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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

新年おめでとうございます。

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2021年がスタートしました。

2020年はCOVID-19 が生活様式を一変させた年でした。

昨年に引き続き、今年も世界状況は目まぐるしく変化していくと考えられます。去年発揮した柔軟性や対応力がますます重要となるでしょう。

日々変わっていく国際情勢は、国際機関とは何か、そこで働くとはどういうことか、という問いかけに向き合う機会を与えてくれます。

キャリア国際機関では今年も例年以上に、国際機関に関する情報やアドバイスを発信していきたいと思います。

本年も何卒よろしくお願い致します!

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Staff or staffs

応募書類でよく見かける I am a staff of …というフレーズ。 なぜ、 I am a staff member of…に直されたのか首をかしげる応募者もいるだろう。

Staffは、組織の職員や社員全体 (the group of employees of a particular organization)を意味している。複数の人の集まりを示す集合名詞のため、一人の職員をstaffとは呼べない。一人の職員をHe is a teamと書けないのと同じ。職員全体を意味しているので単数扱いとなる。

例 The entire staff was late to the meeting.

ただし職員という意味の名詞でstaff がstaffsになりうる場合もある。例えば、国連のstaffや、世銀のstaff、FAOのstaffもいるという集合体としてのstaffが複数あるケースだ。

例 The staffs (of the different organizations) were all late to the meeting.

またイギリス英語では、集合体に属する個々のメンバーが視覚的にイメージされる時、単数形のstaffを複数扱いすることもある。

例 All staff have to wear a face mask in the workplace.

こうなると混乱しそうだが、アメリカ式に常にstaffを単数扱いするのが解決策だろう。

アメリカ式といえばstafferという単語を使っている応募書類も見かけるがあまりお勧めしない。Staffer は集合名詞ではないので a stafferという表現はありだが、アメリカの大統領府などの政府機関や報道機関のスタッフ用以外一般的でなく、国際機関では使われていないからだ。

結構複雑なstaffの使い方、キャリア国際機関の応募書類添削サービスも利用してほしい。

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ExperienceとExperiences

国際機関への応募書類には欠かせない単語であるExperience。複数形を使った書類が多数あり、よく添削の対象となる。単数と複数はどう使い分けるのか。

国際機関の空席広告では、どの機関でもExperienceを使っている。このExperience(経験)は一つの事柄ではなく、時間をかけて積み上げてきた知識やスキルといった抽象的なものの意味で数えられない。不可算名詞なので、複数形はなく使える冠詞はtheのみ。

例 Experience with a national disaster management agency is desirable.

例 The experience gained at the Forum allowed us to complete the survey.

だが、応募書類に記したexperiencesが全部間違いなわけではない。自己の体験やイベントを書く場合、特定個々の経験・体験が一個ずつの経験として捉えられるため、可算名詞になるからだ。その場合は不定冠詞も使用可。

例 I have had encouraging experiences with street children.

例    Speaking in front of 1000 people was an experience that I will never   forget.

このように個人的な体験を述べる機会は応募書類上あまりないだろうが、カバーレター作成や特別に応募動機を書く場合に考えられる。

ただし応募書類の間違いで圧倒的に目に付くのは最初のケース。例えば調査書類作成経験が豊富という意味で、I have considerable experiences in writing research papersと書くとexperienceと直されることになる。

少し気をつければ防げる間違いなので覚えておくと便利だろう。

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イギリス英語とアメリカ英語

英語のイギリス版とアメリカ版は発音や語彙、文法などに違いがあるが、スペルにも当てはまる。国際機関への応募書類を作成する際、疑問が沸いたことはないだろうか。

アメリカ英語のスペルは、なるべく発音に沿って簡単に書けるようになっているが、イギリス英語はラテン語やフランス語、ギリシャ語等語源のスペルに忠実な点が根本的な違い。

国際機関でよく目につく organization というスペルはアメリカだけでなくイギリスでも通用する。厳密にいえば、イギリス英語ではorganisation でもorganizationでもいいことになっている。

イギリス系のサイトや出版物を見るとorganisationが圧倒的だが、国際機関ではロンドンに本部のあるIMO国際海事機関やEBRD欧州開発銀行でもorganizationを使っている。自らをorganisationと名乗っている国際機関は、パリのOECD経済協力開発機構 (Organisation for Economic Co-operation and Development)くらいではないだろうか。

ただしILO (International Labour Organization) , ICC (International Computing Centre), ITC (InternationalTrade Centre)など、US式スペルではない名前の機関もあり歴史的背景を彷彿させる。

応募書類によく使用される、-ize/ise 語尾のanalyse (ze), mobilise (ze) , recognise (ze), realise (ze) はize版であればアメリカでもイギリスでも通用する。

以下はスペルが違う例でカッコがアメリカ式。

-er/re: centre, fibre, litre, theatre (center, fiber, liter, theater),

-nse/nce: defence, licence, offence (defense, license, offense)

-or/-our: behaviour, colour, humour, labour (behavior, color, humor, labor)

ae oe: manoeuvre, paediatric (maneuver, pediatric)

vowel plus –l: travelling, travelled (traveling, traveled)

グローバル化と国連本部や世銀等がアメリカ在住である影響か、大部分の国際機関はアメリカ式の綴りを導入。イギリス式スペルを空席広告に使用している機関はEBRD、OECD、国連大学 UNU等、数えるほど。

応募書類のスペルはUS式でどこにでも通用するが一貫性に注意。好みでUK式を使用する場合、Mr. Mrs. Ms. Dr.にピリオドはいらない点と引用符がsingle「’」なところに気をつけよう。

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コロナ第2波

今年3月、スイスで実行されたロックダウン(都市封鎖)は、COVID-19の第1波の抑制に貢献した。その後、夏の間も新規症例数は大幅に減少していた。

だがここ数週間で、ウイルスは欧州で再び猛威を振るい始めた。第2波の到来である。感染者の爆発的な増加から政府は再び社会生活を制限する厳しい措置を取らざるを得ない。

ジュネーブ市を含むジュネーブ州の人口は50万人程度。しかし、人口10万人あたりの感染者数はコロナ発生以来スイス26州中ずっとトップだった。11月初旬時点で10万人あたりの感染者数は4,701 人に跳ね上がった。

現在一日1000人がテストの結果陽性となりその10パーセントは要入院というCOVID 始まって以来最高の感染率となっている。500人近くが入院中の州立病院はパンク寸前とも言われている。

ジュネーブ州政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐ更なる対策として、飲食店、娯楽施設、美容、 店舗(食料品や必需品を除く)などの閉鎖措置を発表。

外出制限はないものの、11月2日から部分的ロックダウン(都市封鎖)を実施し、不要不急の外出自粛を呼びかけている。企業に対しては、出勤による活動を必要最低限にまで抑制することが求められている。


世界最大の国際会議中心地ジュネーブ。数ある国際会議場がガランとしているのを見たら赤十字国際委員会(1863)の父であり国際都市ジュネーブの土台を作ったアンリ・デュナンもびっくりすることだろう。

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無給インターンシップ

ジュネーブで9月27日に行われた住民投票で最低時給23フラン(約2650円)を導入する案が可決された。日本の水準から考えても驚く世界最高レベルの高賃金だが、物価の高いジュネーブでは月4000フラン(約46万円)ないと暮らしていけないと言われる。

域外管轄権を有し、スイスの雇用法による規制を受けない国連職員の給料はどちみち最低賃金以上。しかし無給の国連インターンは、ジュネーブ貧困層と違いこの可決案の恩恵にはあやかれない。

国連インターンシップの大部分は無給で今までも問題になってきた。世界物価高ランク10位のジュネーブで手当が出るのはILO, WIPO, IOMのみ。途上国からのインターン生活は難しい。実際ジュネーブのインターンの多くはフランス、スイス、イタリア、ドイツ、米国等の出身者だ。

インターン達も定期的に報酬獲得運動はしているが、もともと短期契約で異動が激しいグループだけに団結して長期的に戦うのは難しい。国連事務局の広報担当者によると事務総長にはインターンに給料を支払うかどうかを決める権限がなく、その責任は加盟国にあるとの旨。

国連で働き世界へ貢献したいと希望する大学生は多く、無給であってもインターンへの応募者は引きをきらない。なぜ賃金を払う必要があるか、という意見も国連では多数派。

新型コロナウイルスの影響でインターンの中止や自宅勤務が目立つ昨今、無給問題の解決がまた先送りにされる懸念がある。富める国出身者以外インターンができないという事実は、国連の平等や人権保護の理想とはかけ離れているし、平等な雇用制度にも繋がらない。早く解決策を見出してほしいものだ。

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ハイフンの使い方

普通の英文では頻繁に見かけないハイフンだが、履歴書ではよく目につく。狭い紙面活用に便利なだけに間違った使い方に気をつけたい。

ここで言及しているのは、複数の語を結びつけて一語相当とし、理解しやすくするためのハイフン。応募書類中の間違いを防ぐルールを2つ知っておくと便利だろう。

まず修飾するフレーズが名詞の前にくる時のみ、ハイフンを使うこと。形容するフレーズが名詞の後にくる時は不要。

例 She had a fixed-term contract. / The contract was for a fixed term.

またlyで終わる副詞が修飾語の中にあるとハイフンは不要。

例 environmentally sustainable growth

主な使用ケースは1接頭辞がself-, ex-, and all-等、 2形容詞の最後のスペルと次の名詞の最初のスペルが同じ、3大文字から始まる単語に接頭辞を付ける場合

例1 self-explanatory/ex-wife/all-knowing

例 2 re-election/meta-analysis

例 3 mid-August/anti-American

接尾辞(-elect, -style, -based, and -free)によりハイフンのつくケース

例 competency-based interviews/ President-elect

21から99までのアルファベットで記した数字、分数や単位の単語

例 twenty-one/ one-third share

この他複合語や、一アルファベットと単語の組み合わせ、誤解を生じそうな単語もハイフン使用

例 state-of-the-art/ editor-in-chief/ out-of-date/

例 E-mail/ X-ray

例 The artist re-signed his contract. / The artist resigned his contract.

ハイフンを入れるルールは厳密ではなく、使い手やスタイルでも変わる。慣例的に用いられ、時代とともに変わることも頻繁。上例のE-mailなどは将来全てEmailとなるだろう。正しい用法を判断するには辞書を参照することだ。

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キャリアコーチングが有効な場合

キャリアコーチングやアドバイスはキャリア国際機関提供のサービスの一つ。国際機関への就職希望者や国際機関邦人職員への個別キャリア支援が有効なのはどういう場合か。キャリアプラン作成から実現の流れに沿って考えてみよう。

まず、キャリアプランの第一歩である自己分析、環境分析のサポート。本人の強みや市場価値を分析し、国際機関という特殊な職場にそれをどのように使っていくかを見極める手伝いをする。同時にキャリアや仕事に対する自分の価値観を分析するのも有効だろう。それらを基盤にして、納得できるキャリアパスやキャリアプランを構築していく際、国際機関という労働市場をよく知っているコーチの支援は貴重と思う。

プラン作成後、目標に沿って自分の希望する職を捜し応募。本人の経歴や資質、目標にマッチした職種、機関そしてグレードの空席を効果的に見つけ出すにも、国際機関という特殊な労働市場に精通したコーチの助けは有効だろう。応募や採用プロセスの途中でも、各機関の構造や特殊な人事事情、規則などの情報を説明し、アドバイスしてくれるプロがいると心強い。

空席公募に応募し選抜課程を得て採用にこぎつけるまでには履歴書やカバーレターの添削や指導、面接対策用ガイドブックや模擬面接、筆記試験の指導等が役立つ。採用が本決まりになる前にステップや給料の委細、契約の種類等をコーチに確認できるという利点もある。

すでに就職しているものにもキャリアコーチは有効。とりわけ入って間もない職員やJPOには必要度が高いだろう。同僚には話しにくい職場の悩みや、キャリアの可能性もキャリアコーチには相談できる。国際機関の人事部や上司だけではカバーできない、個別に対応した自己ブランドやネットワーク作り、自己投資等への助言は貴重。

JPOにとっては正式職員になる道筋を作る意味で、個々のケースに応じた支援が必要だろう。キャリアアップは意識しているが、日々の仕事に追われて思うように就職活動のできない職員にとってもプロフィールに応じての情報やアドバイス提供は有益と思う。

キャリア国際機関が提供している様々なキャリアサポートサービスは、このサイトのリソースセンターに記述してある。

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カバーレターの署名

前回Eメール応募のカバーレターの書き方について解説した。補足としてカバーレターのサインについて触れたい。

メールで応募の場合、カバーレターをメール本体に使い履歴書のみ添付するか、履歴書とカバーレター両方を添付する方法がある。カバーレターをメール本体に使う方が簡単だが、どちらにしてもカバーレター署名についての疑問は残る。

インターネット応募でサインを使うと、サイバースペースに跡を残し、個人情報の安全が脅かされる懸念がある。このためサインを使わない応募書類が一般的であり、それで不利になることはない。

カバーレターをメールボデイにする場合、最後に自分の名前と電話番号、メルアドをタイプ入力し、サインの代わりとする。名前の下に連絡先を一緒に書いておけば採用側に便利だろう。

カバーレターを履歴書と共にメールに添付する場合、直筆サインは必要ないが、入れれば個人的なタッチが加えられる。ただしそれだけで採用に有利になるわけではなく、あくまで履歴書の内容が勝負どころ。

その場合ワード形式のカバーレターを印刷し、直筆サインをしてPDFに変換し、添付。気をつけたいのは、デジタルサインを入れるのではなく、直筆サイン入りカバーレター全体をスキャンしてPDFにすること。好印象を与えたければ手間を惜しまないことだ。

言うまでもなく、紙媒体の応募書類を郵送、手渡し、ファックスする場合は直筆サインがいる。また外務省のJPO試験ではカバーレターではなく履歴書にサイン画像を注入するか、プリントアウトしたものに直筆サインを入れスキャンするよう指示されている。

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国連のカフェテリア

国連のカフェテリアやレストランは職員が休憩したり、食事をとったりする場所。外部から来ている外交団や代表と非正式に議論したり、交渉したりする場でもある。

大抵の国際機関では、職員用の他、改まった場として国際会議参加者用の少し静かなカフェを用意している。会議で決まらなかった課題が解決したり、契約が内定したりと飲食以外にも用途は広い。

カフェで働いている人達は国際機関職員ではなく外注の現地組織社員。とはいえ、毎日接しているわけだから職員にとっては顔なじみの同僚のようなもの。中にはかなり変化に富んだ生活で職員の注目を集めるものもいる。

これは国連欧州本部から国際電気通信連合に移って間も無くの頃のエピソード。大きな国連の職員食堂と違い、こじんまりした専門機関のレストランではコックがステーキやオムレツを個人の好みに合わせて焼いてくれる。さすがカルチャーが違うと最初は驚いたものだった。

週末、週刊誌を読んでいたら真ん中の身びらきページに見慣れた顔がある。よく見たら昨日ステーキの焼き具合を聞いてきたコック。びっくりして記事を読んでみるとフランスのロト(宝クジ)で莫大な額が当たったとの旨。

月曜日、宝クジ買いの秘訣でも聞こうと思い、早速カフェテリアに行ったが料理人の姿は見当たらない。通知も出さず即仕事を辞めていった模様。やっぱりなーと妙に納得できる体験ではあった。

国際電気通信連合時代には、その他にも食堂の従業員がテレビに出るケースが何度かあった。国際機関のカフェだから注目されるのか、本人たちの動向がよっぽど珍しいのか理解に苦しむが、職員の休憩時間がこの話題で盛り上がったのは想像できよう。

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