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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

国際機関とNGO

Photo de RODNAE Productions provenant de Pexels

スイス政府の依頼で、国際機関についてのセミナーをフランス語圏スイス人対象に行っている。NGOと国際機関の違いをよく説明してくれと頼まれたので、理由を聞いてみた。国連機関で働くよりNGO活動を好むスイス人は多いからとのこと。さすがはNGO伝統の強いスイスである。

スイス人のアンリー・デュナンがジュネーブで赤十字』(Red Cross)運動を開始したのは1860年代。後、世界最古にして最大のNGOの一つであるICRC赤十字国際委員会は、精力的な人道支援を展開している。

この活動に象徴されるように、NGO(非政府機関)は多くが国際機関でありながら、民間の立場から民間にサービスを提供するユニークなスタンスを保っている。国連を代表する政府間組織、いわゆる国際機関にないNGOの魅力とは何か。

政府間機関は各国政府が相手なので、規模は大きく政治的な影響力は強いが、官僚的なアプローチになりがちで小回りが利かない。国際機関より決断が早く、活動に柔軟性のあるNGOのほうが、即効果をあげられるという利点があるだろう。

世界中にある国際機関の数はおよそ300といわれているが、国際NGOはずっと多く40000程。地域ベースのNGOを含めば、その数は百万千万単位であろう。

NGOは国連にとっても重要なパートナーで、国連と市民社会とを結びつける貴重な存在。ECOSOC(国連経済社会理事会)は加盟国ばかりではなく、その権限内にある事項について関係するNGOとも協議する。このようにNGOは独自の経験や専門知識を提供しつつ、市民の関心事を国連機関の政策や国際的合意に反映させ、世界規模の問題解決に貢献している。

2022年度JPO 試験

今年もJPO 試験のシーズンがやってきた。外務省からの募集要項はすでに発表されたが、毎年少しずつ変化があるので気をつけたい。

事前登録は1月6日から可能。応募期間は2月1日から3月7日までと去年より長い。外務省枠外応募は、OECD, UNDP, WFP, OPCW, ICAOの5機関。

和文応募書類の志望機関・ポスト欄は、第3希望機関・ポストまで。職歴に希望ポストとの関連性を書く部分もあるので、和文応募用紙記入はJPOポストのリストが公開される2月1日待ちとなる。事前登録ですでに記入した学歴等の基本情報は、応募用紙に再入力する必要はない。

キャリア国際機関の応募書類作成支援は、メールで送られてきた書類から順番に受け付け、30人程度で締め切る予定。添削サービス希望者が多ければ3月7日前であっても対応できない場合があるので要注意。

他の応募者より早く書類を作成するには、2月1日の対象ポスト掲載を待たず作成できる英文レジュメとP11を今から用意しておくことだ。

P11の動機部分は応募対象ポストとの合致をアピールするカバーレターとは異なり、希望機関、JPOプログラムに対する動機、適格性や将来の抱負、貢献等を書くものなので、今からでもドラフト、添削ができる。希望ポストがわかってからカバーレターと和文応募書類を完成させ、2度に分けて添削することも考えていいだろう。

サービスの流れをリソースセンターにアップロードしたので、合わせて参考にしてほしい。

新年のご挨拶

無料イラスト 2022年の干支・寅年

新年明けましておめでとうございます。

昨年はCOVID19に強く影響されたほか、アメリカの新大統領就任に関する事件やアフガニスタン、ミヤンマーなどで平和を脅かす展開が見られました。一方で東京オリンピックで日本選手が大活躍するなど、明るい話題もありました。

去年に続き新型コロナの患者が増加する中、2022年も国際情勢は目まぐるしく変わっていくことでしょう。 そのような状況は国際機関とは何か、そこで働くとはどういうことか、という問いを改めて私達に投げかけます。

キャリア国際機関では、今年も例年以上に国際機関に関する情報やアドバイスを発信し、国際公務員キャリアを応援していきたいと思います。 本年も何卒よろしくお願い致します!

民間企業の経験

国際機関の採用には、専門分野での学歴と職務経験の一致が重視される。また最低条件年数を満たしていれば、経験は空席の環境に近い 職場で得たものほど有利。例えば、他の国際機関、NGO、官公庁関係、在外公館 、JICA等 での勤務がそれに近い。

ただし民間企業での経験の方が重視される場合がある。進化が早く知識や技術への投資コストが高い職種だ。例えば民間企業のノウハウが国際機関より進んでいるIT関係だと 最先端の知識、技術をもっている外部候補が優先される。日進月歩のこの分野では、学士で経験年数ギリギリの民間出身者採用が頻繁。

投資バンキング、会計監査、エンジニア といった職種も民間経験者が多い。世界的に著名な企業や大手コンサルでの経験 は特に歓迎される。また医師や妊産婦、健康管理専門家は供給不足と言われており、とりわけ短期緊急ポストでは採用チャンスが高い 。

人事、物資調達やロジ、財務、法律、コミュニケーション等にも民間企業での経験は有効。シンクタンク、多国籍企業、開発コンサル、国際法律事務所、外資系銀行などの経験が活かせる。ただし、これらは民間経験オンリーでは競争力が弱い。

民間企業 プラス 国際機関の経験がそれぞれ最低2年以上あれば、どの職種にも有効 。国際機関でのインターン、ボランタリー、短期採用やコンサル、技術協力専門家、あるいはパートナー活動や会議、タスクフォース、ネットワーク参加、といった 経験をキャリア計画に盛り込むとよいだろう。 

応募やキャリアについてのアドバイス希望者はこのサイトのコンタクトフォームを利用していただきたい。

COP26

国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は、各国間の意見調整難航後、成果文書を採択し先月13日に閉幕した。

成果文書では「1.5度目標」明記が大きな前進とされている。2015年のパリ協定では、「世界の平均気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑える」との位置づけだったからだ。

これは確かにCOP26の手柄と言えよう。しかし、採択だけで、世界の地球温暖化対策がどの程度進むかは不明。1.5度温度上昇抑制には2030年に温暖化ガス全球排出量を2010年比45%削減、21世紀半ばにネットゼロにすることが必要でその作業計画はCOP27で採択される。

また、成果文書では、石炭火力の廃止についても採択が難航。議長国の英国は、「段階的な廃止」という表現を成果文書に盛り込むことを目指していたが、インドや中国が強硬に反対。最終的には「段階的な削減」という表現で妥協が成立した。

他のテーマでも先進国と途上国・新興国間の対立が目立った。先進国は2050年のカーボンニュートラル、2030年までの地球温暖化ガス排出量の50%程度の削減でほぼ同意したが、途上国・新興国は反対。世界最大排出国の中国は、2060年カーボンニュートラルという従来の目標のまま。新たにカーボンニュートラルを示したインドも、目標達成時期は先進国よりも10年遅い2060年である。

先進国が途上国・新興国に地球温暖化対策を積極化させるトップダウン式がCOP26の基本構図。しかし先進国自身2020年までに途上国などの気候変動対策に年間1,000億ドルを支出することは達成しておらず、両サイド対立のもとになっている。

各国からかなり先の目標を引き出し、積極姿勢を表明させるだけでは地球温暖化は解決できない。具体的方策、そして対策の実地を随時確認する構造などを促進するのが今後の課題だろう。

今日のキャリア

キャリアは個人的なものだから、十人十色。とくに計画を立てず成り行きにまかせ、自分のキャリアを運に委ねるもの、反対に一歩ずつ順序立てて計画し、計画外の行動はとらないタイプというように、道筋をどう作り上げていくかはそれぞれの選択にかかっている。

大抵の人は上記両極端のモデルの中間をいき、おおざっぱにプランは立てていても、予定外の昇進や移動のチャンスに応じてパスを調整していくのではないだろうか。

キャリアパスや専門分野、職場環境が複雑化してきている今日、国際機関でも専門家として成果をあげ幹部まで昇進というケースは少なくなっている。国連の場合プログラム遂行に必要な仕事が多様化し、専門家にも追加のスキルが求められる。例えば自然災害の専門家に、プロジェクトマネジメントや基金収集能力、広報のスキル等が重宝されるといった具合。

専門性のみならず可動性も多様化し、単一の国際機関、同じ勤務地でのキャリア開発はむつかしくなっている。また、各機関ともグレード配分に中間レベルが多い平坦な階層構造な上、ポストごとの競争が激しさを増し昇進は厳しい。一方、新規創立機関、正規予算外ポスト創設等予定外の機会も存在し、キャリアパス調整はより頻繁になる。

このようにキャリアの多様性、不確実性が高まる中で、変化に柔軟に対応し、自分でキャリアを開拓していくという資質がより求めらる。それに必要な条件は、まずキャリアは自分で作るという責任意識、自分の価値観、得意分野や仕事の好みを知ること、そしてそれを踏まえた目標をもつことであろう。

国際機関でのキャリア開発は、機関、上司、本人という3部構成。組織のキャリア開発サポートと上司は重要な助けだ。機関のキャリアサポート以外にも自己投資や、外部とのネットワーク作りは積極的に実行すべき。自分の市場価値を常に高めつつ周囲のサポートを利用して、目標実現にむけて柔軟にキャリアパスを形成していきたい。

応募書類に不要な表現

国際機関応募書類のアピール度は、使用語彙や長さにも左右される。わかりやすく簡潔な書類に不要な表現とは何か。以下の15例は応募書類でよく見かけるもの。

まずthere is/are。意味がないばかりか文章を不必要に長くする。文の構造を変えてthere is/areを減らそう。

例 There is beer in the fridge.

     Beer is in the fridge.

履歴書でよく見かけるin terms of は乱用されている上、無意味。代わりにaboutや asを使いたい。

例 The information is shown in terms of a percentage.

     The information is shown as a percentage.

大した意味をなさない副詞も削るとスッキリする。対象はsimply, basically, essentiallyなど。

またimportantという言葉も乱発されすぎて重要性を失っている。代わりにvital, critical, urgentなどを使えば文章が生きるだろう。

On the other handも長さ、まだるこしさから敬遠したい。However, otherwise, alternatively などに置き換える。これによりon the one handの使用も防止でき、単語の数をぐっと節約できる。

冗長さを抑え、簡潔な書類を作成するため無駄に長い単語は短いもので代用しよう。

A majority of はmostに置き換えるか数、量を述べる。

As a means of はforや to に変換。

In accordance with は by, following, per, underで代用。

In a timely manner も長いのでon time, promptly, timelyなどに変える。

In order toは toを使用して字数節約。

In view of もsinceや becauseで十分。

Prior toの代わりに beforeを使い語数を削減しよう。

このように少し気をつけるだけで応募書類の読みやすさ度はアップ。これらは応募書類だけでなく、字数制限のある筆記テストやエッセイにも応用できる。

国連面接の多彩な候補者

長年国際機関の採用担当として数々の面接をしてきたが、ちょっと風変わりな候補者を思い出してみた。以下は、候補者に特徴があり面接の出来、不出来よりその印象の方が強かったケース。

まずネイルがネオンカラーの女性。国際機関で専門家としての経験もあり受け答えも十分洗練されている。ボデイランゲージも適度に入った良いプレゼンテーションだったが、10本の指が動くインパクトが強すぎて、そればかりが記憶に残っている。

また熱心度がすぎて困る場合もある。一対一の面接中、こちらの机にあった文房具をわしずかみにし、自分の胸に引き寄せてスピーチする候補者には驚いた。面接後返してもらったかさえ覚えていない。

面接の初め、流暢に自己紹介する人は多いが、長すぎるのも困りもの。かといって最初から自己紹介の腰を折って、気を削がせるのも気の毒である。パネルメンバーが全員疲れ果てた頃、恐る恐る話題を切り替えてみる。

自己紹介には色々なスタイルがあり、候補者の特徴が出て興味深い。しかし” I am a woman.. ” で始められた時はびっくりした。数少ない女性候補であると強調したかったのかもしれないが、履歴書にもジェンダーは書いてあるし、容貌も男性には程遠い。このオープニングは意外で印象に残る面接となった。

割とあるケースが、ヘアスタイル問題。粋な髪型で洗練された印象だが、頭を動かすたびに髪が目にかかり気になる。面接官の方が落ち着かない気持ちになってしまう。

面接は普通採用側から提案するものだが、逆のケースにも遭遇した。カイロでアラブ語翻訳官採用キャンペーンの面接をした時。面接招待状が国連本部から30人ほどのテスト通過者に送られたのだが、現地に到着したら通知が届いてないとわかった。

次の日からの面接は無理かなと思っていたら、候補者の方からどんどん電話がかかってきた。招待状を受けとった一人が自分の周りに連絡し、あとは口ずて。こちらのスケジュールも把握しており、直前通告なのに全員が予定通り面接を終了した。アラブ人のうわさネットワークに感心したエピソードである。

コロンとセミコロン

英語の句読点、コロンとセミコロンは空席広告や応募書類によく使われる。基本を覚えておくと便利だろう。

セミコロン( ; )

コンマとピリオドの中間的な機能で二つの完全文を繋げる。完全文とは主語と動詞があり、文自体で成り立つもの。不完全文は、主語と動詞はあるが、文だけでは意味をなさず、補足説明がいる。

セミコロンの後の文は前の文に対して、並列もしくは相反する情報を挿入し、小文字で始める。

例I want to buy some books; let’s go to the mall.

セミコロンは接続副詞however, thus, hence, indeed, accordingly, besides, therefore等の代わりか、それと共に使用できる。that is, for example, namely にも応用可。 接続詞 and, but, for, nor, or, so, yetにはコンマ使用。

例I wanted to buy some books; therefore I looked for my credit card.

コロン ( : )

色々な使い方があるが、履歴書に役立つのは職歴をas follows, the followingを使ってリストアップできる点。コロンの前の文章は完全文。コロンの後は、普通小文字で始めるが、2つ以上の文や会話、引用文の場合大文字。

  1. 例示 I performed the following tasks: project planning, budgeting, and reporting.
  2. 補足説明    Mother was searching the room: she couldn’t find her keys.
  3. 引用   Thomas: The accident has already been reported.
  4. 強調        The house was shaken by a loud boom: earthquake!
  5. 割合、時間、連絡    Our 1:1 meeting is at 3:30 p.m. PS: Bring a laptop.

コロンにはnamely, for example等は使えない。その場合はコンマかセミコロンを使用。

職歴を書く時便利なbullets だが、リストアップしているからといって文末にコロンやセミコロンは不要。国連の編集ガイドにもあるように、何もつけないか、ピリオドにする方がスッキリまとまる。

国連とテロ対策

アメリカで起こった2001年9月11日の同時多発テロから20年。今年9月には色々な記念行事や記事、番組が相次いだ。20年の間に国連はテロとの戦いを国際化する上で重要な役割を果たした。

当時ニューヨークの現場に近かった国連の安全保障理事会は、事件後反テロリズム委員会(CTC)を設置。執行事務局(CTED)が理事会決議1373(01年)および1624(05年)の実施状況を監視する。決議は加盟国に、実行への支援も含め、テロリズムに関した活動を犯罪とすること、テロリストに対する資金供与や安全な隠れ家の提供を拒否すること、テロリスト・グループに関する情報の交換、などを義務つけている。

総会による全会一致の採択に続いて2006年に成立した国連グローバル・テロ対策戦略は、国家、地域、国際レベルでとるべきさまざまなテロ対策を概説。テロ対策実施タスクフォース(CTITFのちUNOCT)が実施を管理。

また国連薬物犯罪事務所UNODCも2003年、テロ防止の法体制を強化するため技術協力活動を拡大。UNODCのテロ防止部は、普遍的な反テロリズム条約実施国に技術援助を提供し、テロ防止の法体制強化に関するグローバル・プロジェクトを管理する。UNODCのテロ関係法支援や能力構築支援はUNOCTトレーニングセンターと共同で実行

一方で国連のテロ対策は、人権を巡りニューヨークとジュネーブ間に緊張をもたらした。ジュネーブに本部を置く国連人権理事会は2005年、いわゆる「テロとの戦い」の中で起こり得る人権侵害に対応するため、独立した「テロ対策における人権及び基本的自由の促進と擁護に関する国連特別報告者」のマンデート(任務)を設定。

国連特別報告者は、国連のテロ対策への取り組みを正当化する言説が世界に輸出された結果、国連のテロ対策を乱用し、言論や集会の自由などの国際法で保護された行為を犯罪、テロ行為とみなしている加盟国があると指摘する。

例えば国連のテロ対策担当者は、中国やエジプト、フィリピンなどがテロ対策の名目で人権を侵害しても批判はしないが、OHCHRや特別報告者は批判する。このように同じ国連でも活動の指針、決議などにより、テロに関する解釈が違っている。報告者によると10年前は人道・人権に関する国連機関がテロ対策会議場で同席することさえ困難だったそうだ。

国連のテロ対策調整グローバル・コンパクト(UNOCT、元テロ対策実施タスクフォースCTITF)は2018年システム全体でのテロ対策の調整と一貫性を強化するためにスタートし、約40の国連機関を調整している。今後の調整能力に期待したいところだ。