦の終了とともに国家の絶対主権の時代は終わった、という。たしかに今日、我々の抱える諸問題はグローバルなもので国境を越えた対応が必要である。しかしそれは諸国家が主権を国連のような国際機関に委譲すべきだという議論には繋がらない。例えばイスタンブールで開催されたHABITAT II。ここでのテーマは都市の抱える問題だったが、これなどは国連が扱う前に、国家、それ以上に地方自治体がまず考えるべきローカルな性格の問題ではあるまいか。国連がどこにでもしゃしゃり出てくるようになったのはブトロス・ガリ氏が事務総長になってからのことである。

とにかく現在の国連機関は間口を広げすぎている。宇宙の平和利用委員会に「なにびとも大気圏外から侵入してくる不審な物体を目撃したときにはただちに事務総長に報告しなければならない」という決議がある。UFOが目撃された時のために予算がつき、職員が待機しているのだ。これは事務局の経営形態が放漫であることもだが、国連の官僚達が「国際」とつけば何でも自分たちの仕事だと思いこんでいるからで、加盟国国民の税金を、勝手な事業を作って独りよがりに使いまくっている例である。

昨今のPKOなどは当初の意図から全くはずれ、選挙管理から難民の世話、国の復興事業までも「平和維持」の名のもとに行なおうとしている。このように勝手に拡大された定義にカネをだせ、などと云われてはたまったものではない。拠出金はアメリカ国民の血税なので、アメリカ国益にかなった使い方がされるべきだ。これらへの対処法として、アメリカが国益にそわないと判断したプロジェクト(例えばPKO)にはカネをださないというやり方はどうだろう。プロジェクトの財政は、安保理や総会で賛成した国々だけが受け持てばよい。こうすれば本当に必要なプロジェクトしか行なわれないし、野放図な国際官僚の専断もコントロールできるというものだ。」

ヘルムズ論は国連、国際機関は「外交の手段であって、それ自体が目的ではない」という視点から、「外交の道具としての国際連合」という概念を示唆している。日本にとっての国連およびその事業と国益の結びつきを考える際、オカネやヒトをだし貢献する、すなわち使われる、ということでなく、国連機関を「あやつる」くらいの気合で国益達成に向けて成果をあげる、という外交技術の問題が提起されているように思えるだ。

90年代の国連はヘルムズ氏の強引な理論と実践の犠牲者であったが、彼の言動は、ガリ国連事務総長の組織のキャパシティを無視したビジョンに対し、毒をもって毒を制したというか、効果的にブレーキをかけたという見方もできる、と考えている。

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筆記試験 その2

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前回採用プロセスの一部である筆記試験について書いたが、これはその続編である。

最近は国際機関ポスト応募者の数と質が上がってきているので、筆記試験実地のケースが多くなってきているようだ。通常筆記試験には応募書類でスクリーニングを通過した人が招待され、結果が良ければ最終選考者リスト(ショートリスト)や面接に残ることになる。また面接と同時に筆記試験を実地し両方の結果を最終選考の判断に使う機関もある。とにかく履歴書選考を突破したわけだから、一歩採用に近くなったといえよう。

筆記試験の問題、採点をするのはたいてい雇用マネージャーである。面接パネルのメンバーにもテストの評価をさせ比べるという場合もあるが、専門性の高いものなので主導権は募集ポストの上司が握っている。国連の場合だと専門知識に関するテーマを2問程度電子メールを通じて出題し、エッセイ形式の答えを書かせるケースが多いようである。普通は2時間程度を要する。専門分野の知識を応募中の機関の環境に応用した問いが、よく見られるパターンといえる。例えばある特殊分野における国際協力の重要性につき論理展開し某機関の重要なパートナーへの働きかけの戦略を述べよ等の問題が典型的な例だろう。

国連雇用側マネージャーの手引きによると、採点で基準となるポイントは、考え、表現の明確さ、論理的かつ順序だててアイデアを簡潔に表明できる能力、必要な情報を最大限使いつつ見解主張をはっきり述べれる能力、ワードを使いこなせる能力(これによりスペルや文法のミスもある程度防げる)、論理的、分析的思考、そして英作文の技量となっている。ただしこの複雑なマニュアルに採用マネージャーが忠実に従うわけではなく、どのポイントに重きをおくかはすマネージャー次第である。実際には専門知識、分析、論理的思考そして英文作成能力の3点が目安となっている場合が多いようだ。

筆記試験の通知が来てから急に準備ができるものではないが、課題になりそうなトピックは空席広告からヒントを得られるので少なくても参考書類、サイト等の整理をやっておき、短い試験時間中に情報サーチ等に時間を取られないようにしておくべきであろう。応募機関の主な活動、環境等を熟知しておくのは言うまでもない。英語の洗練されたエッセイである必要はなく、簡潔かつ筋道のたった文章で意見を解りやすく伝えるよう心がけよう。答え自体はよくできているのだが、質問の本質からずれているケースもよく見られるので、最後に試験官の立場に立って、自分の論文が質問に答えているかのチェックをすべきであろう。

 

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国際機関でのキャリア開発

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国際機関の任務、機能は国際政治経済情勢の変化そして情報化、科学技術化、グローバル化等に影響される。それに伴い機関自体の構造の変化、役割の複雑化や多様化、地理的条件、予算やポストの不安定化など様々な要素が、採用条件、求められるプロフィール、そして職員のキャリアに反映されてくる。

国際公務員のキャリア開発の例を見ると、かっての同じ場で専門家として成果をあげ幹部レベルまで昇進、というパターンはどんどん少なくなっている。国連に関していえば、プログラム遂行に必要な仕事が多様化し、専門家と総合職の境界がつけにくくなってきている時代でもある。また可動性のないキャリア開発は難しくなってきている。

キャリアパスや専門分野、仕事環境等が複雑化し、明確で予測可能なキャリアプランが立てにくくなっているのも特徴である。ただし変化のタイムスパンは早くなっているので、頻繁なプラン調整が必要となる。

これらの傾向は国際機関だけでなく、グローバルな人材市場に見られるものだろう。このようにキャリアの多様性、不確実性が高まる中で、変化に柔軟に対応し、自分でキャリアを開拓していくという資質がより求められてきたといえよう。

国際機関でのキャリア開発は、機関、上司、本人という3部構成になっている。組織のキャリア開発サポートと上司はキャリア開発の重要な助けである。ただし、国際機関の人材政策でも « キャリアは自分で作るもの »と、個人の最終責任を明確に打ち出している。これからのキャリア開発には、自分の市場価値を常に高めつつ周囲のサポートを利用していく、という態度がより重要となるだろう。

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空席公募の締切日

応募の締切り日

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国際機関の空席公告にはなるべく早く応募した方がいいというのが一般的なアドバイスであろう。それに反して現実では、広告が出次第即応募する者は全体の半分に満たないといったところだろうか。何しろ締切ぎりぎりに大量の応募書類が届くから、雇用側の上司も全体像を把握するのは応募期間が過ぎてからになる。期間途中で応募状況をチェックしたり、一部の応募書類を見たりはしても、書類のスクリーニングを始めるのは締切すぎである。とくに内部職員やすでにロスターに登録されている応募者は締切日にどっと押し寄せる傾向があり、スクリーニングする側泣かせだ。

この締切日であるが、一体指定された日の何時に閉まるのだろうか。

国連空席公募サイトに掲載されているポストだと、勤務地がどこであれ、空席広告はニューヨーク時間の真夜中に取り除かれそれが締切時間となっている。時差の関係でジュネーブ在住のものにとっては翌朝まで同ポストに応募できることになるわけだ。国連のように本部の所在地の現地時間の真夜中、あるいは23時59分をもって締切日としている機関は、FAO, ILO, AFDB, OECD, UNESCO, WBなど多数でもっとも多いパターンだろう。

IAEAは空席広告発行の時間と締切の時間を表示している。発行された時間帯により締め切り時間も2種類に分かれており、12.59amまたは 11.59pmとなかなか設定が細かい。

ADB は締めきり時間をオフィス終了時間に合わせてか、マニラ時間の午後5時としている。

空席公募のサイトに締切日の時間まで載せていない国際機関も多く、IMF, UNDP, UNHCR, WHO, WIPO などでは特に指定が見られなかった。現地時間の真夜中と想像はできるが、リスクやストレスを避けるためにもそれまで待たない方が賢明であろう。

締切日当日の応募はネットワークやパソコンに問題が生じた場合等、予想外のトラブルに時間がかかってしまう可能性もあるので避けたい。いずれにせよ応募書類は余裕をもって準備し、遅くても締切日の一日前までには応募を完了したいものだ。

 

 

 

 

 

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