All posts by akiko

About akiko

小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

国際機関面接最初の3分間

Imagebase4167

面接での第一印象はとても大切である。最初の何分間かによい印象を与えれば後に余裕がでてくるし、さえないとリカバリーが大変となる。面接会場に一歩足を踏み入れたら、質問に答える前にすでに評価は始まっていると考えた方がいいだろう。例えば自分から握手を求める積極性、笑顔、アイコンタクト、最初の挨拶等、好印象をあたえる機会はどんどん利用しよう。たとえ緊張していても、しっかりした握手をしながら相手と一瞬目をあわせ、笑顔を見せるのはそれ程難しくないだろうし、自分自身がリラックスできるという効果もある。

普通の面接の場合、まず候補者とポストの確認、面接官の紹介と面接にかかる時間、使われる質問またはコンペタンシーや言語等の紹介があってから面接が始まるので、候補者は席に着いてから2.3分の余裕がある。その間背筋を伸ばし皆と目線を合わせ、もう一度笑顔を見せられれば上出来である。特に面接官が複数で握手やアイコンタクトの機会がなかった場合、ここでにこやかに皆を見渡せば好印象につながる可能性が高いだろう。また面接官が書類をみていたり、急用で一人が席を離れたりして司会者が面接を開始するまでにしばらくの間が空くことがある。余裕があれば、その沈黙中に面接官達に面接の機会を与えてくれたことに対しお礼を言っておけば喜ばれるだろう。

面接前はたいてい緊張するものだし、震え声で始まる応対もよく見受けられる。緊張すること自体さほどマイナスなことではないので、悲観的になって思わず腕組みをしたり髪に触ったり貧乏ゆすりしたりしないよう気をつけよう。面接が進むうちに、最初の緊張は徐々に解けていくだろうから心配はない。最初の3分間をスムースに乗り切り自分のペースにもっていく要素は、事前の念入りな準備、会場に余裕をもって到着すること、面接官との握手やアイコンタクト、そして自分の笑顔に無意識に返された面接官の笑顔等であろう。電話やスカイプでの面接についてはまた次回に書きたいと思う。

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail

国際機関での昇進

UN_08

一度契約が安定したら、たいていの人が昇進について考えるのではないだろうか。

国際公務員は昇進を意識しすぎだとよく批判される。しかしルールにしばられ、経営陣や人事部の一存で人財を動かせない国際機関では、仕事処理能力や努力だけで昇進は望めない。その結果職員が自己でキャリアを切り開こうとすることになる。

では昇進することにおける経済面以外のメリットは何だろう。まず、自分の実力が認められたことに対する充実感と仕事への意欲の向上がある。決断や予算面での権限が増し、影響力が上がるので、プロジェクト実施がやりやすくなる。また上に行くほど情報が入手しやすく、自己のサバイバルに有利に働く。このほか、若手や同僚の管理育成や、機関内のマネジメントに自分の考えを反映できるという点もあるだろう。

ただし昇進したことで雑用と部下管理ばかりが増えてしまい、自分の得意分野でスペシャリストとして活躍できなくなるというデメリットもあるので、やみくもに管理職を選ぶのも考えものである。給料の面からいけば、グレードが一つ低くても滞在年数が多いので収入は上司より高いというケースもよくある。何が自分にとって一番大切な価値かをまず見極めるるべきであろう。

国際機関での昇進には以下のケースが挙げられる。

自分のポストよりグレードの高いポスト(機関内,外)に応募し、採用される。機関内であれば、すぐその下のグレードを最低何年経験する等の条件が課せられることがあるが、他の機関に行けば、そういう制限はかからない。

自分のポストのグレードをjob classificationにより上げてもらい、そのポストと供に昇進。これは自身のポストでも、公募対象になり選考されなければ上がらない制度と、ポストのアップグレードに伴って条件さえ満たせばほぼ自動的に昇進となる制度とがある。

この他にも、機関によっては競争なしでノミネートできる特別ポストがあったり、一時的に特殊な責任を課され特別手当をもらえる機会があったりもする。国連だとスペシャルミッション等も対象となるだろう。

上記したように、昇進は素晴らしい仕事をしたものが自動的に与えられるものではない。国際機関での昇進には戦略が不可欠で、仕事熱心のあまり昇進運動を怠るとるとかえって取り残されるくらいである。

どういう戦略をたて実践していくかは次の機会に書きたいと思う。

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail

リソースセンターの使い方

imagebase24_27

前回のサイトの説明に加え、リソースセンターをどういう風に活用できるかの説明です。リソースセンターでは管理人の豊かな国際機関人材開発経験に基ずいた、就職やキャリアプラニングに役立つツールやサービスを提供しています。

これらのツールはキャリア開発の各ステップに則して構成されています。まず国際機関基礎編スライドで必要知識を得た後、自己分析キャリア開発アクションプラン、シャインのキャリアアンカー分析で自分の価値観、希望、目標、得意分野等を認識しキャリアプランを構築するという風に利用すると効果的です。エクササイズは国際機関への応募を考えている方、また面接のへの対策を立てたい方用で詳しい説明は以下のとうりです。

応募対策エクササイズMy major competitive advantages

応募対策エクササイズでは自己の強み、競争上有利な点を具体的に英語でまとめ書き出す練習を提案しています。履歴書を作る前にまとめておくと、応募書類作成に役立ちます。ここで重要なのは応募を考えている仕事を頭におきながら、自己の知識・技術・経験等を挙げるという点です。簡潔かつ具体的にまた業績に関する統計とか質、量を表す数字等を入れると説得力が増します。学歴、トレーニングと経験が同じ分野であればそこを強調してスペシャリストというイメージを与えるのも効果的です。

またこのエクササイズはキャリアパス、キャリアプランを立てる前の自己分析としても有効です。決まった機関、職種等にまだ照準を合わせていない時点で、何が自分の強み、特技、好みか、どういう価値観で職を選びたいのか等を見つめる助けとなると思います。

面接対策エクササイズ My major success at work

現在たいていの国際機関はコンペタンシー基盤の面接方法をとっていますが、最初の質問はほとんど、なぜこのポストに応募したか、空席と応募者の知識・技術・経験等がどのようにマッチしているかという2点です。またこれらの質問は国連ではprofessionalismのコンペタンシーを試すために使われますから、ポストに求められているコンペタンシーをよく読んでからエクササイズを通じて答えを準備するとよいでしょう。

最初は完全なものを求めず、ブレーンストーミングのつもりで思いつくまま書き出してから、対象ポストのプロフィールに合わせて絞っていくと効果的です。最後に自分の履歴書と合わせて忘れた点をチェックすれば完璧です。

コンペタンシー面接対策エクササイズ Competency based interview question samples

コンペタンシーの中でも比較的面接で使用頻度の高い3つを選びそれぞれに成功例、失敗例を挙げさせる2つ質問をつけました。Case Action Resultsを軸に答えを作って下さい。失敗例にはそこから何を学んだか、次回はどうするかを付け加えること。大雑把な答えができたらコンペタンシーの下に記してある挙動基準を参照してそれらの行動が含まれるように答えを調整して下さい。

この他リソースセンターでは管理人によるキャリアカウンセリング、応募書類添削、面接指導等のサービスも提供しています。料金は目安です。お問合せフオームもここから送ることができます。キャリアに関するアドバイスは無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail

このサイトの使い方

Beautiful-River

”キャリア国際機関”は 国際機関就職希望者と邦人職員を結ぶ新しいタイプのサイトです。サイトを開けるとまず管理人またはアドバイザーによる国際機関関係の記事が目につきます。この記事は随時更新されており、付加価値のある独自情報源としてとしてご利用できると思います。また記事に関するコメントや議論も大歓迎です。

”はじめに”のメニューには、このサイトの由来と目標が記されています。邦人の国際機関キャリアを応援したいという強い希望から生まれたこのサイトは国際機関就職希望者だけでなく、国際機関現職員の方々のキャリア開発支援も目指しています。

リソースセンターでは管理人の豊かな国際機関人材開発経験に基ずいた、就職やキャリアプラニングに役立つツールを用意しています。これらは、国際機関就職対策基礎編スライド、自己分析キャリア開発アクションプランテンプレート、シャインのキャリアアンカー分析質問表、応募対策および面接対策エクササイズ、そして唯一有料の応募書類と面接テクスライドからなっています。

また管理人によるキャリアカウンセリング、応募書類添削、面接指導等のサービスを利用するためのお問合せフオームもリソースセンターから送ることができます。キャリアに関するアドバイスは無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

アドバイザーの方々はフォーラムに参加したり、記事を投稿したりすることで参加者との情報交換やアドバイス提供に貢献します。元、現国際機関職員の方で邦人の国際機関キャリアを応援したい方、参加をお待ちしています。

サイトの特徴の一つであるフォーラムの情報交換は、積極的な参加があってこそ価値がでてくるものです。投稿、質問、助言、トピック作成等にご利用下さい。またここにはキャリアに関する新しい情報を頻繁に載せる予定ですので、こまめにチェックしてください。投稿の際は登録が必要です。

最後ですが、リンクメニューには管理人が集めた国際機関キャリア開発に役立ちそうなサイトがリストアップしてあります。

 

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail

筆記試験

aquarium19

採用プロセスの一部に筆記試験をとり入れている国際機関は多い。通常応募書類でスクリーニングを通過した人対象に行われ、結果が良ければ最終選考者リスト(ショートリスト)まで残り面接に招待されることになる。ただしすべての機関が筆記試験をとり入れているわけではなく、同じ機関でもポストや雇用サービスによって実施しないところもある。外務省人事センターのサイトに国際機関の採用プロセスにおける筆記試験実施状況がのっているので参考にするといいだろう。http://www.mofa-irc.go.jp/apply/hikitest.html

書類選考だけでは絞り込みが難しいので、面接前にもうひとつ選考判断の基準を設けるというのが筆記試験の基本主旨である。ただし機関によっては面接候補者をすでに決めておいてその候補者対象にテストを行うケースもある。この場合は筆記試験と面接両方の結果が最終選考の判断に使われる。ちなみに面接の際に筆記試験のほかにプレゼンや他のテストをさせることもあるが、それは他の機会に書きたい。

大きな規模での採用キャンペーン(国連だど例えば翻訳官採用試験、ヤングプロフェッショナル試験など)以外の特定のポストに応募した場合、筆記試験に呼ばれたということは、書類選考を突破した4から15人程度の候補者の中にいることを意味する。

採用プロセスにおいて候補者選抜を目的としたテストのしかたはいろいろあり何も筆記試験に限る必要はないのだが、インターネットを使って手軽に企画でき、募集ポストの上司が自分で採点、判断ができることから、専門知識に関するテーマを2問程度出題しエッセイ形式の答えを書かせるケースが多いようである。普通は2時間程度を要する。

筆記試験採点基準において専門知識の比重の高さは当然だが内容と表現形式両方の要素のバランスがとれている必要がある。表現としては言いたいことが文法ミスやタイプミスなしの理解しやすいスタイルで、簡潔かつ明確に表されており、論点の構造と発展に筋が通っていること。内容の面では、まず質問に答えているか、そして専門知識の高さと自分の考えを持っているかなど、がチェックポイントとなる。

筆記試験の通知が来てから急に準備ができるものではないが、課題になりそうなトピックは空席広告からヒントを得られるので少なくても参考書類、サイト等の整理をやっておき、短い試験時間中に情報サーチ等に時間を取られないようにしておくべきであろう。また起承転結の節目で使う常套句をいくつか用意し、前もって論理の構造を作っておくという手もある。ただしこれはやり慣れてないとかえって焦りのもととなるかもしれない。いろいろな準備対策の経験をこのサイトのフォーラムで交換してみるのも面白いだろう。

 

 

 

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail

インターン

国連総会
国連総会

国際機関で1ケ月から6ケ月間程の見習いをするインターン制度は、直接就職に結びつくわけではないがいろいろな面で大変有益である。
まず国際機関という職場に直にふれ、実状や雰囲気を実感できるし、自分に合っているか本当にやりたいことなのか等の判断に役立つ。また職場内でネットワークを作り、自分の特性を覚えてもらえれば将来の就職に役立つ可能性もある。日本政府のJPO試験応募者選考の際インターンとしての経験は考慮されないが、国際機関応募の際は経験があると有利に働く。某国際機関は新しく設置されたこともあり、創設後しばらくはインターンをそのまま正規職員に採用していた。ただし自分の専攻の延長線上にある国際機関、NGOでの経験が望まれる。

このように有意義な制度ではあるが原則的に無給であり、生活費と旅費が負担となる日本人には苦しい。よってインターンは現地の学生が多くなってしまうようだ。日本で在学中の場合次の可能性も考慮してみるといいだろう。

  • 日本在住の国際機関やNGO等でのインターン
  • 手当の支給される機関に応募。IAEA,IFAD,IMF,ILO,IOM,UNICEF, OECD, WBは手当制度があるので自己負担が軽減される。
  • 所属する大学から財政補助の可能性を確認。
  • FACID のような補助金支給制度に応募する。
  • 文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」の奨学金制度に応募する。募集は、2016年1月末より
  • AIESEC の海外インターンポータルでアフリカ、アジア等のNGOのインターンの可能性と手当条件をチェック。

外務省人事センターのサイトにまとめられているように、ほとんどの機関は修士課程の学生を対象としているが、ITU,CTBTO,WHO,UNHCRでは修士課程は必須とされていない。また ICC、 IOMでは学士課程の最終年度であれば認められる。

応募条件の多様性に加え、応募やインターン期間が設定されているところや、ロスターが用いられている機関など制度が様々なので、それぞれのサイトから正確な情報を得たうえで早めに準備することが大切である。また国連フオーラムでインターン特集が組まれているので、参考にするといいだろう。

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail

キャリアアンカー

anchor

キャリアアンカーとは、アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院名誉教授組織心理学者エドガー・シャインによって提唱された概念である。人が自らのキャリアを選択する際最も大切でどうしても犠牲にしたくない価値観や欲求、また、周囲が変化しても自己の内面で不動なもののことを指す。キャリアプランを立てる際につかわれる自己分析ツールは市場に多数出回っているが、このツールは比較的使いやすく知名度も高いほうだと思う。

自己のキャリアアンカーが何であるかは自分の強み、弱み、動機や人生の目標、そして価値観を分析してみればおおよそ見当がつく。

シャインは主なキャリア・アンカーを以下の8タイプに分類した。

技術的・機能的能力
特定の仕事に対する高い才能と意欲を持ち、専門家として能力を発揮することに満足と喜びを覚えるタイプ。

管理能力
組織の中で責任ある役割を担うことを望み、経営者を目指すタイプでいわゆる「出世志向」がある人。

自律・独立
どんな仕事であれ、自分のやり方、自分のペースを守って仕事を進めることを大切と考え独立の道を選ぶ傾向のタイプ。

安全性
安全・確実で将来の変化をおおむね予測できる環境を優先するタイプ。

創造性
新しい製品、サービスを開発したり、資金を調達して組織を立ち上げたりと、新しいことを生み出す創造性の発揮を重視するタイプ。

奉仕・社会貢献
何らかの形で社会を良くしたり、他人に奉仕したりすることを望むタイプ。

純粋な挑戦
不可能と思えるような障害を乗り越えること、解決困難と思われてきた問題に挑戦することを追求するタイプ。

ワーク・ライフバランス
仕事と家庭生活、公的な仕事の時間と私的な個人の時間のどちらも大切にしたいと願い、両者の適切なバランスを考えるタイプ。

何年か前OECDの女性管理職職員を対象にこの分析を行ったことがあった。一番多かったのが管理能力重視のタイプだったので記憶に残っている。OECDという研究者タイプの職種が大部分の機関では、むしろ技術的・機能的能力重視の女性が多いのではと想像していたからだ。次点は、お家柄を反映して技術的・機能的アンカーだったが、国連関係に多い奉仕・社会貢献とワーク・ライフバランスもほぼ同じ割合を占めた。ワーク・ライフと管理能力は男女間で志向の差が大きいアンカーだったが、近年差が縮小され女性の出世志向と男性の私生活重視が増えているのが興味深い。

キャリアアンカーは人生の節々で変化するものだし、2つのアンカーが同等に大切という例もある。貴方はどれをキャリアの糧とするのか、このサイトのリソースセンターでキャリアアンカー自己分析を試すのもおもしろいだろう。

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail

35歳以後の国際機関就職

前回JPO派遣制度の話をしたが、JPOやYPP等の若手対象競争試験の年齢制限を越えた場合、国際機関職員になる道が閉ざされているわけでは決してない。外務省人事センター資料によると現国際機関邦人職員の4割がJPO出身ということだから6割の邦人はそれ以外の道で就職したことになる。この6割の中には35歳すぎてからから入った人が大分いると思われる。

35歳からの国際機関就職の道として考えられるのは、

PKO等の特別ミッションのロスターに応募

国際機関の来日採用ミッションに応募

UNVに専門家として登録、応募

個別空席広告に応募

短期ポスト、コンサルタント、技術協力専門家等に登録、応募

政府、公共機関等からの派遣

などで色々な可能性がある。国際機関の現実として、一番空席広告の多いグレードは専門職ではP3またはP4なので、5年から8年の経験を積んだ中間管理職層が最も求められているプロフィールだと言える。

若手対象競争試験と違って、ここでは学位と職務経験が同一分野であることと、経験が対象ポストの関連分野でかつ、国連に類似した環境で得られたものである点が重視される。主に考えられる職場環境としては、国際機関でのインターン、ボランタリー、民間のシンクタンク、官公庁関係、多国籍企業、在外公館調査員、派遣員、JICA、海外青年協力隊、開発コンサル、NGO,NPO、国際法律事務所、銀行などであろう。

これらの職場で、国際機関との接点があれば有利である。例えば開発コンサルの会社が世銀の実施パートナーとなっているとか、国際機関の会議に会社から出席し、運営委員会のメンバーとなったとかである。社会人となってからも会社の研修とか,ボランタリー活動等で国際的な経験を得る機会があると思うので、努めて活用したいものだ。

最後になるが、内閣府の国際平和協力研究員制度にも年齢制限は課されていない。毎年若干名採用し、雇用期間は最大2年間、ミドルやシニア・レベルで活躍できる人材育成を主眼とし国際機関への就職率は4割以上という。応募は4月1日から30日まで。国際平和協力関連分野の修士相当以上の研究経験と国際機関又は国際平和協力関連各種団体等での実務経験は必須。またその関連分野での知見を有することが望ましいとの旨。面接時には英語の試験がある。この研究員職は給与付であり、社会人の方の国際機関へのエントリーポイントとしてはかなり有効であろう。くわしくはhttp://www.pko.go.jp/ を参照のこと。

 

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail

JPO派遣候補者選考試験

2015年度JPO派遣候補者選考試験募集要項が発表された。外務省では、国連をはじめとする国際機関で働きたい若手の日本人(35歳以下)を原則2年間国際機関に派遣し、正規職員となるために必要な知識・経験を積む JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)派遣制度を実施している。派遣期間終了後、正規職員として派遣先機関や他の国際機関に引き続き採用されることが最終目的であるが、自動的に正規職員となることが保証されるわけではなく、派遣期間終了前に通常の手続きに従って空席ポストに応募して採用される必要性がある。
外務省国際機関人事センター発行資料によると国連関係機関の現邦人職員のうち、4割強がJPO派遣制度を経て国際機関の正規職員になっているそうである。1974年から実施したこの制度で約1,400人が派遣されており派遣終了直後、概ね5~7割の方が国際機関に 正規採用されているとのこと。
JPO派遣制度で、派遣された邦人は2014年度では44人となっている。301人の応募で44人だから、選考される確率は14.6パーセント、2013年には285人の応募者に対し40人が派遣されており、確率はほぼ同じ14パーセントである。
この選考試験は国連やOECDのヤングプロフェッショナル試験(YPP)と比べると成功率が格段に高い。国連のYPP試験をとってみると結果のでている2012年度版では応募者41,023人のうち、筆記試験に呼ばれたものは4,587人、筆記試験を通過し面接に呼ばれたもの180人となっており、空席数は98で、激しい競争の後ポストにつける確率は0.24パーセントである。2013年度の最終結果はまだ発表されてないが、応募者数は22,662、筆記試験に呼ばれたものは3039人、筆記試験通過者100人となっている。
2005から2010間に行われたOECDヤングプロフェッショナル試験では、7つのポストを用意した各試験に対し約2000から3000人の応募があった。よって確率は国連YPP試験とほぼ同レベルといえる。現在はポスト数が増えているようだが狭き門であるのは変わっていない。
国連の一般空席公募だとポストによるが応募者数は50から 300人が普通だから採用される確率は0.33 から1パーセントとなる。
ここでどんなにJPO派遣候補者選考試験の門戸が開かれているか実感できるであろう。14パーセントの確率で派遣された後、半数以上が正式職員になっているそうなのでJPO派遣後正式職員になる率はヤングプロフェッショナル試験や空席広告に応募するよりずっと高い。おまけに一般空席広告のように内部職員と競う必要もなければ、YPPのように他の職員数の少ない国の応募者と比べられることもない。
まさに国際公務員への近道といえるべきこの試験に、条件の合う方はどんどんチャレンジしてほしい。

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail

空席広告に表示されている経歴資格等の条件

国際機関の個々の空席広告への応募者は多い。機関やポストによるが、国連だとだいたいひとつの空席に30人から300,400人の応募者がある。
これらの書類をふるいにかけて、面接までいくショートリストを作り上げるには大変な労力がいる。インターネットの発達で誰でも気軽に応募できる上、最近はグローバル化が進んでいるし、高学歴の人が増えているので、募集広告に書いてある条件を満たす履歴書は多い。そのため3人から7,8人の最終面接者を選ぶ課程が長く複雑になってきている傾向にある。この負担は大部分雇用側の上司にかかってくるので、仕事が忙しい時などついスクリーニングが後回しとなり、採用が遅れてしまう。
ところで広告の最後に書いてある仕事に必要な学歴、経験、資格等だが、私は就職セミナーの際,この条件を80パーセントも満たしていなければ応募する必要なし、と指導している。セミナー受講者の中から何をもって80パーセントとするのか、という質問があったのでもう一度ここで反復してみたい。ここでは一番空席公募の多い国連のシステムを例にとってみた。
この必要条件は、学歴、経験、言語の3種類に分かれており(Qualifications required)そのうちのひとつでも満たしていないと候補者はその時点で除かれる。そこからロングリストに残れればさらに筆記試験へのスクリーニングがある。
学歴、経験、資格は多くても15人ほどまでが対象なので、基礎条件の他にDesirable, advantage, asset などの形容詞のついた条件、例えば、特殊な資格だったり、途上国での労働経験だったり、国際機関での経験だったりのどうしても必要ではないが、あると有利とみなされる条件のチェックがされる。さらに候補者を絞り込むため、条件を満たしていていてもその質の高さ(たとえば経験の年数と環境、空席のポストに近い経験かなど)を問われることもある。このように筆記試験に招待されるということは最終選考にかなり近くなっているということである。筆記試験の結果を見て最終候補者を選び面接となる。
資格条件と自分の経歴がマッチしているかどうかの確認は客観的にやってほしい。空席広告に表示されている基礎の資格プラスあると有利と記された条件を合わせた全体の8割も満たしていない場合は応募を見合わせ、もっと自分の経歴に近い空席を捜すべきであろう。

Facebooktwitterlinkedininstagramflickrfoursquaremail