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Which 対 That

国際機関への応募書類を書く際によく使われる関係代名詞。Which を使うか that にするか、迷ったことはないだろうか。

Whichthatは先行詞を定義し、欠かせない情報を提供している場合 (restrictive clause)入れ替え可能。

例 I have never read the book which/ that is on the table.

だが先行詞が「人 + 物(動物)」や「all」「anything」「everything」「little」「much」「nothing」の場合、または先行詞に、最上級の形容詞や「first」「only」「very」などが付いている時はthatしか使えない。

例 This is the best film that I’ve ever seen.

関係代名詞節が残りの英文に補足的説明しかつけない場合はwhichを使用し、特定していない関係節の間にはコンマを入れる。下の例では、コンマ以後の情報は、取り除いても全体の意味に影響はない。

例 I finished the work in record time, which was appreciated by my colleagues.

結論として、関係代名詞後の情報が文章全体に不可欠であればthat単なる追加情報であればwhich (コンマ付き)を使用、と記憶すれば便利。

ネイティブでもthatwhichかを混同する事は多い。疑いのある場合はキャリア国際機関の応募書類添削サービスも利用してほしい。

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新入社員の季節に

新型コロナの春・・・ 桜は今年もきれいに咲きました | ニュース | 福岡ふかぼりメディア ささっとー

今回は元ILO職員、野口好恵さんの原稿です。

コロナ禍で、ロックダウン状態がもう一年になる。それでも季節は巡って花は咲き、鳥はさえずる春が来た。霞が関からの派遣で初めてジュネーブに着いてから、3月末で丸40年となった。読者の多くはまだ生まれていなかったかも?

日本の感覚だと、4月1日は新年度の始まり、会社には新入社員が入ってくる季節である。新卒一括採用、長期雇用、年功序列などが、バブル期には日本的経営の成功の秘訣のように言われたことを昔話のように思い出す。変化してきたとか変えなくてはとか言われる割には、少なくとも新卒者の就職活動がほぼ一斉に行われ、それを逃すと後から追いつくのは難しいという状態は今でも続いていると見える。私の頃には均等法以前で男女別募集、情報は紙でという時代だったが、リクルートスーツに象徴される同調圧力は今ほどではなかったような気もする。

国際機関ではそのような採用の仕組みは無く、即戦略になる者を随時いわば中途採用していることは、読者はもうご存知だろう。メンバーシップ型とジョブ型雇用の違い、と言われる。競争を勝ち抜かないといけないのは、採用時だけでなく組織内での昇進でも同じ。上のグレードに空きができて、内部外部の競争相手より自分が優れていることを示せないと始まらない。霞が関では同期生がある程度のレベルまでそろって上がっていくのに、国際機関ではヒラ職員のまま終わるのだろうかと思ったこともあった。

でも見方を変えると、国際機関への入り口は人生に一度だけではなく、他で経験を積んでからでも十分可能ということである。組織に入ること自体を目指すより、自分の専門分野を持って、何らかの国際的な課題に取り組んでいくという大きな道筋の中に、国際機関で働くことも視野に入れることを勧めたい。任地についても、選択の幅が広ければ可能性が広がる。採用だけでなくその後の昇進にも主体的に動けることが魅力だと思う。

筆者がこの季節に初めて着任したのは全くの偶然。当初2年の研修目的で来たはずが、一度帰国して数年を過ごした以外、定年退職まで職業人生の大半をILO事務局本部で過ごす結果になった。まるで反面教師だが、読者のキャリア構築の参考になれば幸いである。(ILO就職の経緯や苦労についてはこちらから)

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オフィススペース

長い国際機関キャリアの間、色々な機関の様々なオフィス環境で働いた。国際機関では普通管理職は個室だが、全スタッフ個室、全スタッフ大部屋という機関もありバラエティ豊か。

古きよき時代のジュネーブには、タイピストやロジ担当以外、一般職であっても全員個室という国際機関がいくつかあった。

その一つITUでの勤務時代、某事務総局長が日本の大部屋システムを取り入れ管理職以外の個室廃止を提案。部下の仕事ぶりをもっと監視し、コミュニケーションを促進することが目的だった。この提案に職員が猛反対し結局実行はされなかったが、職員数が増えてからはある程度大部屋式が導入されている。

国連時代、ニューヨーク本部では廊下にまでオフィスがはみ出しているのに、ジュネーブではP2でも個室、とよく羨ましがられたもの。国連欧州本部にはVIP専用のトイレもあり、他のトイレより清潔とのこと。ニューヨークでは機関により雑居ビルの一部を使用しているため、トイレにも鍵を持っていくシステムである。

余裕のある個室スペースを利用して、個人で高級調度品を整えたり、毎日花を生けさせたりする職員もいるから驚く。ウオッカとおつまみをロッカーに欠かさない豪傑もいた。

極端だったのは、OECDパリ、デファンスのオフィス。部長や課長でも大部屋の一コーナー。ドアがあるのはミーテイングルームだけという徹底ぶりだ。パーテイションで区切られているものの音は筒抜けで、集中して仕事できない上、人事の機密情報もマル漏れ。暫定的とはいえ、不適切な環境であった。

オープンオフィス、個室、それぞれに長所、短所はあるが、スペースの関係から大部屋が増えるのは必須。新しく設立された国連プログラムなどはジュネーブであっても雑居ビル、雑居スペースである。しかし時代の流れから自宅勤務が増加し、オフィスがガラガラになる日が来るかもしれない。

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JPO 応募書類選考後

外務省2021年度JPO試験の応募が先月末締め切られた。書類審査通過後は第二次審査として面接とライティング課題の提出がある。今回はライティングの対策について。

まず課題の傾向。一般の空席公募と違って、JPOという共通の試験テーマなので、自分の応募している国際機関の活動や専門分野が出るとは限らない。またエッセイ(英作)だけ二問の年とエッセイと要約各一問の年がある。とにかく45分から60分でこなせる課題となろう。

昔は自分のキャリアと国際機関というテーマがよく出されたが、最近見かけない。P11とカバーレターで十分書かせてあるためか。傾向としては国際的なニユース、国際機関の活動や日本の提案、SDGに関してなど。

英語のライティングスキルは一夜にして成るものではない。だがこのサイトで提案した英作のコースをとるには時間がかかりすぎる。では第二次審査(5月から7月)までの短い時間に何をすべきか。

お勧めは、トピカルな話題について英字新聞や国際機関のプレス等を読み、要約すること。同じ材料を使い、内容を変えずに英語で自分のスタイルに書き直してみるのも有効。書き換えの方が大変な分効果は高い。

JPO筆記試験でも、要約は英作に比べ簡単なので差がつきにくい。エッセイをうまくこなせれば競争力はアップ。提出日が近づいたら、一作分300語30分程度で準備しタイミングも掴んでおく。

キャリア国際機関でも、JPO第二次審査対策として、筆記試験準備や面接の支援サービスをしているので利用してほしい。

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知りたくない過去

国際機関で人事をやっていると、仕事柄職員の経歴はどうしても目に入ってくるもの。国連採用前のキャリアがバラエティーに富んでいる職員も多く感心する。

国際機関という性質から政府の役人出身者は多く、前大臣や大使はザラ。国連採用担当官を始めたばかりの頃は、時代を反映してか、某国の諜報機関出身または在籍中、とささやかれる輩も多数いた。

民間企業出身で注目を集めるのは著名企業出の人で、マイクロソフト、グーグル、BBCなど後光がさすようだが、大抵はジュニアレベルか途上国勤務経験者。

珍しいところでは芸術家。元クレージーホースのダンサーやコンサートソリスト、歌手などもいるので驚く。国連勤務中は埋もれている才能だが、たまのパーテイやオーケストラで発揮できる場合もある。

またもとミス云々が比較的多いが、噂だけで事実チェックをしているわけでなく、なぜこの人が、とマジマジ見てしまうことも。

コンサルタントや短期採用者に至っては、正式職員と違いシビアな身元照会をするわけではない。著名フランス男優の肉親だったり、実はインターポールの指名手配リストに乗っていた人などと、サプライズもある。

個人の知りたくもない過去にびっくりする度、改めてキャリアの深さ面白さを感じる。

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前置詞のいらない動詞

国際機関への応募書類作成中「この動詞には前置詞が必要?」と疑問を持ったことはないだろうか。前置詞不要な動詞に前置詞を付けてしまうエラーは、履歴書やカバーレターによく見られる。

前置詞不要な動詞transitive verb(他動詞)は典型的に直接の対象(目的語)を持つか、目的語に影響を与え、S(主語) + V(述語) + O(目的語、節、句) 型をとる。

She entered the building.

目的語を取らない自動詞intransitive verbは主語自身の動きを表しS(主語) + V(述語)型だが、動作を他に及ぼしたい場合は前置詞を追加。

I agree.

I agree with you.

英文では一般的に他動詞使用SVOケースが圧倒的。だが自動詞にも他動詞にもなる動詞も多く、区別を複雑にする。応募書類上で目立つ間違いをあげてみた。

REQUEST FOR

他動詞なのでFORは不要。REQUEST を名詞として使用すればFOR要。

They requested a formal meeting.

  They made a request for a formal meeting.

SEEK FOR

他動詞として使う場合FORは不要。

I am actively seeking jobs.

EMPHASIZ(S)E ON

他動詞なのでON は不要。名詞形EMPHASISを使用する場合はON要。

They emphasized the risk.

  They put emphasis on the risk.

COMPRISE OF

他動詞 でOFは不要だが受動態になるとOFが付く。

Our staff comprises many nationalities.

  Our staff is comprised of many nationalities.

他動詞に前置詞をつける間違いはネイティブにもある。前置詞要不要が判断しにくい場合は英英辞書を参照することがお勧め。キャリア国際機関の添削サービスも利用してほしい。

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2021年度JPO 試験

今年もJPO 試験のシーズンがやってきた。外務省からの募集要項はすでに発表されたが毎年少しずつ変化があるので気をつけたい。

まず事前登録はすでに1月6日から可能。応募期間は2月1日から25日までと去年より3日長い。外務省枠外応募には、OECD, UNDP, WFP, OPCWにICAOが加わった。

和文応募書類上、志望する機関・ポスト(書類を作成する対象ポスト)は、昨年一つだけだったが、今年は第3希望機関・ポストまで書かせるなど、具体性が増している。また動機部分がなくなり、職歴の部分に職務内容と共に志望希望ポストとの関連性を書く形式に変わっている。主なJPOポストが外務省のサイトに掲載されるのは2月1日なのでそれから和文書類を作成することになるだろう。

キャリア国際機関で毎年行っている応募書類作成支援だが、添削サービス希望が2月1日以降に集中すると全希望者に対応できない場合がある。メールで送られてきた書類から順番に受け付けていくのでご了承願いたい。

他の応募者より早く書類を作成するには、2月1日の対象ポスト掲載を待たず作成できる英文レジュメとP11を今から作成して先に送っていただくことをお勧めする。

P11の動機部分は応募対象ポストとの合致をアピールするカバーレターとは異なり、希望機関、JPOプログラムに対する動機、適格性や将来の抱負、貢献等を書くものなので、今からでもドラフト、添削ができる。希望ポストがわかってからカバーレターと和文応募書類を完成させ、2度に分けて添削することも考えると良いだろう。

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新年おめでとうございます。

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2021年がスタートしました。

2020年はCOVID-19 が生活様式を一変させた年でした。

昨年に引き続き、今年も世界状況は目まぐるしく変化していくと考えられます。去年発揮した柔軟性や対応力がますます重要となるでしょう。

日々変わっていく国際情勢は、国際機関とは何か、そこで働くとはどういうことか、という問いかけに向き合う機会を与えてくれます。

キャリア国際機関では今年も例年以上に、国際機関に関する情報やアドバイスを発信していきたいと思います。

本年も何卒よろしくお願い致します!

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Staff or staffs

応募書類でよく見かける I am a staff of …というフレーズ。 なぜ、 I am a staff member of…に直されたのか首をかしげる応募者もいるだろう。

Staffは、組織の職員や社員全体 (the group of employees of a particular organization)を意味している。複数の人の集まりを示す集合名詞のため、一人の職員をstaffとは呼べない。一人の職員をHe is a teamと書けないのと同じ。職員全体を意味しているので単数扱いとなる。

例 The entire staff was late to the meeting.

ただし職員という意味の名詞でstaff がstaffsになりうる場合もある。例えば、国連のstaffや、世銀のstaff、FAOのstaffもいるという集合体としてのstaffが複数あるケースだ。

例 The staffs (of the different organizations) were all late to the meeting.

またイギリス英語では、集合体に属する個々のメンバーが視覚的にイメージされる時、単数形のstaffを複数扱いすることもある。

例 All staff have to wear a face mask in the workplace.

こうなると混乱しそうだが、アメリカ式に常にstaffを単数扱いするのが解決策だろう。

アメリカ式といえばstafferという単語を使っている応募書類も見かけるがあまりお勧めしない。Staffer は集合名詞ではないので a stafferという表現はありだが、アメリカの大統領府などの政府機関や報道機関のスタッフ用以外一般的でなく、国際機関では使われていないからだ。

結構複雑なstaffの使い方、キャリア国際機関の応募書類添削サービスも利用してほしい。

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ExperienceとExperiences

国際機関への応募書類には欠かせない単語であるExperience。複数形を使った書類が多数あり、よく添削の対象となる。単数と複数はどう使い分けるのか。

国際機関の空席広告では、どの機関でもExperienceを使っている。このExperience(経験)は一つの事柄ではなく、時間をかけて積み上げてきた知識やスキルといった抽象的なものの意味で数えられない。不可算名詞なので、複数形はなく使える冠詞はtheのみ。

例 Experience with a national disaster management agency is desirable.

例 The experience gained at the Forum allowed us to complete the survey.

だが、応募書類に記したexperiencesが全部間違いなわけではない。自己の体験やイベントを書く場合、特定個々の経験・体験が一個ずつの経験として捉えられるため、可算名詞になるからだ。その場合は不定冠詞も使用可。

例 I have had encouraging experiences with street children.

例    Speaking in front of 1000 people was an experience that I will never   forget.

このように個人的な体験を述べる機会は応募書類上あまりないだろうが、カバーレター作成や特別に応募動機を書く場合に考えられる。

ただし応募書類の間違いで圧倒的に目に付くのは最初のケース。例えば調査書類作成経験が豊富という意味で、I have considerable experiences in writing research papersと書くとexperienceと直されることになる。

少し気をつければ防げる間違いなので覚えておくと便利だろう。

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