Tag Archives: 国際機関

応募前のチェック

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何度応募しても雇用側から 反応がない、という状況はよくある。書類選考を通りテストや面接に進めないのはなぜなのか。 ポストに必要とされる条件を本当に満たしているか再確認してみよう。

以外に思われるが、 候補者の大多数は 空席広告の記述もろくに読まず応募ボタンを押しているようだ。採用担当をしていた時代、 学歴、経験、言語という最低必要条件すらも満たしていない履歴書の多さに唖然としたもの。 プロフィールにあった時だけ応募するというのは、常識のようでいて案外 無視されている。

応募前、以下の事項を チェックしよう。まず職種、部署、グレード、勤務地、契約タイプ等 の雇用条件 。空席によっては内部職員限りのもの、ある国籍優先などと特殊な条件が付いているので気をつける。職務の記述も念入りに読み、内容、責任の範囲やレベルを把握すると履歴書も書きやすい。

次にポストに必要とされる学位、経験の分野と長さ、必要言語の条件を満たしているか確かめる。 最低条件の他にasset、 advantage などと記された資格や特殊な経験(例えば途上国での経験や経理士の資格など)を満たしていない場合、内部職員ならともかく、外部からの応募者に採用チャンスはほぼないと言える。

資格条件と自分の経歴がマッチしているかどうかの確認は客観的にやってほしい。 表示されている最低限の資格と、あると有利と記された条件に 全て合っている場合のみ最終選考対象となる。 定期的に空席公募をチェックし 足りない資格や技能、経験を常に補うように努めて、 採用に繋がる応募書類を送りたいものだ。

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夏休み

恒例の大きな会議や総会が初夏に終わると、国際機関にも夏休みシーズンが到来する。7、8月に 活動をスローダウンする機関は特にヨーロッパで目立つ。会議や研修、空席広告の数も減少し、休暇をとる職員も多数。駐車場に空きが目立ち、カフェテリアが混まなくなりインターンが増えれば、 シーズン突入だ。

色々な国際機関を経験したが、夏休みを一番感じさせるのは、なんといってもフランスに位置する国際機関だろう。 Vacances(バカンス)という言葉の発祥地でもあるこの国では、長期間の夏休みは 当然の慣習であり、国際機関も中実に従っている。

夏のパリは住民がいなくなるとよく言われるが、UNESCOや OECDでも長期の夏休みをとる職員は多い。交代で休むので、ガラガラになることはないが、夏の間に重要な企画や緊急のビジネスは始めない方が賢明だろう。

OECD時代にびっくりしたのは、8月になると周りのレストランまでが長期の店じまいすること。お昼を食べにくる職員がグッと減るし、気候がいいので遠出したり、野外で食事したりする人が多いからだ。

国際機関の有給休暇は年30日。土、日、祭日と合わせれば 6週間休める。国外在住者が多数の国際機関では、年末年始か夏に長期休暇をとり、故国に里帰りするパターンが多い。 管理職レベルでも3週間以上の長期にわたる休暇は よくあり、日本であれば考えられないことだ。

遠慮なく休みを取って英気を養う、という ゆとりのあるライフスタイルを支援しているところが、国際機関の 待遇体系の魅力の一つであろう。

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国連機関視察ツアー

HISの国連機関視察スタディツアーが終了した。 5日間ジュネーブの主な国際機関を訪問し、邦人職員や現地学生と交流、そしてキャリアの講義とアドバイスを受ける 内容の濃いもの。高校生と大学生11人の参加者は元気いっぱいにこの機会を満喫していた。

このようなイベントは初めてではない。国際機関就職希望者セミナーは2012年にもとUNHCR職員、松本氏が音頭をとって始まった。3度ほど開催した後、当事者が亡くなったことや資金不足からセミナーは消滅。代わって登場したのが、このサイト、キャリア国際機関である。

今回は当時の教え子が旅行会社に就職し、新しくツアーとして復活させたもので、創設者の意思が 引き継がれている。

旅行会社のテーマツアーとしては初めてだから、提案してから右往左往あり、一時は実行が危ぶまれたほど。 ジュネーブ邦人職員会からの強い協力や、外務省国際機関人事センターの支援が 成功につながった。

ツアー中、レクチャー2回と個人キャリアカウンセリングを11回やらせていただいたが、伝えたいメッセージは2つある。

まず、キャリアプランは早く始めるほど有利だということ。 もう一つは、人にはそれぞれのキャリアがあり、よい、または悪いキャリアという定義はない点。成功、不成功は本人の満足次第ということだ。若さと希望溢れる参加者たちの参考になればうれしい。

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ベルビンチームロール

多国籍多文化チームを有効に機能させることは国際機関の重要な課題だ。グローバルな 環境で勝ち抜けるのはどのようなチームなのか。

理想的なチームについては色々な理論があるが、最も知られているのはベルビンチームロールだろう。メレディス・ベルビン(Meredith Belbin)は、チームが成功するには下記9つの役割を担う人が必要だと主張した。

1.プラント(PLANT (PL)
創造力があり困難な問題を解決できる人

2.資源探索者(RESOURCE INVESTIGATOR (RI)
外交的で熱中しやすく、好機を探る人

3.コーディネーター(CO-ORDINATOR (CD)
優れた議事進行者で、明確な目標を示し意思決定を促す

4.形づくる人(SHAPER (SH)
挑戦的で、精力的に障害に立ち向かっていける人

5.チームワーカー(TEAMWORKER (TW)
協調性があり、もめごとを避けるタイプだが、人の話をよく聞き築き上げる人

6.実行者(IMPLEMENTER (IM)
有能で頼りがいがあり、アイデアを実行に移せる人

7.完璧完遂者COMPLETER FINISHER (CF)
勤勉で誠実な仕事を納期通りに行う人。また自分や他者の誤りや手抜きに厳密な人

8.スペシャリスト(SPECIALIST (SP)
特定分野の知識やノウハウをもつエキスパート

9.モニター(MONITOR Evaluator)
優れた戦略的判断力を持つ人

各メンバーがお互い の役割や、仕事の任せ方とタイミング、不足点を補い合うすべを理解することで、チームが機能する。このモデルは国際機関でもチームワーク作りやプロジェクトマネジメントの研修によく使用される。

私もベルビン氏から直々にトレーナーの資格をもらっているので、このモデルを使っていた。 自己の認識するチーム内の役割と、チーム仲間から見たイメージとが違う事も多く、 研修では人気がある。

自分でもやってみたが、結果が時間とともに変化していくのも特徴。最初はプラントだったが、後に資源探索者の役になっていた。他人からはコーディネーターに見られていたのも興味深い。

現在は自己分析だと客観性に欠けるという批判に答え、観察者の評価、それに仕事に必要な要件の評価を加えたインタープレイス(Interplace)と呼ばれるPC用 モデルも出ている。

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JPO追加募集

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新年おめでとうございます。今年もキャリア国際機関をどうぞよろしく。

国連の採用テストサイトを見ていたら、専門職応募者の数は空席ごと平均800人で、140カ国からの応募があると記してあり改めて驚いた。自分の経験では多くても600人位と記憶していたが、DPKO(平和維持活動局)のポストなどは応募者1000人は普通だそうだから、平均すればそのくらいになるのかもしれない。

この人数を考えれば、やはり国際機関就職一番の近道はJPOと再確信せざるを得ない。JPO (ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)とは、外務省が、国連をはじめとする国際機関で働きたい若手の日本人(35歳以下)を原則2年間国際機関に派遣し、正規職員となるために必要な知識・経験を積増させる制度だ。広報の充実により、今日では国際機関志望者ならほぼ誰でも知っていることと思う。

このJPO 選考試験だが、2013年は285人応募で40人合格 、2014年は301人に対し44人を派遣と競争率は7倍ほど。国連専門職ポストの800人に1人採用の確率とは比べようのない広い門である。国際機関にあるYPPやNETIなどの若手対象の採用プログラムでも千、万単位の応募書類が色々な加盟国から届く。よって競争率、合格レベルとも非常に高く、日本国籍が少しでも有利となる最終選考プロセスまでたどり着くのはとても 難しい。

またJPOは近年追加募集もされている。2016年度追加募集も最近発表され、11ポストが対象になっている。今回は国際法、人権、開発(フランス語圏)、財務等の専門家が要求されている。 現役時代採用ミッションに行くと、他国の候補者から日本の JPO制度を羨ましがる声を聞くことがあった。採用条件に合致している者は国際機関最短のゲートウエイであるこの制度をぜひ活用したいものだ。 追加募集受付期間は1月10日から、1月25日まで。詳しくは外務省人事センターの募集要項を参照してほしい。

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冬休み

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管理人

今年も残りわずかとなった。
去年も述べたが、冬休みは自分の キャリアプラン構築や就職活動準備の良い機会でもある。

まず今年の成果を 分析してみよう。結果によって、キャリアプランやゴールの調整、戦略立て直し、トレーニングや資格獲得等の必要が出てくるかもしれない。面接やテストを経験した場合は次の機会に備えて質問や答えの分析、改善点などをまとめておこう。

国際機関空席のプロフィールに合致しているのにスクリーニングを通過しない場合は、基本的な履歴書の見直しが必要だろう。空席広告にある程度適応しながら応募書類を毎回調整するにしても、土台となる履歴書 は重要である。とくに過去の仕事の書き方は第三者に目を通してもらってたりして吟味すべきだろう。キャリア国際機関でも履歴書添削サービスを提供している。

まだキャリアの目標や計画の立ってない場合は自己分析をしてみる機会でもある。自分の強み、弱点、好きなこと、現在までの主な経歴、業績を書き出してくるうちに、希望のキャリアを絞り込めるかもしれない。このサイトのリソースセンターにある、シャインのキャリアアンカー分析で自分の価値観、欲求等を認識するのもお勧めである。

同センターの自己分析キャリア開発アクションプランテンプレートを使い、自己SWOT分析の後キャリアプランを構築するのも効果的だろう。自分の市場価値を認識するツールとして、同センターの応募対策エクササイズも有効だ。決まった機関、職種等にまだ照準を合わせていない時点で、自己の強み、競争上有利な点を具体的に書きだすことでSWOTと並行して自己分析に使える。

時間のある冬休み中に、興味のある国際機関や職の情報収集するのもいいアイデアだ。未来のキャリアプラン実行の糧となる筈である。

また今から来年の就職活動カレンダーに留意して、応募期限が過ぎてしまったり、イベントを逃がしたりしないよう気をつけよう。各機関の個別空席締切日、インターンシップやYPP等への応募期間、外務省JPO試験や内閣府の国際平和協力研究員制度時期、または在外公館調査員、派遣員等の試験期間などおおよその時期はチェックしておきたい。

最後になるがこの休み中に家族のみでなく、友人、先輩、同僚などとの交流を楽しみつつネットワークの輪を広げていくのもいいだろう。

グローバル人材育成を支援していくサイト、キャリア国際機関を2017年もどうぞよろしくお願いしたい。

 

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国際機関採用の例

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先般、キャリア国際機関の成果を発表した時、下に紹介する投稿を頂いた。

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まずは、小島先生にご指導していただいたおかげで、このたび国際機関で働くことになりました。心よりお礼申し上げます。

思えば、以前は自分で作成したレジメを国際機関に送付していたものの、面接まで呼ばれることもなく途方に暮れていました。ふとしたきっかけでこのサイトを知り、さっそく先生に添削や模擬面接のアドバイスをいただきました。

その後は、月に多いときは3回ほど国際機関からの面接に呼ばれるようになり、面接の合否にかかわらず議事録を先生に送ってその都度アドバイスをいただくことで少しずつ面接準備を改善するということを繰り返した結果、このたび国際機関で働くことになりました。

まさに先生なくして私の合格はなかったものと確信しています。これからは国際機関でいただくお役目に感謝してしっかりと職務を果たしてまいります。今後ともご指導のほどどうぞよろしくお願いします。

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この方は履歴書添削後約一年半でFAO 財務官P3の空席に採用された。JPOや政府派遣枠外の採用は珍しく、外務省からも注目された。キャリアコーチングや応募書類添削、模擬面接等の支援はしたが、ここに至ったのは本人の経歴と努力のたまものといえる。成功の要素を分析してみた。

・専門が、民間での経験が生かされる財務という職種である点。またこの職種の邦人職員は少なく希少。

・日本とアメリカで獲得したCPAという資格が、BAでありながら、MA同レベルと国際機関側に評価された。また会計だけでなく監査経験も豊富で、財務分野では評価の高い技能。

・世界的に名の知られた大手コンサルティングファームで5年以上勤務した後、JICAで働き民官両セクターを経験している。

・発展途上国でのプロジェクト管理、政府要人、パートナー等とのやり取りは国際機関で評価される活動。

・ プロフィールの合う空席にはすべて応募し、面接の度に準備と、事後の反省に時間をかけた。

プロフィールが合致しているときは、あきらめず何度もトライすれば報われるというよい例だと思う。国際機関就職希望者の参考になれば幸いである

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キャリア国際機関の軌跡

管理人
管理人

キャリア国際機関のサイトを立ち上げ、国際機関キャリア支援サービスを始めてからはや一年半あまりが過ぎた。この間の主な活動と成果を振り返って見たい。

昨年2月15日に最初の記事を載せてから、ほぼ2週間おきに国際機関のキャリア開発に役立ちそうな記事をアップロードしてきた。掲載された記事は44件、今回が45番目の投稿となる。キャリアアドバイス、コーチング、応募書類添削、模擬面接等のサービスを利用した方は約36人。応募、面接テクニック資料の販売は14件となっている。報告のあった範囲では、国際機関に採用されたものが2名、JPO試験に受かったものが2名とうれしい結果に結びついている。

また、国際機関邦人職員用にキャリア構築セミナーをジュネーブで一度、外務省主催の応募書類書き方セミナーを東京で一度行い、インターネット上だけでなく、直接の指導ができてとても有意義であった。その他にもジュネーブ国際機関訪問の大学生たちにレクをする機会に恵まれ、若さの可能性を実感させてもらっている。来年は国際機関訪問ツアーが実行され、参加者にキャリアカウンセリングを提供する予定となっている。

アドバイザーを引き受けてくれた元同僚、外務省国際人事センター、ジュネーブ邦人職員会、そしてジュネーブ日本政府代表部にもずいぶんと協力していただき、感謝している。いろいろと成果があったこの20ケ月間に感じたことを以下に述べてみた。

外務省人事センター等の努力のおかげでどうやったら国際機関に入れるか、という情報はとても充実している。しかし、個別のプロフィールやキャリアのニーズに合った国際機関や空席を捜し、応募書類を作るための情報やアドバイスを得る機会は稀である。とくに地方の社会人や海外在住者は孤立がちで、そのような支援には恵まれない。アドバイスや適切な情報のないまま、プロフィールの合致していないポストに何度も応募を繰り返し、あきらめてやめてしまうケースも多いと想像できる。

国際機関就職希望者のみならず現職員からもアドバイスやコーチングの依頼はあり、この分野でもキャリアサポートの強化は必要だろう。とくにJPOはコーチやメンターが早い時点からついていれば、国際機関の正式職員になれる可能性が高くなると思う。

なるべくたくさんの人に役立ちたいという思いから、キャリア国際機関のサービス料金は比較的低く設定してある。アドバイスは無料だが的確な情報を提供するためには、リサーチやデータ分析が必要となり、それなりに時間も手間もかかっている。応募の成功、不成功にかかわらずアドバイスや面接、書類添削後の結果を知らせてもらえると、とてもやりがいがある。

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国際都市ジュネーブ

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スイスのジュネーブ州は周囲をフランス領に囲まれた面積282 km2人口約50万の狭い地域だ。1602年以来、自由都市、ジュネーブ共和国を形成していたが、1815年にスイス連邦に加盟し州(カントン)となった。中心部のジュネーブ市は人口20万で、世界で最も小さな国際都市といわれている。宗教改革の活動拠点になり、古くから難民を受け入れたこの街は1860年代にアンリー・デユナンが赤十字運動を始めたことをきっかけに、国際都市を売り物にして発展した。

この7月スイスミッションの発行した統計によると、ジュネーブ市にある国際機関は27、NGO約250、国際機関政府代表部またはそれに類するもの255となっている。職員は合計3万人近い。2014年に開催された国際会議はおよそ2400件で20万人程が参加している。これらを支えているのは、便利な交通、安全性、質の高い労働力、美しい街並等に加え、スイスの永世中立という外交政策であろう。

国連を例にとると、職員数の一番多い勤務地はニューヨークで6545人、ジュネーブは3459人で二番目だ。だが人気が高く、希望者が多いので狭き門となっている。人事部勤務中、何度もジュネーブから離れたくないという声を職員から聞いたものだ。この他にもILO,WHO,WIPO,ITU,UNHCR,WTO,WMOなどがここに本部を置いている。

しかしこの国際都市にも悩みはある。まず、物価がとても高く、手頃な値段のアパートが不足している。人口の約半数が外国人で、ジュネーブ人と外国人との二重構造社会になっているのも事実だ。ジュネーブの国際機関に赴任し、最初に対面するのはこの2つの問題だろう。実際、生活費の安いフランス側に住み毎日越境勤務する国際公務員は多数だ。また英語で外国人とのみ付き合い滞在中スイス人を知らないというケースも頻繁にある。

これらを緩和すべくジュネーブ政府では現地人との交流サークルや行事、住宅,学校捜しの支援などを無料で行っている。交通機関整備や町の清掃、イベント作り、国際公務員向けサポートや広報など広い分野にわたり、この小都市の国際都市政策は徹底している。これらがまた小国スイスが生き延び繁栄し続ける秘密なのかもしれない。

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MBTI 性格診断テスト

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性格診断テスト、「Myers–Briggs Type Indicator(通称MBTI)」は、20世紀初頭の分析心理学の父、カール・グスタフ・ユングが生み出した心理学的類型論をもとにキャサリン・クック・ブリッグスと娘のイザベル・ブリッグス・マイヤーズによって開発され初版が1962年に完成した。以来改版を重ね現在50カ国以上で使われており、世界で最も利用されているパーソナリティテストと言われている。

MBTIは、一人ひとりの性格を心の機能と態度の側面から「ものの見方(感覚・直観)」「判断のしかた(思考・感情)」及び「興味関心の方向(外向・内向)」と「外界への接し方(判断的態度・知覚的態度)」の4 指標で表し、16 タイプに分類するところから日本では「16性格診断」という名で知られている。自己理解・他者理解の他リーダーシップやマネジメント研修、チームワーク促進、キャリアカウンセリング等にも使えるという効能書きのせいか国際機関のトレーニングでも当時は随分使われていた。しかし自己理解・他者理解が深まったという印象を与える他に何の効果があったかは疑問である。

MBTIは自己分析をパターン化するという意味でとても興味深いが、自己の性格を16種に分類する課程は科学的、客観的とは言えないだろう。心理学者でもない母娘によって開発されたという点もよく批判の対象になっている。組織の人材管理側からみれば能力開発、キャリアプラン、採用等に結果は利用できない。私もトレーニング担当官として何度かやってみたが、そのたびに違うタイプの結果がでるのも困りものである。

しかし国際機関、企業などで頻繁に使われているのは事実だ。実際リーダーシップ等の研修プログラムの中ではこのテスト分析が一番人気があり、盛り上がった。またこの分析はマニュアルワーカーからダイレクターまで広い層に受けるところも魅力だろう。例えば採用でよく利用されるビッグファイブというテストはもっと科学的だが、結果は要素ごとに傾向がパーセントで出るだけで、他人と比較したり会話の話題にしたりはできない。

個人的な意見だが、この性格判断は血液型判断や占星術のようなものにマネジメント的な箔をつけて、一見科学的にしかし、一般向けするよう記述したという感じだ。ビジネス用語と4文字のアルファベット、そしてどのタイプにも一貫している肯定的な表見が人気の秘密だろうか。また正式なものはMBTI認定ユーザーが当人と話し合いながら、タイプを確定することになっており信用度を高める効果十分だろう。たくさん出回っているMBTI 派流テストに至っては、4文字のアルファベットの他にどのタイプにも分析家、外交官、建築家というような素晴らしい名前がついており、ますます自我を満足させてくれる。

人間の性格を明確に定義づけ分類する方法は昔から追及されてきたが、その複雑性、流動性のゆえ、行動をパターン化して予測する完璧なツールというのは存在できないだろう。市場に星の数ほどある性格判断テストだが、分類して比較ができ信用もあるMBTIは魅力的なツールの作り方と巧みな市場戦略で成功した例と言える。

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