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JPO 応募書類選考後

外務省2021年度JPO試験の応募が先月末締め切られた。書類審査通過後は第二次審査として面接とライティング課題の提出がある。今回はライティングの対策について。

まず課題の傾向。一般の空席公募と違って、JPOという共通の試験テーマなので、自分の応募している国際機関の活動や専門分野が出るとは限らない。またエッセイ(英作)だけ二問の年とエッセイと要約各一問の年がある。とにかく45分から60分でこなせる課題となろう。

昔は自分のキャリアと国際機関というテーマがよく出されたが、最近見かけない。P11とカバーレターで十分書かせてあるためか。傾向としては国際的なニユース、国際機関の活動や日本の提案、SDGに関してなど。

英語のライティングスキルは一夜にして成るものではない。だがこのサイトで提案した英作のコースをとるには時間がかかりすぎる。では第二次審査(5月から7月)までの短い時間に何をすべきか。

お勧めは、トピカルな話題について英字新聞や国際機関のプレス等を読み、要約すること。同じ材料を使い、内容を変えずに英語で自分のスタイルに書き直してみるのも有効。書き換えの方が大変な分効果は高い。

JPO筆記試験でも、要約は英作に比べ簡単なので差がつきにくい。エッセイをうまくこなせれば競争力はアップ。提出日が近づいたら、一作分300語30分程度で準備しタイミングも掴んでおく。

キャリア国際機関でも、JPO第二次審査対策として、筆記試験準備や面接の支援サービスをしているので利用してほしい。

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知りたくない過去

国際機関で人事をやっていると、仕事柄職員の経歴はどうしても目に入ってくるもの。国連採用前のキャリアがバラエティーに富んでいる職員も多く感心する。

国際機関という性質から政府の役人出身者は多く、前大臣や大使はザラ。国連採用担当官を始めたばかりの頃は、時代を反映してか、某国の諜報機関出身または在籍中、とささやかれる輩も多数いた。

民間企業出身で注目を集めるのは著名企業出の人で、マイクロソフト、グーグル、BBCなど後光がさすようだが、大抵はジュニアレベルか途上国勤務経験者。

珍しいところでは芸術家。元クレージーホースのダンサーやコンサートソリスト、歌手などもいるので驚く。国連勤務中は埋もれている才能だが、たまのパーテイやオーケストラで発揮できる場合もある。

またもとミス云々が比較的多いが、噂だけで事実チェックをしているわけでなく、なぜこの人が、とマジマジ見てしまうことも。

コンサルタントや短期採用者に至っては、正式職員と違いシビアな身元照会をするわけではない。著名フランス男優の肉親だったり、実はインターポールの指名手配リストに乗っていた人などと、サプライズもある。

個人の知りたくもない過去にびっくりする度、改めてキャリアの深さ面白さを感じる。

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前置詞のいらない動詞

国際機関への応募書類作成中「この動詞には前置詞が必要?」と疑問を持ったことはないだろうか。前置詞不要な動詞に前置詞を付けてしまうエラーは、履歴書やカバーレターによく見られる。

前置詞不要な動詞transitive verb(他動詞)は典型的に直接の対象(目的語)を持つか、目的語に影響を与え、S(主語) + V(述語) + O(目的語、節、句) 型をとる。

She entered the building.

目的語を取らない自動詞intransitive verbは主語自身の動きを表しS(主語) + V(述語)型だが、動作を他に及ぼしたい場合は前置詞を追加。

I agree.

I agree with you.

英文では一般的に他動詞使用SVOケースが圧倒的。だが自動詞にも他動詞にもなる動詞も多く、区別を複雑にする。応募書類上で目立つ間違いをあげてみた。

REQUEST FOR

他動詞なのでFORは不要。REQUEST を名詞として使用すればFOR要。

They requested a formal meeting.

  They made a request for a formal meeting.

SEEK FOR

他動詞として使う場合FORは不要。

I am actively seeking jobs.

EMPHASIZ(S)E ON

他動詞なのでON は不要。名詞形EMPHASISを使用する場合はON要。

They emphasized the risk.

  They put emphasis on the risk.

COMPRISE OF

他動詞 でOFは不要だが受動態になるとOFが付く。

Our staff comprises many nationalities.

  Our staff is comprised of many nationalities.

他動詞に前置詞をつける間違いはネイティブにもある。前置詞要不要が判断しにくい場合は英英辞書を参照することがお勧め。キャリア国際機関の添削サービスも利用してほしい。

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2021年度JPO 試験

今年もJPO 試験のシーズンがやってきた。外務省からの募集要項はすでに発表されたが毎年少しずつ変化があるので気をつけたい。

まず事前登録はすでに1月6日から可能。応募期間は2月1日から25日までと去年より3日長い。外務省枠外応募には、OECD, UNDP, WFP, OPCWにICAOが加わった。

和文応募書類上、志望する機関・ポスト(書類を作成する対象ポスト)は、昨年一つだけだったが、今年は第3希望機関・ポストまで書かせるなど、具体性が増している。また動機部分がなくなり、職歴の部分に職務内容と共に志望希望ポストとの関連性を書く形式に変わっている。主なJPOポストが外務省のサイトに掲載されるのは2月1日なのでそれから和文書類を作成することになるだろう。

キャリア国際機関で毎年行っている応募書類作成支援だが、添削サービス希望が2月1日以降に集中すると全希望者に対応できない場合がある。メールで送られてきた書類から順番に受け付けていくのでご了承願いたい。

他の応募者より早く書類を作成するには、2月1日の対象ポスト掲載を待たず作成できる英文レジュメとP11を今から作成して先に送っていただくことをお勧めする。

P11の動機部分は応募対象ポストとの合致をアピールするカバーレターとは異なり、希望機関、JPOプログラムに対する動機、適格性や将来の抱負、貢献等を書くものなので、今からでもドラフト、添削ができる。希望ポストがわかってからカバーレターと和文応募書類を完成させ、2度に分けて添削することも考えると良いだろう。

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新年おめでとうございます。

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2021年がスタートしました。

2020年はCOVID-19 が生活様式を一変させた年でした。

昨年に引き続き、今年も世界状況は目まぐるしく変化していくと考えられます。去年発揮した柔軟性や対応力がますます重要となるでしょう。

日々変わっていく国際情勢は、国際機関とは何か、そこで働くとはどういうことか、という問いかけに向き合う機会を与えてくれます。

キャリア国際機関では今年も例年以上に、国際機関に関する情報やアドバイスを発信していきたいと思います。

本年も何卒よろしくお願い致します!

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Staff or staffs

応募書類でよく見かける I am a staff of …というフレーズ。 なぜ、 I am a staff member of…に直されたのか首をかしげる応募者もいるだろう。

Staffは、組織の職員や社員全体 (the group of employees of a particular organization)を意味している。複数の人の集まりを示す集合名詞のため、一人の職員をstaffとは呼べない。一人の職員をHe is a teamと書けないのと同じ。職員全体を意味しているので単数扱いとなる。

例 The entire staff was late to the meeting.

ただし職員という意味の名詞でstaff がstaffsになりうる場合もある。例えば、国連のstaffや、世銀のstaff、FAOのstaffもいるという集合体としてのstaffが複数あるケースだ。

例 The staffs (of the different organizations) were all late to the meeting.

またイギリス英語では、集合体に属する個々のメンバーが視覚的にイメージされる時、単数形のstaffを複数扱いすることもある。

例 All staff have to wear a face mask in the workplace.

こうなると混乱しそうだが、アメリカ式に常にstaffを単数扱いするのが解決策だろう。

アメリカ式といえばstafferという単語を使っている応募書類も見かけるがあまりお勧めしない。Staffer は集合名詞ではないので a stafferという表現はありだが、アメリカの大統領府などの政府機関や報道機関のスタッフ用以外一般的でなく、国際機関では使われていないからだ。

結構複雑なstaffの使い方、キャリア国際機関の応募書類添削サービスも利用してほしい。

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ExperienceとExperiences

国際機関への応募書類には欠かせない単語であるExperience。複数形を使った書類が多数あり、よく添削の対象となる。単数と複数はどう使い分けるのか。

国際機関の空席広告では、どの機関でもExperienceを使っている。このExperience(経験)は一つの事柄ではなく、時間をかけて積み上げてきた知識やスキルといった抽象的なものの意味で数えられない。不可算名詞なので、複数形はなく使える冠詞はtheのみ。

例 Experience with a national disaster management agency is desirable.

例 The experience gained at the Forum allowed us to complete the survey.

だが、応募書類に記したexperiencesが全部間違いなわけではない。自己の体験やイベントを書く場合、特定個々の経験・体験が一個ずつの経験として捉えられるため、可算名詞になるからだ。その場合は不定冠詞も使用可。

例 I have had encouraging experiences with street children.

例    Speaking in front of 1000 people was an experience that I will never   forget.

このように個人的な体験を述べる機会は応募書類上あまりないだろうが、カバーレター作成や特別に応募動機を書く場合に考えられる。

ただし応募書類の間違いで圧倒的に目に付くのは最初のケース。例えば調査書類作成経験が豊富という意味で、I have considerable experiences in writing research papersと書くとexperienceと直されることになる。

少し気をつければ防げる間違いなので覚えておくと便利だろう。

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イギリス英語とアメリカ英語

英語のイギリス版とアメリカ版は発音や語彙、文法などに違いがあるが、スペルにも当てはまる。国際機関への応募書類を作成する際、疑問が沸いたことはないだろうか。

アメリカ英語のスペルは、なるべく発音に沿って簡単に書けるようになっているが、イギリス英語はラテン語やフランス語、ギリシャ語等語源のスペルに忠実な点が根本的な違い。

国際機関でよく目につく organization というスペルはアメリカだけでなくイギリスでも通用する。厳密にいえば、イギリス英語ではorganisation でもorganizationでもいいことになっている。

イギリス系のサイトや出版物を見るとorganisationが圧倒的だが、国際機関ではロンドンに本部のあるIMO国際海事機関やEBRD欧州開発銀行でもorganizationを使っている。自らをorganisationと名乗っている国際機関は、パリのOECD経済協力開発機構 (Organisation for Economic Co-operation and Development)くらいではないだろうか。

ただしILO (International Labour Organization) , ICC (International Computing Centre), ITC (InternationalTrade Centre)など、US式スペルではない名前の機関もあり歴史的背景を彷彿させる。

応募書類によく使用される、-ize/ise 語尾のanalyse (ze), mobilise (ze) , recognise (ze), realise (ze) はize版であればアメリカでもイギリスでも通用する。

以下はスペルが違う例でカッコがアメリカ式。

-er/re: centre, fibre, litre, theatre (center, fiber, liter, theater),

-nse/nce: defence, licence, offence (defense, license, offense)

-or/-our: behaviour, colour, humour, labour (behavior, color, humor, labor)

ae oe: manoeuvre, paediatric (maneuver, pediatric)

vowel plus –l: travelling, travelled (traveling, traveled)

グローバル化と国連本部や世銀等がアメリカ在住である影響か、大部分の国際機関はアメリカ式の綴りを導入。イギリス式スペルを空席広告に使用している機関はEBRD、OECD、国連大学 UNU等、数えるほど。

応募書類のスペルはUS式でどこにでも通用するが一貫性に注意。好みでUK式を使用する場合、Mr. Mrs. Ms. Dr.にピリオドはいらない点と引用符がsingle「’」なところに気をつけよう。

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コロナ第2波

今年3月、スイスで実行されたロックダウン(都市封鎖)は、COVID-19の第1波の抑制に貢献した。その後、夏の間も新規症例数は大幅に減少していた。

だがここ数週間で、ウイルスは欧州で再び猛威を振るい始めた。第2波の到来である。感染者の爆発的な増加から政府は再び社会生活を制限する厳しい措置を取らざるを得ない。

ジュネーブ市を含むジュネーブ州の人口は50万人程度。しかし、人口10万人あたりの感染者数はコロナ発生以来スイス26州中ずっとトップだった。11月初旬時点で10万人あたりの感染者数は4,701 人に跳ね上がった。

現在一日1000人がテストの結果陽性となりその10パーセントは要入院というCOVID 始まって以来最高の感染率となっている。500人近くが入院中の州立病院はパンク寸前とも言われている。

ジュネーブ州政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐ更なる対策として、飲食店、娯楽施設、美容、 店舗(食料品や必需品を除く)などの閉鎖措置を発表。

外出制限はないものの、11月2日から部分的ロックダウン(都市封鎖)を実施し、不要不急の外出自粛を呼びかけている。企業に対しては、出勤による活動を必要最低限にまで抑制することが求められている。


世界最大の国際会議中心地ジュネーブ。数ある国際会議場がガランとしているのを見たら赤十字国際委員会(1863)の父であり国際都市ジュネーブの土台を作ったアンリ・デュナンもびっくりすることだろう。

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無給インターンシップ

ジュネーブで9月27日に行われた住民投票で最低時給23フラン(約2650円)を導入する案が可決された。日本の水準から考えても驚く世界最高レベルの高賃金だが、物価の高いジュネーブでは月4000フラン(約46万円)ないと暮らしていけないと言われる。

域外管轄権を有し、スイスの雇用法による規制を受けない国連職員の給料はどちみち最低賃金以上。しかし無給の国連インターンは、ジュネーブ貧困層と違いこの可決案の恩恵にはあやかれない。

国連インターンシップの大部分は無給で今までも問題になってきた。世界物価高ランク10位のジュネーブで手当が出るのはILO, WIPO, IOMのみ。途上国からのインターン生活は難しい。実際ジュネーブのインターンの多くはフランス、スイス、イタリア、ドイツ、米国等の出身者だ。

インターン達も定期的に報酬獲得運動はしているが、もともと短期契約で異動が激しいグループだけに団結して長期的に戦うのは難しい。国連事務局の広報担当者によると事務総長にはインターンに給料を支払うかどうかを決める権限がなく、その責任は加盟国にあるとの旨。

国連で働き世界へ貢献したいと希望する大学生は多く、無給であってもインターンへの応募者は引きをきらない。なぜ賃金を払う必要があるか、という意見も国連では多数派。

新型コロナウイルスの影響でインターンの中止や自宅勤務が目立つ昨今、無給問題の解決がまた先送りにされる懸念がある。富める国出身者以外インターンができないという事実は、国連の平等や人権保護の理想とはかけ離れているし、平等な雇用制度にも繋がらない。早く解決策を見出してほしいものだ。

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