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小島晶子は、国際機関の人事政策と戦略、組織開発、人材雇用育成に25年以上の経験を持つシニアの人事スペシャリストです。彼女はUNHCR(国連高等難民弁務官)、UN(国連)、ITU(国際電気通信連合)および, 雇用 , キャリアマネジメント、研修課課長であったOECD(経済協力開発機構)などに勤務しました。人事コンサルタントとしてUNISDR(国連国際防災戦略プログラム)、DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)とSotelGui(ギネアコナクリテレコム)などさまざまな国際機関、非政府機関で働いています。

筆記試験

採用プロセスの一部に筆記試験をとり入れている国際機関は多い。通常書類考査を通過した人対象に行われ、結果が良ければ最終選考者リスト(ショートリスト)まで残り面接に招待される。機関やポストにより実施しない場合もあるが、最近では稀のようだ。

大きな規模での採用キャンペーン(例えば国連の翻訳官採用試験、ヤングプロフェッショナル試験など)以外の特定のポストに応募した場合、筆記試験に呼ばれたということは、書類選考を突破した15から20人程度の候補者の中にいることを意味する。

面接前に専門知識をテストし、候補者を絞り込むのが筆記試験の基本主旨。インターネットを使って手軽に企画でき、募集ポストの上司が自分で採点、判断ができることから、専門知識に関するテーマを出題しエッセイ形式の答えを書かせることが多く、3から5問で2時間程度が主流。ケーススタディやプレゼン、その他のテストの可能性も高い。

筆記の代わりに自己録画アプリを使って、ビデオで答えさせる機関もある。この場合も専門知識評価が主な目的だが、書かなくてよい代わり短い時間で専門性をアピールするもの。また筆記テストやプレゼンを面接と同時に実施するケースも見られる。

筆記試験解答では、専門知識の高さは当然だが内容と表現両方のバランスがとれていることも採点基準のひとつ。表現面では言いたいことが文法ミスやタイプミスなしの理解しやすいスタイルで、簡潔かつ明確に表されており、論点の構造と発展に筋が通っていること。内容の面では、まず質問に答えているか、そして専門知識の充実度や独自の考えを持っているかなど、がチェックされる。

筆記試験の通知が来てから急に準備ができるものではないが、課題になりそうなトピックは空席広告からヒントを得られるので少なくても参考書類、サイト等の整理をやっておき、短い試験時間中に情報サーチ等に時間を取られないようにしておくべき。 また起承転結の節目で使う常套句をいくつか用意し、前もって論理の構造を作っておくという手もある。ただしこれはやり慣れてないとかえって焦りのもととなるので注意。普段から英語ライティングの練習をして実力を養っておくと良いだろう。

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国際機関でのキャリア

キャリアというのは個人的なものだから、十人十色。キャリアプランを細かく立て一歩ずつ確実に実行していくもの、とくに計画せず成り行きまかせなど、キャリアに対する姿勢は様々だ。

大抵の人は上記両極端のモデルの中間をいき、おおざっぱにプランや目標は立てていても、予定外の昇進や移動のチャンスに応じて道筋を調整していくのではないだろうか。

専門分野、職場環境が多様化している今日、キャリアプランもより柔軟性を要する。専門家として成果をあげ同機関でトップまで昇進、というパターンは減少しているようだ。単一の国際機関、同じ勤務地でのキャリア開発から、より可動性のあるキャリアが主流になっていくだろう。

また、国際機関一般的にプログラム遂行に必要な仕事が複雑化。専門家であっても追加の知識やスキルを要する。例えば農業経済学者に、農業や食料確保の他、気候変動の知識、プロジェクトマネジメントや基金収集能力、広報のスキルまでが求められる、といった具合。キャリア途上でトレーニングや経験を追加する場合も出てきそうだ。

今日、各機関ともグレード配分に中間レベルが多い平坦な階層構造になっている上、ポストごとの競争が激しさを増している。一方、新規創立機関、正規予算外ポスト創設や、離職、退職率増加からくる予定外の機会も存在しており、キャリアプラン調整はより頻繁になるだろう。

このようにキャリアの多様性、不確実性が高まる中で、変化に柔軟に対応し、自分でキャリアを開拓していくという姿勢が重要。キャリアは自己責任という意識を持ち、まめに機会や人脈を開発していく。早い時点で自分の価値観、得意分野や好みを知り、それに応じた目標を持てば計画も立てやすい。マイペースを見失わないことも自己のキャリアに満足する秘訣といえよう。

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赤十字国際委員会

赤十字国際委員会(ICRC)は国際協定や規約から正式な地位と人道的役割を与えられた、唯一無二の国際人道支援組織。1863年の設立以来、ノーベル賞を3回受賞。国際人道法の促進と保護を目的として幅広い活動を展開している。

知名度も財政も申し分なかったICRCだが、今160年の歴史で最悪の危機に直面している。2023年の活動資金として27億9千フラン(約3900億円)の支援を求めていたが、任意拠出金が集まらず、予算を4億3000万フラン削減せざる得なくなったのだ。

これを反映し、全職員2万2700人のうち退職者も含め1800人の解雇が迫られている。また、国内外の350カ所にある事業所のうち、少なくとも20カ所が閉鎖予定。援助プログラムにも縮小や中止が見られる。

ロバート・マルディーニICRC事務局長によると、ICRCが抱える最も重要な活動10件のうち、資金調達の見通しが前向きなのはウクライナのみ。他のすべての活動(アフガニスタン、シリア、イエメン、南スーダン、ソマリア、イラク、コンゴ民主共和国、エチオピア、ナイジェリア)は資金調達が困難になっている。

ジュネーブにある本部の職員1400人のうち35人が解雇される予定との旨。これに対し、2500人の職員が匿名の書簡で経営陣に抗議した。書簡は過去10年間に予算と人員が急増したことを批判し「予算の変動」についての説明を訴えた。また複数の職員は「武力紛争の犠牲者の保護や捕虜の訪問、行方不明者の捜索が基本的な使命だったはずなのに、実際は人道支援活動が増えている」と証言。

カルボニエ副総裁は「主要ドナー国自身が大きな財政的制約を抱えているため、人道支援部門全体が大きな変化に直面している」と指摘し、経営陣の責任を否定。ICRCは他の団体と同様、各国の財政難やインフレ、さらにはウクライナ戦争により世界レベルで人道資金が枯渇していることの犠牲者だと主張した。

かつてない財政危機に見舞われ、新しい活動戦略を模索中の赤十字国際委員会。活動範囲の拡大化や経営方法、最高幹部の給与や退職金への批判も多い。先見性、透明性をもった活動や予算の見直しが期待される。

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応募書類中の数字

応募書類添削中、10未満の数字をアルファベット表記しているケースによく遭遇する。文法的には正しいのだが、文字の中ですぐ目につかないのが難点。

文章中1から9まではアルファベット表記、10 から 999999はアラビア数字というのは正統ルール。だが履歴書は数字統一で良い。職歴や業績を具体化し、読み手を印象つけるための量、時間、額等が、アルファベットに埋もれてしまい目立たなくては、効果が低いからだ。読みやすさとスペース節約に数字は有効。

英語の数字表記は色々なスタイルがあり、ウェブの発達やグローバル化に伴い簡略化される傾向にある。

国連の編集マニュアルによると、同文で色々な数値が使われる時は、大きい数の表記法に合わせるのが基本。計量単位やパーセントがつく場合、選挙結果等も10未満で数字表記となる。ただし同じ種類に属さない数字が同時に入る文は、一方をスペルアウトし混乱を避ける。

例 Twenty 100-mm mortars; 15 five-year-old girls

序数は9までの数字をアルファベットにした場合、first, second, third…と統一する。国連では数値の大小にかかわらずcommittee, sessionはアルファベットmeetingはアラビア数字使用。

例 The fifty-seventh session of the General Assembly; 2nd meeting

例外は文章の始め。10以上でもアルファベット綴りにする。今日このルールは無視されることも多いが、数字を文頭に使うのは避けたほうが無難。 応募書類に具体的な数字を入れると、職歴や業績が生きてくるし、カバーレターのアピール度も上がるもの。十分に使いこなし、成果をあげたい。キャリア国際機関での添削サービスも利用してほしい

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コンぺテンシーベース面接

雇用主が候補者のスキルと資格をより適切に評価できるということで、近年コンぺテンシーベース面接の需要が高まっている。

使用しているのは国際機関に限らず、アメリカ、カナダ、イギリスなどの政府や公共機関、著名な私企業など。日本でも一部のコンサル、ファイナンスやハイテク業界、販売やマーケティング業界の著名な会社が利用していると聞く。

コンぺテンシーベース面接には周到な準備が必要だが、その努力は他の採用プロセスにも生かせる。まず履歴書作成の際、過去の経験から例を特定し、空席広告で求められる特定のスキルや能力に具体的に焦点を当てられる。また面接で行動結果を述べるための用意は、履歴書での成果の強調にも有効。

面接の準備として、採用側が求めるスキルや能力を明確に把握する必要があるが、この分析も履歴書を書く際に生かせる。

普通の面接であっても、コンぺテンシーベース面接の準備は十分に活用可能。構造化された具体的な例は説得力がある。将来の方向や行動を聞かれた場合にも、過去の例を挙げて強調すると効果的。

このようにコンペタンシーを明確化することで、自身の強みを理解し、適切なポストへの合致をアピールすることができる。面接の準備の一環としてキャリア国際機関の模擬面接サービスも利用してほしい。

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スイスと安全保障理事会

国連憲章のもとに、国際平和と安全に主要な責任を持つ安全保障理事会。国連の他機関は加盟国に対して勧告を行うのみだが、安全保障理事会は加盟国に実施を義務づけられる決定をする権限がある。

ただしウクライナ紛争への国連軍介入の例にみられるように、決定には理事国15カ国中9カ国の賛成が必要だが、常任理事国である中国、フランス、ロシア連邦、イギリス、アメリカのいずれかが反対すれば、否決される。

理事会は常任理事国5カ国と、2年任期の非常任理事国アルバニア、ブラジル、エクアドル、ガボン、ガーナ、日本、マルタ、モザンビーク、スイス、アラブ首長国連邦の10カ国。スイスとエクアドル、日本、マルタ、モザンビークは国連総会の2023-24年入れ替え選挙で選出された。

国連に20年前に加盟したスイスが安保理の非常任理事国に選ばれたのは初めて。理事国となっても同国の中立的な立場は影響を受けず、国連に対する法的・政治的・財政的な義務も変わらない。

紛争当事者間の橋渡し役および仲介役としての長い歴史を誇るスイスは、初参加の安保理で、平和、安全保障、安保理改革の推進を目標に掲げる。非常任理事国になりたての今年一月には、シリアとトルコ国境のバブアルハワ検問所の開放期間を延長し、緊急支援物資の輸送に一役買った。

華々しいデビュー後、ウクライナへの武器再輸出禁止や、ロシア資産の凍結に及び腰なのに加え、クレディ・スイスの破滅がありスイスのイメージ悪化が懸念された。 だが、中立国スイスが橋渡し役や交渉のプラットフォーム的役割を果たすことや、人道的伝統と赤十字国際委員会(ICRC)を背景に特別な任務を担うことへの期待は以前大きい。安保理でのスイスの行動に注目したいところだ。

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空席広告の読み込み

国際機関に何度応募しても筆記試験や面接まで行き着けない、という経験はないだろうか。その場合もう一度空席広告を念入りに読み、自分のプロフィールと空席のマッチを確かめたい。空席広告の分析は応募成功に向けての重要な第一歩だ。

採用担当時代、空席広告を読んだとは思えない応募者の多さに驚いたもの。教育、経験年数、言語 Education, Work Experience, Languagesという3基本要素さえ満たしていない書類が大半だった。

国連の書類選考ではWork Experienceに記してある資格や特殊な経験が問われる。またdesirable,  advantage,  asset, などと書かれた部分も対象となる。特に外部からの応募者は、これらの条件もクリアしていないと次の採用プロセスまで進むのは難しい。

職務の記述は丁寧に読み、内容、責任の範囲やレベルをしっかり把握。自分の経験と職務内容が重なっている部分は、応募書類で強調する。面接でも具体例としてアピールできる。

空席広告の職種、部署、グレード、勤務地、契約、応募対象者等にも注目。ポストによっては内部職員のみ、ロスター登録者用などの応募者限定がある。また短期契約の場合、更新の可能性が示されているもの以外は、その期間限りと理解して応募する。国連システム以外の機関では給与やグレード体系が違うところも多いので、事前に情報収集をしておく。

勤務地も大切な要素だ。例えば地域事務所がフランス語圏にあると、言語の知識なしで応募しても競争力は弱いだろう。安全性が低く扶養家族が現地で生活することを認められていないnon family duty stationも空席には明示してある。

一般的でどのポストにも共通するコンペタンシー(例、communication, teamworkなど)は、どちみち面接で評価されるのであえて応募書類で強調する必要はない。

他方、国連の空席広告のPROFESSIONALISMの欄に記されているようなポストに求められる特有の知識、スキル、行動は、応募書類で強調。他の国際機関だとtechnical competencies (skills), job-related competencies, functional competencies など表現は様々だが、対象ポストに必要な独自の能力。例えば人権に関するデータの分析能力とか、Amazon Web Servicesの知識など。

このように空席広告には様々な情報が含まれている。自己のプロフィールとキャリアプランに合致したポストか、充分読み込み理解してから応募したいものだ。

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P11記入上の疑問

国際機関応募書類の代表的存在であるP11。書類書き方セミナーや、添削、キャリアカウンセリングで良く聞かれる質問は以下の項目に関連している。

職務経験欄22に現在や過去の収入を書く際、どのくらい詳しく書くべきか悩む応募者は多数。ドルへの交換率、給料以外の特典等どこまで説明が必要か疑問は尽きない。結論からいうとおおよその収入がわかれば十分。採用が決まった場合、空席のグレードのステップ1の給料が原則であるが、候補者によっては、現職に比べ減収になることがある。その場合はステップを上げる等して調整するわけだが、そのための情報であり、採用の判断には影響しない。

同じ欄にある退職理由、REASON FOR LEAVINGをどう書くかも多い質問。書き方例としては、End of Contract, University study, Career Development, Career Advancement, Promotion, Transferなどで、長々と説明する必要はない。理由に注目するのは、応募者が短期間で何度も職を変えている場合、長い間同じ職だったのに急激に違うところに移った時など採用側が背景に興味を持った時のみで、全部の理由を読むわけではない。

ちなみに、Career Developmentは、長期的なキャリアの成長と発展のため自己啓発や学習、能力の向上を目指すもの。新しい仕事にチャレンジする場合もあるだろう。一方、Career Advancementは、普通その職場でのキャリアの進歩である昇進や報酬の増加を指すが、違いはあまり重要ではない。

25. REFERENCESの推薦者は、大学の教授や会社の上司を記載するが、候補者の仕事ぶりを知っていて、具体的な推薦理由を書いてくれる人を選ぶ。ジェンダーや、国籍、学校、職場、地位などバランスや、多様性をそれほど気にする必要はない。ただし同じ職場や学校からの3 名は避けたい。

26のOTHER RELEVANT FACTSにはそれまでに未記載の情報のみ追加。奨学金や賞与、資格。国外滞在や出張。対象ポストに関連する研修やセミナーなど。仕事や学業に1 年以上の空白期間がある場合は、理由を説明する。

以上の項目は参考情報であり、それだけで採用の決断が出されることはないので、あまりこだわる必要はない。自分のプロフィールと空席との合致をアピールするためには、一番重要である職務経験欄に力を注ぐことだ。

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応募書類と受動態

応募書類添削中によくお目にかかる受動態。履歴書に書いてあるから本人の行動かと想像はするが、確信はもてない。日本人の応募書類の傾向ではあるが、行動の主がわからない文章で経歴をアピールするのは難しい。

日本語と違い、英語では動作をする(した)人を主語にするのが主流。受動態では誰の行動かはっきりせず、冗長で不自然になりがち。文も長くなり文法の間違いの可能性も増えて、応募書類の簡潔化には悪影響。下の文章を比べてみれば、どちらが自分の経歴を強調しているか明らかだろう。

受動態 20 percent revenue growth was realized over two years.

能動態 I realized 20 percent revenue growth over two years.

もし、自分だけの手柄ではないことを強調したかったら、2番目の文の I の代わりにMy team やMy Department を使うといいだろう。

また応募書類にありがちなのが、 am engaged や was involved といった受動態。これらは無理やり仕事に巻き込まれたという印象さえ与え、本人の主体性が伝わってこない。Led、Coordinated、Implemented といったアクション動詞に置き換えて、積極性を強調しよう。

やはり受け身な感じが強く、避けたいのが responsible for や in charge of という表現。2番目の文の方が応募書類のアピール力は強いだろう。

Responsible for answering phones and directing calls.

Answered calls and directed lines to the appropriate individual.

業績を強調したい場合は、仕事そのものでなく、自分を中心にした書き方にすると効果的。どちらの例も2番目の表現のほうが印象は強いはずである。

例1 Work was recognized for efficiency…

例1 Recognized for work efficiency…

例2 A promotion to Section Chief was awarded to me after only one year of service.

例2 After only one year, earned a promotion to Section Chief.

動作をした人(主語)がわからない時や主語が重要ではない場合、文のトーンに権威感を持たせたい時等、受動態の需要は数々ある。しかし、応募書類作成においては、なるべく能動態を使った方が効果的な履歴書やカバーレターが作成できるだろう。

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多文化間コミュニケーション

 

国連職員間の 文化の違いからくる コミュニケーションギャップ。個人的 な経験を述べてみたい。30年ほど前のアラブ語翻訳官リクルートの際のエピソードだ。アンチークな話ではあるが国連に勤務し始めだったから鮮明に覚えている。

国連翻訳官採用はJPOや YPPの場合と同じように、一斉公募し選択をする 集団リクルート式 。書類選考と筆記試験を通過した応募者を翻訳部部長、アラブ語翻訳課課長、そして人事部と3者構成で面接していく。候補者の数は多く、当時面接はジュネーブ、ニューヨーク、カイロでそれぞれ1週間ほど続いた。

ジュネーブ面接最終日に、国連本部ニューヨークの翻訳部部長が倒れ入院した。急遽、国連ジュネーブ翻訳部部長のカイロ行きが決定。しかし国連のレセーパセー、という独特のパスポートにエジプトのビザがなく、ジュネーブ翻訳部部長の2日後の出発が危ぶまれた。

人事の私は本部ニューヨークの人事部課長に 至急電話 。面接はジュネーブ翻訳部部長が代行できるも、ビザを持っていない、という報告をした。異文化ゆえのミスコミュニケーションか、 慌てて説明不足だったせいか、ニューヨークの反応は驚くものだった。ビザがなければ、アメリカンエクスプレスを使えと、言ったからだ。

さすが、アメリカ、ビザといえば最初に思いつくのはクレジットカードと感心したが、これも 認識、文化の違いと言えるだろう。多文化間の意思疎通のギャップはこんな身近なところにあった。笑える話ではあるが、これがもっとシリアスな状況だったら大変なところ。

結局エジブトのビザを大至急手配し、 面接官代行も一緒に予定どうりカイロに出発できた時はホッとした。

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